ソードワールド2.5リプレイ 《風の廻り道》キャンペーン 第五話「大草原の美食家達」後編
はじめに
この記事は2023/6/17に行われた「ソードワールド2.5(グループSNEのTRPG)」のセッションログを再編集したリプレイです。
読みやすくするため、実際のセッションログを少しだけ脚色したり、発言順序を整理したりしています。
前回はこちら。
本作は、「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の、二次創作です。
(C)GroupSNE
(C)KADOKAWA
0. 前回までのあらすじ
アルフレイム大陸北西部、ドーデン地方。
冒険者ギルド《風の廻り道》は“鉄道路を活かした長距離移動を伴う依頼”を取り扱う支部である。
そこに所属するPC達は、前回の仕事の経緯から地方中南部《マグノア草原国》に滞在していた。
そこに、PC達に仕事を頼みたいという人物が姿を現す。
依頼人である《銀の匙》のキュイ・エールは、全身をフードや布帯で隠した謎の人物であり、数日後に開催される”マグノア御前料理大会”に使用する食材調達を手伝ってほしいとPC達に頼み込む。
何やら、地元冒険者には頼みづらい事情があるようだ。
キュイは希少なキノコである”マグノアブラック”を自身の料理に使うつもりであり、そのために野生動物の巣穴に潜り込むのだという。
PC達への依頼内容とは、その際の護衛を務めてほしいというものであった。
しかし、キノコの産地近くである農村に移動する道すがら、キュイを目の敵にするマグノアの料亭主が雇った追い剝ぎ達が戦闘を仕掛けてくる。
PC達の応戦で事なきを得たものの、戦いの混乱の中でキュイのフードが取れ、その正体が蛮族領から亡命してきた妖魔のコボルドであることが露見してしまった。
PC達は依頼を受けた以上、最後まで仕事に付き合うことを表明する。
妨害を考慮した報酬の増額も行われ、いよいよ後戻りはできなくなった。
マグノア御前料理大会までに、PC達は幻のキノコを手に入れることができるのだろうか?
1. 森近くの農村、《ショウロ村》
GM:◆描写◆
キュイの幌馬車は目的地である《ショウロ村》へと到着していた。
周囲はすっかり暗くなっており、村の灯りが辺りを柔らかく照らしている。
この村の近くに、マグノアブラックの産生地があるのだという。
キュイは村長と交渉し、革袋に詰めたガメル銀貨と引換に数日間の寝床と食料を買い付けていた。
案内された村の空家の台所で、キュイは手際よく料理の下拵えを進めながらマグノアの料亭主”金の卓布の”ドンドジールとの確執について語った。
キュイ:「……以前、彼の店からのスカウトをお断りしたことがあって」
ドンドジール:「聞いたぜ、手前実は薄汚ぇ妖魔なんだってなァ!」
ドンドジール:「ま、ウチみてぇな立派な料亭の下積みから始めれば、料理人としていつか認められる日が来るかもな! ギャハハハッ!!」
ドンドジール:※イメージ映像
リラ:「なに、この具体性のあるヴィジョン」*イメージ映像をかき消す
リゼル:「それにしても、あんなに堂々と妨害を仕掛けてくるとはね」
ヒルデ:「あんな程度の連中、何回来たって叩き返してやるさ」
アレックス:「……そういう人間は居るぜ。かばうわけじゃねーけど」
パローロ:「貴方なら、そんな店で働かなくても十分認められる」*料理の手際を眺めながら
ヒルデ:「それにしたって、仮にも料亭主なんだろ? 大きな店なら料理で勝負すれば良いのに」
リゼル:「そのドンドジール氏が腕の良い料理人の部下を選ぶことができたのなら、それもアリなんだろうけどね」*何となく察した
アレックス:「……?」
リラ:「たぶん、オーナーのドンドジールは”高い料理”はわかるけど”美味しい料理”を判断できないんじゃない?」
リラ:「御前料理大会の主催は国王なんだから、高級料理なんて食べ慣れてるし……本物の美食家には値札もコネも通じないからさ」
キュイ:*言外に肯定するように頷く
キュイ:「ドンドジール自身は料理人というわけではないのです」
キュイ:「親の代から続く料亭を引き継いだオーナーで、彼自身は包丁の握り方すら知りません」
キュイ:「言わば、経営者といったところでしょうか……」
パローロ:「あー……」
アレックス:「そういうことかよ」*呆れたように
キュイ:「まぁ、それは置いておいて」*下拵えの済んだ食材を並べる
キュイ:*村の猟師から買った山鳥は血抜きされ、内臓を取り除いてある
キュイ:「具体的なマグノアブラックの調達計画についてご説明します」
リゼル:「あぁ、野生動物の巣だとか」
キュイ:「はい。この村の近くにある森に、レッドバジャーという動物が生息しています。赤みがかった毛を持つ、穴熊の一種です」
キュイ:「この動物は群れで巣穴を掘る習性があり、その範囲はかなりの規模に及びます」
キュイ:*手早く捌いた肉にスパイスを擦り込む 香草を腹部に詰め込み、予熱しておいた窯で焼く
ヒルデ:「おぉ~……」*手際を見ている
キュイ:「ショウロ村の森に生える樹木は、マグノアブラックが好んで菌床とする樹です。日の当たらないアナグマの巣とそこに生えた根は、マグノアブラックの生育に最も適した環境が整っているのです」
GM:*周囲に山鳥の皮が焦げる香ばしい匂いが立ち込める
パローロ:「……!」*生唾を飲み込む
リラ:「なるほど。巣を燻すとキノコの風味も損ねちゃうから、直接巣穴に潜り込んでキノコを捜すわけか」
キュイ:「仰る通り。巣を燻せばかなり安全ですが、キノコの香りが死にかねない」*同時進行で干し野菜と穀物のスープを準備
リゼル:「じゃあ、俺たちはそのレッドバジャーという大型アナグマを相手取ればいいということですか?」*自前の食前酒を盃に注ぎつつ
キュイ:「そうなります。といっても、立ち向かってくるのは成長した成獣だけで、巣の全てを相手取ることにはならないと思います」
キュイ:「適度に撃退しながら、大菌塊を捜すことができればと」
GM:◆描写◆
キュイは話しながら料理の準備を整える。
竈に据えられた鍋からは温かなスープの匂いが立ち上り、村の狩人から買い付けた山鳥が香ばしくグリルされていた。
更に、コボルドの料理人は自身の荷物の中から直径30mm程の黒い塊を取り出した。光沢のあるその黒い塊を小型ナイフで薄く削ぐと、芳しいキノコの香りがたちまち部屋いっぱいに立ち込める。
数枚の薄削ぎキノコを野鳥のグリルに乗せると、肉の温度と融けた脂に晒されたキノコは、より一層食欲をそそる香りを放つのであった。
ヒルデ:「それ、例の茸かい?」*キュイの手元をのぞき込む
キュイ:「はい。このサイズでもそれなりの値段がします」
ヒルデ:「ひゃあ~」
パローロ:「そのキノコは、風味で味を引き立てる食材なのね」
リラ:「コボルド料理にピッタリの食材ってわけだ」
パローロ:*キノコの香りを覚えるように、すんすんと嗅ぐ
アレックス:「森のど真ん中で野生動物を相手取りながら捜す、か」
アレックス:「そう上手くいくもんかね……?」*口を尖らせる
リゼル:「それを上手くこなすのが、我々の仕事だろう?」
リラ:「アレックスの不安も尤もだ」
リラ:「だから、成功率を上げるための作戦をこれから詰めようよ」
アレックス:「この時間も俺たちの仕事にゃ変わりないか」
GM:キュイがPC達の手元に、料理を取り分けた小皿を配膳していきます
キュイ:「ひとまず、夕食と致しましょう。ヤマドリの香草焼き、マグノアブラックの薄削ぎ添えです」
ヒルデ:「お、どうも」*受け取る
リラ:「うわぁ、美味しそ~」
パローロ:「何はともあれ、腹ごしらえ。美味しい料理に感謝」
リゼル:「これは素晴らしい、さっそくいただきましょう」
アレックス:「…………旨そうだな、普通に」
リゼル:「要らないなら私がもらうよ?」
パローロ:「アル坊、私もお腹を空かせている」
アレックス:「んなこた言ってねぇよ!」*自分の皿を守るように手を翳す
GM:配膳し終えたキュイは、残り物(内臓や野菜の切れ端を煮込んだスープ)の入った椀を片手に外に出ようとします
リゼル:「おや、キュイ氏はどちらに?」
キュイ:「私は、外で適当に食べますのでお気になさらず」
リゼル:「……何故?」
キュイ:「コボルドの私と一緒に食卓を囲んだら、皆さんの賞味体験を損なってしまいますので」*目を伏せる
リゼル:「これを作ったのは貴方です。我々は料金を払ったわけでもない」
リゼル:「卓を分ける必要がどこにありましょう」
ヒルデ:「さっき簡単なものしか作れないって言ってたけど、そうは見えないよねぇ」
リラ:「僕たちってそんなに偏狭にみえるかな……? 悲しいね」
キュイ:「う……その……」
パローロ:「美味しい料理は、大勢で食べた方が美味しい」
リラ:「あ、アレックスは外で食べてきていいから」
アレックス:「嫌だね。外は寒いだろうが」
ヒルデ:「ほら、こっちおいでよ」*キュイに
キュイ:「……それでは、お目汚し失礼します」*フードを取り
アレックス:*しかめっ面でむぐむぐしている
リゼル:「いやいや、それにしても役得ですな」
リゼル:「依頼料のうえにこれほどの料理を頂けるのです。我々は幸運だ」
キュイ:「その……僕は以前、マグノアより北、《元ヒスドゥール大裂穴》に居ました」
キュイ:「そこには蛮族達の住処があって、僕はあるディアボロが率いる部隊の食事係に組み込まれていたのです」
キュイ:「ろくな設備も食料もなく、周辺で捕まえた野鳥や獣の臭みを消して、焼いて、少しでも上位の蛮族に気に入られるようにする」
キュイ:「……まぁ、班長のトロールには無駄なことに頭を使うやつだ、なんて言われましたけど」
キュイ:「ただ、ある時そこに人族の冒険者が来て……その時に陣地を抜け出して人族の勢力圏に亡命してきたんです」
キュイ:「その……料理って面白いなって思って」
キュイ:「工夫すれば工夫しただけ、美味しくなる」
キュイ:「剣も握れない僕でも、何か認めてもらえる」
キュイ:「そう思ったら、どんどんアイデアが湧いてきました」
キュイ:「皆さんみたいな人達に助けられて、僕はまだこの舞台に居られるのだと思うと、また頑張ろうって気持ちになります」
キュイ:「僕は……僕は……」
キュイ:「Zzz……」*そのままテーブルに突っ伏して眠る
キュイ:*いつの間にか卓上の酒を飲んでしまったようだ
ヒルデ:「リゼル?」
リラ:「これリゼルの食前酒でしょ? 間違って飲んじゃったのか」
リゼル:「タダの食前酒だよ。酒精も無いに等しい」
パローロ:「リゼル、盛った?」
パローロ:「あと酒飲みの”酒精が弱い”は当てにならない」
ヒルデ:*一瞬にしてリゼルに視線が集まる!
