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カピバラ航空祭の思い出を語る

2023年11月19日。大盛況に終わったカピバラ航空祭の後夜祭が行われました。一般公開されている航空祭の主会場を改変した一夜限りのワールドで、6団体の所有する機体が自由に空を飛ぶ光景は、今回初めてVR航空の世界を覗いた私でも感動するモノがありました。

Discordで通話をしながら各位が速度や高度を合わせるために機体を操作する。観客はいない、彼らのためのお祭り。冗談も言い合うけれど、誰もが普段とは違う機体にワクワクしながら一つの編隊になっていく。順番に空へと羽ばたき、広い空を並びながら主会場にある管制塔の上を何度も通り過ぎる様子に皆思わず声が出るほどです。

旅客機を先頭に様々な機体が空を駆ける
テイクオフ前に地上で並ぶ機体たち

「いむさん、見たかったものは見れたかい?」
「……うん。私はこれがやりたかったんだよ」

同じVRワールドの空を数種類の飛行機が編隊を組んで駆ける。旅客機に戦闘機にプロペラ機。ホウキだって人だって飛ぶ世界。現実ではあり得ないし、VRの世界でも難しいとされていたことを一夜だけでも叶えた彼ら。普段は各団体で空を駆ける飛行機やパイロットたちが魅せてくれたこの空は、カピバラ航空祭の主催のいむさんを泣かせるほどに素敵でした。


2023年11月、VRChatで開催された「カピバラ航空祭」は主催のいむさんの夢と憧れと野望から始まりました。準備に半年近くかけて開催されたこの航空祭はフィスティバルというだけあって関係者さまの情熱と遊び心が存分に詰まっており、どのイベントも大盛況で幕を下ろしたのです。

黒トラこと私、はにらいも縁あってカピバラ航空祭を盛り上げる一人として関わることとなり、ありがたいことに後夜祭まで参加することができました。関係者さまともお話しする機会があり、初めて触れたVR航空のことを素敵だなと思った私は、カピバラ航空祭の思い出を語ろうと文字を打つことにしました。拙い文章と写真ではありますが、想いを込めて書こうと思います。


打ち合わせ時、いむさんとカピバラでツーショ

私とカピバラ航空祭の出会いは、私がYoutubeで毎週配信しているウラトラという雑談番組で航空ショーを流したいんだと、相方の赤トラことびすこさん(B氏)が話を持ってきたのが始まりでした。その時、私は先方が許可するのなら別に良いと思うけど、と簡単に了承しましたが正直あまり気乗りしませんでした。

自分語りになりますが、私は普段あまり他人と関わらない人間です。お世話になっている人は多いですが、その方達の集まりに積極的に参加できる人間でもなければ、数回参加したイベントも一人ひっそりと端にいるタイプの人間です。界隈という言い方をするなら、私は特定の界隈に長く属して楽しく過ごせるような人間ではないため、毎日楽しくしているのだろうVR航空界隈の人たちに壁を感じていました。

それでも打ち合わせには参加しないといけません。当時まだ公開されていなかった主会場で、私たちが配信させてもらう「ゆるゆる飛行機同好会」の緑茶さんと「カピバラ航空祭」主催のいむさんと打ち合わせ。

慣れない私はいつもの甘虎ちゃんアバターではなく、ぽめまるアバターで話をしましたが、お二人とも暖かく受け入れくださり、私の的外れな質問にも嫌な顔せずに、色々と想いを語ってくださいました。カピバラ航空祭を企画したきっかけや、6団体が参加してくれたことに対する感謝、大きな企画を纏める大変さや楽しさ。航空勢のカッコよさを伝えたい。もっと色んな人に知ってほしい。もっとVR航空を盛り上げたいんだ。とても熱い想いでした。

会場をエピソード混じりで案内してもらい、各団体の魅力を知っていくうちに私はやっとVR航空って面白いかも、カピバラ航空祭はなんて凄いことをやろうとしてるんだと感動し、これは全力で楽しもうと思ったのです。

