【アーカイブ】Sannyのおすすめバーチャルワールドニュース : 2021年12月 Sanny Reports For Virtual Japan
Sanny Yoshikawa が、New World Notesのなかから、毎月おすすめのバーチャルワールドニュースを日本語で紹介します。Sanny Yoshikawa covers the monthly virtual world highlights from New World Notes for virtual Japan.
☆noteには1か月遅れてアーカイブを掲載しています。最新版はこちら。
メディアの皆様へ:利用者が少なく、成長も見られないブロックチェーン世界のバーチャル不動産「ブーム」を煽らないでください
ブロックチェーンを使ったバーチャルワールドのDecentralandは、非常に興味深い試みで注目すべき点がたくさんあります。しかし、残念ながらマスマーケットになるほどのユーザーを抱えていません。Wagnerが共同設立者のAri Meilichさんから直接聞いたDecentralandの現在の状況は以下の通りです。
月間アクティブユーザー数:約30万人
1日のアクティブユーザー数 :18,000人
最大同時接続数:2,500
バーチャルワールドの基準からすると、この数字は非常にニッチな世界であることを示唆しています。(例えばSecond Lifeは、現在の月間アクティブユーザーが約50万人で、最大同時接続数は約4万です。)そして、このように小さいDecentralandでも、現在の月間アクティブユーザーが3万人のThe Sandboxなど、ほかのブロックチェーンを使ったバーチャルワールドよりは、はるかに大きいのです。
しかし、ブロックチェーンを使ったバーチャルワールドで仮想不動産ブームが起きているという誇大広告のような記事が広がっています。例えば最近では、仮想不動産ブームによりDecentralandの土地の価値が急上昇していること、そして土地の価値が、現実の世界と同様に「場所の良さ」に左右されるものであると、ニューヨークタイムズが紹介しました。
しかし、実際には現実世界と異なり、仮想の土地に希少価値はありません。その価値は、人為的に設計されることで生まれています。そして現実世界と同じなのは、そこに人が集まらないのなら「場所の良さ」の価値など、ほとんどないに等しいということです。特に、VRChatやRec Room、ROBLOXのような、人工的な希少性に依存しないバーチャルワールドに、毎月数百万、または数億のアクティブユーザーが集まっているとしたら、場所の価値とはなんでしょうか。
ニューヨークタイムズのレポートや、The Sandboxのなかで65万ドルのバーチャル不動産取引が成立したというようなレポートでは、上記のことが一切明らかにされていません。
10年前、Second Lifeをめぐる同様の誤解による過剰宣伝がようやく収まったと思っていました。しかし、メディアのエコシステムが集団的な記憶喪失に陥るのに、10年という月日は十分だったようです。そしておそらく、非現実的なバーチャルワールドという文脈が、この話題に関する明晰な思考を閉ざしてしまったのでしょう。
Decentralandのダイナミックワールドマップ。赤い点が実際のアクティブユーザーを表します。
Decentralandの統計:月間アクティブユーザー数30万人、1日のアクティブユーザー数2万人以下
ブロックチェーンを利用したバーチャルワールドが「不動産ブーム」であるとメディアが騒ぎすぎていますが、だからといって、このような世界を頭から否定するわけではありません。Wagnerは、最近、市場をリードしているDecentralandを少し体験してみたようです。WEBベースの世界としては、グラフィックに制限があるとはいえ、かなり印象的で、パフォーマンスもスムーズ、初めてのユーザー体験は非常に簡単だったと感想を述べています。
そして前の記事でも述べましたが、Decentralandの現在の利用状況は以下の通りです。
月間アクティブユーザー数:約30万人
1日のアクティブユーザー数 18,000人
最大同時接続数は2,500
共同設立者のAri Meilichさんによれば、2~3か月前に本格稼働を始めたDecentralandのユーザー数は、ここ数か月で10倍になりました。そしてその理由を、このプロジェクトの複雑なアーキテクチャであると考えています。
「DCLは、これまでにない非定型なアーキテクチャで出来ています。P2P通信、コンテンツを提供する分散ネットワーク、連続的に読み込みができるランドベースのアプリケーションといった特徴があります。そのため、構築にはかなりの時間がかかりました。」とAriさんは言います。
もう一つ、Decentralandには、The Sandboxのようなベンチャー企業のブロックチェーンの世界と比べて興味深い点があります。
「Decentralandは公共インフラであり、民間企業ではありません。今はDAO(分散型自治組織)があり、MANAとLANDの所有者によってコントロールされています。Decentralandは、2億1000万MANA(8億ドル以上に相当)の上に位置することになります。」 (MANAはDecentralandで使われるトークン、LANDはDecentralandの土地区画で、どちらもブロックチェーンで追跡されています。)
