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排他的で威圧的だったオークションを変えたオンライン化という変化〜戦力外Jリーガー社長の道のり44

前回の記事で触れたように、オンラインオークションの登場による形式の進化は、取引の公平性と効率性を高め、オークションのシステムを大きく変えました。前回は主にその機能性の部分に触れました。今回は、オークション形式の進化がどのように取引の透明性と効率性を向上させ、さらには市場の新たな可能性を切り開いたのかについて掘り下げていきます。


排他的だった旧来のオークション

オンライン化以前のオークション市場は、初心者を歓迎しない威圧的な雰囲気に支配されていました。私自身もその空気を肌で感じた経験があります。
会場の前列に座るのは決まって業界歴の長い業者、買い手たち。新規参入者をまるで威嚇するかのように陣取っています。

あるとき、20代と思しき若者がオークションに参加していました。態度や立ち振る舞いから察するに、おそらく初めての参加。一つの商品を落札したとき、よほど嬉しかったのか、態度に表して喜んでいました。別に喜んではいけないルールはないのですが、前方に陣取るベテランたちは彼の方を一斉に振り返ると睨みつけるようにして見て、中には舌打ちをする人さえいました。この威圧的な態度により、若者は次回から声を出すことをためらい、そのまま何もせず会場を去っていきました。

古株同士の談合のような物もあり、特定の商品で嫌がらせのように競り上げが行われることも日常茶飯事でした。
このような排他的な体質が市場の活性化を阻んでいたのです。

談合は中世から続く悪弊

オークションの歴史を振り返ると、談合が市場を歪めてきた事例がいくつも存在します。

19世紀のイギリスでは、資産家たちが密かに価格を調整する「リング」と呼ばれる談合が横行していました。談合メンバーが低価格で商品を落札した後、内部で価格を再評価し、商品を再分配する仕組みが取られていました。この行為は市場価格を歪め、一般参加者の競争を阻害していました。

現代においても、リアルなオークションでは非公式な価格調整や暗黙の了解が残っていました。私が自社オークションを開催したいと思ったのは、こうした中世から続く古くさい体質を一掃したかったからでもあります。

オンラインオークションがもたらした透明性

オンラインオークションは、透明性の向上において画期的な役割を果たしました。
非対面で行われるオークションでは、誰が入札しているのかを特定できないため、威圧的な雰囲気や談合は一掃され、競争が純粋に商品の価値に基づいて行われるようになりました。

匿名性がもたらす公平性により、入札者同士の直接的な影響が排除されました。システム上に記録されたすべての入札履歴が公開され、後日検証可能な形で管理されることが市場の信頼性を向上させています。

オークションで価格を吊り上げていた一部の業者が、オンライン化後にはほとんど落札できなくなり、落札上位の常連がオンライン化後にいつの間にか消えていたなんてこともありました。

効率性の向上と市場の可能性

従来のリアルオークションでは、会場に集まる必要があり、スケジュールに縛られていました。しかし、オンライン化によって地理的・時間的な制約が解消され、世界中のバイヤーが参加可能となりました。

また、取引プロセスがデジタル化されることで、出品から落札、決済、配送までがスムーズに進むようになりました。この効率性は、特に日本のリユース市場における在庫循環を促進し、グローバルな需要に対応する仕組みを強化しています。

こうした変化により、市場の可能性がさらに拡大しています。
オークション形式の進化による透明性と効率性の向上は、業界全体の変革を促進しました。今後は、オンラインとリアルを融合させたハイブリッド型オークションや、新しいテクノロジーを活用したさらなる革新が求められています。

つづく

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