C101 ソードワールド2.5同人誌「ハルーラガイド」が新米GMへの導となる

はじめに

この記事は、コミックマーケット101に出展される予定の同人誌「ハルーラガイド」に関する紹介記事です。

本記事には、記事執筆者であるヴォーパルのっちの私見と偏見と了見が多分に含まれます(本記事の文中に出てくる“筆者”というワードは全てヴォーパルのっち唯一人を指します)。

「ハルーラガイド」とは?

ハルーラガイドとは、コミックマーケット101にて領布予定のソードワールド2.5同人誌である。メインコンテンツは「コラム」と「シナリオ」の2つ。
出展は12/30(金) 東P43b【灰かぶりのねずみ亭】となっている。

企画は「オーク的好奇心(代表:神砂わらび氏)」「灰かぶりのねずみ亭(代表:たかはる氏)」の2サークルであり、同サークル代表者の2名が編集・製作総指揮を担当している。

本書は「ソードワールド2.5のGMを始めたいと思っている人」「ソードワールド2.5のGMを始めたばかりで、知見を探している人」を主たるターゲットとしている。
企画者の集めた執筆陣は(末席に座する筆者ヴォーパルのっちはともかくとして)いずれ劣らぬ熟練のゲームマスターであり、故に本書サブタイトルは「ゲームマスターズアーカイブGM達の知見のまとめ」の名を冠している。

本書のメインコンテンツ

本書のメインコンテンツは、上述の通り「コラム」と「シナリオ」の2つに分けられる。

具体的には、本書には15のコラムと5つのシナリオが収録されている。
コラムは経験豊富な執筆陣が各々の策定したテーマに沿って各々の知見を言語化したものとなる。
TRPGの知見として代表的な「シナリオの書き方」だけに留まらず、セッション自体の運営や前準備、初めて卓を囲むPL同士の距離感の作り方など、様々な視点からの言及が集約されているのが見所の一つと筆者は考える。

また、本書に収録された5つのシナリオのうち4つは初期作成PCから連続してキャンペーンとして遊べるようにレギュレーションが設定されている。
この4つのシナリオについては、意図的に異なるシナリオタイプとなるよう事前に執筆者陣で打ち合わせを行い執筆に移っている。

シナリオパートでは魔域攻略ランダムイベント」「屋敷の探索ダンジョンアタック」「都市での冒険シティアドベンチャー」「広大な野外活動ウィルダネスといった、様々な冒険がプレイヤーとゲームマスターを待ち受けている。
本書掲載のシナリオを一通り遊べば、他サークル様が出展している様々なシナリオ集や公式キャンペーンシナリオ等への応用経験が一層身に付くものと筆者は考える。

各執筆者の担当したシナリオは同執筆者の担当するコラムに掲載された知見を実践しやすい造りになっている。
本書のメインターゲットたる新米GM諸氏には、積極的に本書掲載シナリオを使ってマスタリングの経験を積んでいただけると幸いである。

コラムの幾つかは執筆者達が座談会を行い、その会話ログを書き起こして作成された「座談会まとめ」となっている。執筆者達の見解の相違が垣間見えるのが特徴であり、そのテーマの幅や奥行きを感じられることと思う。

本書収録のコラム&シナリオの概要

コラム

・テンポよくセッションを進めるハウスルール
オフライン・オンライン問わず、「セッションを想定時間通りに進める」ためのハウスルール例を紹介。
PLやGMの自己紹介に始まり、シナリオ導入や戦利品決定、セッション後のリザルト処理などをサクサク進めるノウハウを徹底解説する。

執筆:ハリィ氏

・オンラインセッションにおけるマスタリングの手引き
オンライン・フルテキスト環境のセッションを想定し、「ソードワールド2.5のマスタリングとは何を行えば良いのか」というテーマについて解説。
ゲームマスタリングにおける要点と、なるべく楽にセッションを運営するための考え方について述べたコラム。

執筆:ヴォーパルのっち

・シティシナリオを書いてみよう
行動自由度の高いTRPGタイトルにおいてその自由度を最も発揮できるシナリオタイプの一つ、「都市探索シティアドベンチャー」の作成をレクチャー。
同コラム執筆者であるたかはる氏作のシナリオ「ユニコーン密猟者を追え!」を例に、シナリオが組み上がるまでのプロセスを紙面で追うことで「シティシナリオを作るための考え方」を徹底的に解剖解説する。

