【アーカイブ】Sannyのおすすめバーチャルワールドニュース : 2022年7月 Sanny Reports For Virtual Japan
Sanny Yoshikawa が、New World Notesのなかから、毎月おすすめのバーチャルワールドニュースを日本語で紹介します。Sanny Yoshikawa covers the monthly virtual world highlights from New World Notes for virtual Japan.
☆noteにはアーカイブを掲載しています。
Second Lifeのプレミアム・プラスに関する驚きのアンケート結果
6月にNWNでは「Linden Labは、コンテンツと機能が大幅に強化されたプレミアム・プラスの提供を、月額24.99ドルまたは年額249.99ドルで始めました。あなたは、プレミアムプラスにアップグレードしますか?」と質問するオンラインアンケートを実施しました。
その結果、集まった回答は約300件(New World Notesの読者アンケートでは非常に大きなサンプル数です)。ほぼ4人に1人が、月額25ドルまたは年額250ドルにもかかわらず、今回発表されたプレミアムプラスにアカウントをアップグレードする予定であると答えました。また、12%は「アップグレードするかもしれない」と回答しています。
そして61%の回答者が「アップグレードしない」という答えでした。しかし、「アップグレードしない」という結果はそれほど気にしなくてもいいでしょう。なぜなら無料プレイのゲーム/バーチャルワールドで大きな収益を上げられる人は、通常、ほんの数パーセントのユーザーにすぎません。(一般的には、10%以下です)。ですから、25%の人が「アップグレードする」と回答していることのほうが、非常に印象的なのです。
このように考えてみてください:Second Lifeの月間アクティブユーザー数は、およそ60万人です。このアンケート調査がその数に匹敵すると仮定して、ユーザーベースの25%、つまり15万人がプレミアム・プラスに月25ドルまたは年間250ドルを支払うようになったとします。
すると3750万ドルがLinden Labの年間収益になります。私たちは同社の現在の総収入を知りませんが、SLのSIM Tier(今でも主な収入源)からすると、Second Lifeからの収益は、おそらく年間5000万ドルから6500万ドルの間でしょう。ですから、もしSLユーザーが実際にこのアンケート調査が示唆するほどプレミアム・プラスにアップグレードするなら、Linden Labは減少を続けるプライベートSIMからの収益に代わる、より安定した収益基盤を手に入れることになります。しかし、実際のコンバージョンレートがどうなるかは、これから先に見ていくこととしましょう。
詳しくは…
Surprising Survey Results On Second Life's New Premium+ Option
日本の前衛的ピアニストが、Second Lifeの砂漠にそびえる2つの巨大なキューブの前で披露した即興演奏(アーカイブ動画)
Tia Rungrayは、Second Lifeのアバターであり、音楽家のTakayuki Noamiさんによる「ノイズ・クラシカル」なプロジェクトです。7月9日、メタバースの中の砂漠にある2つの巨大な立方体の前で即興ライブが行われました。ここにあるのは、YouTubeで配信されたコンサートのアーカイブ動画です。
「(彫刻家である)Blue Tsukiさんの新作インスタレーションアートのタイトルはVinculum。このラテン語は英語だと『bond(絆、ひも)』や『cord(コード)』を意味するようです。この作品は、砂漠にそびえ立つ2つの巨大な立方体からなり、電気回路とその中の有機的な構造を連想させます。彼のアートを鑑賞することで、砂漠を越えて地球に広がる科学的な人類の歴史と、私たちが無関係でないことを再確認することができます。」とRungrayさんは話してくれました。
「普段は自分のオリジナル曲を演奏していますが、彼の作品と向き合うときは、即興演奏のスタイルで臨みます。このスタイルなら、彼の作品から感じたことを直感的に音楽として表現でき、いわば触媒作用のような化学反応を起こすことができるからです。また、私の音は抽象的ですが、彼の作品を見る人にとって解釈が固定化されないという利点があります。」
話を聞いていると、メタバースプラットフォームでしかできない、壮大なアートになりそうです。
Erik Satie や John Cageに影響を受けたTakayuki Noami さんは、彼の3枚のアルバムのうち最初の作品がリリースされた2013年から、東京でパフォーマンスを行っています。そして、その当時からSecond Lifeでも演奏を続けています。そしてCOVID19のパンデミック以降、彼の主な活動の場はSecond Lifeとなりました。
「仮想空間での演奏は、動画配信サイトだけで演奏するよりも、観客と同じ時間や空間を共有することができると思う。」と彼は説明します。「それはとても貴重なことです。それに、国境を意識する必要もありません。」
「私のピアノの音は有機的で、ノイズの音は無機質です。[Blue Tsukiさんの]アートと私の演奏のシンクロを楽しんでいただければと思います。」
Philip Rosedaleによる次世代メタバース・コンテンツ制作の新ビジョンは、ライブ、インワールド、マルチユーザーコラボレーション
Philip Rosedaleが、最近あるメタバースの審議会で行ったプレゼンテーションに基づき、Mediumに、とても魅力的な新しい記事の投稿をしています。その内容は、主にSecond Lifeでうまくいったこと --所有権を明確にすることや、共同所有と参加、安定した通貨価格などを元に、次世代プラットフォームにおける価値創造のためのビジョンを打ち出すものです。
Second Lifeの3Dコンテンツ制作で明らかにユニークで素晴らしかった機能 -- しかしこの先のSLやMinecraftで実現可能かどうかよく分からないもの -- を必要とするという声も含まれています。
ライブで没入感のあるソーシャルクリエイションから離れ、オフライン編集がデフォルトとなったことで、何か魅力的なものが失われたことは確かです。
しかし、コンテンツがメッシュ化して最適化されている世界で、インワールドでの共同制作システムを構築することは本当に可能なのでしょうか?
