"Suno.AI"のここがすばらしい / すばらしくない!!
今日はSuno.AIの良い部分と良くない部分、そして私がどのように対応や対策をしているのかについてご紹介いたします。(現在「Premier Plan・$30/month」というプランに加入中)
そして記事の一番最後に、私がかつて楽曲制作側として利用していたAudiostockというサービスの「あれこれ」と「その収益」をご紹介し、ついでに「生成系AIを利用するにあたって、利用者が気を付ける必要がある点」についても書いてみました。
何かのご参考になれば幸いです~。
さて、当noteはMidjourney / niji・journeyの記事が中心になる予定だったのですが、実は最も人気のある記事はSuno.AIからの返金対応の記事なのです!! みなさんも困ってらっしゃるのかしら?
"Suno.AI"のここがすばらしい!!
とにかく早い
Suno.AIはとにかく仕事が早いです。場合にもよりますが、いちど作業が始まったら、体感20秒ぐらいでまず冒頭から60秒ぐらい生成します。そして少しずつその先を生成する、という感じで作業が自動的に続きます。
現在、曲の長さをあらかじめ指定することはできませんが、最長で4分まで自動で生成します。そして生成後にExtendという機能を使えばさらなる延長が可能です。(2025年1月現在はそんな感じ)
作詞もできる
Suno.AIは作・編曲だけでなく作詞もこなします。ちょこっとキーワードを入れるだけで、なんとなくそれっぽい歌詞を爆速で生成!!
この「なんとなくそれっぽい」というところが重要。そしてその速度感がとにかくすごい。そして当たりを引ければかなり高品質なものが生成されますが、ここはガチャの要素が多分にあります。
楽曲の質、着想は良いが・・・
音質はダメなことが多いです。これが最大の問題点。具体的にはノイズです。メロディや編曲のアイデアはもう群を抜いて素晴らしい。私のような素人趣味レベルの人が半年考えても出てこないような水準のものを、数十秒で、クレジット残の許す限り生成しまくってくれるなんて恐ろしいとしか言いようがありません。
そしてこのAIの能力はすさまじく、「同じ歌詞でまったく別の曲」を何曲でも生成してくれます。ただ、すべてが名曲だとは言えません。このあと書いていますが問題点の方が多いです。それでもやはりすごい。アイデアに限界が無いのです。スランプもまったくありません。生成ボタンを押せば、即座にかならず何かを生成いたします。
作詞が出来ない人でも安心です。数個のキーワードがあれば、それをもとに作詞をしてくれますし、何もなくても勝手に生成します。
普段私はMidjourneyというAIに絵を生成してもらっていますが、使用感がSuno.AIと良く似ていますよ。とにかく当たりが出るまで回数を多く生成するというのがポイント。
人間は何を担当するの?
「そんなに何でもかんでもやってくれるのなら、人間は何をするの?」
「人間はダメ出し担当です!!」
・・・ダメ出しというと言葉がアレですが、これは気に入らない部分を、自分の気に入るように修正するということ。
つまり、生成して修正する必要が無ければ即・完成!!
音楽でも絵でも、なにかを生成するための言葉(プロンプト)に工夫が必要なことも多々ありますが、それよりも、生成されたものをどのように修正するのか?ということの方が大切です。
"Suno.AI"のここがすばらしくない!!
2024年11月19日にSuno.AIはver4になりました・・・が、そのひとつ前のver3.5よりもいろいろと残念なことになっています。
たとえばver4は日本語の発話を間違えます。日本語はver3.5の方が正確です。音質や活舌はver4の方が良いですが発話がダメ。
あとはノイズですが、それ以外にもshimmerと呼ばれる現象が発生していて、これらのことは公式さんも認めてらっしゃいます。そして現在対応中とのことですが、一か月以上経っても治る気配がまったくありません。
ではさらに個別に書いてみます。
とにかくノイズがひどすぎる
コレに尽きます。ダメな時は本当にダメ。たとえばホワイトノイズが乗りまくってしまって曲が台無しになったり、シャーとかコァーというような音や、ブーンとかジーとか、その他もっといろんな種類のノイズが入ったりもします。そしてハウリングすることも多々あります。
さらには曲の長さをExtendという機能で伸ばせば伸ばすほどに音質が劣化し、ノイズが乗りまくり、ほとんどノイズしかないというぐらいになることもあります・・・。
Lo-fi系の演出として「レコード盤を針がなぞる音」がするのは良いのですが、美しいピアノソロ曲の背景にシャーというノイズ音はまったく必要ないのです。あとは高音や低音の音割れもひどい・・・。
さらにひどいのが音の位置です。
Panningという言葉があります。定位、音の位置。
たとえばオーケストラの楽曲で各楽器の位置というのはだいたい決まっていますが、Suno.AIの生成した曲で、ピアノの音が右へ行ったり左へ行ったり、しかも一音だけ飛んで行ったりすることがあります。
ひどい時は、ある特定の音がねじれながら左右に移動することもありますよ。それを演出として狙っているのなら良いのですが、私はそういうことは望んでいません。オーケストラ楽曲でオーボエだけが、一音ごとにあちこちに飛んでいったらおかしいと思います。そこへノイズが乗りまくり、音がよじれたりしたらもうどうしようもない。さらに謎の電子音が混ざったりもするのです。
対策法(1)
私はResaon13というDAWソフトを使っていて、さらにiZotope社の各種プラグインやSpectraLayers Pro 11も持っています。
通常のノイズなら、そういうソフトを使えばある程度綺麗にできるのです。SpectraLayersというソフトはかなり素晴らしく、クリック一つで各パートに分離出来ますし、ノイズを直接消すことも可能です。
でもSuno.AIのノイズはかなりしつこい!!
