2012年の記事を読むと、日本サッカーの審判の進歩が分かる

広島のシンボルでもあり、選手会会長の佐藤寿人が、審判員への誹謗中傷に該当する発言があったとして譴責処分(始末書提出)となった。
 
問題とされたのは、ヤマザキナビスコカップの対C大阪戦試合終了後の「こういう終わり方は非常に悔しい。レフェリーがすごく大きなミスを犯している。相当クレージー。同じサッカー界にいる人としてどうかと思う」という発言のようだ。
 
同様に、FC東京のポポビッチ監督も以前、譴責処分を受けている。ポポビッチ監督は、テレビ中継のハーフタイムのインタビューで、審判が得点を入れたというニュアンスの発言をしていた。
 
どちらにも共通しているのは、審判の判定は正しかったということだ。
 
佐藤が「こういう終わり方」と評したアディッショナルタイムのPKの判定は、映像を見ればファウルというのが理解できる。また、ポポビッチ監督がオフサイドと断言したシーンも、名木副審のオフサイドではない判断がナイスジャッジなのは明白である。
 
行き過ぎた審判批判に対する処分は欧州リーグなどでも行なわれており、Jリーグが特別に審判を保護しているわけではなく、二つのケース共に処分を受けても仕方ない。
 
とはいえ、この問題の本質は処分で解決するようなものではない。
  
FBRJでサポーターからあがる審判員への不満のほとんどが、クローズな体質についてである。佐藤が言いたかったのも同じではないだろうか。決して、審判員を侮辱したかったのではなく、「抗議するのが悪いという風潮があるが、選手がレフェリーに意見を求めるのは正当な権利。リーグにも考えてほしい」という部分を論議すべきだ。
 
審判員をどうやって身近に、同じフットボールに関わる仲間と受け入れてもらうのか。
 
現状、監督や選手だけでなく、メディアやファンも含め、審判員に対する理解が乏しいのが事実。だからこそ、様々な制限をかけているのだろうが、それでは何も進展しない。
 
EURO2012のように、選手と審判員が、両者の立場を受け入れて試合に望む。そういった環境に、どのようなプロセスでJリーグを導いていくか。Jリーグや日本サッカー協会は熟考すべきである。
 
まずは、プレミアリーグのように、「週に一度、チームと審判側が対話する」(FA・アランウィルキー)機会を設けることを提案したい。

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