Wagnerのそのような問いかけにPhilipは、Sony Dreamsを例に挙げ、そう信じていると答えました。
「それはすべて一緒にライブで行うことができる 」と彼は主張しています。Dreamsが印象的なモデルであることは認めますが、私が以前確認したところ、そのユーザーベースはイライラするほど小さいものでした。
それに対して、Rec Roomはかなり大規模で、複数ユーザーによる創作をサポートしています。最近、Rec RoomのクリエイターがWagnerに言いました。
しかし、Rec Roomのグラフィックは、漫画的でブロック状であるため、幅広い層へのメタバース・プラットフォームとしての魅力が制限される可能性があります。(Rec Roomのユーザー・ベースは圧倒的に子供たちです)。
皮肉なことに、2010年頃にメッシュファイルのサポートを可能にしたSecond Lifeは、高品質なメッシュを使用したコンテンツがありつつ、複数ユーザーによる創作もできるという点で、もしかすると、まだ業界リーダーなのかもしれません。
「メッシュを使ったライブコラボレーションでも、SLでは複数の人がREZやスクリプト、アレンジ、メタデータの編集などを行うことができるので、非常に優れている」とPhilipはWagnerに言っています。
しかし、近年はSecond Lifeの機能としてあまり評価されていないようです。SLのサンドボックスでライブビルドしているYouTube動画は、リンデンラボ自身が出しているもの以外、ほとんど見かけません。
ですから、まだ未解決の問題が残っています。共有ができる没入型の創造で興奮をもたらすこと、それをできるだけ多くのメタバースユーザーに拡大することは可能でしょうか?
メタバースのパイオニア、Jeffrey「AM Radio」Bergが語るA.I./DALL-E時代のアートの未来
アーティスト兼テクノロジストのJeffrey Bergさんは、Second Lifeのアバターで、麦畑に迷い込んだ錆びた列車「The Faraway」のような、深くシュールで痛快な没入型インスタレーションを制作し、メタバースアーティストの「AM Radio」として有名になった人物です。彼は最近、驚きの発見をしました。
AIが文章から画像を自動生成するCraiyon(OpenAIのDALL-Eの一種)のようなプログラムを使えば、彼が何日もかけて3Dで作成していたSecond Lifeのインスタレーションに驚くほど似た画像を自動的に作成することができるのです。
「今日、Craiyonをいじっていて、メタバース空間の創造にどんな影響があるのかと思ったんです。」と、彼は下の結果をシェアしてくれました。「テキスト入力から生成される画像も、3Dジオメトリも、そんなに変わらないかもしれません。」
この一言から、DALL-Eの時代におけるアートの未来、一般的なAIと機械学習、そしてNettrice Gaskin博士の作品のような有望なAIベースのアートについて、JeffreyさんとWagnerの長い対話が始まりました。ここでは、その冒頭部分を紹介します。
WJA:アーティストとして、(AIの)意味についてどう考えますか?
