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原油市場、年末に上昇:中国の工場活動拡大が後押し
2024年12月31日、ブルームバーグによると、原油価格は年末にかけて上昇し、中国の工場活動が3か月連続で拡大したことが背景にあります。中国は世界最大の原油輸入国であり、その経済回復の兆しが市場を刺激しました。
1. 原油価格の動き
• 北海ブレント原油は1バレルあたり75ドルに向けて上昇し、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)も71ドルを超える水準を維持しています。
• ただし、原油価格は10月中旬以降、狭いレンジでの取引が続いており、ブレント原油は年間ベースでわずかな損失、WTIはほぼ横ばいの年を迎えています。
2. 中国経済と原油市場への影響
中国は一連の景気刺激策を受け、経済回復の兆しを見せています。工場活動の拡大はその重要なサインの一つです。これにより原油需要が後押しされ、市場にプラスの影響を与えています。
一方で、2025年には供給過剰が予想されており、OPEC(石油輸出国機構)とその同盟国が生産調整を行う中で、価格を安定させるのは容易ではないでしょう。
3. 米国の政権交代による地政学リスク
2025年1月に就任予定のドナルド・トランプ次期大統領は、中国、カナダ、メキシコへの関税を示唆しており、米中貿易戦争の懸念が再燃しています。また、新たな国家安全保障顧問が「イランへの最大限の圧力」を明言しているため、中東情勢の不安定化が市場を揺るがす可能性があります。
4. 今後の見通し
一部の銀行は、原油価格が今後2年間でさらに弱含むと予測していますが、以下の要因が短期的な価格上昇を引き起こす可能性もあります:
• 中東やウクライナでの緊張の高まり
• 予期せぬ供給途絶や地政学的な衝突
まとめ
2024年末の原油市場は、中国経済の回復や地政学的リスクなど、複雑な要因が絡み合っています。特に2025年は、需要と供給のバランスに加え、米国の新政権による政策変動が市場を大きく左右する年になるでしょう。原油市場を注視することが、今後のエネルギー価格動向を見極める上で不可欠です。
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