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経済停滞が石油需要を抑制
2024年の世界の石油需要は、前年比で日量92万バレル(kb/d)増加し、平均日量1億280万バレル(mb/d)に達する見通しです。しかし、この増加幅は昨年の200万バレル増や、2000年から2019年の年間平均成長率1.2mb/dに比べて鈍化しています。以前は世界の石油需要の主要な牽引役だった中国も、需要の大幅な減速に直面しています。9月には6か月連続で需要が減少し、第3四半期の中国の需要は前年同期比で270kb/d減少しました。
一方、先進国では石油需要がやや回復しており、第3四半期には前年比で230kb/d増加しました。しかし、2025年には世界の消費がわずか990kb/d増加すると予想されており、世界的な経済の弱含みが需要を低下させる要因とされています。また、輸送や電力部門でのクリーンエネルギーの急速な普及も、この減速に拍車をかけています。
供給は堅調:米国とラテンアメリカが牽引
供給サイドでは、石油生産が堅調に推移すると予想されています。今月初めに行われた米国の選挙後、米国は非OPEC+の供給増加を主導し、2025年までに年間1.5mb/dの増加が見込まれています。カナダ、ガイアナ、アルゼンチン、ブラジルも供給増加に寄与する見込みであり、特にブラジルは新しい生産能力の稼働により、来年には210kb/dを追加する可能性があります。
OPEC+、供給増加を先送り
一方、OPEC+は現在の十分な供給状況を反映し、12月に予定されていた18万バレルの生産増加を先送りすることを11月3日の会合で発表しました。同盟は2025年1月以降に自主的な追加削減を解除する可能性を検討する予定です。OPEC+は12月1日に再び会合を開き、市場の状況を再評価し、2025年の生産方針を決定する見込みです。
潜在的な供給過剰が市場の安定要因に
市場の予測では、たとえOPEC+が現在の生産削減を維持したとしても、来年には世界の石油供給が需要を1mb/d以上上回る可能性があるとされています。この供給過剰の可能性と地政学的懸念の緩和が相まって、パンデミックやロシア・ウクライナ戦争、中東での不安定な状況から回復途上にある市場に必要な安定性をもたらす可能性があります。
2024年も終わりに近づく中、石油業界は慎重ながらも、安定した供給と抑制された需要が、ここ数年の大きな変動を経験した市場に相対的な平穏をもたらすことへの期待を抱いています。
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