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#80 今は優良スタートアップのセール期間中

ここ数カ月、テック企業の株価やスタートアップのバリュエーションが急落してきています。しかし、その影響は地域や業種によって異なります。さらに重要なことは、すべてのテック企業が今まで過大評価されており、現在それが是正されているということではないとのことです。潜在能力が高いにもかかわらず、マクロ環境の影響を受け、バリュエーションを下げざるを得なかった優良スタートアップはまだたくさんあるのです。

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つまり、今は健全で潜在能力が高いスタートアップも割安になってきていて、投資家としては絶好の買い時なのです。

これは、メガファンドを調達した多くの大型ファンドが共通して考えていることです(最近、米国VCの巨額の資金調達ニュースを多く目にしたとがあるかと思います)。ペイパル(PayPal)とパランティア(Palantir)の創業者としても有名なピーター・ティール(Peter Thiel)が設立した最も影響力のあるVCの一つであるファウンダーズ・ファンド(Founders Fund)は、最近新たに$5B(約7,000億円)の資金を調達しました。彼らはその資金のほとんどを現在の投資先企業に使う予定です。当然、うまく行っているものの評価額が下がっている投資先が誰かを知っているはずで、今こそがそのような企業により多くの出資を行うべき時だと考えているのです。

ボストンを拠点とする著名VCであるバッテリー・ベンチャーズ(Battery Ventures)は最近$3.8B(約5,300億円)を調達しました。このVCは、しっかりしているものの、マクロ環境の影響で資金調達に苦労をしている会社に資本を投下する予定です。実は彼らがこのプレイブックを使うのは初めてではないのです。2000年代はじめのごろに起きたドットコムバブルの時も、多くの堅実な企業に資金を投資したのですが、その賭けは見事に成功したのです。

この類の話は、彼らだけに当てはまるものではありません。最近ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ(Lightspeed Venture Partners)は$7B(約9,700億円)、アクセル(Accel)は$4B(約5,500億円)の資金を調達しました。この2つのVC並びにバッテリー・ベンチャーズは、もう一つ、「グローバル」という要素も持っています。彼らはイギリスからインドまで世界中にオフィスを持っているグローバルVCファームです。今では米国以外の他の国からも大きなテック企業が生まれてくるのが普通になってきています。すなわち、上記のVCたちは今、世界中の割安になっている優良スタートアップへの投資を楽しむ準備ができたのです。

いつかは分かりませんが、世界経済はいつかは回復します。インフレは落ち着き、サプライチェーンは改善され、ウクライナ戦争も(こちらはできれば一刻も早く)終わるでしょう。その日が来るまでは、非現実的なバリュエーションがついていたスタートアップや不健全な事業基盤を持つ企業は無くなっていくはずです。

そしてやっと次のブルマーケットのサイクルが到来したとき、今日それらのメガファンドから資金を得た健全なスタートアップ企業は、ついに繁栄期を迎え、次世代のテック業界を形成する会社として成長していくでしょう。

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