リゼル:「失敬な、そんなことをして私に何の得がある」
リラ:「機嫌を良くして、報酬を吊り上げようとか」
リゼル:「それじゃ冒険者じゃなくて悪徳商人だね」
リゼル:「あまり過去を話したがる性分のようには見受けられなかったが……酔っていらしたようだ」
パローロ:「まぁ、今日は疲れていたのかも」
リゼル:「元々襲撃を受けたばかりだしね、休息の必要はあった」
リゼル:「生きるための術が、いつしか彼そのものを形作るアイデンティティになった……これも巡り合わせかもしれないね」
アレックス:「どうすんだこれ? もう起きないんじゃねぇの?」
リラ:「僕が運ぼう。夜の鍛錬のついでにね」
アレックス:「英雄さまさまだな。助かる」
リラ:「睡眠が要らないってのは便利だよね」
リゼル:「リラ、鍛錬は良いけど程々にね」
リゼル:「明日は猛獣の巣穴でキノコ狩りだ。各自英気を養うように」
リゼル:「まあ、この料理があればその必要もないかもしれないけれどね」
ヒルデ:「……ふふ」*料理を口に運びながら
ヒルデ:「こんな美味いものが握り潰されたら、やっぱつまんないよ」
GM:では、キリの良い所まで話が転がったので次チャプターに移行します
2. レッドバジャーの巣穴
GM:◆描写◆
日の出前、キュイに起こされたPC達はショウロ村を出発する。
村の南西に広がる広葉樹の森は薄暗く、下草は朝露で濡れていた。
PC達はキュイの案内で森の中を進み、レッドバジャーの巣を探す。
レッドバジャーは最大で体長1.5m程に達する穴熊であり、この森一帯に生息している群れの巣穴がどこかにあるはずであった。
しばらく森の中を探索すると、崖の斜面に巣穴が口を開けている。
入口の直径は1.5mほどで、内部の通路も人間の大人が余裕をもって通れる程度の幅が確保されていた。
GM:ではここで、本シナリオで用いるダンジョン探索ルールを発表します
アレックス:なるほど。普段描写して処理してRPして~ってやってるのを省略してゲーム的な処理に絞った感じか
GM:YES。今回のダンジョンは部屋が多いし、ハズレの部屋もそこそこ用意してますからね。長引きすぎても疲れちゃうから!
パローロ:イベントと適用処理のセットって、具体的には?
GM:以下のような感じで作ってあります!
GM:こんな感じ ローグライクなイベント処理を簡単に定型化したものとお考えください!
パローロ:ふむふむ
パローロ:順当に行くならスカウトのどっちかが先頭ですかね
アレックス:その場合はガンナーが先頭というのも妙だし、姐さんは身のこなし軽いので姐さんに先頭立ってもらった方が良さそうですな
パローロ:アレックスを先頭に立てるのは変な話だな
パローロ:そうだね。先頭には私が立とう
ヒルデ:先頭で嗅いでいただいて
パローロ:私に着いてこい
GM:それじゃあPCのコマを使って……
GM:パローロ、リゼル、ヒルデ、リラ、アレックス こんな感じ?
ヒルデ:キュイさんを真ん中に挟もう
パローロ:先頭と最後尾をスカウトが警戒、リゼル、リラがそれぞれ補助、真ん中でヒルデがキュイの護衛
リラ:だね、後衛から来てもいいように一応、後ろ寄りに居る感じで
パローロ:綺麗な形に収まりましたね
GM:OK! それじゃあ探索スタートといこう
GM:まずは1の部屋から
リラ:よし! どんどん進もう
GM:OK~! では次の部屋に
GM:キュイが手にしていた通常サイズのマグノアブラックとは比べるべくもない濃厚な匂いが、巣穴の奥から立ち込めてくるようだ
パローロ:「……まだ入ったばかりだけど、もう奥からキノコの匂いがする」*鼻を鳴らして
リラ:「ここから既に漂ってるのか……それともパローロがすごいのか」
アレックス:「この感じなら、宝探しってほど過酷にはならなそうだな」
ヒルデ:「どんどん進もう!」
リゼル:「パローロ、目ぼしい経路はあるかい?」
パローロ:「方角的には、こっちの通路」*指さす
リゼル:じゃあ7の方角目指した方がいいか
アレックス:7異論なしですわ
ヒルデ:7おっけーです!
パローロ:そうですね、寄り道するなら別だが、7でいいかなと
リゼル:無論ローラーで全部しらみつぶしでも構わんが……
リゼル:何があるかわからんしね
リラ:だね!
GM:好奇心旺盛な若アナグマがカバンに飛びかかってきたが……!
GM:なんとか身を躱すことができた。アナグマはそそくさと別の穴に飛び込んでいった
アレックス:「っと! 随分小さいな」*身を翻す
リラ:「まだ成獣になってない個体ってとこかな」
ヒルデ:「良い勘してるね、アレックス」
アレックス:「アナグマの幼獣に勝っても嬉しくねえ」
パローロ:「アル坊の麝香が泥棒を引き寄せた……」
アレックス:「姐さん~」*へにょ
リラ:さて、順当にいけば次の進路は8か
リゼル:左上か、右上のどっちかが良さそうだね
パローロ:せっかくだし、6と9くらいなら寄り道しても良いかも?
リラ:だね
ヒルデ:ちょっと寄り道しちゃいますか
リゼル:そうね。6→9→10みたいな感じで大回りしてみるか
リゼル:じゃあまずは6行きます
GM:ヒルデが足を踏み入れた瞬間、床全体が崩落! PC達全員が下階層に落下した!
ヒルデ:「やっべ!」
リゼル:「うおっ」
パローロ:「わっ」
アレックス:「嘘だろ!?」
リラ:「崩落するっ!」
ヒルデ:どんがらがっしゃん……
GM:天井を突き破って降りてきたPC達に、成獣が警戒を向けている
GM:群れを守る役割を負う成獣達は後ろ足で立ち上がり、前足の長い鉤爪を構えながら唸り声を上げた。
リラ:魔物知識判定を振ってから選択しても?
