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星の種類のお話〜星空案内人だより〜

私たちの頭の上には何千年もの昔から沢山の星が輝いています。

日本の昔の人は太陽と月以外で夜空に小さく光るものをすべて「星」と呼びました。現在では星と呼ばれる中にもみずから光る星とそうでない星に分けられています。同じように見える星でも違いがあるのですね。

今回は星の種類のお話をしたいと思います。


恒星

星の中でもみずから光る星を「恒星」と言います。星の中心で核融合が起こり、それによって熱や光を発しているので光って見えるのです。一番身近な恒星と言えば、太陽ですね。太陽の中心でも同じように核融合が起きています。

実は夜空の星のほとんどが恒星なんです。夜空に広がる恒星のひとつひとつは小さく見えますが、それらも太陽のように核融合を起こしながら熱や光を発しているのですね。

恒星の「恒」という字は「つねにかわらない」という意味で、恒星は他の星との並びが変わらず、規則的に動いているように見えます。そのため星座はすべて恒星によって作られているんです。ですから、星座の配置は変わらないんですね。

ちなみに太陽以外で一番近い恒星は「ケンタウルス座」のα(アルファ)星です。地球からの距離は約4.3光年。残念ながら日本では沖縄県や小笠原諸島の一部の地域を除いてその全体像を見ることはできません。

星座図鑑よりhttps://seiza.imagestyle.biz/index.html


南半球でこの星座を見つけるには南十字座をガイドにすると見つけやすいです。南十字座はケンタウルス座のおなかの下、前足と後ろ足の間に位置しています。その東側にある明るい星がケンタウルスのα星(リギル・ケンタウルス)です。

この星の近くに生命が居住可能な惑星があるかどうかを調べるプロジェクトが、去年オーストラリアのシドニー大学で始動されたようです。将来ケンタウルス座α星が第2の太陽と呼ばれることになるのかもしれませんね。


惑星

「惑星」と聞くと金星、火星、水星などの天体を思い浮かべるのではないでしょうか?

惑星とは恒星の周りをまわる星のことです。水星、金星、火星、木星、土星、そして私たちが住んでいる地球も太陽という恒星の周りをまわる惑星です。

正確に言うと
①恒星の周りをまわる
②ほぼ球状の形をしている
③軌道にほかの天体がない

この3つに当てはまる星が「惑星」であると2006年に国際天文学連合によって定義されました。

惑星は太陽と違い自分で光ることができません。太陽の光を反射しているので輝いて見えるのです。

どうして「惑星」と書くのかというと、惑星は恒星と違い日々位置を変えて輝きます。いて座の近くで輝く日もあれば、さそり座の近くで輝く日もあります。このように「惑う(まどう)」ように位置を変えて輝く様から「惑星」と呼ばれるようになったのです。

惑星の見分け方

惑星が見分けられるようになったら、ちょっとかっこいいですよね。
ここでは見分けるコツをご紹介します。

・金星を見分けるコツ
夜の全天で月の次に明るいのが金星です。日没後の西の空もしくは夜明け前の東の空でダントツに光っている星があったら、それはまず金星です。

・木星を見分けるコツ
金星の次に明るい星です。色は金星が「輝かしい白」ならば木星は「ややあたたかみのある白」です。

今年は2月下旬から夕方の西の空に金星と木星が近づき始め、2月22日には金星と細い月の接近。3月2日には金星と木星の大接近が見られるので、明るさや色身を比べてみる絶好の機会になること間違いなしです。

・火星を見分けるコツ
火星を見分けるには色に注目してみましょう。火星は表面が赤さびた土で覆われているので赤っぽく見えます。2月は夜8時ごろの南の空にオリオン座の上にあるおうし座あたりを通過中の火星を見つけることができるでしょう。


衛星

惑星の周りをまわる星を「衛星」と呼びます。一番身近なものは月ですね。月は地球の「衛星」です。
木星にも4つ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと言います)が回っています。それを発見したのはかの有名なイタリアの天文学者のガリレオで、彼の名にちなんでガリレオ衛星と呼ばれています。

ちなみに土星の環は衛星ではなく氷の粒なんです。最新の研究によると1億年以内に土星の輪が消えてしまうかもしれないとのことで、この輪を持つ土星の姿を見ることができた私たちは幸運といえるかもしれませんね。


彗星

「彗星」は星という名がついていますが、恒星や惑星、衛星のような星とは違い、太陽系のはるか彼方からやってくるガスやちりを含んだ氷の塊です。いわば「凍ったどろ団子」なんです。大きさも数キロ~数十キロメートルほど。有名な「ハレー彗星」でも長いところで15㎞です。

彗星が輝く秘密は太陽にあります。太陽に近づくと、次第に氷が溶けて内側にあったガスやちりが飛び出します。太陽に近づくほど太陽の光が多く当たるので、より明るく見えるようになります。


地球から見ると飛び出したガスやちりがほうきのように伸びて見えるので「ほうき星」とも呼ばれています。この「ほうき」のような尾が出ている方向と反対の方向に進んでいるように見えます。でも、実は進行方向はまったく関係がなく、尾は太陽と逆側に伸びているのです。

彗星は1年を通じて30個ほどみえています。ただ、ほとんどは人知れずやってきて大きな望遠鏡で写真を撮らないとわからないほど暗いものばかりのようです。ところが、2022年3月に発見されたZTF彗星が今年の1~2月に見ごろを迎えているんです。

2023年1月13日にもっとも太陽に接近したZTF彗星。その後、地球に接近して夜空で明るさを増していきます。2月中旬には火星の近くを通り南下を続けます。2月に入っても5等星の明るさで見え続けると予想されているので、夜空の暗いところでは肉眼でも見えるかもしれません。

双眼鏡やカメラで追跡してみるのも面白いかもしれませんね。月明かりがあると見づらいので、2月20日の新月を挟んだ2月18日から22日が観察にお勧めです。


星の輝きから思うこと

いかがでしたでしょうか?星にもいろいろな種類があることがおわかりいただけたと思います。みずから輝く星、その光を受けて輝く星、その星の周りを回る星。そして輝き方も様々です。

なんだか人間模様を見ているように思うのは私だけでしょうか?きっと昔の人も星を観察しながら同じことを思っていたことでしょう。今度、空を見上げながら星の姿に自分を投影してみるのも面白いかもしれません。

まだまだ寒い日が続きますので、温かい格好で天体観測を楽しんでみてください。


表紙画像:Unsplashより(Benjamin Voros 撮影)



書いた人:かやの
秋田県山奥在住
人を楽しませること、ロマンチックが大好きな星空案内人
宇宙人はいると信じていて、いつか出会ったらUFOに乗せてもらいたいと願っています。

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