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#106 機関投資家向け金融サービスの民衆化
先週末はスタートアップをやっている友人が食事を作ってくれました。メニューも用意してもらって、6品が出るコース料理だったのですが、家で作ったとは思えない盛り付けと味で感動でした。こういう才能が羨ましいと思いつつ、私は料理には全く才能がないので、美味しく食べることにこれからも集中して行きたいと思います!
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プライベート・バンキング(PB)とは、個人向けに投資に関するアドバイスを提供し、顧客一人ひとりの財務目標の達成を目指すサービスです。UBSのような昔からプライベート・バンキングサービスを提供してきている外資金融機関を利用するためには、少なくとも数億円の資産がないといけないと言われています。彼らはこのように超富裕層専用のプライベート・ウェルス・マネジメントのサービスを提供してきましたし、今後もそれは続けるでしょう。
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しかし、IT技術の発展がさらに進みつつ、資産額の少ない人中でもPBに興味を持つ人が増えるにつれて、より広い顧客層向けにより多様なプライベート・バンキング(あるいはそれに近い)サービスを提供する金融機関やスタートアップも増えてきています。
日本では、かつてUBSやMorgan Stanleyなどの外資系金融機関の領域だったPBですが、最近は地方銀行も海外PBと手を組んでPBサービスを提供し始めているようです。また、顧客になるための最低資産額も従来のPBよりかなり低く設定されているようです。それに伴い、関連資格を取る方々の数も増え続けています。
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シリコンバレーでは、The Coterieというスタートアップが、スタートアップの創業者に特化した金融サービスを提供しています。米国のトップクラスVCファンドへの投資サービスや貸出サービス、そして財産設計サービスも提供しています。このスタートアップはアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)、イニシャライズド(Initialized)、ペア(Pear)などの著名VCから約$80M(約100億円)の資金を調達しました。
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つまり、広義のプライベート・バンキング・サービスの市場は、より幅広い顧客のニーズに応じて、より多様なサービスを提供しつつ拡大及び進化してきているのです。
私はこのような金融サービスの民主化が(少なくともプライベート・エクイティ市場においては)機関投資家に領域でも起こると思います。というか、すでに起きていると思います。
例えば、大手ファンド・オブ・ファンズが提供するSMA(Separately Managed Account)という商品がありますが、伝統的な大型PBであるUBSが提供するサービスのように、SMAの最低預かり資産が非常に大きいです。一つのSMAの資産規模は100億円を上回ったりもします。しかし、技術進歩と共にプライベート・エクイティ市場がさらに進化すれば、より多様なサービスがロングテールの機関投資家にも提供されるようになります。
生産性が上がれば限界費用(Marginal Cost)は減少します。テクノロジーの進歩は色々な業界における生産性を高めてきました。そしてそれはプライベート・エクイティ領域でも例外ではないはずです。
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References:
・総資格保有者数(PBコーディネーター、プライマリーPB、シニアPBの合計)- https://www.saa.or.jp/pb/license/data/index.html
・The Coterie - https://twitter.com/AldaLeuDennis/status/1584702678688739328?s=20&t=p_BzDBVcMjUxC2IGGdSNWA