D.LEAGUE開幕! 価値ある敗戦と、自分たちのスタイルを貫くことの大切さ
10月2日・日曜日、ついに D.LEAGUE 22-23が開幕。われらがValuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)もデビューを果たしました。
CyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)さんと対戦し、結果は惜しくも敗退ということになりましたが、選手たちは本当に素晴らしいショーケースを見せてくれました。
なにより、インフィニティーズにしかない「唯一無二のかっこよさ」を貫いてくれたことが、本当に誇らしい。
今日は、バリュエンスホールディングスが参入し、ゼロからチームをつくって乗り込んだD.LEAGUEのこと、バリュエンス インフィニティーズの開幕戦についてお話しようと思います。
ショーケースというフォーマットでの戦い
2020年に開幕したD.LEAGUEは、今季で3シーズン目。レギュレーションが変わったとはいえ、すでに2シーズンを戦っているサイバーエージェント レジットさんとの対戦は、正直に言って難しいものがありました。
すでに一定の評価を得ている既存チームは、過去の延長線上でジャッジされることも予想できますし、レジットさんは特にエンターテインメントとしてD.LEAGUEの戦い方をよく知っているチームでもあります。
「本物」にこだわり、ストリートからBreakin’とHIPHOPの精鋭を集めたインフィニティーズの実力は間違いありませんし、彼らのかっこよさはダンスは素人同然の私から見ても疑いようもありません。
ダンスカルチャーのど真ん中、王道のBreakin’、HIPHOPがD.LEAGUEの2分間のショーケースで、審査員にどう評価されるのか? これまでのシーズンを戦ってきた実績、過去の評価軸を持つ他チームとの対戦にどう響くか?
正直、苦戦は織り込み済みでした。
インフィニティーズが見せた、本物、王道、唯一無二のアプローチ
ところが、開幕戦のインフィニティーズのパフォーマンスは本当に素晴らしかった。
1カ月前にショーケースのアウトラインをラッシュのような形で見せてもらい、これがどんな作品になるのかと楽しみにしていた試合当日。リハーサルで見せてもらったものより、本番は数段上、いやまったく別物と思うほどの完成度でした。照明や音楽とのシンクロ、ダンサーたちの動きが明らかに違い、細かいムーブにも魂がこもっている……。ダンスのことはわからないなりに、グッとくるものがありました。
他のチームとは明らかに異なるコンセプトでステージに臨み、唯一無二のアプローチを貫いた。
後攻のインフィニティーズのショーケースが終わった後、「勝ったな」と、私は心の中でガッツポーズをつくっていました。
結果としてジャッジのつけた勝敗は4対2でレジットさんの勝利。細かい得点ではなく、審査項目の優位を多くとった方が勝つというシステムで、うーんやっぱりという気持ちはありましたが、それでも口から出たのは
「なんでやねん!」
というツッコミの言葉。
もちろん悔しい。これまでもスポンサードをしているチームの負けはたくさん経験してきましたが、何もないところから立ち上げ、オーナーシップを持つクラブであるインフィニティーズは、また違う感慨があるのも事実。
負けた後の思いもよらない光景。悔し涙の先に見えたもの
やっぱりこのやり方じゃダメなのか….…
一瞬そんな思いも頭をよぎりましたが、少し冷静になってみると、「この敗戦は悪くない」と思えたのです。
例えばジャッジが3対3の引き分けだったとしましょう。
反対に、4対2で勝ったとしましょう。
勝った方がいい、負けるより引き分けの方がいいというのはシーズンの結果を見れば明らかですが、勝っても引き分けでも、どちらの場合も今日以上の成果は得られなかったと思うのです。
これは後からスタッフから聞いたことなのですが、判定が決まり、勝者をリスペクトしてステージに並んでいたインフィニティーズのメンバーたちが、ステージから捌けた瞬間に悔し涙を流していたというのです。
これは私としてはまったく想定していなかったリアクションで、しかも、出場したメンバーだけでなく、今回は出場機会のなかったBreakin’のメンバーが戻ってきたチームにメイトに駆けよって同じように悔しさをあらわしていたというのです。Breakin’とHIPHOPのメンバーで構成されるインフィニティーズでは、どちらかのチームが出れば片方はお休みということになります。チーム内のライバルのような関係でもあるはずなのに、そんなことは関係ないとばかりにひとつの負けを一緒に悔しがっている。
「このチームは絶対強くなる。そして何も変えちゃいけないし、スタイルを貫いていくべきだ」
変えてはいけないものがある。貫いて勝ちきることの価値
チームの方針やダンスのスタイルについては当然プロデューサー、ディレクターにお任せして口を出すことはありませんが、初戦の悔しい敗戦を経て、「自分たちのスタイルは絶対変えない、インフィニティーズのかっこよさを貫いて勝ちきる」ことがインフィニティーズファミリーの合い言葉になりました。
終了後、短い時間ですがみんなの前で私がお話をさせてもらう機会がありました。
「あれはジャッジを変えなあかんな」
冗談めかしてそう言うと、全員がホッとしたような表情になったのが印象的でした。
プロである以上、勝つことが仕事です。ダンスで戦っている彼らもそんなことは百も承知。チームとして勝つために何をすべきか? それが路線変更であっても不思議はありません。彼らもオーナーである私の意向を気にしていた可能性は十分あります。
私からは、自分たちは間違っていない!このまま行こう!というメッセージを伝えたつもりです。
ダンサーたちの様子を聞いて、本当に素晴らしい仲間に恵まれていたんだなと、改めて私自身も痛感し、このチームをつくって本当に良かったなと思いました。
半年余りという異例の短い準備期間で、ここまで仕上げて、ダンスの素晴らしさを体現してくれたダンサーはもちろん、プロデューサー、ディレクター、そしてバリュエンスファミリー全員に心から感謝です。
もう言葉はいりません。
次は勝つだけ。
ROUND.2は、10月19日に有明の東京ガーデンシアターで行われます。
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