GM:OK! 観察する時間はあるとしましょう
ヒルデ:「あ~……邪魔しちゃったか」
リゼル:「あのキノコは本目的の菌塊ではなさそうだね」
リゼル:「それでも、そこそこの値にはなりそうだけど」
キュイ:「あのサイズなら……最低でも300Gで買い取ってもらえると思います。いや、僕が買い取ります」
リラ:「リゼル、彼らと戦闘が発生したとして」
リラ:「回復のリソースは問題なさそう?」
リゼル:「うーん、微妙だな」
リゼル:「薬草は二束携行してるけど、少々心許ない」
リラ:「巣穴の最奥には、それなりに成獣と統率個体がいるかも」
リゼル:「それを考慮すると……不用意な手傷は負いたくないな」
GM:ふむ……では追加の判定を行いましょう
GM:魔物知識判定か、レンジャー観察判定パッケージで難易度11
GM:自然に関する知見という感じ
リゼル:「提案だが」
リゼル:「まずは目的の物を確保してから、というのはどうだろう?」
リラ:「だね。どうやら想定外のことが起きてそうだ」
パローロ:「想定外?」
パローロ:「……うーん、帰ってくる頃には、キノコは食べられてそうな気もするけど」
パローロ:「何かトラブルの予感? 二人がそう言うなら、先に進もう」
アレックス:「大物を手に入れないと話にならない、ってのはあるしな」
リゼル:「レッドバジャーは本来そこまで縄張り意識の強い個体じゃない、まあ幼体がいるのなら話は別だろうが」
リゼル:「それでもこの警戒具合。それだけの理由があるのかもしれない」
リゼル:「たとえば、本来こんなところに生息しえない凶暴な魔物が入り込んでいる……とかね。繁殖期というわけでもなさそうだし」
リラ:「そういうこと」
キュイ:「無用な消耗は避けた方が良い……ということですか」
リゼル:「それで気が立ってるなら、既に襲ってきているだろうしね」
アレックス:「そういうことなら、護衛対象も抱えたままじゃリスクが大きくなりすぎるな」*頷く
リゼル:「私はそう考えるが、どうする?」
アレックス:「俺も異論はないぜ」
ヒルデ:「……よかった」
パローロ:「ん、了解。先に進もう」
ヒルデ:「びっくりさせてごめんな~……」*バジャーたちに小声で告げる
GM:では、この部屋の処理に移ります
【処理】7,4,12,13のいずれかの部屋に進むこと
リゼル:13から……つまり、右上から左上にぐるっと回っていかない?
アレックス:せっかくだし、もうこうなったら色んなイベント踏んでみたいですね
パローロ:OK~!
ヒルデ:意義なーし!
リゼル:「なんだろうね、これ」*摘む
リゼル:「とりあえず持って帰ろう」
アレックス:「まあ使い道はあるんでないの?」
ヒルデ:「暗いところを照らす、とか?」
リラ:「変な草は口に入れるべきではないな」
リゼル:「まあいざとなればアレックスに食べさせてみればいいよ」
パローロ:「アル坊、頼んだ」
リゼル:「安心したまえ、私は神官だ。治療は請け負おう」
アレックス:「俺をなんだと思ってんだよ~!」
リゼル:次は12の部屋に行くか
アレックス:次は11一択かな
ヒルデ:まだゴールの部屋には辿り着かないか
GM:◆描写◆
PCは頭上から微かな物音を聞き取る。
低く地響きのような振動を伴うその音は、何か大型の生物が唸り声を上げながら土中を這いずっているかのようだ。
穴熊達の巣とは別に、この地中に別の生き物が居るのかもしれない。
アレックス:「……おい」*静かに上を見上げながら
リラ:「上?」
パローロ:「大きいね」
ヒルデ:「地響きが……なんだろ?」
リゼル:「これが、レッドバジャー達がピリついていた原因かもしれない」
リゼル:「まぁ、遭わないことを祈ろうじゃないか」
パローロ:それじゃあ10の部屋に移動!
パローロ:「これで……よし」*琥珀から取り出したマナをカード型に形成
リラ:*興味深そうにその様子を見ている
GM:それじゃあ、9の部屋ですね?
アレックス:Let’s Go~!
GM:では、次のチャプターに……
3. レッドバジャーの巣穴、最深部
GM:◆描写◆
PC達は巣穴の奥に続く通路を発見した。
灯りを頼りに最奥部へと進んでいくと、直径10m以上はあろうかという一際大きな空間が広がっている。
ここはレッドバジャーの巣穴の最も深いところに位置する部屋であり、壁際に顔を出した大きな木の根には、直径1mはある巨大な菌塊が生えていた。
周囲に漂う芳しい香りは、それが高度に発達を遂げた、最高級のマグノアブラックであることを示している。
キュイ:「あっ! ありました!」
キュイ:「大きい……!」*目を輝かせる
パローロ:「あれは、確かに立派だね」
ヒルデ:「うっわ、こりゃあ……素人目に見ても明らかに上物だ」
アレックス:「すげえ、全然違うな」
GM:しかし……PC達の頭上に響く地響きも、徐々にその勢いを強めていた
リゼル:「……どうやら、招かれざる客のようだな」
パローロ:「……ッ!」*フレイルの柄に手を伸ばす
GM:◆描写◆
――時間は数刻前へと遡る。
ショウロ村の南西に広がる森の入口に、大型の馬車が停められていた。
馬車の傍には数人のゴロツキ達が居並んでいる。
屈強な体つきに傷顔も多く、その風体は彼らが後ろ暗い稼業を営んでいることを明白に物語っていた。
馬車の中には、頑丈な鉄の檻が収められている。
檻の中の魔物は、時折喉を鳴らしながら静かに息を潜めていた。
ごろつき(小):「本当にこんなの役に立つんですかい?」
ごろつき(小):「図体ばかりデカくって、ノロマに見えやすが」
ごろつき(大):「あまり近寄るなよ。喰われても知らんぞ」
ごろつき(大):「この檻だってせいぜいが大型の畜獣用だ。こいつが暴れれば紙細工も同然だぞ」
ごろつき(小):「ぞっとしますぜ……」
ごろつき(大):「一番恐ろしいのは、商売仇がキノコを探して森の地下に潜ってる時に……」
ごろつき(大):「キノコが大好物の化け物を放つ、俺たちの雇い主だろ」
GM:◆描写◆
大男が檻の前で小さな革包を開く。
中身は“マグノアブラック”の小片であり、刻まれたキノコは独特の芳香を漂わせる。男は慎重に鉄檻から距離を取り、檻の前へとキノコを投げ放った。
その瞬間、鉄檻の扉を跳ね飛ばして中の魔物が外へと飛び出す。
魔物は空中でキノコを捉え飲み込むと、今度は地面に穴を掘り、瞬く間に地中へと潜っていった。
ごろつき(小):「ひっ!? なんて素早さだ……」
ごろつき(小):「好物の匂いを嗅ぎつけた途端にコレかよ!」
ごろつき(大):「悪いな、コボルドの料理人よ」
ごろつき(大):「手前がキノコを手に入れる前に……あの大食らいが食い尽くしちまうだろうぜ」
GM:◆描写◆
――場面は現在、レッドバジャーの巣の最奥部に辿り着いたPC達。
巣の奥からマグノアブラックの大菌塊を収穫するだけに思われたが……。
突如としてレッドバジャーの巣の天井が崩れ、眩しい光が差し込む。
姿を現したのは、滑らかな皮膚に骨質の頭部殻を備えた、蛇のような姿の大型亜竜であった。
亜竜は鼻を鳴らしながら周囲の様子を探っていたが、やがてマグノアブラックの大菌塊に気付くなり一呑みにしてしまった!
グリーンワイルム:「ググググ……ムシャ……ムシャ……ゴクン」
リラ:「デカい!?」
アレックス:「……おいおいおいおい!」*驚愕
ヒルデ:「あーっ!?」
パローロ:「キノコが!」
リゼル:「亜竜が……こんな町の近くに!?」
キュイ:「ぼ、僕の……料理が……!」*がっくりと膝をつく
グリーンワイルム:「スンスン……クンクン……」
グリーンワイルム:「……!」*顔をPC達の方に向ける
GM:◆描写◆
亜竜は満足そうに大菌塊を嚥下すると、今度はキュイに向き直った。
どうやらこの亜竜はキノコが大好物のようで、キノコ料理を得意とするキュイに染み付いた匂いに反応しているようだ。
全長7mはある巨躯のワイルムは低く喉を唸らせ、戦闘態勢に入った!
