【アーカイブ】Sannyのおすすめバーチャルワールドニュース : 2021年11月 Sanny Reports For Virtual Japan
Sanny Yoshikawa が、New World Notesのなかから、毎月おすすめのバーチャルワールドニュースを日本語で紹介します。Sanny Yoshikawa covers the monthly virtual world highlights from New World Notes for virtual Japan.
☆noteには1か月遅れてアーカイブを掲載しています。最新版はこちら。
Linden Labが才能あるSLアバターにスポットライトを当てます - みんなに知らせたい新しいスターを紹介してください
Linden LabがクリエイティブなSLユーザーをソーシャルメディアで取りあげるプロジェクトがあります。私たちが既によく知っている人たちだけでなく、Second Lifeコミュニティの新しい才能を推薦してください。
Wagnerは5人のクリエイターを例として挙げています。
Aufwie MysteriousはSL歴10年ほどですが、パンデミックの時に本格的にSLライブを始めました。彼はブレイクする運命にあると思います。
Heidi RewellはSecond Lifeのスクリーンショットをアート作品に仕上げます。
Zatch Ixchelは、近年の誰よりもSL Machinimaの可能性を広げてきました。
NiranVは、Black Dragonビューワのために一人で作業をしています。このビューワの素晴らしいグラフィックは、Second Lifeのクリエイティブなプラットフォームとしての可能性を広げてきました。
SLのYouTuberであるLexy Nevenはウィットとセクシーさを持って、Second lifeの日常を紹介しています。最近はレンタルアバターのデートサービスを案内しました。
あなたは誰をノミネートしますか?
ROBLOXのYouTuberで台湾の支持者が、グレートファイアウォールを突破して、中国のプレイヤーとつながる
ROBLOXのトップYou TuberであるRuben Simさんは、米国を拠点に台湾独立運動を熱心に支持しています。Rubenさんは、中国本土の「グレート・ファイアウォール」を突破するためにVPNを利用し、厳重に検閲されている中国版ROBLOXのLuobuでプレイヤーと交流しました。
「アメリカからファイヤーウォールを突破するのは簡単です。なぜなら、ほとんどの中国のウェブサイトはアメリカのIPへの接続を拒否しないからです。」とRubenさんは言います。Rubenさんは、数週間かけてLuobuのなかに英語が話せるプレイヤーを見つけました。
Rubenさんは破壊活動や国家の利益に反するようなことは一切話していないといい、警察に連絡されるような心配はしていません。先月の記事で紹介したように、アメリカのROBLOXも政治的表現を禁止しています。しかし、Rubenさんは、ROBLOXから目をつけられることについても「彼らは何もできないよ」と心配していません。
ROBLOX社はメタバースになることについて話し続けていますが、Ruben氏の動画のほうが、Neal Stephensonが書いたサイバーパンクの名作に登場するオリジナルのメタバースをより忠実に再現していることに注目したいと思います。
NissanがVRChatで実施しているマーケティングプログラムは、Second Lifeが苦労して得た教訓から学ぶことができる
「VRChatは、Second Lifeが抱える『発見』の問題と同様の問題を抱えています。」と、両方の世界の住人であるAdeon Writerさんは、日産のVRChatのマーケティング・キャンペーンがあまり訪問者を惹きつけていないように見えるという意見に答えています。「主に、訪問する場所が増えれば増えるほど、目立つ場所から発見され、そのほかの場所は注目を集めることが難しくなります。Second Lifeでは、この問題を意味のある形で解決できなかったと思います。VRChatもまだ解決していません。」
