Vtuberの推しがテレビドラマに出た話 ―「四月一日さん家と」感想
いやぁ、四月一日さん家と、よかったなぁ……
この記事は、にじさんじ所属のバーチャルライバー、物述有栖ちゃんの大ファンのうさぎさん(ファンの呼称)である私が、彼女の出演したテレビドラマ「四月一日さん家と」を視聴した感想になります。
※最終話視聴後に加筆しています。まだ見ていない方は若干のネタバレにご注意ください。
「四月一日さん家と」とは
昨年2019年4月~7月にテレビ東京などで放送されたドラマ「四月一日さん家の」。バーチャルYouTuberを起用した初の連続ドラマということで話題になりました。一花(演:ときのそらさん)、二葉(演:猿楽町双葉さん)、三樹(演:響木アオさん)の四月一日三姉妹の日常を描いたホームドラマとなっています。主に亡くなった両親のことを思い出したり、二葉の結婚式に向けて出し物を準備したり、というような話だったような……現在はAmazonプライムなどで観ることができますね。
「四月一日さん家と」はその続編として、2020年4月~6月に同じくテレビ東京等で放送されました。結婚して二葉が出て行った四月一日家に突然、謎の女子高生、白鳥生子(演:物述有栖さん)が訪ねてきて居候するようになるというお話です。
同じくVtuberコンテンツの地上波進出の試みとして思い出されるのが2019年1月~3月に放映されたテレビアニメ「バーチャルさんはみている」ですね。こちらはVtuberが多数出演していましたが、あくまで本人としてであり、オムニバス形式の各コーナーもそれぞれの普段のVtuberとしてのキャラクターや活動を踏まえ、寄せたものとなっていました。
一方でこの四月一日さん家シリーズはドラマ本編に本人のキャラが一切持ち込まれておりません。四月一日シスターズもカラオケバーまさこのメンバーも皆、それぞれ演じるVtuberさんとは異なる設定や個性を持っており、出演するVtuberさんを全く知らなくても楽しめるようになっています。毎回のドラマ本編の終了後に「反省会」というアフタートークがあり、そこでVtuber本人としての紹介やトークが挟まれる形になっていますね。
私と「四月一日さん家と」との出会い
実をいうと私、1期の「四月一日さん家の」が放送された当時は観ておりませんでした。
有栖ちゃんがニコ生での四月一日さん家の「ドキドキ前後生放送」にゲスト参加していたり、最終回スペシャルイベントに出演したりしていたのでもちろん存在は知っていたのですが……家にテレビがなかったのです……ニコ生のゲスト回は観ていましたがドラマを一切見ずにイベントに行くわけにもいかず、ただ家で(物述、今日も頑張ってるな……)と念を送るばかり。
しかしその後、特典のサイン入り台本につられて行ったシネマイベント「四月一日さん家の ON STAGE」の有栖ちゃん出演回(2019年12月17日)で有栖ちゃんの四月一日ファミリー入りの発表と生子ちゃんビジュアルお披露目、そしてその後のにじさんじライブツアー、Shout in the Rainbow! 札幌公演(2020年2月9日)で生子ちゃんの3Dモデルのお披露目とドラマ2期「四月一日さん家と」の放映、有栖ちゃんのレギュラー出演決定の発表を目の当たりにすることになります。
いやもう本当にびっくりしたし嬉しかったですね……当時の有栖ちゃんは本当に忙しそうで生存報告とばかりに日々ロケ弁の写真をTwitterに上げていたものでしたが、まさかドラマの撮影をしていたなんて……
ドラマのオーディションの経緯やそれに込められた想いは、有栖ちゃんの札幌公演の振り返りお茶会(配信)で涙ながらに語られています。必見。
うさぎさんへの恩返しとして、サプライズな贈り物をしたかったと語る有栖ちゃん。いつもたくさんのものをもらっているのに……本当にありがとう。大好きです。
さて、有栖ちゃんの四月一日ファミリー入りが発表されてから大慌てでAmazonプライムに入会し、1期の「四月一日さん家の」を全話予習してくる私でありましたが、これがなかなかに面白い。コントのようにテンポよく繰り広げられるエピソードを楽しんでしまいました。
「四月一日さん家と」はひかりTVでの(1週間先行)配信やTVerでの見逃し配信と、ネット環境があればテレビがなくても見られる親切設計となっております。が、私は思ってしまったのです……
「テレビに女優として映る有栖ちゃん、見たいな……」
買いました。ヨドバシでほぼ一番安いやつでしたが……
かくして「四月一日さん家と」の放送が始まったのです。
「四月一日さん家と」の良かったところ
1. 有栖ちゃんの新たな魅力・演技が見られた
まるで子供の演劇の発表会を見守る父親のような心境で、有栖ちゃんが映るたびに大はしゃぎしながら第1話を見ていた私は、その最後で雷に打たれた気分になります。
「私、白鳥生子と申します。あなたたちの、妹です」
有栖ちゃんだけど、有栖ちゃんじゃない……!!
