ワンダフル通信<2021.06.16>
「Sundayカミデの荷物の話」
岡山県にある何かの部品を作る工場で働く、高校の同級生の女の子に会いに、僕らは車に乗り込んだ。
20歳は、そんな風に過ごしていた。
短期大学から、4年制大学に編入しようとしていたけど、それ以外に、ラグビーのクラブチームを立ち上げたり、その関係でレフリーの資格を取りに行ったり、ビーチバレーをはじめてみたり。
とても、場当たりに日々を過ごした。
僕らにとって、大切な存在だった、同級生の女の子。たくさんの仕事が世の中に溢れていると思っていた僕らは、車に乗り込んだ。
音楽は、決して、忘れたわけじゃないけど。
東京でライブをする事が決まった友達に頼まれて、ベースを弾いたり。
渋谷のどこかのライブハウスで、友達の曲に合わせてベースを弾いた。本当にベースが必要だったのか、僕は分からずに弾いていた。
もしかしたら、僕に音楽を続けて欲しいから、頼んでくれたのかな。
そんな気持ちで、友達の大切なステージに立ってしまっていた。
僕は、自分のバンドが解散した後、殆どベースを弾かなくなっていた。そして、その日のライブでも、特に音楽がしたいと思わなかった。
自分のバンドが無くなって。
何も、日々に求めなくなった。
行き当たりばったりの日々。
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