【アーカイブ】Sannyのおすすめバーチャルワールドニュース : 2021年9月 Sanny Reports For Virtual Japan
Sanny Yoshikawa が、New World Notesのなかから、毎月おすすめのバーチャルワールドニュースを日本語で紹介します。Sanny Yoshikawa covers the monthly virtual world highlights from New World Notes for virtual Japan.
☆noteには1か月遅れてアーカイブを掲載しています。最新版はこちら。
Second Lifeの「AKIRA」トリビュート作品に目が釘づけ
古典アニメの伝説のポスターをトリビュートした作品を紹介せずにはいられません。魅力的な輝きを持つ Juniper Mead さんのフォトストリームも、じっくりと見る価値があります。(アイテムのクレジットはオリジナル記事をご覧ください。)
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I Can't Stop Staring At This Second Life Tribute To Akira
Raph Koster が制作中の「世界を行き来することができる」メタバース
Raph Koster さんは「 Ultima Online」や「 Star Wars Galaxie」などに携わってきた有名なMMORPG開発者です。現在Raphさんは、Playable Worldsというメタバースを構築しています。完成までにはまだ何年もかかるようですが「クライアントを切り替えることなく、世界を行き来することができる」メタバースとなる予定です。もし完成すれば、単一の、揺るぎない、拡大や変化をし続けるオンラインユニバースが可能になります。
この「世界を行き来できる」という言葉は、メタバースを表現するときに何度も耳にしますが、Steamのようなプラットフォームと違った体験ができるのでしょうか。Steamでは「Skyrim」をプレイしている途中に友達が「Among Us」を始めたのを見かければ、Steamのランチャーから友達に合流することができます。メタバースでよく言われる「世界を行き来できる」とは、Steamと、どう違うのでしょうか。
Raph さんによると、Playable Worldsが構築しているものは全く異なります。「Steamでは、すべての(ゲーム)ワールドがインストールされます。それは別々のアプリケーションです。Steamは単なるランチャーに過ぎません。私たちの場合は違います。私たちの世界は、1つのアプリですべてのワールドに対応します」。
Raph さんによれば、Steamで「Skyrim」と「Among Us」の間を行き来できるのは、それらをインストールしている場合だけですが、Playable Worldsではインストールの必要がありません。1つのクライアントでどんなページでも利用できるWEBブラウザのイメージです。Raphさんの話は、この世界がStadiaのようなクラウドストリーミング体験になることを示唆しているとWagnerは考えます。これは、面白くなってきました。
以下は、Raphさんのブログからの引用です。
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Raph Koster On How His Upcoming Metaverse Is Unlike Steam
4K映像のSecond LifeをBlack Dragonで見る
効果を完全に得るためには、YouTubeをクリックして解像度設定(2160p60まであります!)を調整する必要があるかもしれませんが、これは4Kの解像度で表示されたSecond Lifeです。Redditユーザーの「tb_inuyasha_x 」さんは、非常に素晴らしいハードウェアを備えBlack Dragonビューアでこの作品を撮影しました。しかし、スレッドの中で彼が説明しているように、フレームレートはSecond Lifeの場所によって大きく異なります。
「どのSIMにいるか、どのくらいの表示範囲を設定しているかで大きく変わりました...。ある場所では8~25FPS、別の場所では35~45といった具合です。しかし、どの場所でも録画はできました。」
ライティングのプリセットやSecond Lifeの内部グラフィックスによって、ショットごとに見え方が大きく異なりますが、30FPSはオンラインの世界では悪くないフレームレートです。場所によってFPSが10を下回ってしまうのはちょっと痛いですが、なかなか面白い試みです。
PCのスペックと訪問したSIMについては、オリジナル記事をご覧ください。
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Watch: What Second Life Looks Like In 4K With Black Dragon
短い説明文からAIが生成した映画ポスター、何の映画のポスターか分かりますか?
「これらの画像はそれぞれ、映画についての簡単なテキストの説明をもとにAIが生成したものです。画像から何の映画のポスターか分かりますか?」
すぐわかるものもあれば、多く(ほとんど?)のポスターは、何だかよく分かりませんが、直観的に洞察していると思われるところもあります。このプロジェクトは、NetflixのScience & Analyticsグループでデータの可視化やアプリの作成をしているNoah Veltmanさんによるものです。
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AI Makes Movie Posters Based On Short Description. Guess Which!
