【アーカイブ】Sannyのおすすめバーチャルワールドニュース : 2021年6月 Sanny Reports For Virtual Japan
Sanny Yoshikawa が、New World Notes のなかから、毎月おすすめのバーチャルワールドニュースを日本語で紹介します。Sanny Yoshikawa covers the monthly virtual world highlights from New World Notes for virtual Japan.
☆noteには1か月遅れてアーカイブを掲載しています。最新版はこちら。
動画:同一空間で4,144人が同時プレイするScavLabのストレステスト
この動画は、Scavengersのサンドボックステストプラットフォーム「ScavLab」で行われたストレステストの様子です。Scavengersのサーバーアーキテクチャを提供しているImprobable社の担当者によれば、同一空間で、ピーク時の同時接続プレイヤー数が4,144人に達したそうです。これまでのバーチャルワールドやMMOでは、ローカルの同時接続ユーザー数が50~120人(そして多くの場合、ラグが発生します)、多いところで数百人というのが一般的でしたから、これは驚異的な数字です。
そして動画のなかに登場する巨人アバターはCEOのHerman Narulaさんを含む開発者だそうです。楽しそうですね。
Linden Labの意欲的で刺激的なCEO、Ebbe Altbergが長い闘病生活の末に逝去
Linden LabのCEO、Ebbe Altbergさんが6月3日に亡くなりSecond Lifeのなかに悲しいニュースが流れました。Philip Rosedale以来、Ebbe AltbergはLinden LabのCEOのなかで最も意欲的であり、ほかの人を奮起させるCEOだったとWagnerは振り返ります。彼はバーチャルワールドを活性化するためのビジョンの元にコミュニティと会社を活気づけました。そして、収益の伸び悩み、レイオフ、彼以前の2人のCEOの入退社などによって傷ついた会社の士気を高めたのです。Ebbeの不朽の名言 "We are still the shit when it comes to virtual worlds.(バーチャルワールドに関しては、私たちはまだまだ最高だ)"という言葉の入ったTシャツを社員用に作ったのも、メンバーを鼓舞するためです。Ebbeは病と闘いながらも立ち止まることなく、次のような(ときに痛みを伴う)業績を残しました。
・Sansarの売却
・Second LifeのAmazonクラウドへの移行(デプロイメント)
・1~2回のレイオフ
・分社化した決済会社Tiliaの立ち上げ
・Linden Labそのものの売却
記事の後半にはPhilip Rosedale やStrawberry Lindenなど、Ebbe Altbergをよく知る人たちからの追悼コメントが寄せられています。
Monday Memory: 2014年Ebbe AltbergがLinden LabのCEOに着任したときのインタビューを振り返る
2014年にLinden LabのCEOに着任したばかりのEbbe AltbergさんにインタビューをしたときのエピソードをWagnerが振り返っています。
EbbeがSecond Lifeに初めて触れたのは10年以上前のことで、規約違反がきっかけでした。そのころ、彼の息子はSecond Lifeに夢中で、熱心なビルダーになっていました。しかし、まだ十代だったため、未成年の参加が厳しく禁止されていたSecond Lifeから追い出されてしまったのです。Ebbeは当時のCEOだったPhilip Rosedaleを説得し寛大な対応をしてもらいました。こうしてEbbeの息子はSecond Lifeで有名なコンテンツクリエーターになり、数年間Second Lifeに関わりました。その間、インワールドのデザイン会社を共同で設立したり、Teen Second Lifeの初期の探検家として、島の一つに彼のアバター名が付けられたりもしました。Ebbe Altbergは、自分の息子の活躍を見て「子どもがこのような体験を、こんなに早くできるなんて素晴らしい」と思ったといいます。
もう一つの興味深い点は、彼がVR/XR機器をSecond Lifeのユーザー数と収益の減少に対する潜在的な救世主と考えていたことです。インタビューのなかで「コードベースとテクノロジーには問題があり、実現には投資と時間が必要だが...」と前置きしながらも、 Leap MotionコントローラーやOculus Riftなどの異なったテクノロジーやプラットフォームを取り入れていく可能性を示唆していました。
詳しくは…
Monday Memory: My 2014 Interview With The Late Ebbe Altberg After He Became CEO Of Linden Lab
Ebbe Altberg追悼のためのAltberg Island
Ebbe Altbergさんを追悼するため、Second LifeのなかにAltberg Island が作られました。ここから訪問できます。記念碑にはキャンドルがあり、触れると火が灯ります。
詳しくは…
Visit The Candle-Lit Ebbe Altberg Memorial On Altberg Island In Second Life
国際的に高く評価されている芸術家CaoFeiのSecondLifeを媒体にした作品がニューヨーク近代美術館に取りあげられました
国際的に高く評価されている芸術家のCao Feiさんは、Second Lifeを芸術的媒体として使用している芸術家のなかでも最もよく知られています。SLを使った作品のいくつかが、ニューヨークの名高いMOMA(ニューヨーク近代美術館)のWEBサイトで紹介されています。 今年の夏から秋にかけてニューヨークを訪れる方は、彼女の別のインスタレーション「Whose Utopia」も美術館に展示されていますので、ぜひご覧ください。
Cao Feiさんは、現在もSLに関連した作品に取り組んでおり、最近もアバターのChina Tracyとしてインワールドに登場しました。
AufwieはSecondLifeの次の人気ポップスターになるでしょうか?
