"優しさ"は大きな武器になる話
「優しい」
それは柔らかな印象を与えるが,ときには防御力も攻撃力にも優れる武器になる.
わたしがそれに気がついたのは小学生の頃だ.
小学生の頃,いじめっ子で評判のAちゃんという女の子がいた.自分よりも弱そうな,それこそ「優しい」おだやかな子は大体彼女のターゲットにされていた.
Aちゃんと同じクラスになって,大人しいわたしはそのターゲットになった.
水泳の授業が終わり教室へ戻ると,わたしの机に置いていたはずの着替えが一式無いのだ.
わたしは友達に「わたしの着替えないんだけど知らない?」と声かけて一緒に探してもらっていた.その様子を見て,Aちゃんとその友達がニヤニヤしている.そしてしばらくしてAちゃんたちがわたしの着替えが入ったバッグを持って「教卓の下にあったよ〜〜(^o^)」と笑顔でやって来た.
いや絶対あんたらが隠したやん(^ν^)
とすぐに気づいたが,わたしはその気持ちをグッと堪えて「見つけてくれてありがとう!助かったよ」と返した.
怒るか?泣くか?と恐らく期待していたであろうAちゃんは拍子抜けした顔をしていた.今でも覚えてる.
それからというものわたしに意地悪をしてくることはなく,むしろ放課後に遊ぶほどになった.
わたしはこの時
優しさは武器になる!!
と気づいてしまった.
悪意に対して優しい言葉で返されると,自分がしたことが恥ずかしくなるのだろう.優しさを見せることで自分を守ることが出来るし,相手にささやかな攻撃をすることさえも出来る.
大学生になってからはバイト先でわたしは優しさを武器にした.
絵に描いたようなお局のようなパートさんがいて,新入りのわたしに対する当たりがまあ強い.幸い周りはわたしの味方でいてくれたが,ずっとやられっぱなしでいるのは嫌だな...と思っていた.かと言って言い合いをして面倒になることは避けたかった.
ある時そのパートさんと2人だけになるタイミングがあった.例の如く「そんなことも出来ないのか.お金もらってるんだから...」などグチグチ嫌みったらしいことを言われた.
わたしはこう返してやった.
「わたしまだ入りたてで出来ないことも多くて...◯◯さんはアレも出来てコレも出来て手際も良いし...すごいですよね.わたし◯◯さんみたいになりたいって思ってます」
褒めちぎってやった!!
怖かったパートさんノックアウト.分かりやすくわたしへの態度が変わった.何か出来たら褒めてくれるほどになった.改めて考えてみたら言葉が強いだけで別に悪い人じゃなかったのかもしれない.
人に優しくすることは大きな武器になるとわたしは経験を通して感じている.
しかも人にした優しさは絶対自分に返ってくるのだ.これもわたしで実証済みである.
これからもわたしはこの武器を持って生きていきたい.