3DファイルからRLの製造ができる技術はメタバースのキラーアプレットになるかもしれない
メタバースのキラーアプリを探す中で、かつてバーチャルワールドのコンテンツ制作で生計を立てていた 「Kyz」さんがメタバースについて意見を寄せてくれました。
Kyzさんが言うことは、だいたい合っていると思います。日産が実施したような、Second Lifeをベースにした自動車会社の博覧会は、実際の販売はおろか、持続的なトラフィックもあまり得られませんでした。また、SLで実施された映画を宣伝するためのマーケティング・キャンペーンは、IMAX版ハリー・ポッターのSL映画キャンペーンのような一過性のものを除けば、劇場でのチケット販売の増加にはつながりませんでした。ROBLOXやFortniteのような新しいプラットフォームでのマーケティング・キャンペーン(例えば、ROBLOXでキャンペーンをした最近公開された映画「In the Heights」は、興行的に爆死でした)も、同じように費用対効果が低い運命をたどっているのではないでしょうか。
現実世界のマーケティングがメタバースのキラーアプリではないとしたら、ほかに何があるでしょうか? Kyzさんは、自分の現実の仕事の経験をもとに、3Dメタバースと製造業の融合を提案しています。
現在、商業施設や小売店、家庭用グッズの製造販売をしているKyzさんは、3DプリンターやCNCマシン、刺繍機などの価格が下がっていることに注目しています。そして将来メタバースで3Dモデルとして見た物を、世界中のどの企業でも手頃な価格の機械でリアルグッズとして製造できるようになるかもしれないといいます。実現すれば、小規模な企業が地元で製造することで、輸送コストが削減され環境に優しいというメリットもあるでしょう。このアイデアは、消費者が毎日使うキラーアプリとまではいきませんが、デザイン会社と顧客が月に一度使うようなキラーアプレットにはなるかもしれません。
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3D File To IRL Manufacturing Could Be A Killer Applet For The Metaverse
パンデミックによってメタバースが尊重されるようになった経緯
メタバースに関する独自のビジョンが注目されている投資家の Matthew Ballさんへのライブインタビューに備え、Wagnerは、夏から今月にかけてBallさんが書いた9部構成の「メタバース入門書」をNWNで紹介してきました。内容が広大すぎてスペースが足りず「Sannyのおすすめ~」では取りあげていませんでしたが、今までのリンクと第9部のエピソードの一部を紹介します。
第1部 メタバースのフレームワーク
第2部 ハードウェア
第3部 ネットワーク
第4部 コンピューティング
第5部 バーチャルプラットフォーム
第6部 オープンスタンダード
第7部 決済
第8部 コンテンツ
Matthew Ballさんの「メタバース入門書」第9部、最後のセクション「Evolving User + Business Behaviors and the Metaverse」では、メタバースの活動がメインストリームに進出しつつあることを取り上げ、それをパンデミックと直接結びつけています。
Wagnerは、この一節について、懐疑的だった人がメタバースのユーザーになったわけではないかもしれないと述べ、代表的なバーチャルワールドの利用率はパンデミック以前から大規模だったことに触れています(例えばFortniteは、COVIDが地球上を席巻する前の2020年初頭に、すでに3億5000万人の登録ユーザーを抱えていました)。そしてパンデミックがもたらしたのは、懐疑論者たちが、デジタルワールドで過ごすことが単なる時間の浪費ではなく、何か意味があるのではないかと考えるようになったことだろうと続けます。
WagnerとMatthew Ballさんのライブインタビューは、BtoB向けバーチャルワールドのBreakroomで10月中に実施される予定です。
VRChatの非公式な経済の内側:推定1000人以上の人々がメタバースで収入を得ている
企業としての VRChat は、長い間約束されているクリエイターのための収益化オプションをまだ展開していません。しかし、コミュニティとしての VRChat は、様々なプラットフォームで非公式な、独自の経済を生み出しました。推定1000人以上の人が VRChat のコンテンツから少なくとも副収入を得ており、そのうち 30 人以上が VRChat でフルタイムの収入を得て生活をしていると思われます。
これに加え、開発者たちが作ったVRChatゲームの世界観をもとに設立されたStudioCyFyのような顕著な例や、最近 VRChat のワールドをフルタイムで制作していることを発表した "Jar" (先月のおすすめバーチャルワールドニュースで紹介)のような注目すべき例もあります。