アレックス:「料理より先に、手前の命の心配をした方が良さそうだぜ」
ヒルデ:「そっちがその気ならッ……」
パローロ:「来る、ね」*構える
リラ:「まだ消化は始まってない……はず!」
リゼル:「やるべきことは二つだ、みんな分かっているね?」
リゼル:「一つ、あの亜竜を撃退して依頼人の安全を確保する」
リゼル:「二つ、手早く解体して消化、汚染される前にキノコを取り出す」
リゼル:「まあ、後者に関しては出来るかわからないけどね!」
ヒルデ:「……なんとかなれ、ってことね!」*異貌発動しつつ
パローロ:『やってやれない事はない』*獣変貌しつつ
アレックス:「報酬が減るのは御免だからな!」
リラ:「いいじゃないか。やるだけやってみよう!」*剣を抜く
GM:天井が崩れ、光の差す森の洞穴でPC達と地竜が向かい合う。
地竜は喉を鳴らし、全身を硬直させいつでも飛びかかれる状態だ。
体長7mはあろうかという地竜を前に、PC達はそれぞれの武器を構えた!
4. VS! 地竜、グリーンワイルム
4-1. 第1ラウンド
GM:それでは戦闘を開始します。
エネミー陣営は「グリーンワイルム」*1
GM:まず戦闘準備! 武器の装備および効果があれば宣言をお願いします
リゼル:ヘビーメイス装備!
アレックス:テンペスト装備で!
ヒルデ:モールを装備!
リラ:魔物知識してから装備選べますか?
GM:第二戦闘準備を採用しよう!
リラ:わ~い!
GM:ではリラさんは未定のまま魔物知識判定!
GM:クリティカル攻撃を叩き込むと、次撃が通りやすくなるってわけです
リラ:なるほど、理解しました
パローロ:つまり、クリティカル狙いの人間は頭を狙えというわけか
アレックス:ふむふむ
リゼル:ただ、胴体破壊しない限り回避に補正入るからねえ
GM:そうなんですな~
GM:コア部位自体は頭だが、頭に的確に攻撃を当てられるかは別の話だ
リゼル:尻尾も残ってる限り薙ぎ払いしてくるから、とりあえず一部位ずつ潰していきたいところ
アレックス:前衛多いのもあって尻尾はかなり脅威ですね
リゼル:でも、防護点についてはマギシューなら抜けるわけだし
リゼル:アレックスは積極的に頭を狙いに行くのもアリか
リラ:だね。
GM:それでは第二戦闘準備に!
リラ:カイトシールドとロングソードを装備!
GM:それでは……先制判定のお時間! 目標値は11 結構遅いよ
GM:アレックスはポケットから小さな黒い塊を取り出し、指で明後日の方向に弾き飛ばした!
それは巣の中を探索する際、何かに使えるかもと拾っておいたマグノアブラックの小塊である。
GM:ワイルムが思わず小塊に飛びついた瞬間、パローロが突進、他のPC達も後に続く!
GM:第一ラウンド開始!
ヒルデ:エンチャント・ウェポン使いたいのでこのターンは接敵しません
リラ:なら、先に動いても良いかも?
リゼル:僕もへそからライトニング撃つんでお先にどうぞ
GM:アレックスさんが頭を撃ってみて、その結果見て動くのはどうです?
GM:アレックスさんが頭にクリティカルを見舞ってくれれば、前衛が殴りかかるのも現実的になりますね!
アレックス:やるだけやってみますか
アレックス:では手番貰って! 補助動作で武器をロングバレルに持ち替え
アレックス:更に【ターゲットサイト】【クリティカルバレット】を起動!
アレックス:頭部に射撃!
GM:突破口を開こうとアレックスがロングバレルで素早く狙いをつけ、弾丸を放つ! しかし、ワイルムは強固な頭部甲殻の曲面で弾丸を弾いた!
アレックス:「この図体でそんなうまく動くのかよっ!」
グリーンワイルム:「グォォォォォオン!!」
グリーンワイルム:*PC達を”餌”から”抵抗する餌”に認識を改めた
リゼル:「あの頭の殻は伊達じゃないな、まったく」
パローロ:「厄介……!」
リラ:「順当に下から削るぞ!」
リゼル:「アレックスの弾丸ならあの頭蓋も貫けそうだ。我々はその手助けをするべきかな」
リゼル:次手番もらおう 「覇者のバックル」を使う
リゼル:バックルの効果で【ライトニング】を発動! 目標は頭部!
GM:リゼルのバックルから稲妻が迸る!
しかし、ワイルムは忌々しそうに頭を振り、甚大な生命力を誇示するかのように再び鎌首をもたげた!
リゼル:「あまり効いていないようだな」
ヒルデ:「こりゃ一筋縄じゃいかないねぇ!」
パローロ:「下から順番に、だね」
ヒルデ:では手番もらいます! バフに使わせてもらう
ヒルデ:主動作、【エンチャント・ウェポン】発動!
GM:ヒルデは自身のマナを出力し、モールの鎚頭に漂わせる!
武器の強度、衝撃力を僅かに上昇させる、操霊魔法の基礎術の一つだ。
パローロ:では次、手番いただきたく!
パローロ:補助動作で練技【キャッツアイ】を起動、移動して尻尾に攻撃!
GM:パローロが飛びかかるがワイルムは尻尾をうねらせ、逆にパローロを牽制してのける!
パローロ:『近づきにくい……厄介』
リラ:では最後手番もらいます!
リラ:自分も練技【キャッツアイ】を起動して尻尾に斬りかかる!
リラ:《必殺攻撃》を宣言します!
リラ:「ここッ!」
GM:パローロの作った隙を突くようにリラが踏み込み、ロングソードを振り抜く! しなやかな皮膚に覆われるのみの尻尾を剣先が切り裂き、ワイルムが唸り声をあげる!
GM:それではワイルムの手番!
GM:まずは尻尾から!
GM:《テイルスイープ》宣言、近づいてきたリラとパローロを同時攻撃!
GM:ワイルムの振るう丸太の如き尻尾がしなり、盾で受け止めたリラの身体を横薙ぎに払いのける!
リラ:「ぐう……っ!」*盾で受けながら踏ん張る!
GM:そして胴体!
GM:ここは……パローロ狙いで行こう
GM:《全力攻撃》を宣言だ!
GM:大きく後退したリラにパローロが注意を向けた瞬間! 時間差で胴体が大きく跳ね上がり、パローロの身体を強く打ち付ける!
パローロ:『間合いが測りにくい……ッ!』*息を整えながら
GM:そして頭!
GM:「土のブレス」の能力を使用!
GM:生命抵抗/半減、射程10mで1体に土属性魔法ダメージを与えるぞ!
GM:狙いはヒルデ!
GM:攻撃しながらワイルムは大きく息を吸い込む!
柔らかな腹部が膨らみ、次の瞬間大量の土砂と共に呼気を噴出した!
ヒルデは身体の前にモールを構えるが、じわじわと体力を削られていく!
ヒルデ:「なっ……んだこれ! 土!?」*大量の土砂礫が叩き付けられる
リラ:「土中を掘り進む際に飲み込んだ砂や小石を、馬鹿みたいな肺活量で噴き出したのか!?」
GM:それでは第二ラウンド、開始!
4-2. 第2ラウンド
リゼル:回復したいが、ここに留まり続けるとHPの減った3人がターゲットになり続けてより危険だと思う……ので前に出よう
リゼル:手番をもらう。乱戦エリアに侵入し、胴体を対象に《魔力撃》で近接攻撃だ
GM:ブレスはこのラウンド飛んでこないからね! 賢明な判断だ
GM:甲殻に覆われてない皮膚を殴ったはずなのに、まるで巨木を叩いたかのような衝撃が手に伝わってくる!
土中を掘り進むワイルムの筋肉は、極めて強靭な肉の鎧でもある。
しかし、魔力を込めた衝撃は相当のものだったらしくワイルムも堪らず咆哮を上げる! PC達を、"餌"から"敵"へ認識を改めたようだ。
リゼル:「うお、硬いな……」*反動で手が少し痺れる
パローロ:かいくぐり溜まってるし、やらせていただこう!
パローロ:このパローロ、容赦せん! 宣言はなしで胴体に攻撃!
GM:パローロの一撃がさらに胴体を叩く! ワイルムの身体が揺れ、動きがさらに鈍る!
リゼル:「削れてはいる…がまだ余裕がありそうだ、まったく!」
リラ:「潰していくしかないな」
パローロ:『……ッ! 硬い!』
アレックス:「こっちも粘るしかないやつだろ、これは!」
ヒルデ:「ぶん殴ってやるッ!」
ヒルデ:手番貰います! 補助動作で練技【マッスルベアー】【キャッツアイ】を起動! 【エンチャント・ウェポン】と合わせてダメージバフは+3!
更に移動で乱戦エリアに突入し、《斬り返し》を宣言して胴体に攻撃!
GM:ヒルデの槌鉾がさらなる衝撃をワイルムに加える! 胴体が大きく揺らぎ、そこに隙が生まれる!
ヒルデ:「こんなろーーー!!」*モールの鎚頭でゴンッ!
ヒルデ:「アレックス! 叩き込め!」
アレックス:「わーってる!」*デリンジャー仕舞い
アレックス:では手番もらいます! 制限移動で3m下がって距離を取る!
