【映画評】「M」(1931) ファシスト失格?
「M」(フリッツ・ラング、1931)☆☆☆☆☆
つくづく恐るべき映画である。初見時、私は、最後の人民裁判の場面で体の震えを止めることができなかった。「俺の頭の中を覗いたのか!」とキチガイじみたことを叫びだしたくなったが、緊張で口が動かない。観るたびに、金槌で頭をぶん殴られたような衝撃を覚えさせられる。
劇中、ナチ運動をモデルにしたとされるギャングと群衆の暴走を観ていて、改めて、「ファシストにはなれねえなあ」などと間の抜けた感想を抱いてしまった。イタリア・ファシズムならば