Vtuberはそれぞれキャラクターや個性を武器に日々活動しています。有栖ちゃんだったら「可愛らしい容姿や声、言動などでよく子供っぽいとからかわれてたりするけれど、なんでもばっちりこなす天才JK」みたいな感じでしょうか……一人称は「有栖」で、ときどき英単語を交えて話して、かわいくて、歌声が素敵で、からかわれた時の反応とかもかわいくて……(これについて語ると記事が倍になります)
ですが、画面に映し出されたのは、同じく高校生ではあるけれど、独特のセンスを持ちながた四月一日姉妹のノリにすぐ馴染んだりとかなりしたたかな女の子。一人称も「私」なら、わざと舌ったらずになったり子供っぽいしぐさをしたりもしません。どこか世渡り上手な風格からは、複雑な生い立ちもうかがうことができるでしょう。容姿や声は同じだけど、全く違うキャラクターになっているんです。
普段の有栖ちゃんを見たことがない人は「生子ちゃんってこんな性格なんだなぁ」とすっと理解するかもしれませんが、うさぎさんである私には、生子ちゃんという存在がかなり新鮮なものに見られました。
また、普段の有栖ちゃんはなかなかにクールJKです。お茶会中に怒ったり、悲しんだりといった負の感情を見せることはほとんどなく、いっつも前向きな姿でうさぎさん達を楽しませてくれます。
一方の生子ちゃんはかなり喜怒哀楽がはっきりしています。特に第2話で生子ちゃんが実の妹ではないと発覚し、泣きそうになりながら出ていこうとするところとか、第8話で山田(仮)の告白や一花と三樹の妄想に呆れ果てた表情を見せたり、あからさまに不機嫌な声を出したりとか……迫真の演技に思わず心をぐっと掴まれたましたね。最終回第12話の複雑な心境の表現は涙なしには見られませんでした……
とにかく、普段の有栖ちゃんにはめったに見られない感情も見られたという点がとても嬉しかったです。こんな声出せるんだとか、このしぐさ可愛いなとか、今までに見たことないような新しい魅力もいっぱい。四月一日さん家とを通じて、有栖ちゃんの新しい側面や魅力が見られた気がしました。
それにしても、なにかと掴みどころが難しい役である生子ちゃんを演じた有栖ちゃん。持ち前の演技力、そしてそれを磨くための努力が伺えました……本人もドラマに向けて演技の勉強をしたと言っていましたが、有栖ちゃんの今後のVtuber活動にも生かせる経験になったのではないでしょうか。
それが垣間見えるのが(四月一日さん家ととはちょっと離れますが)有栖ちゃんが属するにじさんじから定期的に発売されている期間限定ボイスです。個々のライバーさんが(基本的に)独自に台本を考えた季節のお題やシチュエーションに合わせたボイスになっており、有栖ちゃんのボイスは特に完成度が高いと(私の中で)評判でした。
この期間限定ボイスですが、有栖ちゃんが「四月一日さん家と」の撮影に携わったあたりから、さらに演技のクオリティが上がっていくのです。不機嫌になる演技でかなり低い声による表現ができるようになったり、セリフの言葉選びがより洗練されたり、「春休みボイス」では迫真のヤンデレ演技まで……四月一日さん家とに携わった経験が、有栖ちゃんの身になったのを感じられたようで、とても嬉しかったですね。
有栖ちゃんがドラマやライブの準備で忙しい中会う時間を作ってくれる「クリスマスボイス2019」は本日6月22日までBOOTHにて再販中。最新ボイスである「あめもようボイス2020」も23日の12時から販売予定です。どうぞお見逃しなく。(宣伝)
2. いろんな人に有栖ちゃんを見てもらえた
私たちVtuberファン、Youtubeのチャット欄など以外の活動場所は主にツイッターであります。ツイッター名の横に推しマークがついていたり、アイコンが推しだったりして、一目見ればその人が誰推しかわかってしまうもの(私はけっこう推し多き人間ですが)。ハッシュタグをつけて実況ツイートをしたり感想を書いたりするのも日常茶飯事。放送中や放送後にタグの検索結果を眺めてリアルタイムでの実況や感想を眺めたりしています。
タグ検索結果を眺めていると、もちろんうさぎさんもちらほらいるのですが、他の出演者のファンの方々がたくさん……それぞれが自分の推しの出番で盛り上がったりもしていましたが、みんながドラマそのものの展開も楽しんでいて、推しや箱の垣根を超えたファンの一体感も味わうことができました。うさぎさん以外に「有栖ちゃんかわいい」って言ってもらえるの、嬉しいですねぇ……