アレックス:そして武器をテンペストに切り替え! 【ソリッド・バレット】を起動! 主動作で《牽制攻撃》を宣言し、胴体を撃ちます!
GM:大きく怯んだワイルムの胴体を、アレックスの放った弾丸が抉る!
アレックス:「っ、入った!」
アレックス:「押し込め、英雄サマ!」
リラ:いくぜ! 胴体に《必殺攻撃》!
GM:アレックスが抉った傷を見逃さず、リラがそこに剣を突き立てる!
正確無比な剣筋がワイルムの胴を切り裂き、重傷を負わせる!
リラ:「腱を斬った! そら、頭が下がるぞ!」
グリーンワイルム:「グゥオオオオオン!!」*悶絶し、叫び声をあげる!
グリーンワイルム:*怒ったように頭部を地面に下ろし、牙をガチガチと鳴らして威嚇
パローロ:『流石。後は、その頭蓋をたたき割るだけ……!』
GM:頭部は初期防護点10点だ そうそうやられんぜ!
GM:それではワイルムの手番、いきます!
GM:回復しなかったことを後悔させてやる!
パローロ:胴体がなくなって、多少楽にはなるはずだが……
GM:まずは頭部! リラに噛み付き攻撃!
GM:グリーンワイルムの頭部がリラに襲い掛かる! 大きな顎で加え込み、そのまま壁に叩きつけようとするが……その前にリラが首筋に剣を突き立て、拘束から逃れた! って感じか
リラ:「ふう、そう簡単にはいかんぞ」*剣を構えなおす
GM:テイルスイープは連続使用できない。ランダムに一人選ぶぞ
GM:パローロに尻尾攻撃だ!
GM:ワイルム、今度はパローロに尻尾を打ち下ろす! 直撃は避けたものの、地面から飛びあがる岩礫が脇腹に激突!
パローロ:『がふっ……!』*肺から空気が絞り出される
リゼル:そろそろ回復しないと死人が出るな
4-3. 第3ラウンド
リゼル:それじゃ私から 回復します。
リゼル:主動作で《魔法拡大/数》を宣言。魔法対象を3人に増やす。
リゼル:使う魔法は【キュア・ウーンズ】 これをパローロ、リラ、ヒルデに使おう
アレックス:手番貰います!
アレックス:再び3m前進してデリンジャーを抜く!
アレックス:大ダメージを狙うより……無難に当ててクリティカルで防護点を剥がす!
アレックス:補助動作で【ターゲットサイト】【クリティカル・バレット】発動!
アレックス:「そら、こっちだ!」*デリンジャー抜き撃ち!
GM:アレックスは懐から小型拳銃を取り出し、よく狙って頭に発射!
派手な威力は出ないが、堅実にワイルムの頭部にダメージを与えていく!
アレックス:「くそ、入射角が甘いな……!」
グリーンワイルム:「グルルルルル!」*痒そうに頭を振り、唸る!
リラ:次、手番貰います! 補助動作でロングソードを納刀!
リラ:そして《ディフェンススタンス》を宣言! 回避重視で!
リラ:そしてヘビーマレットを装備!
リラ:頭を狙ってヘビーマレットでブッ叩く!
パローロ:次、手番貰います!
パローロ:まずは補助動作で賦術【ヒールスプレー】を発動! Aランクのカードで自分を治療する。 HP30代まで回復だ
パローロ:次に頭部を攻撃! 《必殺攻撃》も宣言します。
グリーンワイルム:・刻まれる傷:「部位:頭部」がクリティカルによるダメージを受けた時、1回転ごとに2点、ダメージ処理後に「部位:頭部」の防護点を減少させる。この効果は戦闘終了時まで継続する。
GM:頭部の防護点が8点になるッ!
パローロ:回転は回転! 防護点が削れたのはでかいぞ!
アレックス:光明が見えてきた!
リラ:良い感じよ!
GM:パローロが棍を振り回し、ワイルムの頭部に渾身の一撃を叩き込む!
甲高い音が鳴り、ワイルムの骨質甲殻に亀裂が走った!
パローロ:『フッ……!』*手応えあり
ヒルデ:「割った!」
ヒルデ:続きます! ここは《全力攻撃》で固定値上げて押していく!
GM:ヒルデがモールを構え、全力で攻撃を叩き込む!
しかし、致命的な威力を察知したワイルムは素早く頭を引き、回避する!
ヒルデ:「鋭いねえ! 食らったらタダじゃすまないぜ!」*構えなおす!
GM:それではワイルムのターンだ!
GM:まずは尻尾から! 《テイルスイープ》で隣接してるリラ、パローロ、ヒルデ、リゼルを攻撃だ!
リラ:ウォォォォォ!
リゼル:かかってこい
パローロ:いくぞーっ!
アレックス:避けてーっ!!
GM:そして頭部!
GM:さっきから目障りな遠距離攻撃をしてくる奴がいるらしいな~!
GM:デリンジャーの間合いに踏み込んできたことを後悔するがいい!
GM:アレックスに土のブレスで攻撃!!
ヒルデ:「アレックス!」
アレックス:「……!」
GM:ワイルムが息を吸い込み、石礫を含んだブレスをアレックスに放つ!
咄嗟に横に飛んだアレックスだが、容赦ない威力にズタボロになる!
アレックス:「(咄嗟に口は閉じたが、これやべぇ……)」*ボロ……
GM:さて、それでは第四ラウンド!
4-4. 第4ラウンド
リゼル:「皆、生きてるか?」
リラ:「余裕!」
アレックス:「こっちも大丈夫だ、いける……!」*必死で立ちながら
パローロ:『大丈夫……!』*ぜえぜえ
ヒルデに:「生きてるんならよし! 無理すんなよ!」*アレックスに
アレックス:「るせぇ……自分の心配しとけ!」
リゼル:「よし。しばらく構ってやれないから気合で避けなさい」
リゼル:手番をもらって、ワイルムに【バインディング・ソーン】!
GM:来たなぁ!! インチキ神聖魔法!!
リゼル:対象が「1体X」なので消費MPも10か
リゼル:まあ10点分の魔晶石はこないだ買ったし……使うか
パローロ:ご、豪快……
アレックス:対応の幅が広がる……!
リゼル:あばよ、2000ガメル……
リゼル:2000ガメル!? たっけ、バカじゃねえの
アレックス:そんなに?!
パローロ:やばすぎ……
GM:リゼルの言ってた「換金可能な形で手元に置いてる」これのこと!?
リラ:高いんだよな
ヒルデ:やっぱ世の中は金なんだァ……
パローロ:割りに……合わなくないですか?
パローロ:す、すげぇ~……!
アレックス:これが覚悟
リゼル:まあ俺はエーテルもガンガン使うタイプのプレイヤーだ
リゼル:魔晶石10点分を使って使用!
GM:リゼルは聖印に軽く手を添え、樹神・ダリオンへの祈りを唱えた。
詠唱の後、リゼルは両手で構えたメイスを地面に突き立てる!
メイスの触れた地点からマナの蔦が無数に伸び、ワイルムの動きを拘束していく!
地竜の剛力が蔦を引きちぎるが、蔦が繁茂する速度がそれを上回る。
PC達が攻撃を叩き込むにはまたとない好機だ!
リゼル:「ダリオン神の加護も、自然環境の中だと一段と強まるね!」
リゼル:「今のうちに畳みかけてくれ!」
リラ:手番もらいます!
リラ:ヘビーマレットを捨て、再びロングソードを抜く!
リラ:更に盾を手放し、ロングソードを2Hに変更! 威力上昇だ
リラ:続けて効果の切れた練技【キャッツアイ】を再起動! 主動作で頭部に《必殺攻撃》!
GM:盾を捨て、リラは両手でロングソードを構える! 距離を詰め、一気に剣を振り下ろす、が! 暴れまわるワイルムの尾を運悪く真正面から受け、攻撃は失敗!
リラ:「げっ、弾かれた! 後詰めお願い!」
パローロ:『任せろ!』
パローロ:私もバックラーを捨てる! フレイルを両手持ちして……
パローロ:更に補助動作で練技【キャッツアイ】【マッスルベアー】発動!
パローロ:重ねて賦術【クリティカルレイ】を発動!
パローロ:主動作で《必殺攻撃》を……頭部に叩き込む!
GM:弾き返されたリラとすれ違うようにして、パローロが突進!
片手のバックラーを手放し、長柄のフレイルを両手でしっかりと握り込む!
暴れまわる尻尾と胴体を躱し、崩れた壁を蹴ってワイルムの頭部へと飛びかかる! 跳躍の回転と全身のバネを使って渾身の一打を叩き込んだ!
