5月病にも効果あり!漢方を毎日の暮らしに〜春土用の過ごし方〜
春本番を迎えて桜前線が列島を北上中です。
満開の桜の姿は儚くも圧倒的な存在感がありますね。
ほんのわずかな期間、見慣れた景色がピンク色に染まり花びら舞う眺めを、誰もが心待ちにしています。
季節の巡りを知らせる二十四節氣
1年を季節の巡りで表している二十四節氣は中国伝来の旧暦に基づいた暦です。
春夏秋冬を4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けた24の期間に定められています。かつての農耕が主体であった暮らしぶりがもとになり、季節ごとの天候の特徴、動植物の盛衰などの自然の移り変わりが暦に表されたもので、種まきから収穫までの暮らし方の目安とされてました。
四季のスタートは四立(しりゅう)から
二十四節氣の春夏秋冬の4つの季節の分かれ目に、季節の始まりを意味する節氣を四立(しりゅう)としています。四立とは、立春、立夏、立秋、立冬を「季節が立ち上がる」という意味で示します。そこを先頭に各季6つずつ節氣を充てて24個の暦を揃えて1年を巡らせています。
春~立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨
夏~立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑
秋~立秋、小暑、白露、秋分、寒露、霜降
冬~立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒
立春、立夏、立秋、立冬の手前18日間を「土用(どよう)」といいます。
立夏の手前18日間が「春の土用」
土用はそれぞれの季節にあり、四立に至る前の18日間は季節の変わり目にいつも以上に体を労わると良い期間としておかれています。夏の土用丑の日だけが土用でないことがお分かりいただけたでしょうか。
今年の立夏は5月5日。その手前18日間というのは4月16日から5月4日までです。
土用の時期は季節の変わり目にあたり、胃腸の働きが活発になり、食欲が旺盛になります。それゆえに、暴飲暴食で氣付かぬうちに胃腸に負担をかけてしまいやすい時でもあります。
ゴールデンウィークの最中が土用にあたります。お楽しみが多い時期ですが、地域によってはまだ寒暖差があったり、遠出をされることで食事内容、土地勘の変化で、体は無意識領域の自律神経が不安定になりやすいです。、そのため、土用期間中は、実は心身をニュートラルに保つことが良い時でもあるのです。
5月病といわれる不調の理由がここに在ります。特に連休中に遠出を楽しまれた方は、お帰りの後いつものペースに氣持ちをリセットして、体を馴染ませていくことが心身の養生に繋がります。
土用は土いじりをしない
春土用に限ることではありませんが、土用の期間は土の神様の土公神(どこうじん・どくじん)があちこち動かれるため、土を動かすことを嫌がるとされて、畑作業など土を動かすことを避ける風習が在ります。
建築関係でも土用の時期には地鎮祭、基礎工事などを避けるという慣習を大切にしているところもあります。
春土用は「戌(いぬ)の日」
夏土用の丑の日に、「う」のつく食べ物が良いとされ、精の付くウナギがクローズアップされ、今に至ります。(これには説がありますが)
それに対して、春土用には「戌(いぬ)の日」が設定されていまして、「い」のつくものが食養生に良いとされています。
季節の食材としては、イチゴ、いか(コウイカ)といったところでしょうか。
イチゴはビタミンCの抗酸化力に加えて食材の持つ酸味はイライラを鎮静させ、春に良い味覚です。コウイカは肉厚で甘味もあり、血を補い精神安定効果があります。
春の味覚
酸、苦、甘、辛、鹹(しおからい)の5つの味は、東洋医学の五行説の中の五味として、食材そのものが持つ味、性質を5つに分け、それらの食材をバランスよく食べることが理想的としています。特に旬の食材が持つ味は、季節毎の寒暖の邪氣から体を守ってくれます。
春は氣温が不安定で、氣持ちも落ち着かず怒りっぽくイライラしがちな季節ですから、食材そのものが持つ酸味、甘味、そして春先に出回る山菜の苦みは、そうした感情の不安定さを鎮静させてくれます。
そして旬の食べ物もその食材の栄養価がピークになっている時で、食べることで体の元氣が保たれます。
◎旬の食材を使った超簡単レシピ
<春キャベツのピクルス>
材料(2〜3人分)
・春キャベツ1/4個
・米酢 大4
・砂糖 大2
(調味料はお好みで増減)
・塩昆布 適量
⭐︎春キャベツはざく切りにする。
⭐︎沸騰したお湯に1〜2分湯通ししてザルに取りあら熱をとる。
⭐︎ビニール袋にキャベツ、酢、砂糖を入れ軽く揉んで冷蔵庫で1時間ほど置く。
⭐︎キャベツを器にて盛り塩昆布を混ぜ合わせる
・ポイント
キャベツの芯は捨てずに薄切りにして葉と一緒に調理しましょう。成分のビタミンCは芯に栄養が凝縮されています。
・キャベツの薬膳的効能
筋力の衰えの改善、
五臓(内臓)の調子を整える
健胃、疲労改善
「い」のつく食材、旬のものをぜひ毎日の食卓に取り入れ、この季節を味わってみてくださいね。
漢方養生は季節養生。古くから伝えられてきた暦は今に活きています。季節ごとの日々の生活に、そして体の調子を整える知恵に取り入れてみてはいかがでしょう。
書いた人:
漢方ma-ge(マージュ) 千葉万里江
漢方ライフアドバイザー
国際中医薬膳師
占星術師
季節の移り変わり、星の動きをもっと日常に生かしてほしいとの思いを講座、SNS、オンラインカウンセリングで発信しています、
北海道札幌市 出身。大阪在住30年超え。まさかの人生の半分以上が大阪住まいになるとは、本人が一番驚いています。人生はわからない。だから、おもしろい。
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