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映画批評

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#映画

【映画評】『クラブゼロ』(2023) 「正義」に過剰に適応する若者たち

『クラブゼロ』(ジェシカ・ハウスナー、2023) 評価:☆☆★★★  環境問題についての…

Y.N.
3週間前
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【映画評】『ヴァラエティ』(1983) 暴くものなど何もない社会で、なおも何かを暴こう…

『ヴァラエティ』(ベット・ゴードン、1983)評価:☆☆★★★  1978年にブライアン…

Y.N.
1か月前
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【映画評】『シド・バレット 独りぼっちの狂気』(2023) 孤独な口笛吹き

『シド・バレット 独りぼっちの狂気』(ロディ・ボグワナ&ストーム・トーガソン、2023)…

Y.N.
8か月前
10

【映画評】「社会的テーマ」という釣り餌 「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」…

 テレビで観た映画についての雑感でも書こう。  物語の核心部分についての記述を含むのでご…

Y.N.
1年前
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【映画評】「シン・仮面ライダー」(2023) よく分からない……

「シン・仮面ライダー」(庵野秀明、2023)評価:☆☆☆★★  よく分からん……、という…

Y.N.
1年前
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【映画評】「シンドラーのリスト」(1993) しょせん善人、たかが善行

「シンドラーのリスト」(スティーヴン・スピルバーグ、1993)評価:☆☆★★★  「シン…

Y.N.
1年前
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【映画評】「ライフ・イズ・ビューティフル」(1997) 「美しい人生」という醜い子供だまし

「ライフ・イズ・ビューティフル」(ロベルト・ベニーニ、1997)評価:☆☆★★★  一言で言えば、子供を騙す映画である。  騙すのは父親である。なぜ騙すのかというと、ナチの収容所で、我が子が辛い現実に傷つくのを防ぐためである。収容所に移送される時は「お前の誕生日だから旅行に行くんだよ」と言い、収容所につくと「これからここでみんなでゲームをやるんだ」と嘘をつき、大人に課せられる強制労働も「楽しいゲームだなあ」と笑顔で強がり、子供を隠して生き延びさせるために「さあ、かくれんぼだ

【映画評】「グロテスク」(2009) スプラッター版「奇跡の海」

「グロテスク」(白石晃士、2009)評価:☆☆☆★★  もう2度と観る気になれない映画で…

Y.N.
2年前

【映画評】映画短評2020

 2020年に書いた、映画についての短いメモ。  2020年公開の映画はほとんど含みませ…

Y.N.
2年前
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【映画評】「パリは燃えているか」(1966) パリが燃えなかったせいで平和ボケしたフラ…

「パリは燃えているか」(ルネ・クレマン、1966)評価:☆★★★★  10月13日、BSプ…

Y.N.
2年前
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【映画評】「宇宙人の画家」(2021) 学校的価値観の呪縛

「宇宙人の画家」(保谷聖耀、2021)評価:☆☆☆☆★  傑作だ。  ボルシェヴィキ、大…

Y.N.
2年前
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【映画評】「食屍鬼ダーマー」(1993) 「空っぽであること」の悲哀

「食屍鬼ダーマー」(デヴィッド・R・ボウエン、1993)評価:☆☆☆☆☆  カナザワ映画…

Y.N.
2年前
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【映画評】「ザ・フライ」(1986) 同情しやすいバケモノ

「ザ・フライ」(デヴィッド・クローネンバーグ、1986) 評価:☆☆☆☆★  キチガイの…

Y.N.
2年前
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【映画評】「NOPE/ノープ」(2022) スペクタクル批判の特撮

「NOPE/ノープ」(ジョーダン・ピール、2022)評価:☆☆☆☆★ これがどういう映画かといえば…… 要するにアメリカ版『ウルトラQ』  要するに、アメリカ版「シン・ウルトラQ」だ。空飛ぶ謎の物体は「バルンガ」、猿の反逆は「五郎とゴロー」、人気のない遊園地は「2020年の挑戦」である。メイン・テーマに据えられている黒人差別についての問題意識は、ウルトラシリーズの脚本家、金城哲夫や上原正三が抱えていた沖縄についての問題意識と通じている。  また、「NOPE」では、もうひ