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オンラインオークションが開いた新市場と成長の種〜戦力外Jリーガー社長の道のり46

バリュエンスが大きく飛躍するきっかけになったBtoBオークションについてはこれまで何度か触れていますが、この連載でも私たちの業界の大転換期として完全オンライン化の話をしました。

今回は、バリュエンスのオークションのオンライン化がどう進んだかを振り返ってみようと思います。

オンライン化の確立と変化

オンライン化の沿革を簡単に示すと、バリュエンスが運営する古物商許可証を持った事業者のみが参加できるBtoBオークションである『STAR BUYERS AUCTION』が世界中からのオンライン入札を受け付けるようになったのは、2019年11月のこと。

その直後、フィジカルなオークションが実質的に開催不可能だったコロナ禍に完全オンライン化が進みました。2020年4月には、世界中から参加が可能なオンライン入札システムが確立。コロナ禍で慌てて用意したのではなく、それ以前から先を見据えて準備していたからこそできた迅速な対応でした。

コロナ禍の損失からの復活要因に

もうずいぶん昔のことのように感じますが、2020年は私たちもCOVID-19の出現に翻弄されました(最初の発症例は2019年末の中国)。

日本でも2月には各種イベントの中止、自粛が相次ぎました。繁華街は閑散とし、4月の緊急事態宣言時には街から人がいなくなりました。

当然、『なんぼや』をはじめとする弊社店舗に足を運ぶ人の数も激減。バリュエンスも数カ月で数億円の損失に相当する危機的状況に陥りました。

この厳しい時期を短期間で終わらせられたのは、間違いなく『STAR BUYERS AUCTION』のオンライン化のおかげでした。

前澤さんがバスキアを落札したときの風景と現在

すでに何度か触れているように、これまで旧態依然としてなかなか変革が進まなかったオークション業界は、オンライン化によって様変わりしました。

2016年5月に前澤友作さんが、クリスティーズでバスキアの作品を5100万ドル(手数料と税金を合わせて約62億4000万円)で落札した際も、その翌年、同じくバスキアの作品をサザビーズで1億1048万7500ドル(約123億円)という当時のアメリカ人画家の作品としては最高額で落札したときも、前澤さんと代理人が電話でやりとりをしながら落札する方式でした。

2017年のサザビーズでバスキア作品が落札された様子は、下記の動画で見ることができます。ちなみに前澤さんの代理人は当時、サザビーズのコンテンポラリーアート部門アジア地区統括を務めていた寺瀬由紀さん。

コロナ禍を経て、クリスティーズ、サザビーズともにライブオークションを維持しつつ、カタログ、オークションのオンライン化、NFTプラットフォームの構築と、IT化に舵を切っています。

絵画であれ、美術作品であれアプリを開けば世界中のオークションの様子を見ながら、スワイプ一つで数百万、数千万単位の入札ができる。そんな時代になってきているのです。

日本市場が秘める可能性

世界中との取引が可能になった現在、私たちの顧客も理論上は80億を超える世界中の人たちということになります。

オークションハウスは、ヨーロッパで誕生し、世界の覇権を握ったアメリカを巻き込んで発展していきましたが、セカンドハンドのラグジュアリーブランド市場においては、実は日本は世界でも注目の的です。

バリュエンスが世界進出を積極的に進めているのは、リユース、セカンドハンドの「日本の強み」があるからともいえるのです。その強みについては次回。

オンライン化の進展によって身近になり、“ひとつながりの市場”といえるまでフラット化した世界のリユース界での日本の特殊性と存在感こそが、バリュエンスの「新たな成長チャンス」につながっていくのです。

つづく


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