執筆:たかはる氏

・「選ばせる」テクニック
ギルドの掲示板に貼り出された依頼の数々、遺跡の分かれ道、進軍か撤退か。TRPGを遊ぶ上で避けては通れない「プレイヤーに選択してもらう」シチュエーションにおいて、複数の視点から有用な知見を解説。
重点項目別のメリット/デメリットの説明や具体例も完備しており、自分に合ったマスタリングスタイルの模索にも最適な一章。

執筆:ざしきわらし氏

・キャンペーンシナリオの書き方
ソードワールド2.5といえばキャンペーンセッションによる成長が醍醐味の一つ。そしてキャンペーンシナリオの作成はGMの華である。
本章では「キャンペーン」のためのシナリオ構想・セッション起案に必要な考え方について徹底的にレクチャーする。
気の合う仲間達と長い冒険を始めるなら、必読の章と言えよう。

また、本コラムには「第一話の作例」としてシナリオが接続される。

執筆:卵生瞬氏

・フレーバーアイテムについて
「フレーバーアイテムを活かしたロールプレイ」の例を紹介するコラム。
データを持たないが故に発想次第で様々なことに使え、またキャラクターを表現するのに一役買ってくれるフレーバーアイテムと、それを活かした粋なロールプレイの実例を執筆者が解説していく。

執筆:ハリィ氏

・戦闘をデザインする
冒険を華々しく彩る「戦闘」を設計するための考え方を解説するコラム。
「PCが直面する戦い」に如何なる意味を持たせるか、登場させる魔物データによってデザインする術を簡単に解説。
爽快な雑魚戦から手に汗握る難敵との死闘まで、幅広いデザイン方針についての一例を示す。シナリオ執筆時の参考にされたし。

執筆:ヴォーパルのっち

・座談会まとめ:”お助けNPC”ってどうしてる?
PC達と一時同行し、時には戦闘に参加するようなNPCが欲しくなるシナリオというものも存在する。
本章では、「PCと共に戦うNPC」という存在について各執筆者達が議論した座談会ログを書き起こして記事とした。
「フェローデータでなんとかする」「がっちりデータを組む」「そもそもそういうことをやらない」など、様々な意見が展開する様子は必読。

司会:ヴォーパルのっち 参加者:たかはる氏 ハリィ氏 卵生瞬氏 ざしき氏

・意図を組み込んだ戦闘
シナリオにおける戦闘デザインについて、別角度から切り込んだ一稿。
「戦闘の方向性をうまくコントロールすることで、物語をコントロールしていく」ための考え方について解説していく。
特に、魔物データから特徴を捉えるための着眼点について熟練GMの視点が紹介されており、戦闘に拘りたいGMにとっては必読の章と言える。

執筆:卵生瞬氏

・座談会まとめ:PLが少ない時の対応について
オンライン・オフラインを問わず、セッションには日程事故や参加者不足など「PLが少ない」トラブルが付き物。
そんな時、セッションをどのように成立させるか(或いは日を改めるか)について、各執筆者の考え方を交換した座談会ログを記事としている。
シナリオ作成やマスタリングと共に、「セッションの運営」という観点での記事として是非参考にされたい。

参加者:たかはる氏 卵生瞬氏 ハリィ氏 ざしきわらし氏 ヴォーパルのっち

・ロールプレイを引き出すコツ
TRPGにおいて、「ロールプレイ」は切っても切れない関係にある。
本章では、「ロールプレイとは?」「ロールプレイを成立させる要素」などの知見を共有し、プレイヤーから積極的なロールプレイを引き出すための考え方を解説する。
プレイヤー達のロールプレイを引き出し、キャラクターを活き活きと描き出させよう。

執筆:たかはる氏

・判定の置き方
シナリオ執筆時、意外と悩むことの多い「戦闘以外の判定」について記述したコラム。物語を彩るイベントであると共に、ゲーム的な駆け引きの要素を併せ持つ種々の行為判定を「セッション中のテンションの起伏」の視点で徹底解説。
様々な冒険に使える汎用的シチュエーション設定と、それを利用した描写・判定の具体例付き。

執筆:たかはる氏

・座談会まとめ:セッションの準備について
オンライン、オフラインとそれぞれの執筆者が主戦場とするセッション環境において、「事前に何をどこまで準備しているか?」というテーマで意見交換を行った際の座談会ログを記事として書き起こしたもの。
使用するセッションツールに始まり、立ち絵、コマ、チャットパレット、BGM……と様々な要素に対し、各執筆者が重視しているモノが垣間見える。

