ワンダフル通信<2021.06.02>
「Sundayカミデの四六時中の話」
死にかけの、生後10時間くらいの、3匹の子猫を拾ったのは、19歳の頃だ。
あの頃は、まだ高校生をしていて、放課後、意気揚々と校門の近くに停めてある自分のバイクに向かった、その時、鳴き声が聞こえた。
ほんの僅かな、小さな、消えるような鳴き声。
校門で、他校の生徒と喧嘩してる奴等を至急、黙らせて。
その鳴き声を辿って、見つけた。
ダンボールに入れられた、小さな小さなピンクの物体が3つ。少しだけ毛があった。
ダンボールを抱えてバイクを飛ばして、動物病院に向かった。
誰も、ひとりでは生きれない。
大人になったら、ひとりでも何とでもなるが、生まれて間もない、その時は。
ひとりでは、生きれない。
2時間おきに訪れる、排尿、排便、栄養摂取、それ以外に撫でる、声をかけるなど。
僕は、動物病院の先生に、そのノウハウを10分で叩き込まれた。
今日から君がお母さん。
何があっても、守りなさい。
1匹は、力尽きてしまった。
先生は、そう言った。
僕の発見が、もう少し早かったら助かってましたか?
もちろん。
先生は、即答した。
人間も動物も、最初はひとりでは生きれない。
僕は、猫が特に好きじゃなかった。
家には、10歳の頃に拾って来た、愛犬チビが、いつも愛くるしく、生きていた。
チビは多分、生後2ヶ月くらいで捨てられたんだろうと思う。僕が最初に見た時、幼少期が終わった頃だった。
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