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広告費とブランドの「意味のある差別化」の関係「Meaningful」かつ「Different」本質を見失わないために



米国2024年広告費トップ10


企業が市場で勝ち残るうえで、広告費の投入は欠かせません。新製品の知名度を上げたり、キャンペーンを大々的にアピールするには、一定以上の予算が必要です。一方で近年の調査やデータを見ると、広告費をどれだけかけても、ブランドとして「Meaningful(意味がある)」かつ「Different(差別化されている)」という軸を失うと、本質的な成長にはつながらないことが示されています。

長期的に「意味」と「差別化」の両方をしっかり維持しているブランドは、全体のわずか4%(25ブランド中1ブランド)ほどだといいます。これは決して容易ではありませんが、もし達成できればブランドの市場シェアや浸透率を力強く支える重要な武器になります。つまり、広告費の大小だけでなく、そのメッセージが消費者の心にどう刻まれるかが鍵を握るのです。

広告費は、当然「ブランドの認知」や「製品の魅力」をより多くの人に届けるための手段として必要です。しかし、投入する資金をただ「目立つ宣伝」だけに使ってしまうと、短期的には話題を呼ぶかもしれませんが、長期的な差別化には結び付きにくいリスクがあります。消費者がそのブランドを選び続ける理由――つまり「意味のある差別化」――を明確にし、それを支えるストーリーや商品開発、顧客体験への投資と連動させなければ、本当の価値は築けないからです。

たとえば、Adidasがクラシックシューズを復刻して成功を収めたケースは、「過去の名作」へのノスタルジーと「新しいスタイル」への魅力を上手に融合させています。ここで重要なのは、多額の宣伝費を使った派手さよりも、「顧客が本質的に求める価値」にフォーカスして差別化を図った点でしょう。キャンペーンの背後にあるブランドの歴史やストーリーが、消費者に“特別感”を与え、結果として広告効果を高めています。


結局のところ、広告費は「ブランドの強み」を世に広めるためのエンジンです。しかし、そのエンジンを動かす燃料となるのは、やはり「意味のある差別化」を軸としたブランドの本質的な価値観と提供価値にほかなりません。広告費をどう振り分けるのか、そこでどんなメッセージを発信するのか。これらを常にブランドのコアな魅力と照らし合わせることが、長期的な成功への道だといえるでしょう。


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Tokyo⇄シリコンバレー AI,クライメートテック Web3 -武富正人
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