フォトテクニックデジタル休刊
アサヒカメラ、日本カメラに続き、大変お世話になったフォトテクニックデジタルが8月号で休刊となるとのアナウンスを聞きました。
昔IT系(日曜)ライターをしていた時に、IT雑誌がバタバタと休刊してそこの編集長から聞いた話だと、休刊とは聞こえがいいがそのほとんどが廃刊で、雑誌コードという流通上のコードの再取得が難しくそれを残すために名目上休刊とする的な話を聞いた気がします。
それくらい切ない話ではあるかと受け取っています。
アサヒカメラは休刊のお知らせの際のアナウンスに、広告費が得られないと書いていましたが、まさにそうなんだろうと思います。この手の雑誌は雑誌単体では成立が困難なため広告が重要で、大昔のIT系雑誌はその半分が広告だった事もあります。言ってしまえば、きちんと写真文化のためにしっかりとスポンサードできる体力がカメラメーカーに無くなってしまった事が大きな要因だと思います。メーカーの役員にとってはそんな長期的な文化より自分が在籍している時の利益が最優先ですから。
フォトテクニックデジタルは、2014年に初めてポートレートというジャンルがあることに気づいて、どうしたら学べるのかを調べ始めた時に目にした雑誌でした。当時は兎も角知識が欲しくて、貪るようにその記事を読んで目を皿のようにして写っている写真を眺めたものでした。
そしてそこに登場するアマチュアフォトグラファーの素晴らしい写真に惚れ込んで、いつか自分もああなりたいと(だって自慢できるもの)願っていました。
*フォトテクはDaretowaIwanのペンネームで出していました。
その当時プリンタ―もプリントのテクニックも皆無だった自分は、オンラインのコンテスト(オンラインポートレートフォトコンテスト)に応募することにしました。そのコンテストでは、河野英樹さんらに講評してもらえて、さらに入賞した写真がカメラマン名ごとにフォト蔵の特設ページに貼られ神々しいばかりでした。
そして自分の目標をそこに7枚の写真を掲載されるようになることを目標としました。当時7枚以上の写真が掲載されていたのは2人しかいませんでしたが、その困難な目標にチャレンジする事で自分の腕を磨きフィードバックをかける場としたのでした(そしていきなり2枚の写真が同月号に掲載され、本当はモデルさんの力なのに調子に乗る笑。)。
撮り始めてまだ半年経っていないのにオンラインで載せていただいた写真
最終的に7枚以上の写真を掲載していただき目標達成となりましたが、そのサイト自体が今では死んでいるのがちょっと残念です。当時も掲載のタイミングが遅れたり、まぁそんな感じの扱いだったので半ば予想はしていましたが笑。
フォトテクでは本誌と同じくらい得る所が大きかったのは、セミナー、フォトテクカレッジでした。松田忠雄さんなどプロのフォトグラファーが講師を務め、撮った写真を評価してくれる。また今でもそこでお目にかかったカメラマンさん達とは交流があったりするのも嬉しい事でした。
当時フォトテクカレッジは収益化などは考えておらず、ポートレートのファンを増やすためにやってるんだって話を聞いて志から違うなと思ったり。
フォトテクカレッジより
さらに、私的写真集選手権や写真販売イベント、ノンバーコードブックスではフォトテクニックデジタルブースで販売をさせていただくなどフォトテクニックデジタルさんには大変お世話になりました。
ノンバーコードブックス3より
これからはどんどんSNSやWebサイトなどが昔の書籍の役目を果たすことになるのでしょうけれど、そのような動きには2つほど心配があります。
一つは、紙でないこと。つまり実態のないモニタ上の絵であって、質感や存在感を伴うものではないこと。そしてもう一つは、法人が提供するしっかりとした検証に基づく安心して得る事の出来る情報が少ない事です。
このご時世に紙媒体というのは難しいのかもしれませんが、せめてムックで、そして一歩譲ってネット上であっても玄光社からのフォトテクニックデジタルからの情報発信はして欲しいなと思っています。
長い事ありがとうございました。
*ヘッダのカメラnex-6はポートレート始めたばかりの時に使っていました