参加者:たかはる氏 卵生瞬氏 ハリィ氏 ざしきわらし氏 ヴォーパルのっち

・座談会まとめ:世界観とルールの把握について
初心者がGMに挑戦する際の心理的ハードル。その一つが「世界観とルールをしっかり把握しておかないと不安」という感覚。
この辺りへの向き合い方や考え方について、たかはる氏とヴォーパルのっちが対談。それぞれの辿った対策や気構えについて意見交換を行った。
1ページの大変短い記事で、小休止的一稿。

参加者:たかはる氏 ヴォーパルのっち

・距離感の作り方
オフラインセッション経験の長い執筆者が、「初顔合わせのプレイヤーの多いセッション」における、それぞれの距離感を作るアイスブレイクの手法について解説。
特にTwitterをはじめとするSNS公募(所謂”野良卓”)に転用できる知見が多く、新しい人との出会いを求めるGMには有用な一稿と言えよう。

執筆:卵生瞬氏

シナリオ

第一話:ランダムアビスを踏破せよ!(ランダムイベント)

ギルドに登録したばかりの新米冒険者であるPC達は、「発生したての”奈落の魔域シャロウアビス”」の討伐依頼を斡旋される。
  魔域はあらゆる常識の通用しない、摩訶不思議な空間。
  PC達を待ち受ける冒険の内容は、GMにすら予測不可能……!?

執筆:ハリィ氏

第二話:シガル村の幽霊屋敷(ダンジョン)

続いてPC達が託されたのは、暗い森の中にある古びた屋敷の調査であった。
屋敷に仕掛けられた罠や鍵のかかった宝箱、隠されたアイテムなどダンジョンを巡る冒険が幕を開ける。
穢れに満ちたアンデッド犇めく、不気味な屋敷に隠された真相とは……?

執筆:ヴォーパルのっち

第三話:ユニコーン密猟者を追え!(シティ)
 
第二話と打って変わって、冒険の舞台は街の中。
PC達が依頼されたのは、癒しの力を持つ幻獣「ユニコーン」の捜索及び救出であった。
「ユニコーンの角」の性質、裏社会の流通ルート、下手人の素性など、様々な要素を拾い集めて悪事を暴く頭脳派の"冒険"がプレイヤーを待ち受ける。

執筆:たかはる氏

第四話:高嶺の花(ウィルダネス)
 
遺跡や街と並ぶ冒険の舞台、それが人を寄せつけない秘境の地。
冒険も板に付いてきたPC達は、情熱的なプロポーズを画策するキザな青年資産家から険しい山岳に生える希少な花の採取を依頼される。
様々なイベントと選択分岐から成るチャートは遊び応え十分であり、エンディングの1つは世界ラクシアの広さを存分に感じさせてくれるものになっている。

執筆:ざしきわらし氏

独立キャンペーン用第一話:赤子泣く頃

「PC達が事件に巻き込まれる」形で物語が始まる、キャンペーン第一話の作例。魔動機文明に由来する不思議なアイテムをフックに、様々な伏線を仕込む余地のある作例シナリオとなっている。
キャンペーンプレイに興味のある諸氏は是非チェックしていただきたい。

執筆:卵生瞬氏

執筆陣&イラストレーター陣を紹介

本書の執筆陣とご協力いただいたイラストレーター様を、筆者の独断と偏見で紹介していく。

記事執筆者の皆様

たかはる氏

本書の企画者にして製作総指揮の一人。
サークル「灰かぶりのねずみ亭」代表であり、ブログでリプレイやシナリオの公開、サークル同人誌の発行などの活動をしている。
積極的な行動力と他メンバーの意見を取りまとめる折衝能力を遺憾無く発揮し、本書の完成度を際限なく高めていく辣腕の持ち主。

シナリオは「ユニコーン密猟者を追え!」を執筆。
「|街に散らばった手掛かりから事件の真相に迫る冒険《シティアドベンチャー》」の醍醐味を味わうことができる。

また、漫画的な筆致を得意とするイラストレーターとしての面も持ち、本書を彩る挿絵についても幾つかを担当している(後述)。

ざしきわらし氏

サークル「ざしきわらし」代表。
C100にもシナリオ集を出展しており、ソードワールド2.5の同人活動については経験豊富な古強者。

シナリオは「高嶺の花」を執筆。
イベントチャートによって進行する「|野外での冒険《ウィルダネス》」を楽しむことができ、緻密なチャートによるゲーム展開はキャンペーン終盤を大きく盛り上げるボリュームを提供してくれる。