Aliさんによれば、10万人がMANAを検証可能な形で所有しています。おそらく、この10万人が、世界で特にアクティブなユーザーであるでしょう。非営利のバーチャルワールドプロジェクトがスタートする段階としては、まずまずの数字といえます。問題は、この人たちが、ほかの人たちを巻き込み、コンテンツとソーシャルエコシステムを成長させ、この場所を本当の(バーチャル)ワールドにできるかどうかです。そのためには1日のアクティブユーザー数が力強く成長し始めるのを期待したいところです。
詳しくは…
Decentraland Stats: 300K Monthly Active Users, Under 20K Daily Users
ブロックチェーンベースのゲームにある問題点は、楽しさよりもお金重視になってしまうことにある
12月8日、Philip RosedaleがTwitterで「お金を稼ぐという目的なしにプレイされているブロックチェーンベースのゲームを誰か教えてください。」というツイートをしました。
そこについたリプライを見ると、いくつかの小さなスタートアップゲームのほかには、ほとんど答えがありません。
誰かがDecentralandを持ち出しましたが、前出の記事にあるように、実際に定期的にプレイしている人(ピーク時の同時接続ユーザー数が2500人未満)は、このバーチャルワールドに投資だけしている人(10万人以上)よりもはるかに少ないのです。
ごくわずかな例外を除いて、リアルマネーを稼ぐことに主眼を置いたゲーム/バーチャルワールドは、大規模な成功を収めません(ハロー!Entropia※) 。さらに問題なのは、お金を稼ぐためのゲームが成功した場合、一部のプレイヤーにとって生計を立てるための手段となり、その成功と持続的な運用が、より一層欠かせないものになる点です。
※Entropia Universe は、2003年からある、ユーザー同士でゲームに必要なアイテムを売買できるMMORPGです。
例えば、現在市場で成功している数少ない(唯一の?)ブロックチェーンベースのゲームにAxie Infinityがあります。フィリピンの貧しい人々は、このゲームに依存して生きているのです。本当です。以下の動画をご覧ください。
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The Trouble With Blockchain-Based Games More About Money Than Fun
もし気にする人がいるなら、Facebook Horizonの世界はこんな感じです。
Quest2を持っていれば、現在オープンベータ公開中のFacebook Horizonを体験できます。この動画を見たWagnerのコメントは「RecRoomのようですが、ユーザー生成の創造性は、はるかに低そうです。あるいは、VRChatからコミュニティ主導の創造性というクールなエコシステムを除いたようにも見えます。」と相変わらず厳しいものです。ただし、Quest2をまだ手に入れてないため実際に体験していないことと、増えていく情報と知識のせいで不公平な見方をしているのかもしれないとも付け加えています。もし読者のみなさんに体験する機会があれば、生の感想を聞かせてください。
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In Case You Care, Facebook Horizon Worlds Is Here
メタバースで現実世界の仕事のミーティングをすることの長所と短所:ZoomやSlackとどちらがいいか
NWNの読者はみなさん優秀で、メタバースのプラットフォームを現実世界の会議に使うというトピックについて、賛否両論が交わされています。最初は、Luther Weymann
さんから否定の意見。彼は、引退してバーチャルワールドのファンになる前、テクノロジー系の専門家として成功していました。
Lutherさんの効率(と社交性)についてのコメントに対するWagnerの反論は、情報の伝達は、話し言葉よりも書き言葉の方が圧倒的に効率的だということです。彼は、実質的な会議であれば、Zoomで音声で行うよりも、バーチャルワールドやIRCチャンネルなどを使って、テキストで行った方が100倍マシだと考えています。
また、読者仲間の lkosovさんは適格な肯定論を展開しています。
現実のビジネス・ミーティングでは、あるコンテキストではZoomやその他のビデオ・プラットフォーム、また別のコンテキストではSlackやDiscordなどのメッセージング・サービスが好まれるでしょう。同様に、チームビルディングや自由でセレンディピティな会話をしたいときには、バーチャルワールドでのミーティングが生きてくるはずです。
Wagnerが今年一番お気に入りのメタバースミーティングは、Philip RosedaleとBreakroomで対談したことだったようです。パチパチと燃えるたき火と空間オーディオでの臨場感は、森の中で本物のたき火を囲んでいるときのような、信頼感や安心感に近い感覚を感じたといいます。その様子を動画でご覧ください。
詳しくは…
Pros & Cons Of Real Work Meetings In The Metaverse Vs. Zoom, Slack, Etc.
