2024国際航空宇宙展に見る 歯止めなき「防衛」産業の実態
10月16日より4日間、東京ビッグサイトにて、2024国際航空宇宙展が開催された。テーマは「で織りなす、拡がる未来」。この「航空宇宙」分野は防衛産業とも直結し、イスラエル最大の軍事企業エルビット・システムズも出展(写真)。入口にはガザの虐殺に抗議する人々も集まり、パレスチナ解放を求め虐殺に加担する武器供給に反対の声を上げた。
●軍事企業が勢ぞろい
世界最大手の防衛企業、アメリカのロッキード・マーティンは「日本国の即応体制を万全に」と大きく戦闘機を紹介(写真)。同社は、防衛省が次期戦闘機に係る国際協力についての枠組みの中で、「インテグレーション支援の候補企業として選定する」と名指ししている企業でもある。
軍事企業としても名高い三菱重工業は、パネル展示で「戦闘支援無人機」のコンセプトを示し、有人機と無人機の連携をうたう高度なAI技術や即応性をアピールしていた。
「宇宙空間の安定的利用のために宇宙を監視し正確に状況を認識する必要がある」として、昨年3月から「宇宙領域把握任務」を行なっている航空自衛隊のブースも(写真)。情報収集や多国間連携、装備品、人材育成などについて展示されていた。
驚いたのは、防衛装備庁が開発したゲームの動画が展示されていたこと(左下写真)。「空戦AIチャレンジ」というコンペで、実際に参加したチームがAIによる判断に基づいて防衛ラインを目指して進むというもの。
今年2月に600回の対戦が行なわれ、賞金は1位70万円、 2位50万円、 3位30万円、4位15万円、 5位5万円の他、特別賞10万円を3名に用意した。これらは、「研究開発」の一環で、私たちの税金が使われている。
●前のめりの各省庁
16日には、内閣府の風木淳宇宙開発戦略推進事務局長、経済産業省の伊吹英明製造産業局長、国土交通省平岡成哲航空局長、石川武防衛装備庁長官が講演した。
国土交通省は今年1月2日に起きた羽田空港での事故(海上保安庁の航空機事故)等にも触れたが、内閣府、経産省、防衛装備庁はもっぱら宇宙防衛の重要性とその研究開発・産業発展・国際連携等について語っていた。
特に防衛装備庁の石川長官は「我が国では、近年の装備移転のニーズの増大を踏まえて、抑止力を確保し、安全保障を確実にするために防衛装備移転3原則の見直しなどを行なった」とし、日本には工廠(公営軍需工場)がないので、民間に依存するほかはないと語った上で「防衛産業は我が国の防衛力そのもの」と明言。彼は話の中で「みんぼう」と何度も口にしていたが、それは「民生利用」と「防衛利用」の頭文字だった。
いつ私たちが軍事拡大を許したのかという疑念が拭えない。軍事拡大は戦争への道。人々の抗議の声は講演会場入口に響いていたが登壇者には届いただろうか。
(吉田 千亜)