エリザべス1世ゆかりの館で極上のスコーンを|ティーハウス巡礼/イギリス
ロンドンへ行ったからとてー
街を歩けば素敵なティーハウスに当たる
というわけでも、ない。
もちろん、有名なホテルや百貨店に行けばゴージャスな本場アフタヌーンティーを満喫できるけれど、さりげなく豊かなティータイムを味わえる昔ながらのティーハウスというのは、探す方が難しいと言ってもいい(だから、ロンドンではミュージアムの中のカフェに頼りがち)。
この点、老舗の一軒家カフェが綺羅星のごとく点在するウィーンやパリとは、ちょっと勝手が違う。
というわけで、私の愛するティーハウスの話も、ロンドンから電車で2時間ほど北上したところにある田舎町、ウォーリック(Warwick)の「ブレスレンズ・キッチン(The Brethren’s Kitchen)」から、はじまる。
ウォーリック城のすぐ傍にある「ロード・レスター・ホスピタル」の1階に、「ブレスレンズ・キッチン」は、ある。
中へ入るとー
まず、ブルー&ホワイトで統一された食器棚が、お出迎え。
どのケーキも食べてみたくてたまらないのにー
さんざん迷った挙句、結局いつもクリームティー(スコーンと紅茶のセット)を頼んでしまう。
それくらい、美味しいっ!!!
何の銘柄かわからない…
メニューで読んだ記憶もない…
たぶん普通に売ってるやつだと思う…
けれど、
紅茶がまた、やけに美味しい。
ウォーリックは、私がイギリスに留学して初めて暮らしたロイヤル・レミントン・スパ(Royal Leamington Spa)の隣町なので、このティーハウスを知ったのも、渡英して間もない頃。
だから余計に感激したのかなー
と、思ったりもするのだけれど。
いや、その後、イギリスの北から南まで旅して、けっこうな数のティーハウスを巡ったけれど、今なお、私の中ではここが1番!
2018年に再訪した時にも、改めてそう実感した。
あんまり美味しいので
「ここのクリームティーは、なんでこんなに美味しいの?」
と、店員さんに聞いてみた。
すると
「さぁ…特別なことはしてないけど…水が良いからかな」
との、答え。
ウォーリックは、町の中をエイヴォン川が貫いていて、その流れはシェイクスピアの生地として有名な「ストラットフォード・アポン・エイヴォン」へと注ぎ込まれる。そこまで下降すると町が開け、川幅も大きく、流れもゆったりするのだが、たしかに、ウォーリックでのエイヴォン川はまだ細く、流れに勢いがあって「見るからに清流」という感じ。
その水が「普通」のスコーンや紅茶を格別に美味しくしているのでは…という店員さんの推理も、一理あるのかもしれない。
理由はどうあれ
格別に美味しいクリームティーでお腹を持たして店を出てー
建物の奥へ回るとー
とっておきの「秘密の花園」が現れる。
留学時代、
時折りここを訪れて
イギリスに暮らす喜びや
異邦人の切なさを
ひとり静かに噛みしめた、、、
そんな思い出まで含め
私にとって忘れられないティーハウス
「ブレスレンズ・キッチン」。
検索したら、現在、建物全体を修復中で、今年の夏まで閉鎖しているらしい。
※Brethrenは「仲間」「同胞」の意味。
再開後、私の知る当時のままのティーハウスの風情を保っているかどうか、、、
ちょっと不安がよぎるけれど、
今度イギリスへ行ったら
必ず訪れたいと思っている。