ニール・スティーヴンスン:メタバースはディストピアではない、問題はユーザーデータのマネタイズだ--状況を良くするためには集団交渉が必要
最新作「Termination Shock」のプロモーションツアー中のニール・スティーヴンスンに、ニューヨークタイムズのKara Swisherが素晴らしいインタビューを行いました。当然のことながら、話の大半が「Snowcrash」とメタバースに関することになっています。そして、過去にも紹介したように、スティーヴンスンは、一般的な意見に反して、メタバースをディストピアとは考えていません。
しかし、メタバースがディストピアとなる可能性は、メタのようなソーシャルメディア企業がどのようにお金を稼ぐか、そしてメタバースでも同様の方法で稼ごうとしているところにあると述べています。
ニールは、そのようなことを許す代わりに、消費者が団結して、このようなプラットフォームにおける自分たちの将来に対する利害関係を要求するという考えを支持しています。
すべての企業やエバンジェリストが、ニール・スティーヴンスンのメタバースをディストピアにしないためのアイデアを推進してくれたら、素晴らしいことではないでしょうか?
ROBLOX、「子供にリアルマネーのギャンブルを勧める 」ゲーム内市場を取材したジャーナリストに圧力をかけたと報じられる
メタバースを追っている人にとってはかなり衝撃的な動画です。これは昨夏に話題となった動画の続編となります。-- いずれも英国のフリーランス・ジャーナリスト Quintin Smith (Wired, Edge, Eurogamer, Kotakuに執筆) によるものです。彼の最初のビデオレポートは、ROBLOXがその巨大な人気プラットフォームでユーザークリエイター(その約半数は未成年者)を収益化する方法を調べ、それがブラック企業のように悪質だとしています。
そして今回の新しいビデオレポートでは、Quintinさんが以下のような複数の爆弾スクープを取り上げています。
最後の2つは、ROBLOXがNASDAQで強力なゲーム会社の1つになった後でも、ROBLOXについて記事を書く記者たちによってほとんど、あるいはまったく取り上げられていません。 内部のギャンブル・株式市場に関連することについてQuintinさんの言葉を借りれば「ROBLOXが上場するために徹底的な評価を行った時に、市場アナリストがこれを見逃したとは信じられません。」
問題は、ROBLOXを報道するメディアの中に、実際にROBLOXを使っている人がほとんどいないこと。そしてもっと悪いことに、ROBLOXのクリエイターを探して話を聞くことさえしていないことです。
Quintin Smith さんは、彼の調査をフォローアップしようとする記者に対して、次のようにアドバイスしています。
「何よりもまず、Robloxの言うことを鵜呑みにすることはどうかと思います。」とQuintinさんはWagnerに話します。「Robloxのユーザーとの会話から、このプラットフォームのほぼすべての側面(モデレーション、報酬、安全性、収益化)が、何らかの形でユーザーの期待を裏切っていることは明らかです。したがって、Robloxが新しい機能の導入について語るとき、それが4千万人のデイリーユーザーを安全かつ幸せに保てると信じられる根拠があるかどうか分かりません。」
そして、様々なソーシャルメディアプラットフォームでROBLOXのクリエイターとつながることが必要です。
Quintinさんは、YouTubeのPeople Make Gamesの動画のコメントや、TwitterやRedditの関連スレッドに登場する不満のあるRobloxユーザーに接触することを提案します。彼らの多くはとても熱心に話してくれますし、そのほとんどが、ほかのRobloxユーザーと連絡を取ってくれます。
もちろん、そのためには、ユーザーから聞いた情報のファクトチェックや、信頼や信用できるユーザーが誰かを判断することが必要でしょう。 (特にRobloxユーザーの半数は未成年です)そのためには、メタバースだけを担当するレポーターが必要かもしれません。
2022年初頭にVRChatに登場:物理、ユーザー間インタラクション、PG-13セクシータイムを強化するアバターダイナミクス
2022年初頭にVRChatに登場する予定のクールな機能から目が離せません。アバター・ダイナミクスは、アバターと世界、そしてアバター同士の相互作用を、より活発にするために設計されています。
VRCコミュニティのトップクリエイターであるLakuzaさんは「アバター開発に携わる人々が探求すべき新しいオプションが数多く提供されます」と説明します。「1つは、VRChatのために特別に作られた内製のダイナミクスシステムなので、VRChat全体のパフォーマンスを向上させることができます。現在、人々は 「Dynamic Bones」と呼ばれるサードパーティのアセットに依存していますが、これはパフォーマンス的にかなり高くつきます。ですから、より最適化されたバージョンであることは、通常のVRC体験にとって素晴らしいことだと思います。しかし、このチームはさらに一歩進んで、プレイヤー間のインタラクションをアバターに簡単にプログラムできるようにしました。
