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ワンダフル通信<2021.10.13>

「Sundayカミデの中華レストランの話」

中華レストラン百番。


大きなホールには、お洒落で最新のトレンドを知っている、名門女子校の女の子や、私立の優秀な高校生の男女が、キビキビと働いていた。


いつも、颯爽とフロアを歩き、店長も自慢のホールスタッフ達だった。

出勤時の服も、それぞれにお洒落だった。

男女共に偏差値も高く、それでいて、何気にピアスをしていたり、可愛いパーマをかけていたり、スケーターだったりと、青春を謳歌している様子だった。


店内の真ん中には、大きな厨房があり、その周りをカウンターテーブルが囲んでいる。

ダイナミックな火力で作られて行く数々の料理を体感したいお客さんは、厨房を囲むカウンターテーブルに座る。


厨房の中には、料理長、副料理長、チーフ、そして、僕のようなアルバイト数人が、日々、所狭しと働いていた。


ホールスタッフのような、蝶ネクタイやベストの綺麗な制服とは違い、厨房の僕達は、全て白色で統一された、中国服のような物を着ていて頭には、小さなコック帽をかぶっていた。


ある日、料理長が担当している仕上げ場と呼ばれる台の下に、冷酒が置かれているのを見つけたので、よくよく注視していると、料理長は僅かな隙を狙って、冷酒を営業中に飲んでいる事が分かった。

いつも、ご機嫌なのは、そのせいだ。

僕は、折を見て料理長に言った。


美味しいそうですね。


料理長は、バレたか!と言う顔で、恥ずかしそうに僕を見ていた。

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