まさにその通りだと思います。付け加えれば、仮想世界のサブコミュニティがますます閉鎖的になるにつれ、外部のマーケティング担当者が、仮想世界のユーザーベース全体に関わることがさらに困難な課題となっています。それはVRChatでも同じように起こっているようです。
読者でSLユーザーのKaylee Westさんには、日産が見習うべき確実なアイデアがあります。
「日産のような大企業は、大きなイベント(音楽ライブ、無料の景品、特別なアイテムの販売)をいくつか行う必要があります。このようなイベントは、ソーシャルメディア・チャンネルを通して宣伝され、ソーシャルメディアの主要なインフルエンサーが数人参加する場合もあります。また、イベントを異なるタイムゾーンで行い、繰り返す必要があります。さらに、人々を惹きつけるための継続的な活動についても考えなければなりません。役者を雇うコスト以外、会社にとってのコストは必ずしも大きなものではありません。本当に人気のあるワールドが訪問者を惹きつけ、維持するために何をしているのか、企業が学ぶこともできるのではないでしょうか。」
インワールドの例をあげれば、人気VRChatクリエイターのJarさんが運営しているようなDiscordサーバーは素晴らしいアイデアです。もっとわかりやすいキャンペーン案としては、VRChatクリエイターが作ったRCカーのように、仮想世界のなかで日産の車を使って遊べるようにしてみてはどうでしょうか。
詳しくは…
NIssan's Marketing Program In VRChat Could Learn Some Hard Earned Lessons From Second Life
VRChatが、ピークのユーザー同時接続数の記録を更新:55,000を超える
11月6日の週にVRChatの同時接続数が55,000人を超えピーク記録を更新しました (データは、ユーザーが運営する同時接続数トラッカーのVRChat Status によるものです)。
この記録の多くは、VRChat社が宣伝していたVRChatベースのファーリー(ケモノ)族会議に起因するものと思われます。SL Grid Surveyによると、このファーリー族の流入により、VRChatのその週末の同時接続数も、ピーク時に53,326人だったSecond Lifeの同時接続数を上回りました。Second Lifeは、かつてファーリー族にとって主要なオンライン上の没入型ホームでしたが、この統計から判断すると、その多くはSLを去ってしまったようです。
また、VRChatのピーク時のユーザーの半分以上(29K)がSteamでログインしていました。つまり、残りのユーザーはOculusストア経由で入ってきていると考えてよいでしょう。この数字からは、Facebook/MetaがVRChatやRec Roomに追いつこうとしていることがわかります。
ちなみにこの記録は、VRChatの同時接続数の過去の最高記録である2021年の正月の4万人超えを1万5千人上回っています--CCUの成長が約40%と記録的な伸びです。
詳しくは…
VRChat Hits New All-Time Peak User Concurrency Record: Over 55,000!
メタバースは、実際の物質消費を増やさずにGDPを増加させることができるか?
ここにメタバースの話題に興味深い新風を吹き込む(または過去のアイデアをリブートしたような)エッセイがあります。経済ジャーナリストのNoah Smithさんは、メタバースが成長すれば、現実の商品の生産量が必ずしも増えなくても、GDPが増加すると主張しています。不思議なことに、彼の論文に添付されている下のグラフによると、ソーシャルメディアやオンラインゲームが爆発的に普及した2000年代に、米国のGDPは急速に成長しましたが、エネルギー消費量は比較的横ばいだったといいいます。 (面白いことに、Second Lifeが発表された2003年頃にもGDPが急増しました。Wagnerはこれにも因果関係があると確信しています。)
詳しくは…
Can The Metaverse Grow GDP Without Growing Real Material Consumption?
メディアの皆様へ:Second Lifeを元にして間違ったメタバースの教訓を書くのをやめてくれませんか?