Jeffrey Berg:いろいろ考えているんですが...もし私たちがエレベーターに乗っていたら、90秒でこう言うでしょう。2022年の機械学習の瞬間は、Second LifeにglowやWindLight、さらにはメッシュが導入されたとき、SLの多くのクリエイターがその技術の名人にはなれず、単なる技術的能力のプレゼンターであることから抜け出せなかったのと同じことです。機械学習でも、再生回数や拡散することに成功しているものは、人間が表現しようとするものではなく、不気味の谷を見つめるだけのものであることがよくあります。
私は、まだ人工知能の利用に飛びつくのはためらいます。それはそれでひとつのテーマです。そして、機械学習に関する議論のほとんどが陳腐で、大規模な機械学習のの統計アルゴリズムの意味合いよりも、機械学習のポップな認識とでも呼ぶべきポップサイコロジーとでもいうようなものに迷い込んでいるように感じています。
結局のところ、機械が何を作ろうと、我々が何を求めようと、あるいは遺伝的アルゴリズムが機械からの出力を定式化するのに使われようと、芸術的成果を判断するのが人間であることに変わりはないのです。芸術的な達成とは、崇高さを限りなく追求し、人間としてもはや許容したくない存在との境界線を探すために新しい一歩を宣言することです。それが芸術です。
作り手にとっては、私たちは機械学習を提示するのでしょうか、それとも振り回すのでしょうか? TensorflowのようなデュプロブロックやCraiyonのようなおもちゃでも、探求し、人々にテクノロジーについて考えさせるような奇妙な体験を作ることができるのでしょうか。または、私たちがいかに人間であるかを思い出させ、私たちであるという定義の境界を拡大する可能性のある体験を作ることができるのでしょうか。
私は常々、人間同士の最初の感情的コミュニケーションは共感を求める叫びであり、生まれた瞬間に「助けて、私生きてる」と叫ぶものだと核心レベルで信じています。
それは、私たち全員にとって、なんと素晴らしく、美しく、そして恐ろしい瞬間でしょうか。
この共感への叫びは、最初の洞窟壁画以来、常に続いています。これは特にアーティストとして言えることですが、私たちは世界を見つめながら、自分たちが見ているものを、ほかの誰かも見ていないか尋ね、「それを感じますか?」と問いかけるのです。
まるで新しい色、新しい存在の仕方を発見し、説明しようとするかのように、私たちはそれを定義しようとするのです。その視線の先には、機械学習が作り出す不気味の谷の恐ろしくて手に負えない景色が広がっています。人々は、機械学習をきっかけに創造性や芸術の死について話しています。私はすべての芸術家が、バーチャルを探求し、そこから何かを発見し、私たちを見つめ始めるという前途に畏怖の念を抱いています。
この後も2人の対話は続きます。ぜひ読んでみてください。
詳しくは…
Pioneer Metaverse Artist Jeffrey "AM Radio" Berg On The Future Of Art In The A.I. / DALL-E Era
Linden LabがSecond LifeのクラウドストリーミングをWeb用に復活させる?
Linden Labの製品担当ディレクターであるAlexa Lindenは、さりげなく興味をそそるこんな質問をTwitterに投稿しました。「ブラウザで #SecondLife を動かせるとしたら、どうですか?」
これは、素晴らしく、非常に具体的な質問ではないでしょうか!
Second Life は、過去に少なくとも2回クラウドストリーミングでSecond Lifeを動かすという公式な試みをしています。--最初は2010年にGaikaiを通してWEB上で実施されました。そして2014年には(非常に野心的な展開で)OnLiveで実施されました。下の動画をご覧ください。
当時のNWN記事からの引用です。
OnLiveはその後つぶれ、Sonyに買収されましたが、SL Goは好評だと聞いています。OnLive展開の責任者から、2022年にSecond Lifeで別のストリーミングオプションが実現できるかもしれないと言われました。
これは、実現可能です! 実際、毎年少しずつ実現の可能性が高まっています。Linden Labは可能性として検討しているが、まだ展開に踏み切っていないのかもしれません。そして、Alexaは自分のツイートで温度を確認し、どれだけの関心があるかを確かめているのでしょう。詳しいことがわかったら、またご紹介します。
詳しくは…
Linden Lab Bringing Back Second Life Cloud Streaming For The Web?