これが可能にするものの例として、デモ動画をご覧ください。面白いことに、VRChatは、アバター・ダイナミクスが確実に可能にするものを披露していません。それは、アバター同士のセクシータイムです(少なくとも、ポルノコンテンツを禁止しているVRChatの利用規約が許す限りのセクシータイムということになるでしょう)。
アバターのトリガー:トリガーはアバター自身や他のアバターと相互作用することを可能にします。耳をつかんだり、友達とハイタッチしたり、頭をなでたり...あるいは顔をひっぱたいたり。トリガーは、アバター上のコライダーを検知して動作します。デフォルトでは、すべてのアバターには、頭や手などの標準的なコライダーが定義されていますが、特定のインタラクション用に独自のコライダーを設定することもできます。
許可システム:アバターとのインタラクションを許可する人(または許可しない人)を管理できるようになります。また、アバターを動かしたくない場合は、このシステムをオフにすることもできます。
デバッグビュー:アクションメニューのデバッグビューをオンにすると、PhysBones、トリガー、コライダーのオーバーレイを見ることができます。このビューは、VRChatだけでなく、エディタでも使用できます。
Dynamic Boneの自動変換:PhysBonesをできるだけ簡単に使えるようにするため、DynamicBonesを使ってVRChatにアップロードされたアバターは、すべてPhysBonesに切り替えられるようにすることを目標としています。
自動コライダーシステム:全ての人がアバタートリガーとPhysBonesの両方を使えるようにするため、カスタム設定がない場合でも、デフォルトコライダーセットが全てのアバターに追加されます。
Sansarが一時オフラインに--スタッフは9月から一時解雇されている
12月22日から23日にかけて、Second Lifeの後継メタバースのSansarが突然オフラインになりました。現在は復旧していますが、オフライン中にはSansar関係者にも連絡が取れなくなり、ユーザーは騒然としました。
元Sansarのスタッフによると、従業員は9月にまで遡って一時解雇されているようです。Wagnerは現在、2020年3月にLinden LabからSansarを買収したWookey社の関係者に公式コメントを求めています。
Sansarは、8月の時点でライブコンサートのイベントを発表しており、2020年にもパンデミック時代のコンサート/フェスティバルソリューションとして、トップアーティストがこのプラットフォームでショーをするために契約していました。ですから、今回の突然のオフラインは、やや驚くべきニュースです。また、今年初めに亡くなったLinde Labの元CEOであるEbbe Altbergは、何年もの間、SansarをSecond Lifeの正式な後継メタバースとするために尽力してきました。しかし、SansarはプレミアムVRヘッドセットでの使用に最適化されており、VRヘッドセットの販売が低迷するとプラットフォームの成長率も低下してしまいました。
【アップデート】
クリスマス休暇前にSansarのプラットフォームとウェブサイトがオフラインになり、また元に戻ったことについて、SansarのオーナーであるWookeyの副社長、Steve Moriyaは、クリスマスイブにSansarの公式Discordサーバにこのような投稿をしました。
こんにちは、Wookey Management - Sansarチームのスティーブです。私たちはプラットフォームの問題を積極的に解決しようと考えています。私たちはコミュニティをとても大切にしており、すぐにでも物事をスムーズに進められるようにしたいと考えています。daisyがここで協力してくれていることに感謝します。みなさんの、ご理解とご協力をお願いいたします。
具体的な「プラットフォーム上の問題」については、これ以上の言及はなく、私が話を聞いた内部関係者もよくわからないといいます。(そして、私はWookeyに何度も公式な声明を得ようとしましたが無駄でした。) 伝えられるところによると、問題のひとつは、少なくとも9月から存在するSansar社員の一時解雇について解決することだそうです。
詳しい情報が入ったら、またお知らせします。何が起ころうとも、元Sansar社員と、小さいながらも繁栄しているDiscord上のSansarコミュニティが、満足のいく解決を得られるよう願っています。
来月のおすすめバーチャルワールドニュースもお楽しみに!
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