メタバースが話題になりメディアへの露出が増えるなかで、Second Lifeがこの分野の革新者として認められるのは良いことです。しかし時には、BBCのような一流メディアのレポーターでも、3Dグラフィックカードを搭載していないラップトップでバーチャルワールドを短時間歩き回り、Second Lifeからマーク・ザッカ―バーグの役に立つかもしれないことは何も見つけられず、まったく間違った結論を導き出すことになる場合もあります。
「仮想空間での暴動」という概念は、極右政党の本部がたまに攻撃されることを除けば、かなり大げさなものです。ほかの否定的な例も、どれもあまり関連性がないように思えます。特に米国連邦議会議事堂で起きた数千人規模の暴動にFacebookが使われたというのに、なぜSecond Lifeで起きた数十人の仮想暴動の話をしているのでしょうか?(児童虐待に関しても、Facebook上の問題のほうが、はるかに大きく、実際にマスマーケットのホラーとなっています。)
また、Forbesの記事では、Second Lifeがマスマーケットに進出できなかったのはFacebookのせいだと非難しています。
これは、メタバース的な仮想世界がこの時期に成長し続けていたという事実を見逃しています。2006年に発表された「ROBLOX」は、2010年に「Minecraft」の急成長に追い越されてしまいました。また、みんながお互いに突っつくことに飽きた後、初期のFacebookで最も人気のあったアプリはFarmVilleのようなソーシャルゲームの世界でした。
それはさておき、なぜレポーターは、Second Life から間違った教訓を導き出してしまうのでしょうか。そして、そのことがFacebook のメタバース化の見通しをうまく分析できない原因になっていることに興味があります。
例えば、Second Lifeのユーザー数が減少した要因はいくつかありますが、次のような要因は、Facebook/Metaと比較するときに、ほとんど言及されていません。
・Second Lifeは、iPhoneやAndroidの爆発的な成長の後、スマートフォンに焦点を移すことに失敗した(そして今も失敗している)
・Second Lifeは、新規プレイヤーに、なぜ楽しいのか、なぜプレイする価値があるのかを即座に伝えることに成功しなかった(そして今も成功していない)
Facebook/ MetaのHorizonは、これまで見てきた限りでは(そして関係者の話では)、2度目の挑戦にまだ悩んでおり、すでにVRファースト(モバイルファーストではない)製品であることを約束しています。でもまあ、ザッカ―バーグの本当の悩みは、BBCがレポートしているようなバーチャルストリップダンスなのかもしれません。
詳しくは…
Dear Media: Maybe Don't Draw Wrong Metaverse Lessons From Second Life?
Facebook最大のメタバースの安全問題は、Facebookのブランドに焼き付けられている
Financial Timesが報じたリークメモによると、Facebook/Metaのメタバース開発を推進している人物は、現在開発中のプラットフォームの安全性について真剣に悩んでいるといいます。
これらはすべて妥当な懸念ですが、Financial Times紙のレポートには、バーチャルプラットフォームにおける安全性の脆弱性について何も書かれていません。
それは、ユーザーのアイデンティティと、それが現実の名前や識別情報とどのように結びついているかということです。ユーザーアイデンティティは、プラットフォーム間でストーカー行為や虐待の対象となりやすい、主に女性や、傷つきやすいマイノリティの人々にとって重要です。特に、メタバースのような没入型の空間では、多くの人が自分のアイデンティティは風変わりなアバター名の後ろにあれば安全だと勘違いしています。
一例を挙げると、Linden Lab社は、かつてのメタバース・プラットフォームであるSansarで実名制にするという計画を、女性やLGBTコミュニティのメンバーから激しい抗議を受けて撤回しなければなりませんでした。逆画像検索から女性アバターのRLアイデンティティを見つけ出し、実生活でストーカー被害が発生することもある中で、彼らの懸念は極めて正しいものでしょう。
しかし、FacebookのブランドとDNAは、実名と完全にリンクしています。それは、米国政府に提出した株式のファイリングにも明示されていることです。
FacebookのブランドがMetaに移行している中で、これらは修正されていません。会社の中核的資産である、実際の関心事に結びついた文字通り何十億もの実在の人物の情報を、活用しないのかどうかも疑問です。このことは、名前の変更とメタバースへの移行を発表したザッカーバーグ自身の声明にも表れています。
声明のなかで、既存の友人や家族との活動に焦点を当てていることに注目してください。そしてMetaのメタバースには、巨大な青い「HorizonアカウントをFacebookアカウントに接続する」ボタンが付いていることも発表しています。
ここで1つ救いがあるとすれば、もし実在の人物がMetaのDNAの一部であるならば、そのメタバースを利用する人が、ほとんど誰もいない可能性が非常に高くなることでしょう。なぜならば、メタバースのDNAの核心は偽名であり、異なるアイデンティティを通して自分自身を再発明し実験する機会だからです。