複雑に混ざってよじれて、左右にパンしているノイズをどうやって除去するの???という感じです。これが直せる人はプロかプロレベルなのでしょう。私もソフトを使ってなんとかしようとしていますが・・・。
たまに、最初からノイズなしで高音質で生成されることがあります。これ最高。ノイズは入っていないに越したことはないのです。
対策法(2)
私はYoutubeにBGMチャンネルを持っています。いわゆる作業用BGMや、カフェなどで何となく流れているようなものを想定しています。
この「利用環境と目的」が対策法でもあります。
つまり外でなんとなく流れている音楽に、とんでもない高音質は必要ないという考え方です。実際、BGMというものはいろんな環境音が混ざった状態で聞くことになりますので、多少のノイズは無視可能です。
あと、いろいろと生成しているとノイズの乗らないジャンルがあることに気づきました。でも気のせいかも?・・・ということで調査中です。
エンディングがしつこい
曲の最後、あとは「ジャーン」みたいな感じで素直に終わってくれればいいのに、そのジャーンをだらだらとパターンを変えて繰り返し続けます。
これの対応策としてはEditからCrop Songを選んで切り取ればなんとか出来ます。
Suno.AIは少しずつ機能が充実していて、曲の編集が出来るようになってはいますがまだまだダメです。
まず楽曲の部分編集に毎回クレジットが必要で、しかも1回の編集では治らないことが多い。
このことにブチ切れた人がDiscordに「1曲の1部分を直したいだけなのに100回以上やり直させるのか」と怒りまくっているのを拝見しましたが、この人が言ってることは本当に正しい。
私の場合、日本語の歌詞を勝手に言い換えるのだけは勘弁してほしい。そしてそういう曲に限って名曲だったりするので本当に厄介な問題です。
あとは歌詞が謎の言語になったり、曲の最後に誰かの会話が流れたり、笑い声が入ったりして結構なホラー感が出ることもありますね・・・。
クレジット制がイヤ
Suno.AIの「Premier Plan・$30/month」は毎月10000クレジットが付与され、これで2000曲生成することが出来ます。(私はこのプランを利用)
個人的にこのクレジット制というのがかなりイヤです。そしてクレジットが余っても次月へ持ち越せないというのが最大の引っ掛かりポイント。
さらには一時的にサブスクを止めて休会状態だとwav形式でダウンロードできなくなりました。mp3形式ならダウンロード可能ですが、wavよりファイルの容量がかなり小さくなって音質に触りが出ます。
ダメなとこまとめ
良くないところを書き出したら止まらない!!こんなことばかり書いていたら誰も利用しなくなるような気もしますが、それでも利用する価値があるほどの素晴らしさがあるのです。
課題は兎にも角にも「ノイズの除去」です。あとは、過去に生成したノイズが酷い曲をリマスターできれいにできる機能が必要ですね。これはVer.4でちょこっと実装されかけていますが、音がクリアになってもノイズが引き継がれたり、さらに足されたりするのでイマイチです。
現状、「修正する時間があったら新しく生成した方が早い」という状態であるとも言えます。
余談 : 私の音楽歴(収益とか)
アナログ人間
現在はAI特化型みたいな人として活動していますが、もともと私はアコギを最大で7本持っていたほどのアナログな人です。その後、数本売却したので、現在はアコギ4本とミニアコギとウクレレ1本を所有中。
自分で歌うのも好きですし、アナログやデジタルで絵を描いていたこともあります。
そして私は数年前、Audiostockというサービスで「AIを使っていない自作曲」の販売を行っていました。(当時はAIによる生成サービス自体が無かった)
曲数は30曲ぐらい登録したような気がしますが、審査落ちはほぼ無く、コンピレーションアルバムに何曲か選んでいただいたりもしています。(たまにAudiostocから連絡が来ます)
ジャンルはBGMで、当時使用していたDAWはReason11、12です。それとiZotope社の各種プラグインを使ってmixingやmasteringをして仕上げるという方法です。
~と言ってもド素人が「なんとなく・それっぽいことをしているフリ」ぐらいの感じなので、プロやプロ並みの人の足元にも及んでいません。これは謙遜ではなくて本当のことです。
とにかく音楽の知識が無いので、耳で聞いて「こんなもんかな」と思えるぐらいのところまでソフトでなんとかしているのが私です。
累計の報酬額
ちなみに、登録した曲がコンピアルバムに選曲されると「どこかの場所(お店?)」で自動的に曲が流れ、ほんの少しのお駄賃がいただけます。
プロの人が現れた!!
数年前、Audiostockにプロの人たちが参加し始めた時期というのがありました。プロフィールを拝見すると、音大を出ているとか、あのCM曲を手掛けたとかそんな感じの方々ばかりなのです。
私が登録していた当初は「楽曲を登録しておけば、ちょっとぐらいお小遣い稼ぎになるかしら?」と思っていたのですが、プロを相手に勝負になるはずがありません。案の定、登録しても聞かれることすらありません。プロやほぼプロみたいな人たちは本当にスゴイのです。
私はあきらめが良いので、Audiostockはここでお休みとしました。
AudiostocはAIダメ
そしてなんと、2024年9月10日にAudiostockから「音声合成、歌声合成ソフトの使用および作曲AIサービス等を使用した作品の登録はできません」というメール案内が来ていたことに気づきました。
Audiostockのサイトに「音楽クリエイターの皆さまに知っておいて欲しいこと」というページがあります。
余談まとめ
生成系のAIは音楽だけでなく絵やコード等、さまざまな分野に進出していますが、利用者としては何に気を付ければよいのでしょうか?
そのあたりのことをAIに聞いてみましたので、それをご紹介してこのnoteの余談のまとめといたします。