パローロ:『ありがとう、リラ……道を開けてくれて!』
GM:骨と棍が衝突する音が響き、その衝撃はワイルムの小さな脳を激しく揺さぶる。巨大な地竜が咆哮と共にその身体を痙攣させ、激しく周囲の地面に頭を激突させる。
しばらく地竜はのたうち回ったあと、やがて完全に動かなくなった。
5. 新たな食材
ヒルデ:「……やっ、た?」
アレックス:「……ん、とかなった~!」*ごろりとその場に転がる
パローロ:「……今回も、疲れた」*変貌を解いて
リラ:「まだ終わっていないぞ」
リゼル:「さて、キノコは無事かな」*あまり期待していないが
アレックス:「もう無理だ~立てねえ~……」
リゼル:「仕方ないな。先に手当するか」
リラ:「じゃあこっちでキノコの確認を進めるか」*腹を触診
ヒルデ:「手伝うよ! ……おりゃ!」
ヒルデ:*動かないワイルムを解体しやすいように伸ばす
ヒルデ:「でっか! 重た~!」
パローロ:「ヒルデ、相変わらずパワフルだね」*手伝いながら
リラ:「それじゃあ試しに、胃袋のあたりを掻っ捌いてみるか」*剣を突き立てる
GM:なるほど。生物に対する知見(セージ)のあるリラさんなら確認できますね。キノコは完全に咀嚼されていて、とてもではないが料理に使える状態ではありません
アレックス:ありゃ
パローロ:まぁ、そりゃそうか
リラ:おのれドンドジール
リラ:「うーん、消化はされてないけど、しっかり咀嚼されてる。料理に使える状態じゃなさそうだ」*胃袋の中身を検めて
GM:しかし、リラさんは解体の途中で気付くことになるでしょう。
キノコを大好物とする大食漢のこのワイルムの肉には、芳醇なマグノアブラックの香りがしっかりと蓄積されていることに……!
キュイ:「やっぱりキノコは無事じゃない……ですよね」
リゼル:「やはり無理か……」*どうしたものか、と言いたげ
リラ:「あぁ、無事じゃなかったよ……キノコは」
アレックス:「あぁ? そりゃどういうこったよ」
リラ:「これはグリーンワイルムの肉だ」*胃袋近くの肉を切り出す
パローロ:「うっ……臭いがキツい」
ヒルデ:「……? この臭い、もしかして」
リラ:「そう、これはグリーンワイルムの肉だ。大好物のマグノアブラックを大量に食べ続けた、ね」
キュイ:「……!」
キュイ:「この肉と思えない芳醇な香りの正体は、ワイルムの肉に蓄積されたキノコの成分!」
ヒルデ:「誰も見たことのない食材……いけるよ、キュイ!」
リラ:「まさに最高の珍味だね」
キュイ:「これなら、なんとかなるかも!」
ヒルデ:「あんだけ手強かったんだ、間違いなく最高の肉だよ!」
アレックス:「だけどよ……これ、どうやって上まで引き上げんだ?」
リゼル:「リラの剣で切り刻むとか?」
リラ:「この気候じゃマグノアに運ぶまでに傷んじゃうと思う」
ヒルデ:「こいつが掘り崩してきたおかげで天井は開いてるけど……」
パローロ:「私たちだけなら、壁伝いにすぐ登れるんだけどね」
キュイ:「なんとか……なるかも」
ヒルデ:「!?」
キュイ:「杭とロープならあります。あと、私の荷馬車に滑車も」
キュイ:「馬車が横転した時のための備えでしたが……まさか、こんなことの役に立つとは」
リゼル:「素晴らしい。……アレックス、パローロと一緒にこの縦穴を上って、滑車を組み上げられるかい?」
アレックス:「わーったよ。滑車は2個使わせてもらうぜ」
パローロ:「枠組みも組まないとね。作図は任せた」*アレックスに
リゼル:「リラとヒルデと私は、この地竜を引き上げるための杭打ちとロープ作業だな。甲殻に杭を打ち込んでロープを結び、引き上げた際にずれないようにしよう」
ヒルデ:「任せとけ!」
リラ:「合点!」
GM:◆描写◆
PC達は手分けしてワイルムを穴から引き上げる作業を始める。
ワイルムの甲殻に杭を打ち込み、穴の縁に木材を使って枠を組み上げる。
杭にロープを括り付けた後、滑車を使ってPC達は数百kgあるワイルムの身体を穴の底から引き上げたのだった。
作業には丸一日を要し、作業が終わった頃には首都マグノアで御前料理大会が開かれる前日となっていた。
PC達は急ぎ、荷馬車にワイルムの骸を積み込むと首都マグノアへの街道を急いだのでであった。
6. マグノア御前料理大会
GM:◆描写◆
ドーデン地方、マグノア草原国。
地方中東部に広がる《フィノア草原》に点在する農村を束ねる、地方随一の農産国家である。
首都は草原北部にある城塞都市であり、王宮前の広場には地方各地から腕に覚えのある料理人達が集まっていた。広場には所狭しと調理器具や屋外窯が設置され、料理のための設備が整えられている。
今日は数年に一度開かれる、草原国を挙げての一大行事「マグノア御前料理大会」の日だ。
GM:広場から少し離れた天幕には、大臣や王宮付の賢者など王宮関係者達の席が並んでいる。
その中央部に座っているのは、草原国の国家元首たる“馬に乗れぬ”アミード・トゥバンである。
大臣:「国王、まだ実食審査までには時間がありますぞ」
大臣:「まだ部屋で休まれていても……」
大臣:「調理こそ始まりましたが、まだ皿はできあがりますまい」
道化:「オイオイ、大臣サマの鼻は飾り物ですかい?」
道化:「この広場いっぱいに漂う美食の香り!」
道化:「穏やかな風と暖かな日差しを添えて、極上の前菜ってやつですぜ。ティダンの鼻息にかけて!」
アミード:「ふん、道化が嘯きおるわ。だが、余の言いたいことはそういうことだ」
アミード:「大臣よ、余はこの席で暫し、日光浴に興じようぞ」
道化:「俺っちも興じようぞ。ただ早く飯にありつけないと……腹の虫が一曲歌っちまいますぜ」
道化:*リュートを取り出し、間抜けな旋律を奏で始める
道化:*ポヘ~
アミード:「(さて……此度こそ、我が料理本に記す価値のある料理と巡り合えるだろうか……)」
アミード:「……む」*聴衆の一角がガヤガヤと騒がしいことに気付く
アミード:「誰ぞ、目を惹く食材を持ち込んできたか?」
GM:では場面変わってPC達
GM:◆描写◆
観衆から奇異の目を惹きつつ、PC達はワイルムの骸を乗せた荷車を伴って王宮前広場へと到着する。
係員にキュイが参加証を見せると、広場に並ぶ調理場の一角へ案内された
キュイは木版に記したワイルムの全体図に、素早く部位ごとの切り分けについて描き込んでいく。
キュイ:「私一人だけでは、あの地竜を解体し捌くことはできない」
キュイ:「《風の廻り道》の皆さん。最後のお願いです。この食材を捌くのを手伝って下さい!」
リラ:「いいよ、面白そうだ!」
ヒルデ:「まっかせて!」*腕を叩いて
パローロ:「ん、頑張る」
リゼル:「ここまで来たのだしね」
アレックス:「時間ねえんだろ、早く指示しろよ」*腕を捲くる
GM:判定成否があるわけではないですが、ここで最後の判定を。
スカウト or レンジャーの技巧判定、または-2の修正を付けた命中判定を行います。達成値の高い人から、シナリオ最後に提示される報酬リストの選択権がある……ということで。
アレックス:なるほど!
