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負け続きのD.LEAGUEでスタイルを貫いたら、勝ち以上の価値を伴う勝利が手に入った。バリュエンス インフィニティーズ初勝利の舞台裏

勝ち負けよりも大切なものがある。スポーツの世界に生きてきた私ですが、目先の勝ちに拘ることよりも大切なものがあると信じています。

ただし、目先の勝ちに拘らないということは、負けてもいいということではありません。自分たちの信念を貫いた先には必ず価値のある勝ちが待っている。

今日は、D.LEAGUE参戦以来厳しい戦いが続いていたわれらがValuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)の初勝利の舞台裏についてお話ししようと思います。

何かが変わったサイファーラウンド

潮目が変わったのは、今季から新たな試みとして導入されたCYPHER ROUND(サイファーラウンド)でした。参戦6戦目に当たるこのROUNDは、これまでの1対1のチーム戦ではなく、各チームの代表のダンサーがソロ、デュオ、トリオで競い合うという形式で行われました。

元々ヒップホップカルチャーにあった、公園や広場で円になってラップやダンスを順番に披露していくサイファーから生まれたこのラウンドは、ストリート育ちのダンサーが多いインフィニティーズにうってつけのラウンドでした。

ストリートの雰囲気そのもののサイファーラウンドがインフィニティーズに“きっかけ”を

参戦初戦から、リーグ関係者、対戦相手である各チームのダンサーからも「スキルのヤバさ」を認知されていたインフィニティーズの面々ですが、2分強のショーケースに求められるエンタメ性、異なるダンススタイルの相手と競う異種格闘技戦のようなD.LEAGUEのフォーマットに、うまくアジャストできていない側面はありました。

これはダンス素人の私が感じていたというだけでなく、世界の各コンテストなどで百戦錬磨のプロデューサー、ディレクター、メンバーの「戦ってみての感想」を聞いても伝わってくるものがありました。

ストリートの雰囲気、カルチャーがより色濃く感じられるサイファーラウンドは、インフィニティーズのダンサーたちにとって、まさにホーム仕様のラウンドでした。

スキルだけじゃない! 顔の見えるチームへと成長したインフィニティーズ

1st CYPHER (SOLO) を戦ったMASSAにしても、2nd CYPHER (DUO) に参戦したNICOLASとSPダンサーTSUKKIにしても、3rd CYPHER (SOLO) のSHO4th CYPHER (TRIO)で見事1位に輝いたSEIYA 、TOMOYA、MAKO5th CYPHER (SOLO)に登場したKODEE ONEも、みんなそれぞれスキルがあるというのは知っていましたが、どんなふうにうまいのか、何がすごいのかがサイファーラウンドによってクローズアップされ、観客のみなさん、審査員にも今まで以上にはっきりとアピールできたように思います。

トリオで見せたMAKOのお茶目な側面は今やインフィニティーズになくてはならないスパイスになっていますし、ラウンド全体で3位になったインフィニティーズのかっこよさがD.LEAGUEの舞台でも通用する手応えをつかんだラウンドになりました。

ついに初勝利! うれしかったオーディエンス票

続くROUND.7ではFULLCAST RASERZ(フルキャスト レイザーズ)さんにまさかのSWEEP負けを喫してしまいますが、ROUND.8のdip BATTLES(ディップ バトルズ)さんとの戦いで、ついにそのときを迎えます。

インフィニティーズは、初のオーディエンス票を含む5ー1での勝利!

舞台上のメンバーは、一瞬自分たちがどっちのコーナーだったかわからなくなったようで、勝利を確信するまでに数秒の時差がありましたが、待望の勝利に輪になって喜びを爆発させ、涙しているダンサーも……。

自分たちのスタイルを徹底的に貫くこと! をチーム一丸となって続けてきたインフィニティーズ。オーナーである私たちバリュエンスもこの姿勢を全面的に支持して、彼らのかっこよさがどうすれば勝利につながるのかを見守っていました。

開幕から7戦を終えて勝利なし。踊れど踊れど結果の出ない日々……。間違いないスキルを持つ彼らにとってもチャレンジングな舞台であることは百も承知だったD.LEAGUEですが、正直、勝利チームのショーケースに傾向に合わせて路線変更をした方がいいのではと悩んだこともあったと聞いています。

勝因はD.LEAGUEのフォーマットにアジャストしつつ、自分たちのスタイルを貫いたこと

もちろんこの勝利の陰には、D.LEAGUEの戦い方がわかってきたインフィニティーズが、自分たちの個性を発揮しつつ、構成や演出、音ハメ、審査員の審査基準の傾向を分析してそこにアジャストしてきた努力があります。

ただ、これはインフィニティーズがD.LEAGUEに寄せてきたという以上に、サイファーラウンドを一つのきっかけに、D.LEAGUEがインフィニティーズを認知、理解してくれたともいえるような気がしています。

初勝利をつかんだメンバーたちには、当初の約束通り焼肉をご馳走しました。
興味深かったのは、ステージに立ったチームメンバー以外のメンバーは「自分たちはまだ勝っていないんで」と焼肉を辞退したこと。

同じチームであっても出場を争うライバルでもあるチームメイトの勝利を自分のこととして喜びつつ、「自分たちがステージに立って勝ち取ってこそ初勝利だ」という気持ちを失わないインフィニティーズのメンバーに、頼もしさを感じました。

結果的には、次のROUND.9、LIFILL ALT-RHYTHM(ライフル アルトリズム)戦でターンノーバーで出場したメンバーが4ー2で2連勝を勝ち取ってくれました。

このメンバーとの焼肉はまだですが、もちろんこのあと!

苦しみ、迷い、それでも貫いたからこそ得られたインフィニティーズの価値

先週行われたROUND.10では、avex ROYALBRATS(エイベックス ロイヤルブラッツ)さんと3-3のドローと勝ち星を伸ばすことはできませんでしたが、王者・ロイヤルブラッツさん相手にオーディエンス票をもぎ取る健闘! とはいえ、いやー悔しい。勝ちたかったなぁというのが本音ですが、リアルストリート代表を掲げ、スタイルを貫いた先に勝利をつかんだことで、インフィニティーズのショーケースは一段高いところにいった感があります。

私がD.LEAGUEの参戦を決めたのは、こうした手応えをバリュエンス インフィニティーズに関わるすべての人と一緒につかんでいけるから。勝ちに対する自信をつかんだインフィニティーズは、スキルだけでもない、スタイルだけでもない、さらに進んで勝つだけでもない。唯一無二の価値を生み出すチームに進化する過程にあるような気がしています。

こうした姿を間近で見られるだけで、D.LEAGUE参戦を決めた私の直感は間違っていなかったと思えるのです。

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