守り抜いてやった70点
高校3年の期末テスト。
倫理担当の先生が採点を間違えまくっていて、クラスメイトのほとんどが本来の点数より低くつけられてしまっていた。
倫理のテストを返され、先生が
「採点ミスとか質問があったら前来てくださいね〜」と言った瞬間、「点数なんか気にしねぇ奴ら」以外が前に行き、大行列ができた。
そんな中、いつも真面目な私が座っていた。
理由は簡単。
みんなが採点ミスで減点されていた中で、
多分私だけが、採点ミスで15点加算されていたのだ。
他の教科はちゃんと勉強したのでそれなりの点数だったが、倫理だけは後回ししていて勉強という勉強をしていなかった。50点いけばいいくらいに思っていた。
そんな気持ちで返されたテストを確認すると、なんと、70点だった。
信じられない。70?そんなに正解した覚えはないし、まずマルの数がどう見ても70点ではない。
即座に模範解答と見比べて自己採点をしてみた。
55点。何度確認しても、55点。
絶対に55点だ。
これは、、
このまま、、
座っておくしかないだろ、、
そう思い、私は立ち上がらなかった。
しかし、私と「点数なんか気にしねぇ奴ら」以外全員が立ち上がり、前に並んだ。
これは、私はあの人たちからどう見えているんだ。
毎日真面目に授業を受け、休み時間も友達とぼそぼそ話して過ごすような私が「点数なんか気にしねぇ奴ら」と座ったままでいるのだ。
先生にミスを訂正されたクラスメイトが席に戻りながら
「あれは絶対100点」
「それな」
と私のほうを見て言った。
そう見えるのか。なるほど。なるほどな。
だがな小娘、甘く見るなよ。私は今、15点の加算を奪われないために必死に座って平然を装っている。55点だったら平均点ギリギリだが、70点は大幅にクリアしている。最終的な学年順位にも大きく影響するだろう。こんなの、守る以外どうするというんだ。
「絶対100点だろう真面目なクラスメイトが、本来55点のところ加算されて70点になっている」
そんなこと、あり得ないだろうな。そもそも、100点があり得るクラスメイトが55点を取るだなんて思わないだろう。
まぁでもこんな状況はめちゃくちゃ面白いので、友達には話そう。
そうして私は、70点を、守り抜いた。
下校時、友達にそのことを話したら爆笑してくれた。
めでたし。