さわがしさについて
一
なにも見えなくなってしまってくれ
なにも聞こえなくなってしまってくれ
うとましいのではない
さわがしいのだ
四六時中耳を撫でる音、音、音、音
どこを見渡しても美しい光にあふれ
さわがしいさわがしいにぎやかな世界
音も光もなにもかもすべて
一切合財消えてほしい
少しの間だけでもいいから
少しの間だけがいいから
そうでなきゃ
そうでなきゃ なんにも聞こえやしないんだ
大事なものなんにもぜんぶ
見えやしない 聞こえやしない 知れやしない
少しの間だけでいいんだ
少しの間だけがいいんだ
全てずっとなくしたいわけじゃない
こんなわがままを思ってやっと知る
ああ わたしは 生きたいんだなあ
ようやく最近 生きたいんだなあ
二
さわがしさからにげだして
くらくてしずかなところにいって
そこでようやくおちついて
りっぱにひとりでいられるような
浅い孤独のにぎやかな世界
見たくないのは
自分のいない きれいな世界
聞きたくないのは
自分のいない きれいな世界
どこにもいてはいけないことと
なんにもつかめていないことを
見れば知る 聞けば知る
知りたくない もう知っている
知りたくない
浅い孤独のにぎやかな世界
(ひとりぼっちごっこ)
もういいかい?
三
しずかに
しずかに
はじめることは知らない
けれど
おわることも思わない
たぶん 前向きだ