ひとり映画の話
わたしは一人で映画を観るのが好きだ.
家から歩いて10分程度のところに映画館があって,一時期は毎週水曜日レディースデイでチケットが安い日に,目的の作品が無くても映画館に足を運んでいた.
今日久しぶりに映画を観た.と言っても映画館ではなくAmazonプライムでだが.外は雨だし特にやることもないし,家で映画を観ようと思った.
"劇場"を観た.
単調に進む物語.わざとらしく心を揺さぶるようなシーンも無い.
それなのに映画が終わる頃には顔がぐしゃぐしゃになるまで泣いていた.
どのシーンで泣いたのか,どんな感情で泣いたのか,自分でもよく分からなかったが,作品を最後まで観たわたしにはなんとも言えぬ満足感があった.
なぜわたしが一人で映画を観るのが好きなのか.
誰かと観に行った場合,終わった後に感想を言うのが普通だろう.わたしも人と映画を観たときはどこどこのこういうシーンが良かったよね,あの台詞が感動したね,なんて話をする.
わたしは恐らくソレがあまり好きでない.
一つの作品をみて湧き出たたくさんの感情を,わざわざ言葉にして,口に出して,誰かに知らせたくないのだ.自分の中にしまっておきたいのだと思う.
一人で映画を観たときにはすぐに感想を口にしないで済む.あぁ,良い映画だった...と余韻に浸れる.わたしはコレが好きなのだ.
特に今回観た"劇場"は,感情がはっきりしないまま涙を流した.感動した?どこが一番泣けた?そんなことを聞かれることなく誰かに話すこともなく浸ることができた.1人,部屋に篭って観たおかげだ.
非日常的な物語も,自分にも起こりそうな物語も,どんな物語も素晴らしい.ただ日々を過ごしているだけでは感じることのなかった,自分の中にある感情を知ることができる.わたしは映画が大好きだ.
わたしはこれからもひとり映画を楽しむだろう.