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StreamsCharts x VSTATS 2024年第3四半期 Vtuberレポート - 全体視聴時間が6四半期ぶりに減少

本記事は海外のストリーミング集計サイト「Streams Charts」の記事を、許諾を得て翻訳・転載したものです(記事中で使用している画像は訳者が独自に翻訳し、注釈を入れたものです。元記事とは異なる場合があります)。
(敬称略)

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この記事はStreamsChartsの許諾を得て日本語翻訳し、公開しています。

 Vtuberは、ここ数年でライブストリーミング業界における主要なジャンルの一つとなり、ほぼすべての国とプラットフォームに広がっています。StreamsChartsはVSTATS.jpと協力し、2024年第3四半期のVtuberに関する全体的な統計をまとめ、現在の視聴者動向を分析しました。

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四半期別の推移

 2024年第3四半期においては、ユニークなVtuberチャンネルの数が1年半ぶりに5000を下回り、Vtuber全体の総視聴時間(Hours Watched, HW)も減少傾向を示しました。6四半期にわたる安定した成長の後、この指標が初めて減少に転じたのです。第3四半期の総視聴時間は約4億3300万時間で、前四半期と比べて1.5%の減少となりました。

 とはいえこの指標の減少は深刻なものではなく、Vtuberの主要プラットフォームであるYouTube全体の状況が反映されたものであるようです。
 YouTubeは第2四半期に非常に好調な成績を収め、視聴時間、平均およびピーク時の視聴者数、そしてアクティブチャンネル数で過去最高記録を達成しました。しかし、第3四半期に入るとYouTube全体のパフォーマンスが低下し、その影響でVtuberの指標が減少することは予想されていました。

Vtuberのプラットフォーム分布

前四半期と比較すると、YouTubeでのVtuberの総視聴時間(HW)は0.2%減少し、Twitchでは2.4%の減少が見られました。YouTubeにおいては全体的に視聴時間をほぼ維持することに成功しています。

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注目すべきは韓国のプラットフォーム「CHZZK」のパフォーマンスです。CHZZKは前四半期と比べて唯一、Vtuberの視聴時間を増加させ、おなじ韓国のプラットフォームであるAfreecaTVを上回る成績を収めました。さらに、第3四半期においてCHZZKの「最も視聴されたストリーマー」トップ10の中に、3人のVtuberがランクインしました。

Vtuberの性別および国籍別分布

 Vtuber業界の性別および人口分布は、前四半期からほとんど変化がありません。女性ストリーマーが全体の70%以上を占めており、この割合は引き続き安定しています。

 Vtuberの多くは日本出身で、日本語の配信がこのカテゴリーの総視聴時間(HW)の69.4%を占めています。Vtuberチャンネル数では、アメリカが2位につけていますが、そのシェアは日本の半分にとどまり、アメリカのVtuberの視聴数は日本の6分の1にとどまっています。
 各言語グループにおけるチャンネル数は前四半期と比べてわずかに減少しましたが、この減少が全体の言語分布に与える影響はほとんどありません。

Vtuberの所属別シェア

 2024年第3四半期には、個人・無所属のVtuberが全体の総視聴時間(HW)の3分の1以上を占めましたが、そのシェアは前四半期から4.6%減少しました。

 主要なVtuber事務所は引き続きホロライブプロダクションにじさんじプロジェクト、そしてVShojoであり、これら3つの事務所所属のストリーマーが全体の視聴時間の48.1%を占めています。
この3カ月間で、ホロライブ所属のストリーマーによる総視聴時間は8.8%増加し、にじさんじは1.9%の増加を記録しました。一方、VShojoは視聴時間が10.5%と大幅に増加しました。この成長は、特に9月にironmouseが開催した成功したSubathonによるもので、彼女はサブスクリプション数で新記録を達成しました。

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韓国のAccelers(StelLive)Neo-Porteも前四半期と比べて大きな進展を見せ、それぞれ視聴時間が14.5%および15.5%増加しました。これにより、AccelersはCHZZK上で最も人気のあるVtuber事務所となりました。Neo-Porteの成長は、リーダーの渋谷ハル(ShibuyaHAL)による活動が大きな要因であり、彼は第3四半期に「第6回 Vtuber最協決定戦 Apex Legends大会」を開催しました。

 一方で、最も大きな減少が見られたのは、AfreecaTVを拠点とする韓国の事務所ISEGYE IDOLです。第2四半期と比較して、彼らの視聴時間は37%減少しました。この要因として、配信時間の減少、LCK試合の同時視聴の減少、一部のストリーマーの退所が挙げられます。

Vtuber 視聴時間ランキング

2024年第3四半期で最大の成長を遂げたのは、プエルトリコ出身で英語を話すTwitchストリーマーのironmouseです。彼女のチャンネル活動は前四半期と比較して48.5%も急上昇し、総合ランキングで第3位にランクインしました。

日本のVTuberでは、さくらみこ大空スバルが大きな成長を見せました。みこの視聴時間は12.4%増加し、スバルは22%増となりました。2024年第3四半期、みこはファンを歓喜させる音楽アルバムの発表と、初のソロライブを発表しました。一方、スバルの成長は9月に他のホロライブメンバーと参加した「ホロライブGTAが主要な要因でした。