VRChatコミュニティ、改造クライアントの禁止に抗議殺到
メタバースプラットフォームは、繁栄するコミュニティなしには成り立ちませんが、その反面、そのコミュニティの一部がプラットフォームを危険にさらすようなこともあります。VRChatは今、表面上は無害に見える発表によって、それを経験しています。
VRChatは、Apex Legends、Fortnite、Gears of War、Elden Ringなどで利用されているEasy Anti Cheat (EAC)を実装し、改造クライアントを全面的にブロックすることを発表しました。その理由の一つとして、改造クライアントを実行していることが原因で、毎月、何千人ものユーザーがアカウントを盗まれていることを挙げています。
Second Lifeでも、かつて、サードパーティー製のビューワを改造して怪しげな機能をつけたために禁止されたことがありました。そして、そのときSecond Lifeで起きたのと同じように、VRCのプレイヤーたちは、MOD禁止の動きがみられると、Steamのリストに悪評を書き込むといった方法で抗議しています。しかし、その抗議の声はVRCの月間アクティブユーザー数から考えると非常に小さなものです。
抗議する人たちの言い分は正当なのでしょうか? 耳の聞こえないユーザーのためのテキストキャプション、色覚異常のユーザーのためのコントラストなどを提供する改造も禁止されてしまうという点で、多少は正当性がありそうです。しかし、VRChat社の立場からすると、毎月何千人ものユーザーが、改造されたビューワによってアカウントを盗まれていると報告されているのを、そのままにしておくわけにはいかなそうです。
VRChatのクリエイターコミュニティで有名な、非常に尊敬されているメンバーの言葉を引用します。
MODの廃止は、VRChatのクリエイターにとってもメリットがあると、Wagnerの情報筋は言っています。
VRChatのほかユーザーと話してみても、この意見はおおよそ正しそうです。しかし、コメントをする前に、ほかのVRChatクリエイターのスレッドに集まる様々な意見に目を通してバランスを取るのもいいかもしれません。
詳しくは…
VRChat Community Wracked By Protest Over Ban On Modified Clients
Quest 2のインストールベースはもう1,000万人を超えているはずなのに、なぜMetaから発表がないのか?
Metaの2022年第2四半期業績報告書が発表され、再び「Quest2」のインストールベースについて紅茶占いをする時期になりました。この件に関しては何度も書いていますが(直近ではこちら)、基本的な要点は次の通りです、MetaのReality Labs部門の収益のほとんど、あるいはほとんどすべては、希望小売価格299ドルのQuest2ハードウェアの販売によるものです。そこで、ざっと計算をしてみました。
4月の時点で、WagnerはQuest 2のインストールベースを約1,100万から1,300万と計算しました。
最新の収益報告書によると、Reality Labs社の第2四半期の収益は4億5,200万ドルでした。
つまり、2022年4月から6月までの間に、さらに最大150万台のQuest 2が販売されたことになります。
Quest 2の推定インストールベースは、最大で1,200万台から1,450万台ということになります。
控えめに見積もっても、Quest 2のインストールベースは数ヶ月前に1,000万台を超えていることになります。
そこで、新たな謎が浮かび上がるのです。なぜMetaは、Quest 2の1000万台達成を発表しないのでしょうか?
1,000万台は、結局のところ、Mark Zuckerbergが2020年に言い出したQuest 2に対する(やや恣意的な)目標値なのでしょう。
一つの可能性として、近いうちにマイルストーンとなる発表があると思いますので、ご期待ください。(願わくば)
もう一つの可能性は? 約2年で1000万台販売(Quest 2は2020年10月発売)というのは、正直言ってそれほどすごいことではない、という認識が広がっているのです。考えてみてください。
PlayStation 4は初年度に1800万台以上売れました。
Nintendo Switchも発売1年目で1800万台近く売れました。
ですから、1000万台をマイルストーンとして発表することは、特にMetaが前四半期だけで約30億ドルの損失を報告しなければならない場合、簡単に裏目に出る可能性があるのです。
ほかの説もぜひコメント欄でお待ちしています。
デヴィッド・リンチのアートとキャラクターに捧げるSecond Life SIM「LynchLand」がオープン
天国なら、すべてがうまくいく。あなたにもわたしにも、いいことが訪れる...。Second Lifeで訪問するにはここをクリックしてください。
Second LifeのDavid Lynchファングループは、Lynchの想像力と、記憶に残る作品のシーンやキャラクターへの賛辞に捧げる専用SIMをオープンしました(ツインピークスに偏った内容になっています)。
LynchLandのグループリーダーであるMyrdin Sommerさんは、数人の出資者と一緒にこのSIMに出資しています。「Cate infinity、SurfSide66、そして私です。私たちは家賃を払い、イベントでランドチップジャーにLindenが入ることを願っています...。このSIMは創造的なイベントを行う場所ですが、もしLynchLandでブラブラするのが好きな人がいるなら、それは全く問題ありません。すべての場所にアクセス可能です。キャビンに泊まることもできるし、写真を撮りに来るだけでも構いません。」
Lynchファンの皆さん、ぜひ訪れてみてください。
詳しくは…
Open Now: LynchLand, A Whole Second Life Sim Devoted To The Art & Characters Of David Lynch. Premiere Party This Weekend!
来月のおすすめバーチャルワールドニュースもお楽しみに!
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