卵生瞬(らんじょう)氏

主にTwitterで活動するTRPGプレイヤー。
TALTOに多くのシナリオを投稿しており、TwitterではGM依頼やシナリオ相談も引き受ける。
また、同氏の鍛え上げられた肉体は筋力ボーナス5に達しているという噂がある(筆者談)。

執筆シナリオは「赤子泣く頃」。
魔動機文明時代の遺物をフックに、「少し不思議な事件の始まり」というテーマで様々な物語を広げられるシナリオとなっている。
「風呂敷の広げ方」の良い見本であるため、キャンペーン運営を志す諸氏は是非ご一読頂きたい。

ハリィ氏

主にTwitterで活動するTRPGプレイヤー。
セッション時間の管理に特筆されるマネジメント能力に合わせ、BaseでTRPG関連のショップ「ハリィ・ハリィ」を運営する"商人"としてのスキルも持つマルチなスキルの持ち主。
同氏の柔らかい文体から、コラムやシナリオでは人の良さを感じられると専らの評判である。
 
執筆シナリオは「ランダムアビスを踏破せよ!」
摩訶不思議な現象が頻発する"奈落の魔或"を、ランダムイベントによって進行するゲームとして表現しており、且つイベントボリュームをPC人数とリンクさせることで時間管理に配慮している。

ヴォーパルのっち

本記事の筆者。公式のリプレイコンテストがカクヨムで開催されたにも関わらずnoteにリプレイを投稿し続ける所業から「note怪人」を自称している。
企画会議ではおもむろにナイフを舐めたり「俺たちの頭はまだ顔を出さねぇのかァ~?」などと言いながら(ナイフを舐めつつ)議事録を取っていた。

執筆シナリオは「シガル村の幽霊屋敷」
廃棄された屋敷を舞台としたダンジョン探索型シナリオであり、なるべく楽に回せるよう描写用テキストや台詞を固めてある。

イラストレーターの皆様

今野隼史さん

ソードワールド2.0,2.5公式書籍にも携わるプロのイラストレーター。
繊細なタッチの線画と暖かみのある塗りから生み出される幻想的な筆致は、ソードワールド2.5に求められる「ファンタジー」を強く想起させてくれる。
表紙イラストを担当。

きゆさん

デフォルメイラストを主作品とするイラストレーター。
頭身を低く抑え、各部を丸っこくデザインしたマスコット的な画風が特徴。
「赤子泣く頃」の挿絵の一部を担当。

シロクニさん

鉛筆系のペンを得意とするイラストレーター。
細やかな線画と水彩系の着色によるアナログ寄りな画風が特徴。
「シガル村の幽霊屋敷」の挿絵を担当。

御伽月(みかづき)さん

デジタル絵に特化したイラストレーター。
メカ絵から美少年イラストまで対応可能なレンジの広さを持つ。
「選ばせる」テクニックの挿絵を担当。

おじさん さん

製作総指揮のたかはるさんの盟友。
同人誌への印刷に適したペンによるカケアミや影表現を駆使し、適度にデフォルメした画風で臨場感ある挿絵を提供していただいている。
「赤子泣く頃」の挿絵を一部担当。

たかはるさん

製作総指揮者の一人にして編集長にしてコラム執筆者の一人にしてイラスト担当者の一人でもある。筆者の中では過労を懸念する声も一部寄せられた。
ゆるいタッチのデフォルメイラストから細密に描き上げられた少年漫画的な画風まで使い分ける幅広さが特徴。

まとめ

本書への寄稿に際し、企画を始めとする全体的なスケジュールの管理進行を行い、途中発生した不測の事態にも周知連携で対応せしめた製作総指揮のたかはる氏に、まずは感謝と敬意を表するものである。
本書は同氏の熱意と研鑽の賜物である。

また、筆者同様本企画に集い、コラムとシナリオをご提供いただけた他執筆者の皆様にも今一度御礼申し上げる。
経験豊富なGMである他執筆者様のコラムが出来上がっていく過程を間近で観察できたことは、筆者としても新鮮な体験であり非常に良い刺激を受けることができた。

最後に、イラストや装丁、印刷、C101スタッフの皆様、本書が読者諸氏の手に届くまでに携わった全ての方々と、ソードワールド2.5公式様、そして本書を予約で(あるいは現地で)手にして下さる読者諸氏に最大級の謝辞を述べさせていただき、本紹介記事の筆を置かせていただきたい。

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