詳しくは…
Facebook's Biggest Metaverse Safety Problem Is Baked Into Facebook's Brand
ニール・スティーヴンスン、急にメタバースという言葉が流行ったのは、縄張りを守ろうとする人がいるためと推測
新作の環境SF小説「Termination Shock」についてCNBCと対談したスティーヴンスンのコメントは興味深いものです。
2014年のインタビューで語ったように、自分のメタバースのコンセプトが長く続いていることや影響力があることへの困惑を表明するとともに、スティーヴンスンの返答は不思議なほど意外なものでした。
詳しくは…
Neal Stephenson Speculates New Metaverse Hype Partially Driven By Turf Protection
インディーズミュージシャンのKeith Rankinが、SLアーティストWhiskey Mondayの画像をアルバムカバーに採用
『Faith in Persona』は、新進気鋭のインディーアーティスト、Giant ClawことKeith Rankinの優れたトラックを収録した、かなり刺激的なエクスペリメンタルポップアルバムです。このアルバムのジャケットには、Second Lifeを拠点とする人気アーティスト、Whiskey Mondayの作品が使われています(もちろん、彼女の全面的な許可を得ています)。
FlickrでWhiskeyさんの作品を見たKeith Rankinさんが連絡を取ったことから、今回のアルバムジャケットが生まれました。
VRChatで遊ぼう!Magic Heist、コミュニティ内で作られたプロ品質のゲームライド
VRChatでMagic Heistを体験するには、ここをクリックしてください。高い評価を得ているVRCクリエイターのFins、CyanLaser、Lakuzaが共同で開発したこのゲームは、完成度の高いトレーラー(下の動画をご覧ください)から判断すると、家族向けの大予算コンソールゲームと見分けがつかないほどのクオリティーです。その主な理由は、Finsがプロの声優を雇い、(予算の中で最も大きな部分を占める)サウンドトラックのライセンスを取得するために自腹を切ったことにありそうです。
一見、1年かけて作られたゲームのように見えますが、チームはわずか1ヵ月ほどで、レインダンス映画祭のコンテストの締め切りに間に合わせるため必死に『Magic Heist』を完成させたとLukuzaは話してくれました。彼らの努力は実を結び、チームはレインダンス映画祭のIndie Spirit賞を受賞しました。
この賞を受賞したにもかかわらず、ほかのメンバーと違いLukuzaは、Patreonによる報酬を一切受け取らず、プロのゲーム開発への足がかりにもしたくないと考えています。
「仕事と趣味は分けて考えたいんです。お金が絡むと、自分が作りたいものに集中できる創造的な自由が失われ、潜在的な支援者が求めるものを作らなければならなくなりそうで怖いのです。その時点で趣味というより仕事のようになってしまうのではないかと思います。」
詳しくは…
Play In VRChat: Magic Heist, Community-Made, Pro-Quality Game Ride
Philip Rosedale:メタバースは 「みんな」のものではなく、Metaはそのようなメタバースを作ることに成功すべきではない
Axiosに掲載された、Philipとゲーム業界のベテランジャーナリストであるStephen Totiloさんとの新しいインタビュー記事には、いくつかの爆弾発言があります。
・メタバースについて、Philipは次のように述べています。「私たちが学んだことはー私がやってきた仕事を考えれば、やや悲しくもありますが、これはみんなの物ではなく、永遠に、みんなの物にはならないかもしれないということに同意せざるを得ません。」
・Metaが新しいメタバースプロジェクトを成功させる可能性については:「まあ、そうならないことを願っています。」
Philipはインタビューの中で、上の2つの点についてさらに詳しく説明しています。そのなかには、メタバースが全ての人に向いているわけではないという彼の考えも含まれています。
インタビュー内のPhilipの意見にWagnerは賛成していますが「みんな」というのは賢明なターゲットではないと考えています。なぜなら、ROBLOX、Fortnite、Rec Room、VRChat、そしてSecond Lifeもメタバース的なプラットフォームであると考えれば、月間5億人のアクティブユーザーがいることになります。そして、もしJulie Youngがモバイル用バトルロイヤルゲームのFree Fireを新生メタバースと呼ぶことに同意するならば、さらに5億人以上のアクティブユーザーが加わり、合計のアクティブユーザー数は10億人以上です。(そして、どのプラットフォームもMetaが作ったメタバースではありません。)
全世界の8人に1人がすでにメタバース的なプラットフォームで活動しているとしたら、それはもう十分に「みんな」ではないでしょうか?
詳しくは…
Philip Rosedale: The Metaverse Isn't For "Everybody" & Meta Shouldn't Succeed At Making It
来月のおすすめバーチャルワールドニュースもお楽しみに!