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「どこか懐かしい」に関する考察
2日前の日記で「感謝しかない」をNGワードにしていると話したのだが、今日もNGについて。
「どこか懐かしい」について考えたい。
個人的な好き嫌いもあるが、もうこれOKにしちゃうと中学生から大人までみんな使っちゃう。
・薄味の食べ物を食べると「どこか懐かしい味」
・しばらく改装していない店に入ると「どこか懐かしい雰囲気」
・地域の神社の祭りに行けば「どこか懐かしい空間」
と、どこか懐かしいの洪水になってしまう。
僕らの仕事は、文章で人を動かすということだ。人を動かすには、その人が先に持っている情報とはなにが違うのかをしっかり伝える必要がある。
よって、具体的でない表現は使ってはいけない。としている。
もう一つ懸念がある。中学生すら「どこか懐かしい」と書いてしまうのは「懐かしい」と感じているからではない。
テレビから連呼される「どこか懐かしい」により、テレビが無自覚に決めてしまった「どこか懐かしい」のレールに乗ってボンヤリと使っていることがほとんどだと思うからだ。事実書き手に「この味のどこが『どこか懐かしい』と感じたの?」と聞いても明確な答えはほぼ返ってこない。
先に上げたように「どこか懐かしい」が使われる状況は本当に多岐にわたる。これでは、読み手に誤って伝わることも多いだろう。もし、人に何かを正しく支えたいと思うなら「どこか懐かしい」と感じるシチュエーションを細かく分解して、「どこか懐かしい」を作る要素を書き分けよう。
どこか懐かしい味なら
・使われている食材は何か
・どの刺激の有無が懐かしいと感じさせるのか
を意識して、もっと根底から読者に伝え、読み手の意識も分解する必要がある。
こういう行為こそが、読み手からの信用を勝ち取り、自分の文章を好きになってくれる人を作ることにつながるのだ。
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