GM:◆描写◆
大型の牛刀を構えたキュイとPC達がワイルムの肉を切り捌く。
甲殻を剥ぎ、鱗を削ぎ落し、強靭な皮を切り裂いて弾力ある肉へと至る。
強固な組織を持つ地竜の皮膚構造とキュイの防腐処理の作用により、肉は殆ど腐敗していない。
程なくして、巨大なワイルムの骸は食肉部・内臓肉・その他の部位へと解体されていった。
GM:◆描写◆
捌かれたワイルムの肉を、キュイが更に手際よく切り分けていく。
その肉からは仄かにキノコの香りが漂っており、地竜が喰らい続けたキノコの成分が肉に染み渡っていることを確信させる。
キュイは強靭な筋力を持つ首背肉、脂の乗った腹肉、歯ごたえと柔らかさを併せ持つ舌肉に分けて肉を切り出すと、フライパンや窯を使って料理を作り始めた。
キュイは馬車に積んでいた様々なスパイスを駆使し、肉の臭みやクセを適度に抜きながら脂の旨味とキノコの香りを活かし、その味を最大限に引き出していく。瞬く間に料理の皿が出来上がっていった。
既に料理の大枠は完成し、あとは審査員の実食タイミングに合わせて提供するのを待つのみとなる。
アレックス:「……美味そうじゃねぇか」*匂いが漂ってくる
リゼル:「ふう、これで仕事は殆ど終わりか」
GM:◆描写◆
キュイが料理を作り終えるのと同時に、広場に設置された大銅鑼が鳴る。
どうやら審査員達による審査が始まるようだ。
多くの料理人達が審査を受け、係の者が最後にキュイの名前を呼ぶ。
彼は料理が冷めないように、注意深く皿を審査員達の下へ運んで行った。
最後にキュイは、アナグマの巣穴から持ち帰ってきた“マグノアブラック”の小片をナイフで薄削ぎにして料理に添えた。
アミード:「……ほう。これは?」
キュイ:「“緑地竜の三種香草肉料理、マグノアブラックの薄切りを添えて”です」
アミード:「ほう……! 地竜料理とは珍しい」
アミード:「だが……珍味などこの世界にはありふれておる。肝心なのは味だ。どれ……」*料理を口に運ぶ
アミード:「……!」
アミード:「……く、くくく。ぐわはははははは!!」*静かに口を拭ったあと、テーブルごと揺らす勢いで笑い始める
アレックス:「なんだ!?」
パローロ:「キノコの作用?」
アミード:「余の治めるマグノアはドーデン地方でも比較的温暖。亜竜の生息数も中々に多い」
アミード:「だがしかし!」
アミード:「キノコ喰らいの地竜の肉が、こんなにも”合う”とはな……」
アミード:「ただキノコの味の染みた地竜肉というだけではない」
アミード:「亜竜肉の持つ独特の臭みを上手く消しつつ、キノコの風味は引き立てる。野趣あふれる肉の脂はできるだけ活かし、しかししつこさを感じさせぬ味付け」
アミード:「この正確無比な調味技術……まさにコボルド料理の神髄よ」*語り終えると素早く次の肉料理を平らげる
アミード:「うむ……うむ! 美味い!」
大臣:「これほどまでの料理に出会ったのは何時ぶりか……他の審査員たちも、文句ありますまいな!」
道化:「赤ワインが欲しくなるな……」*王の料理の残りをつついている
GM:◆描写◆
アミード達がキュイの料理を評価している最中、聴衆達を押しのけて一人の太った男が審査員席に近づいてきた。
豪奢な衣服に身を包んだ男の出で立ちは、料理人には見えない。
周囲の聴衆達の反応を見るに、この男がマグノアに大料亭を構える事業主のドンドジールらしい。
ドンドジールは油で撫でつけた髪をしきりに触りながら、キュイを指さしアミードへと訴えかけた。
リゼル:「む……あれが例の料亭主とやらか」
アレックス:「面倒はごめんだぜ」*嫌そうな顔
ドンドジール:「ちょ、ちょっと待ってくださいよ陛下!」
ドンドジール:「その食材を、こいつに手に入れられるわけがねぇんだ!」
ドンドジール:「こいつはとんだ畜生ですぜ!」*突然キュイに詰め寄る
キュイ:「なっ……!」
GM:ドンドジールは乱暴にキュイのフードを掴み、コボルドの姿を衆目に晒させた! 聴衆の間に微かなどよめきが走り、キュイは弁解することもできず項垂れてしまう。
パローロ:「……っ! アイツ」
リラ:「この場であそこまで直接的な乱暴を働くとは」
リゼル:「非常識過ぎて割り込む暇もないね」*苦々
ドンドジール:「この薄汚い毛まみれの妖魔が陛下に料理を献上すること自体、おこがましいぜッ!」
ドンドジール:「恥を知りやがれ、この妖魔が!」
アミード:「……食材が、どうかしたのか?」*口を拭いて訊ねる
ドンドジール:「あ、あぁ、そうです! この妖魔はとんだ盗人なのです! 陛下が今お召し上がりになっている料理に使われたのは……私の店から盗まれた食材を使ったものだ!」
GM:ドンドジールはわざと大声を張り上げる。聴衆のどよめきが段々と大きくなり、周囲には刺々しい空気が流れ始めた。
ドンドジール:「私の店から数日前、料理に使うために仕入れたキノコ好きのグリーンワイルムが盗まれましてね!」
ドンドジール:「衛兵達に盗難届の書類も出してたんですぜ! それがこんなところで出てくるなんて!」
キュイ:「そ、そんな! これはショウロ村で遭遇した個体だ……野生ワイルムでは……!?」
ドンドジール:「言うに事を欠いて野生だァ~!?」
リゼル:「つまるところ」
ドンドジール:「あぁん!?」
リゼル:「誰かがワイルムをショウロ村の森に放った、ということですか」
リラ:「僕たちは依頼人と一緒に行動していた。依頼人はすぐにこの街を出てショウロ村に向かったし、盗んでる暇なんてなかったよ」
ドンドジール:「へっ、貧乏人の冒険者なんて信用するかよ! 口裏合わせてんだろ」
リラ:「だとしても、わざわざ森まで行く理由がない」
ドンドジール:「森でキノコを喰わせるためとかよぉ、幾らでもやる理由はあんだろうが!」
リゼル:「(……凄いな。全部自白する気か?)」
ヒルデ:「飼っていた、なんて言うけどさ」
ヒルデ:「アレどうやって飼ってたの。私たちが5人がかりで、やっとの思いで仕留めたあのデカい地竜を」
ドンドジール:「あ、いや……それはだな。うまく餌付けしてだ」
ヒルデ:「へぇ、餌付けねぇ」*信用してない
ドンドジール:「俺もいずれ、うちの店で同じアイデアの料理を出すつもりだったんだ」
ドンドジール:「だからこれはアイデアの盗用みてぇなもんでもある!」
リゼル:「つまり、貴方はこう仰るわけだ」
リゼル:「街の中で、家畜化されてもいない亜竜を、うまく餌付けして」
リゼル:「それをどこからか嗅ぎ付けたキュイ氏が」
リゼル:「誰にもバレないように我々を雇い、亜竜を檻ごと外に運び出し」
リゼル:「まるでつい昨日仕留めたように振舞ってこの大会に持ち込み」
リゼル:「今ここでこうして調理した……と?」
ドンドジール:「え、あ、そ、そうだ……そう言ってんだ……」*途中から自分でも無茶な主張をしていることに気付く
アミード:「……」*天幕に設けられた専用席から話を聞いている
リゼル:「加えて、我々《風の廻り道》は報酬のためかキュイ氏への義理立てかはともかくとして」
リゼル:「虚偽の証言をしている、と?」
リゼル:「ほほう、なるほどなるほど」
ドンドジール:「う……ぼ、冒険者の言うことなんて、誰が信じるかよ!」
アミード:「もうよい、ドンドジール」
ドンドジール:「へ……陛下ッ!?」*媚びるように振り向く
アミード:「……大臣! 始めよ」*面倒くさそうに手を打ち鳴らす
大臣:「はッ!」
GM:◆描写◆
大臣が合図すると、マグノア王宮の衛兵部隊が縄で縛られたごろつき達を伴って審査員席の近くに現れる。
キュイや聴衆達は突然の事態に戸惑い、ただ王の振舞いを見守っていた。
ヒルデ:「なんだなんだ!?」
リゼル:「……これはまた、人の悪い」
パローロ:「どういうこと?」
リゼル:「既に調べはついていた、ってことだろ」
リラ:「つまり、この場は最初から彼の沙汰を決めるものだったわけだ」
アレックス:「ビビらせやがって」
大臣:「昨晩、衛兵局に数人の……盗賊を名乗る男たちが現れてな」
大臣:「その首領、棍棒を担いだ大男が、ショウロ村の近くに危険な亜竜を放とうとしている同業者が居る……と証言したんだ」
大臣:「詳しく調べ上げる前に、彼らは馬を駆って逃げていったがね」
リゼル:「変なところで潔いなあ」*苦笑
リゼル:「ヒルデのゲンコツが効いたのかもしれないね」
ヒルデ:「えっ、もしかしてあいつら!?」*道中で伸した連中!?