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一方、兎田ぺこらの視聴時間は第2四半期比で28%減少し、ランキングで2位から5位に下がりました。この減少は、配信内容の変更やゲーム選択のミスマッチが影響した可能性があります。たとえば、彼女は多くの時間を『黒神話:悟空』の配信に費やしましたが、このゲームの視聴者数は他のタイトルに比べて明らかに低かったです。例えば、第2四半期にプレイした『モンスターハンターワールド』では、平均視聴者数が同時期の他の配信の2倍近くに達していました。

にじさんじの博衣こよりも2024年第3四半期において視聴時間が減少しました。一方特に注目すべきは、湊あくあの視聴時間はわずか2か月でのものである点です。彼女は8月末にホロライブからの卒業配信を行い、引退を発表しました。

この最後の配信では、同時接続視聴者数が73万5,000人(VSTATSでは749,854人)に達し、VTuberとして史上最高の記録を打ち立てました。

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関連記事:湊あくあ、伝説になる。卒業ライブはVtuber史上最大の74万9854人の視聴者数を記録」(VSTATS・ジェネリック集計人)

Vtuber 視聴時間ランキング(英語圏)

英語圏VTuberのランキングでは、ironmouseが引き続き首位を守り、今後もその地位が揺らぐことはなさそうです。彼女の最も近いライバルの一人は、アメリカ出身のAdmiralBahrooで、独立系VTuberとして活躍しています。彼のチャンネルは第3四半期に270万時間の視聴時間を記録し、前四半期から40%増加しました。この成長は、配信回数と配信時間を大幅に増やしたことが大きな要因です。第3四半期には、Once Human7 Days to Die、『The First Descendant』といった様々なゲームをプレイし、人気を集めました。

 ホロライブEnglishも英語圏VTuberランキングで徐々に存在感を高めています。第3四半期には、ホロライブENの6人のVtuberがトップ10にランクインしました。特に、Cecilia ImmergreenRaora Panthera、そしてGigi Murinといった新世代のVTuberたちは、デビューから数ヶ月で英語圏トップに食い込む急成長を遂げています。

Vtuber 平均視聴者数ランキング

 平均視聴者数(Average Viewers)に基づくランキングは、視聴時間(Hours Watched)や最大視聴者数(Peak Viewers)よりも、ストリーマーの人気をより正確に反映します。視聴時間は長時間配信で稼げる一方、ピーク視聴者数は単一の成功した配信に依存することが多いためです。

 2024年第3四半期の平均視聴者数ランキングでは、ホロライブ所属のさくらみこ湊あくあがトップに立ち、それぞれのチャンネルで新たな視聴者記録を樹立する人気イベントを開催しました。興味深いことに、みことあくあは、前四半期のリーダーだった兎田ぺこら葛葉と順位を入れ替えました。

トップ5には、大空スバルもランクインしており、彼女の平均視聴者数は7月から9月にかけて24%増加しました。

また、新たにランクインしたのは星街すいせいです。これまで配信時間が50時間未満だったためランキング対象外でしたが、今回基準を満たしました(そのため宝鐘マリンは対象外)。すいせいは他のメンバーほど頻繁に配信しませんが、7日間にわたるGTA Vの協力マラソンでは積極的に参加しました。この期間中、すいせいの平均視聴者数は17,800人に達しました。

Vtuber フォロワー数増加ランキング

河崎翠が、再び急成長したVTuberチャンネルのトップに立ちました。2024年第3四半期には37万5000人の新しいフォロワーを獲得し、総フォロワー数は100万人を超えました。この成長のほとんどは、彼女の24時間配信で日本の童話をテーマにした読み聞かせ配信によるものです。

リーダーの座は変わらないものの、ランキングの他の部分には大きな変動がありました。第2四半期には4人の英語圏のホロライブストリーマーがランクインしていましたが、第3四半期の終わりまでにトップ10に入ることはできませんでした。その代わりに、ルンルン儒烏風亭らでんといった新しいVTuberが登場し、各々がこの四半期に26万人以上の新しいフォロワーを獲得しました。ルンルンは6月のデビュー時の勢いを維持しており、らでんは1周年を迎えたタイミングで再び注目を集めました。らでんはショート動画で大ヒットし、7月以降の3ヶ月間で自身のチャンネルの総再生回数を倍増させました。

 特筆すべきは、日本以外のVTuberがついにトップ10にランクインした点です。スウェーデンのストリーマーElaine Celestiaは、GTA VのRPコンテンツによりこの四半期に20万人以上の新しいフォロワーを獲得し、ブラジルのVTuber・Mundo Torajo Jovemは、Minecraftの配信を通じて26万人近くのフォロワーを引き寄せました。

 Streams ChartsとVSTATSは、今後も共同でVtuberについての動向をレポートしていく予定です。この記事についてのお問い合わせはジェネリック集計人 (Xアカウント @Holo_Data)までお願いします。

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