日比谷公園にて
ここから真正面が霞ヶ関だから厚生労働省と外務省がこのブロック、じゃあこっちは?なんて思い出ベンチに座りながら他愛もない事をツラツラ話していたのがちょうど一ヶ月前。
土曜日の昼間、人は驚くほど少なくとても静かだった。台風が接近中で湿度が高く手を握るのが暑苦しく感じるそんな陽気の中、それでも彼が掴んできた手を私は離さなかったし、ベタつく掌やおでこの汗でファンデが崩れる心配だなんてお互いが触れ合う事の気持ちよさとは比べものにならない、ならなかった。
誰かを好きになって気持ちが通じあってこれが長く続けば良いなと思うけれど壊れやすいもので恐いんだよ、本当に恐い。
そうだね、私もそう思うよ。
幾つになっても恋へ落ちてどうしようも無い自分に呆れてしまうけれど、重ねた年齢の分だけ知っている事もある。
壊れやすくて恐いのは何かの言い訳?
今となってはそんな事は確認しないけれど一ヶ月前の思い出ベンチに戻れるのなら聞いてみたい気持ちがある。