同じ気持ちだったB氏ともっとお手伝いしたいと話し合い、オープニングセレモニーの配信も立候補することにしました。いむさんたちには是非にと言っていただけたので、早速配信で普段からお世話になっているVRC放送局さんに相談、快諾をもらうとYoutube配信のほかにVRChatでも中継が簡単に見れるようになりました。これで当日インスタンスに入れなくても会場の雰囲気を知ることができ、VR航空を知らない人にも知ってもらえる機会を増やすことが出来る。この熱が伝わって欲しいと思う彼らの想いを伝えたい。私は段々そう思うようになりました。


6団体のポスターや機体。真ん中に鎮座する巨大なカピバラ像

11月6日。カピバラ航空祭オープニングセレモニーの日です。配信に不備もありましたが、なんとかオープニングセレモニーと各団体紹介をお伝えすることが出来ました。沢山の人に見てもらえて、カピバラ航空祭の期待の高さを実感でき、記録に残せたことが嬉しかったです。

このオープニングセレモニーをした主会場は現在もVRChatで一般公開されており、半端ない熱量がカピバラ航空祭の終わった今も残っています。主催の熱に賛同したスタッフや6団体の熱が合わさって作り出されたこのワールドには、オープニングセレモニーの舞台や各団体の特設コーナー、象徴される機体などが展示されており見応えたっぷり。このように一つのワールドに様々な機体が展示してあるのは貴重なのだそうです。

各機体を観察するも良し、各団体のポスターなどを見てイベント参加を決めても良し、航空ショーに来たテーマで写真撮影をしても良し。絶対に貴方が思った以上に楽しめる素敵なワールドですので、VR航空の世界を知っている人は勿論、足を踏み入れたことがない人も是非訪れてほしいなと思います。

主会場にある舞台。この背後には金のカピバラ像が建っている

ワールド名:
VRC カピバラ航空祭 -主会場- VRC Kappy Air Fes -Common World-
製作者さま:
By AsianTaco


主会場に掲示されていた予定表と定期イベント告知

そんなオープニングセレモニーのあった週末の3日間。カピバラ航空祭は行われました。1日2団体の航空イベント。オープニングセレモニーの配信時にどの団体も自信を持って宣伝していたとおり、各団体は個性のある航空イベントを開催していました。

私も全て観に行きたかったのですが、join戦争とPCスペック問題が立ち塞がった結果、1DAYのBlueHorizonsさんの現地観覧、425th VTFTW"First Penguins"さんのYoutubeライブ配信、ゆるゆる飛行機同好会さんの現地配信を当日楽しむことが出来ましたので、これから彼らのショーの思い出を綴ろうと思います。

ブルホラさんのエンブレムスモークアート

BlueHorizonsさんの時は先に合流させてもらえたので、上演前のパイロットやスタッフさんの様子なども知ることが出来ました。ミーティング時、6団体の一番手を飾る、老舗の団体の矜持で鼓舞する彼らを間近で見て感動したり、想定以上の人気でパイロットが会場に入れないというトラブルにも、再joinの案内をしつつすぐさま各団体への情報共有をして、現地観覧が出来なかった人たちへのフォローのため不確定だったリバイバル上演をしようなど迅速に話が決まっていく様子を見て、飛行機に乗る人たちの判断の速さと連携の良さは流石だなと思いました。

そして航空ショーが行われるワールドへ。開かれたインスタンスに沢山の人がjoinしてくる様子は、まるで今から始まるショーへの期待の表れのようで高揚感がワールド内に漂い始めます。そこから、よく見える塔の上に案内されて暫くすると近くでDJさんが音楽を流し始め、目の前の飛行機がゆっくりテイクオフしてショーが始まりました。

こういったVR航空ショーに初めて参戦した私でも、解説の方が次に飛行機が来る方向や技名を言ってくれるのですごく楽しく見ることができました。当たり前ですが、機体は凄い速さで飛んでいるので私の頭の上や目の前をすぐに通り過ぎていきます。その瞬間しゅんかんを見逃さないようにカメラを構えたり、顔で追いかけながら思わず声が漏れてしまう。そして遠くへ消えていき次の技へ備えながら編隊を組む彼らをワクワクしながら見守る。塔の上にいる人たちが皆それをやっている一体感は、航空ショーの観客だから味わえる楽しみかもしれません。