Aufwieさんは、週に3回Second Lifeで自作の曲を演奏している20代のミュージシャンです。Wagnerは、SL界の次のポップスターになりそうだと期待を寄せています。SL名ではAufwie Mysteriousとして知られている彼は、10年以上前から時々SLを訪れていましたが、友だちと楽しむために演奏する程度で本格的な音楽活動はしていませんでした。
しかし新型コロナウイルスのパンデミックで、実生活のパフォーマンスやほかの活動が難しくなったことをきっかけに定期的なライブをするようになりました。現在はマネージャーもついて、インワールドやソーシャルメディアでライブの宣伝をしています。でもライブがない日でも、ほかのSLerと同じようにインワールドを訪れることもあるとか。SLで過ごす時間は、不安や沈みがちな気分を癒すためにも役立っているそうです。
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Is Aufwie Set To Be Second Life's Next Break-Out Pop Star?
動画:現実にバーチャルワールドのようなラグが起きたらどうなるか
Verizonの5Gネットワークが、このような実際のラグ問題に対処できるのかは分かりませんが、この広告はバーチャルワールドのラグを現実世界のこととしてよく表しています。
未来学者のAmber Caseさんによれば、5Gはハイテク業界の多くの人々が期待しているようなインターネット速度の解決策にはなりそうもありません。電話のユーザーが今までより映画や動画などをたくさん見ることで5Gで得られる追加の帯域幅のほとんどを吸収してしまい、全体的なパフォーマンスの向上は比較的穏やかになるだろうというのが現実的なシナリオです。
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Watch: What Reality Would Look Like With Virtual World Lag
Really Needy HUDがSecond Lifeの食品関連のブランドを探しています--Simsのようなロールプレイシステムを試してみませんか?
ここをクリックすると725th Street Barに行くことができます。ここは船の形のレストランで、SLでのデートや社交的な集まりに最適です。また、Really Needy HUD(NWNのスポンサー)に互換性のある食べ物や飲み物を提供しています。Simsのようなロールプレイングシステムを身につけている人がここで食事をすると、アバターの空腹やのどの渇きのメーターが満たされます(詳細はこちら)。
このバーのオーナーであるDrogo Bartholyさんは、店員を雇って顧客にサービスを提供していますが、ユーザー体験をさらに向上させるためReally Needy システムを導入しました。そして、食事だけではなく、ランチやディナーの後に必要な人のために専用のトイレも用意しています。
もしSL内で食品関連のブランドに関わっていて、Really Needyのロールプレイシステムを導入することに興味がある方がいれば、クリエーターのGrace7 Lingにインワールドで連絡を取るか、メールアドレスgrace7ling at gmail dot comまでご連絡ください。
動画:Second Life初の予算を掛けたオンラインコマーシャルが賞を獲得
昨年、リンデンラボは、Second Lifeのために初めて大規模な予算のオンラインコマーシャルの制作を開始しましたが、Second Lifeで公式に発表される前にCMの制作者であるLevitate Media社がオンラインで動画を公開しました。この広告はTelly AwardsのオンラインCM部門でPeople's Awardを獲得しています。
WagnerはこのCMを見て、公式ホームページの最初のビジュアルから想像していたよりもかなり良かったと感じたようです。 ”Children of Creation”というテーマや多様なアバターに焦点を当てたこと、向上心に満ちたエネルギーが感じられます。その一方で、現実世界のモデルを使っていることや、ポストプロダクションの効果が大きいこと、SLのなかにある実際の3Dコンテンツが少ないことなどから、実際のSLの印象とは違っている点は気がかりです。このCMだけを見てワクワクしながらアカウントを作成した人は、がっかりしてしまうかもしれません。
詳しくは…
Watch: Second Life's First Big Budget Online Commercial - It Won An Award!