そんな中に混じって、今までVtuberを見たことなさそうな人やあまり詳しくなさそうな人、前後の番組の流れで見ている人というのも見かけることができました。衝撃的だったのが、
「この○○って子、中の声優さん××さんかな?」
みたいなツイート。まぁ気持ちはわかる。我々もVtuberなるものを最初に知ったときはそういうことを考えたものですね……懐かしい……
他の推しがラジオ番組を持ったりした時にも感じることができたのですが、プラットフォームが変われば視聴者層が変わる、というのをとにかく実感しました。Youtubeなどのネット環境を飛び出して地上波に進出することで、推しが新しい人々と出会うことができるというのは素晴らしい事です。中には「四月一日さん家とを観ました」と普段のお茶会にまで来てくれた人もいたりして、嬉しかったですね……
「四月一日さん家と」への出演が有栖ちゃんを多くの人に見てもらえるきっかけになったようで、本当に良かったなぁと思っています。
3. 推しを抜きにしてもドラマとして面白かった
ここまで有栖ちゃん大好きうさぎさん目線で進めてきましたが、「四月一日さん家と」を純粋にホームコメディとして楽しんでる自分ももちろんおりました。というか、面白かったです。
まず、とにかく話の脚本が見事。伏線の回収がとても気持ちいい。一回生放送で見た後にもう一回録画を見返すと「あ、これ伏線だったんだ」と気づくこともしばしば。伏線の張り方やその回収が1話ごとに見事で、回を追うごとに「これも伏線かな?」と予想しながら見るようになりました。
会話のかけ合いや漫才のテンポ感もとても心地よく、25分くらいの本編があっという間でしたね……特に漫才は「三樹が自分の理想を追求しつつ考えた脚本」「生子ちゃんが独特なセンスで作った脚本」「三樹がいち姉や生子ちゃんから影響をかなり受けつつ書いた脚本」というのが漫才そのものを通じて見事に表現されていて感動しました。やはり制作陣、その道のプロなんだなぁと……
登場人物それぞれのキャラクターも魅力的でしたね。
上述の生子ちゃんはもちろんのこと、普段はふわふわしているけどお姉ちゃんとして頼れる懐を持ったいち姉、四月一日家のよき理解者として気さくに相談にのってくれる二葉、オタク気質でスイッチが入ると止まらない三樹とみんな個性豊か。とくに三樹ちゃんにはオタクとしてシンパシーを感じる部分が多くて、一番感情移入していたかもしれないですね……2期になって生子ちゃんとの関わりの中でさらに魅力が引き出されたような気もします。
カラオケバーまさこのメンバーも皆、それぞれ演じるVtuberさんとはかなりキャラクターが違ってびっくりしました。とくに大空スバルさん演じる山村しのぶちゃん、落ち着いた性格の演技とアフタートークでの普段のはっちゃけ具合のギャップが本当に面白かったですね。
テレビのない生活を送っていたもので、テレビドラマを観るのは本当に久しぶりでしたが、「やっぱりドラマもいいものだな……」と改めて思わせていただきました。
最後に
長くなりましたが、とにかく有栖ちゃんが「四月一日さん家と」に出てくれてよかった、に尽きます。ドラマ本編もとても楽しめましたし、これに出演したことが有栖ちゃんの今後の活動につながるものになってくれたら嬉しい限りです。有栖ちゃんと共演メンバー、制作に関わったすべての人達に本当に感謝です。
さて、ドラマ2期「四月一日さん家と」としては放送終了となりますが、まだまだ四月一日さん家シリーズは続いていくらしく、今後の展開にも目が離せません。
その皮切りとして、7月11日に「四月一日さん家とオンライン町内会」の開催が決定しました。撮影裏話を交えながら2期を振り返るとともに、これからの「四月一日さん家」をどう続けていくかを語り合う回になる予定とのこと。早速、響木アオさん、物述有栖ちゃんの出演が決定しています。楽しみですね……
最終話での生子ちゃんの決断もありましたし、今後の四月一日家のストーリーをもっともっと見ていきたいですね。シリーズが今後も続き、さらに展開していくことを切に願っています。ドラマ3期までいいなぁ……
最後に、重要なことをひとつ。
生子ちゃんの北欧メタルTシャツ、欲しい!!!!!!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。