編隊飛行する一番隊
目の前を地上スレスレで駆けていく二番隊
VRの操作とは思えない程、見事に整列した機体たち

BlueHorizonsさんは老舗の団体ということで、航空ショーの演目も現実の航空ショーのようでした。そのリアルさは、ソレをVRでやるのか、アレ本当に人が操縦してるんだよね、と思わせる技術があり、終始凄いなを連発するワクワクがあってとても楽しかったです。


ホームワールドで見ていた中継画面

続いての425th VTFTW"First Penguins"さんはYoutubeでライブ配信されていたのをホームワールドで鑑賞しました。ショーが始まる前の会場の期待感も伝わり、現地にいない私の気持ちも高まっていきます。

そしてショーが始まった時、私が思ったのは「これって航空ショーだよね?」でした。アーカイブが残っていると思うので、未視聴の方は是非見ていただきたいのですが、まずドラマパートから始まるのです。

そう、ドラマパートです。主人公が飛行機乗りになった理由、戦う理由などが航空ショーの合間に流れます。航空ショーはどうしても技の間に飛行機が移動し待機する時間が必要なので、その時間も観客を楽しませようという425th VTFTW"First Penguins"さんのおもてなしの精神を感じました。

ドラマパートで呆気に取られても、航空ショーパートの練度の高い機体の動きが目を覚ませてくれます。特に中盤にあったフリーの空撃戦は見応えがありました。撃たれた機体が観客の前で墜落し爆発する様子は迫力満点ですし、VRだからこそ出来る航空ショーだと思いました。

ドラマパート
航空ショーパートを観戦
集合写真中に並んでピース

ショーが終わり、舞台挨拶、集合写真、おまけコーナーと最後まで観客を楽しませようとする様子が配信されていて、現地組を羨ましく思いつつ、こうして配信してくれていることに感謝でした。と、同時に明日は自分達も配信する側になることにB氏と怖気付いたりもしました。私たちの技術ではきっと皆さんを満足させる配信が出来ないと思うからです。


発艦の様子が画面で確認できた

そんな、ゆるゆる飛行機同好会さんの航空ショー。私たちは了承してもらえたので少し早めに会場入りしました。最終練習を終えたパイロットの人たちが自由に飛んでいるのを眺めながら、緑茶さんたちスタッフさんに挨拶をします。綺麗に撮れなくて申し訳ないと先に何度も謝ってしまう私たちに、いいんですよ楽しんでくださいと快く答えてくれる気持ちに感謝しながら本番を迎えます。

こちらもオープニングセレモニーのように不手際があって配信をお待たせしてしまったり、カメラのB氏が落ちたりしてしまいましたが、どうにか配信することが出来ました。


キラキラなエフェクトが綺麗。各機体を映した画面も設置されていた
観客の周りを縦横無尽に飛び回る機体たち
キラキラと軌跡を描きながら気持ちよさそうに飛んでいた

ゆるゆる飛行機同好会さんの航空ショーは、宇宙が舞台という現実では出来ない設定に、煙ではなくそれぞれキラキラのエフェクトが機体の軌跡を描く様子や、個性あるヘンタイ飛行など、まさにVRだからこそ味わえる航空ショーでした。

カメラ撮影をしていたB氏は大変だったでしょうが、私は横で楽しむ係(負荷軽減のためクリスタル表示)でしたので存分に楽しむことが出来ました。ゆるゆる飛行機同好会さんの航空ショーも、リーダーの緑茶さんが解説してくれていたので、どこから機体が来るのか、技名や見どころなどを知ることが出来て楽しかったです。

配信も沢山の人が見てくれて、joinできずに見に来ましたと言ってくれた人がいたり、現地で見たいから今度航空ショーに行ってみたいなと言ってくれた人がいて、私たちの配信が少しでも皆さんの役に立てたことがわかって嬉しく思いました。

それはゆるゆる飛行機同好会さんの配信後、追加で2時間近くカピバラ航空祭やVR航空について語る別枠の配信をしたくらいに、私たちトラトラを興奮させるものでした。終わりが遅い時間になったのに航空勢の方たちも遊びに来てくれたのが嬉しかったです。配信後の集合写真の時、航空について語ってくれて嬉しいと言ってくれた優しさが沁みました。