ブラウザで動くバーチャルワールドBreakroomが、Philip RosedaleのHigh Fidelityによる3D空間オーディオを導入
NWNのメディアパートナーであるSine WaveがPhilip Rosedaleとチームを組んで、High Fidelityの3D空間オーディオをBreakroomに導入することになりました。Breakroomは、仮想世界のイベントやリモートチームのためのブラウザで動くプラットフォームです。
今回の契約は、バーチャルライフの発展に貢献してきた先駆者たちが集結したものです。Philip Rosedaleは、High Fidelity社のCEOであり、2003年にSecond Lifeを立ち上げました。Breakroomを開発したSine Wave Entertainmentは、Second Lifeのコンテンツブランドとしてスタートした後、現実世界のイベント用に独自のバーチャルミーティングスペースを作るためにスピンアウトしました。
High Fidelityを導入したBreakroomは、低遅延のサーバーサイドビデオと空間オーディオを組み合わせて、現実世界のようにイベントを開催することができるとPhilip Rosedaleは話しています。
VRChatが8000万ドルの資金調達、メタバースが今のところVRで最も成功したアプリケーションであることを証明
VRChatが8000万ドルの資金を調達しました。この資金は、機能の充実、VRChatチームやコミュニティの拡大、そしてクリエイターエコノミーを実現することなどに使われる予定です。
2017年にVRChatが400万ドルしか調達できなかったことを考えると、この飛躍は驚異的だとWagnerは言います。VRChatの利用者は増え続け、現在の月間アクティブユーザー数は6桁台前半と推測されます。さらに注目すべきは、1日の利用者の3人に1人(つまり約4万人~10万人)がHMDでログインしていることです。今年に入ってVRChatの同時接続数がSecond LifeのCCUを追い越し始めたことから、VRChatの月間アクティブユーザー数は現在100万人を超えていると思われます。さらにVRChatは、Half-Life: AlyxやBeat Saberなどの人気ゲームよりも使用率が高いVRアプリケーションです。
XR関連のラウンドでは、Rec Roomが昨年の3月に1億ドルの資金調達をしました。今回のVRChatの資金調達は、それ以来の大きな規模です。そしてこれは、ほかのVRアプリと比べてメタバース・プラットフォームのユーザー数の伸びが、ずば抜けてよいということでもあるでしょう。
Second Life最古のユーザー作成コンテンツを見に行こう!
Second Lifeで最も古いユーザー作成コンテンツを見に行ってみませんか? それは、Steller Sunshineという大きな豆の木です。(ここをクリックするとテレポートできます)。
この豆の木には、飛ばずに豆の木のてっぺんまでジャンプで到達するというルールがあり、スーパーマリオのようなスキルが必要です。
豆の木が作られたのは、2002年3月13日。つまりSecond Lifeが誕生する1年以上も前のことです。Second Lifeの前身であるリンデンワールドは2002年3月にベータユーザーに公開され、最初の登録者はアバターに「ステラー・サンシャイン」という怪しげな名前を選びました。リンデンのスタッフが夜になって倉庫のオフィスを出るとき、まだほとんど開発されていない世界にステラ―を残しました。そこにはコンテンツ作成のデモとしてチームが作った小さな町があるだけでした。
そして翌日、彼らは初めて、市民が作った物を目にする機会を得たのです。
ステラ―は一夜にしてかやぶき屋根の家を建てただけでなく、物語とゲームを作りました。豆の木の根元に置かれた看板には「飛んでいくのではなく、葉っぱから葉っぱへと飛び移ることで、頂上にたどり着くこと」と書いてあります。頂上には、ここまで辿りついた忍耐力と能力のある人のために、天国のミニチュア版として「Cloud9※」が作られました。
こうしてSteller Sunshineの豆の木は「期待されるものと予想外のものが並立する」という、Second Lifeのあり方の基調となったのです。
※Cloud9とは米国の気象庁の分類で積乱雲を表し、非常に高くまで上昇することから「ハッピー」という意味でも使われます。
詳しくは…
Visit The Oldest User-Created Content In Second Life -- It Even Existed Before The Virtual World Did
来月のおすすめバーチャルワールドニュースもお楽しみに!
Snap Shot Location: Cyberpunk Neo Tokyo Japan (A)