アレックス:「わかんねぇもんだな」
パローロ:「案外、義理堅いね」
リラ:「ちょっと見直したよ」
大臣:「我々としても調べないわけにはいかない。衛兵数名で向かったよ」
大臣:「檻にはご丁寧に《金の卓布》亭の紋章まで彫ってある。彼らにはしっかりと関係性を白状してもらったよ」
リゼル:「私が言うのもなんだが」
リゼル:「悪事に慣れていなさすぎないか?」*ドンドジールに
ドンドジール:「なっ……!」
リゼル:「まあ、慣れていないから加減が分からなかったんだろうが……」
リゼル:「私たちが対処しなかったら、どうするつもりだったんだ?」
ドンドジール:「……く、クソッ! だから何だってんだ!」
ドンドジール:「この妖魔が陛下に料理を振舞う! それそのものが看過できねぇ大罪だ!」
アレックス:「」*ピクリ、と眉を吊り上げる
ドンドジール:「妖魔の作った飯なんて安心して食えるか! 陛下にそんなもの食わせるわけにはいかねぇ! 俺なりにこの国を思って……」
リラ:「それを決めるのは君じゃないだろ」
リゼル:「『俺はそう思う』を『世の常識』とすり替えるのはよくないな」
リゼル:「なにより」
リゼル:「本気でそう思っているなら、こんな姑息な妨害ではなく、もっとわかりやすく公表していなければおかしい」
ドンドジール:「むぐぐぐ……っ!」
リゼル:「結局、"後ろ暗い事情がある"と自分で白状しているに等しいじゃないか」
アミード:「そこの神官の言う通りだ。余の言いたいことはそれだ、ドンドジールよ」
アミード:「貴様が悪どい商売をやろうとそれは商売の範疇」
アミード:「法の目を掻い潜る内はある程度多めに見てやったが……」
アミード:「此度の醜態は目に余る。貴様に料理人の才がないのは理解しておるが、せめて自分の店の料理人を使って料理の土俵に立て」
アミード:*やおら簡易王座から立ち上がる
ドンドジール:「ひっ!?」*巨漢の王に気圧される
アミード:「貴様はしきりにキュイ・エールがコボルドであることを喚くが、今この場に集った者達にとって、それが一体何の問題になろうか?」
アミード:*ゆっくりと歩を進める
アミード:「ここに集う料理人も聴衆も審査員も大臣も」
道化:「道化も!」
アミード:「皆、その料理を作ったものが何者かなど気にしておらぬ」
GM:アミードの言葉に、審査委員を務めるマグノア貴族――首都マグノア周辺に広がる、広大な農地領を治める者達――が口々に呼応する。
審査委員たち:「そうだそうだ! 王の仰る通り!」
審査委員たち:「コボルド料理なくして、宮廷料理が語れるものかよ!」
審査委員たち:「贅沢だけが取り柄の料亭経営者はすっ込んでろ!」
アミード:「料理は美味いか不味いか。多いか少ないか。それだけで良い」
アミード:「貴様の下らぬ偏見と主張を、食卓に持ち込むな」
アミード:「そして何より……!」*ドンドジールの眼前に立つ
アミード:「人が旨い飯を食っているときに! 無粋に割り込んでくるな! この痴れ者が!!」
アミード:*渾身の平手打ちでドンドジールを吹き飛ばす
ドンドジール:「ぶべらぁあああっ!?」
パローロ:「(最後に本音が漏れてた)」
アレックス:「(飯の邪魔されたからこんなキレてんのか!?)」
リゼル:「……生きているかな、あれは」
ヒルデ:「飛んだなぁ~」
リラ:「大きく飛んだなぁ~」
アミード:「美味い肉料理を冷ます気かッ! 次やったら貴様の店ごとバラしてくれる!」*暗に今回は料亭主一人の責任に留める、と言ってる
パローロ:「肉は冷めると固くなる。由々しき事」
アミード:「下らん邪魔が入ったが……まぁ良い」
アミード:「この愚か者を連れていけ! 公平に裁きを受けさせよ!」
大臣:「御前料理大会は如何なされますか……?」
アミード:「フン! 無粋者が一人喚いたところで畳む卓ではないわ!」
アミード:「皆の者、審査結果を言い渡す!」*銅鑼より大きな声で
アミード:「審査員諸君、そして集まった国民達よ!」
アミード:「此度集まった料理は、いずれも劣らぬ一皿であった。肉の一切れ、匙の一杯までも、余は今日口にしたものを忘れることは無い!」
アミード:「しかし、その中でも! コボルド料理の新境地を切り開いた”銀の小匙の”キュイ・エールに、今宵一番の料理人たる栄光を与えたい!」
アミード:「審査委員達はどうか!」
審査委員たち:*盛大な拍手を送る
パローロ:*拍手
ヒルデ:*はくしゅ!
キュイ:「……わぁ」*喜びの声が漏れる
アレックス:「どうなることかと思ったが……」
リラ:「取り敢えず一件落着、めでたしめでたしだね」
アミード:「ところで、だ」*キュイの前に歩いてくる
アミード:「お主の持ってきたあの野生のワイルムの肉であるが……まだ残っておろうな?」
キュイ:「……! は、はい!」
アミード:「僥倖! 御前料理大会の優勝者には、王宮の名誉料理長に連なる栄誉が与えられる。この街で店を構えるも良し、更なる探求の旅を続けるも良し、である」
アミード:「しかし、だ」
アミード:「今宵、我が料理本には新たな一頁が記される。となれば、それを祝した晩餐会が必要であろう」
アミード:「国中の料亭を集め、そなたを紹介せねばなるまい」
アミード:「是非、あの料理をもう一度振舞ってくれ。今度は邪魔されずに平らげたいのでな!」*ニッ、と笑いかける
キュイ:「……は、はい! 身に余る光栄です!」
アミード:「さて、お主らがキュイ・エールの雇った冒険者か」*PC達に
アミード:「お主らの活躍無くば、あのワイルム料理も生まれ得なかったことになるな?」
リゼル:「我々はただ、依頼人の安全を確保するために遭遇した野生動物を倒しただけですとも」
リラ:「冒険者として……英雄として恥じぬ行いをしたまでです」
アミード:「ぬはははは! 当然の行いてか! その心意気や良し!」
アミード:「お主らにも、褒美を取らせよう。もっとも、冒険者が喜ぶような宝はあまり無いかもしれんがな。蔵を大臣に探させようぞ」
リゼル:「光栄にございます」*辞退する理由がないので先んじてお礼
リラ:「はっ、光栄にございます!」*古風な一礼
アレックス:「まっ、マジかよ……」*目を丸くする
パローロ:「おぉ~……。陛下の寛大なお心に感謝致します」*敬礼
ヒルデ:「王様から褒章を賜るなんて、とんでもない依頼になったねぇ」
アミード:「うむ。この国で仕事をする機会もあれば、美食に絡むことも多かろう。楽しんでいくがよい」
アミード:「晩餐会では此度のワイルム退治の話を楽しみにしておるぞ。では、また後ほどな!」
アミード:*ズシンズシンと足音を立てて去っていく
リゼル:「豪快というか破天荒というか……」
アレックス:「最初大声で笑い出したときは、どうなるかと思ったぜ……」
リラ:「国を象徴するというか……この国らしい王様だったね」
ヒルデ:「……あぁ、良かった!」
パローロ:「この国は良い国だね、間違いなく」
リゼル:「とはいえ……これで仕事は完了かな?」
キュイ:「はい! 一時はどうなることかと思いましたが……!」
ヒルデ:「無事! 全員! 生還!」*ガッツポーズ!
アレックス:「本当に死にかけたけどな」
キュイ:「是非、晩餐会までお付き合いいただければと思います!」
リラ:「あぁ、是非同席させてもらうよ」
パローロ:「大変だったけど、丸く収まってよかった」
キュイ:「今度は堂々と顔を上げて、食事に同席してみようと思います」
キュイ:「……あの王様と一緒に食卓を囲めたら、誰にも物怖じしなくなると思いますので」
パローロ:「うん、頑張れ」*サムズアップ
リゼル:「それは良い心がけです」
ヒルデ:「よっ、名誉料理長!」
アレックス:「王宮の連中、マジで飯にしか興味なさそうだったしな」
リラ:「暫くは、この街で料理長やったりお店を構えたりするの?」
キュイ:「ええ。せっかくのご厚意もありますし」
キュイ:「でも……また、新しい食材を捜しに旅に出ようと思います」
キュイ:「私には、そっちの方が性に合っている」
キュイ:「その時が来たら、また仕事を依頼させてください」
リゼル:「ええ、もちろんです」
リラ:「あぁ、任せてよ!」
パローロ:「その時は、任せて」
アレックス:「……考えとくぜ」
リゼル:「お困りごとがあれば、いつでも我々《風の廻り道》にご用命を」
リゼル:「ああ、もちろん」
リゼル:「お題はしっかり頂きますよ?」
ヒルデ:「旅は未知の連続、きっとまた素敵な食材に巡り会うだろうさ」
ヒルデ:「大陸中に知らしめてやりな」
ヒルデ:「あんたが、最高の料理人だってことをさ!」*にっ!
GM:城塞都市《マグノア》の王宮の向こうに夕日が沈んでいく。
夕暮れの赤い空が、徐々に夜の色に染まっていく。
涼しい風が、次々に美食の香りを乗せて街を吹き抜ける。
王宮で待ち受ける晩餐会の食事を思い、働き通しのPC達は、強い期待と共に王宮へと歩き出すのであった。
GM:SW2.5《風の廻り道》CP 第五話おしまい