◆お気に入りのクリエイターをサポートできるPatreonでは、160人以上のクリエイターがVRChatのコンテンツ(ワールド、アバターなど)を制作しており、少なくとも1人のパトロンを持っています。
◆コンテンツ販売プラットフォームのGumroadでは、VRChatタグの付いたアイテムが1,000点近く販売されています。主にアバターが多く、その価格は50ドル(約5500円)以上。個々のクリエイターが平均10個のVRChatアイテムを販売していると仮定すると、Gumroadでは約100人のクリエイターが活動していることになります。
◆YouTubeでは、1万人以上のチャンネル登録者がいるVR Chatコンテンツ専用のチャンネルが90以上あります。
◆日本のコンテンツ販売プラットフォームであるBoothでは、33,000点以上のアイテムが販売されています。控えめに見積もっても、ここには650人以上の個人クリエーターがいることになります。
その中でフルタイムで生計を立てている人はどれくらいいるのでしょうか? これは議論の余地のある (そして興味深い!) 問題ですが、安全な基本数に到達するために、いくつかの裏付けとなる集計を紹介します。
◆Patreon で700 人以上のパトロンを持つ VRChat コンテンツ制作者は、Hobbert、bluekunVRC、前述の Jar 、そして3300人以上のパトロンを持つ Poiyomi の4人です。
◆Gumroadでは、10人のVRChatコンテンツ制作者が100件以上の商品レビューをしています。目安として、ゲームコンテンツを購入したお客様の50人に1人がレビューをすると言われていますので、この10人のGumroadの販売者は、VRChatコンテンツをそれぞれ5000本以上販売していると考えられます。
◆YouTubeでは、VRChatのコンテンツを配信している20のチャンネルの登録者数が6桁以上になっています。その中には、100万人以上の登録者を持つVRChat系YouTuberの神様も2人含まれています。Drumsyと、New World NotesでおなじみのSyrmorです。
総計すると、30人以上の人がVRChatのコンテンツでフルタイムの生計を立てていると言っていいでしょう。これは、実際のVRChat社で働いている人とほぼ同じ数です。そして非常に保守的な推測であり、実際にはもっと多くのクリエイターが活躍しています。VRChatではコンテンツのエコシステムが非常に健全で、市場の需要に応えていることがわかります。VRChat社が最終的に収益化システムを取り入れゲームに参加したときに何が起こるのか楽しみです。調査に協力してくれたAdeonに感謝します。
Netflixの超グロテスクな「イカゲーム」が、子供向けメタバースのROBLOXで大流行、300以上のユーザー生成ゲームが発表される
あなたが親であるかゲーマーであるかによって、恐怖を感じるか、カッコいいと思うかが変わってきます。また、Netflixの幹部や、メタバースプラットフォームで唯一上場している企業の幹部であれば、恐怖とカッコよさ両方を感じているかもしれません。
9月初めに公開されたNetflixの大人気シリーズ「イカゲーム」を題材にしたゲームが、大成功を収めているユーザー生成メタバース・プラットフォーム「ROBLOX」において、すでに何百ものゲームを生み出しています。Wagnerがこの記事を書いた時点で、8,000万回以上アクセスされたゲームが300以上ありました。
これは、Netflixで実際に放送されている番組の視聴者よりも、ROBLOXでのイカゲーム体験者のほうが多いことになります。しかし、ここにはいくつかの潜在的な問題があります。
Netflixは、自社の著作権で保護されているシリーズを、このように模倣されることをあまり快く思っていないかもしれません。また「イカゲーム」は、大量殺人など、暴力的なシーンが多いことでも知られています(予告編をご覧ください)。しかしROBLOXは10代前半の若者をターゲットにしたメタバースです。
ROBLOXの制作ツールでは、極端に暴力的なコンテンツを表現することは難しいと思います(ROBLOXのアバターの頭や手足は切断できるようにプログラムされていません)から、これらの体験は、R指定の番組に出てくるゲームをPGバージョンにしたものとなっているはずです。実際Wagnerが訪れたゲームも、グロテスクなものではありませんでした。
ROBLOXがどのように思っているのか、見解を求めています。
子どもたちは、いつも予想外のことを始めますね(さ
来月のおすすめバーチャルワールドニュースもお楽しみに!
Snap Shot Location: Cyberpunk Neo Tokyo Japan (A)