集合写真のテーマは「航空」


そんなわけで今回のカピバラ航空祭では、私は3団体さんの航空ショーを見ることが出来ました。VR Air Forceさん、Virtual Sky Serviceさん、BLUE STARSさんのイベントにはjoin戦争に負けたり、PCスペックに泣いて参加できませんでしたが、XのTLに流れてくる様子がどこも盛況ですごく楽しそうでめっちゃ羨ましかったです。

3日間の公演が終わった後、閉会式の代わりに公式アカウントから動画が投稿されてカピバラ航空祭は無事終了となりました。それから各団体さんが今後の告知をしていたり、いむさんが主催から解放されたと思ったら新たな試練に挑み出したりと、VR航空の世界は次の空へと駆け出していきます。

そして冒頭の後夜祭が先日の話になります。

カピバラ航空祭が終了して1週間後、主会場を改変したワールドに皆さんが集まって始まりました。一般公開しているワールドでは色々な関係で飛ばすことが出来なかった機体たちで空を駆けることが出来ると、飛行機乗りたちは我先にと乗り込み空へと駆け出していきました。

統制が取れていないようで取れている。

VR航空についてよく分かっていない私から見る彼らはそんな感じでした。機体の雰囲気を確かめるように飛んでいた彼らは、段々VSSの旅客機のそばに集まり編隊飛行を始めます。Discordで速度や高度を合わせながら楽しそうに並び、会場の上空を通り過ぎていく。


会場の周りを飛行する機体たち
こちらに向かって飛んでくるのがワクワクするが
ベストな瞬間を撮るのは難しい

隣にいつもと違う機体がいることに感動して喜ぶ彼らの声を聞き、この光景が当たり前ではないことを私は知っていく。普段は別々のワールドにある機体が集まって飛べるのは今日だけだから。その瞬間を写真に残したくてカメラを構える私は、初めての打ち合わせでいむさんが語っていたことを思い出していました。

この人たちってカッコいいんですよ。普段ふざけているけど、やる時はやれる人たちなんです。私はこういうカッコいい人がいる航空ってジャンルをもっと知って欲しいし、この人たちがもっとカッコよく飛ぶ姿が見たいし、私もこの人たちと飛びたいんです。そして見てくれた人にも興味を持ってぜひ空を飛んで欲しいと思っているんです。

この日。VR酔いする私は初めて旅客機に乗り、三度目のVRの空を体験しました。窓の外にカメラを出すと後ろに色んな機体が飛んでいて、旋回するときも一緒に機体を傾けて付いてくる。私は彼らの楽しそうな会話を聞きながら、夢中でシャッターを切っていました。

お気に入り写真
旅客機の中から手を伸ばして撮りました

VR航空の世界にいる人たちは皆、空が飛行機が航空が大好きな人たちです。いむさんはそんな彼らを知って欲しくて、もっと見たくてカピバラ航空祭を主催しました。そんな想いがカピバラ航空祭には溢れていて、沢山の人を楽しませてくれたことに私は感謝したいなと思うのでした。

後夜祭の集合写真
その後もすぐに空へ飛んでいった

ワールドを後にして布団に潜り込んで眠った時、普段夢を見ない私が夢を見ました。そこでは、ずっと飛行機に乗っており、旅客機の窓から外の飛行機を眺めたり、ドローンになって編隊飛行をする彼らと一緒に飛んでいたりしました。最後は乗ったこともない操縦席に私はいて、VR酔いもせず楽しそうに飛行機を操縦していたのです。起床しても残った気持ちが、きっと私のVR航空に対する想いなんだと思いました。

空は自由で寛容だからこそ、己を高め律するところなのかもしれません

以上が、私のカピバラ航空祭の思い出になります。もっとレポートらしいものが書けたらよかったのですが、これが私の精一杯で申し訳ない。ともかく、VR航空の世界は面白いぞ、カピバラ航空祭は楽しかったぞ、そこにいる人たちが魅力的で素敵だったぞといことを伝えたい記事です。

本当にVR航空の人たちはフッ軽で気さくな人たちで優しい面白い人が多いので、気になる方は勇気を出して各団体のイベントあたりに顔を出してみることをお勧めします。私も今回素敵な出会いが出来たので、この縁を大切にしたいなと思いました。出会ってくれた方に感謝を申し上げます。

そして最後まで読んでくださってあなたにも。ありがとうございました!



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