サイバーパンクRED リプレイ《Burn this city》キャンペーン 第一話「Firestarter」前編
はじめに
この記事は2023/10/8に行われた「サイバーパンクRED(日本語版の出版:ホビージャパン)」のセッションログを再編集したリプレイです。
読みやすくするため、実際のセッションログを少しだけ脚色したり、発言順序を整理したりしています。
本作は、「Talsorian Games,Inc」及び「株式会社ホビージャパン」が権利を有する『サイバーパンクRED』の、二次創作です。
(C)Talsorian Games,Inc
(C)Hobby JAPAN
このリプレイはなんだ?
こいつは"暗黒の未来"を舞台にしたロールプレイング・ゲームである「サイバーパンクRED」のリプレイだ。
2045年を舞台とするサイバーパンクREDの世界は、暴力的で危険に満ち溢れている。
巨大企業群によって齎された科学技術の発展と大戦争の影響で、国家という枠組みは半ば崩壊し、荒野やストリートでは今や誰もが殺傷力のあるハードウェアを持ち歩いている。
そんな世界で裏社会に生きる無頼漢――即ちサイバーパンク達は、テクノロジーを恐れず掴み取り、掌握し、食らい付く。
彼らは躊躇うことなく手首にインターフェイス・プラグを、腕にクロームメタルの機械義肢を、脳にバイオチップ・プログラムを仕込む。
彼らは空を飛ぶエアロダインと、重金属弾を吐き出す銃と、強力な電子システムと一体になる。
サイバーパンクは"生き様"だ。
彼らは自分に一番"相応しい"衣服を身に着け、知り合うべき人々と知り合い、同じような価値観を持つ連中と付き合う。
彼らは選りすぐりのバーやクラブで"犯罪計画"を練り、企業の私設軍や暴徒化したブースター・ギャング、身体の大半を機械化したサイボーグの暗殺者達、コンピュータと神経接続したハッカー達と戦いを繰り広げる。
目的を果たすためには危険を厭わないリスクテイカーや、一攫千金を狙うハイ・ローラーが踏み込む漠然とした概念の領域を”エッジ”と呼ぶ。
エッジにおいて、サイバーパンク達は理念だの"ビッグになる"だのといった漠然としたもののために財産や名誉や命さえ賭ける。
誰もいない道でチンタラ車を走らせるような真似はしない。
危険に身を晒し、真正面からブチ抜ける。エッジに喰らい付き、チャンスを掴み取る――それが、2045年のサイバーパンク達の生き方だ。
このリプレイは、そんな時代を舞台としたキャラクター達のセッションの様子を書き残したものである。
0. プレイヤー達に向けて
GM:本セッションのNPCは、PCに対して嘘をついている場合があります。
時に誤認によって、時に悪意を以て、彼らはPCを欺いて窮地に陥れます。
GMはこれを「サイバーパンクRED」のシステムと世界を楽しむために必要な要素だと判断しています。
GM:セッションに登場するNPC――ナイトシティの悪党達は、PC達に対して常に友好的であるとは限りません。
疑うに足る根拠があれば、いつでもGMに相談してみてください。
1. ナイトシティへようこそ
GM:◆描写◆
2045年――度重なる大災害と企業間戦争が国家を疲弊させ、国家よりも企業が力を振るうようになった時代。
かつてカリフォルニア州旧コロナド市に築かれた科学都市「ナイトシティ」は、第四次企業戦争の爪痕が最も大きく残った街だ。
ど真ん中で核爆弾が炸裂したこの街はいま、残った物資をかき集めて徐々に復興を遂げようとしている。
GM:再建中のナイトシティはワシントン、オレゴン、アイダホ、カリフォルニア北部域、ブリティッシュコロンビアの5つの州から成る“パシフィカ連合”の統括地域内にあり、独立都市としての存続を許容されている。
それは、この街が同連合にとっての自由貿易都市となること、及び新合衆国に属さない勢力との取引窓口として機能することを求められていることを意味していた。
GM:端的に言おう。
“赤の時代”のナイトシティは、数多の企業とギャングが跋扈する自由と無法の経済圏であり――命知らずのエッジランナー共が一旗揚げるチャンスに満ちた夢の国だ。
ルールは一つ。
どんな時でも、"限界"に挑め。
◆ ◆ ◆ ◆
◆ ◆
GM:◆描写◆
渇いた空気と、肌を舐め回す熱気。
視界を白く焼き焦がす閃光。揺らめく陽炎。
両目から飛び込んできた力が、脳を吹き抜けていく。
私の身体に、内臓に、そしてニューロンに。
私の全てに、火が点いていた。
◆ ◆ ◆ ◆
◆ ◆
1-1. ネットランナー、"ignitER"
GM:◆描写◆
ナイトシティ。パシフィカ連合統括地域内に存在する、巨大自由経済圏だ。
無慈悲に利益を追求する企業、無軌道なブースターギャング、終末思想に毒されたカルト団体。
そんな連中が犇めく街は今、一人の連続放火犯の話題で持ちきりだった。
"放火魔"。
サント・ドミンゴのメディアが付けたシンプルな通り名で、その犯罪者は呼ばれている。
彼はつい一か月前に突然街に現れ、企業の工場や倉庫を燃やして回る神出鬼没の連続放火犯である。
セキュリティシステムへの電子妨害工作を併用する周到さから、企業の警備部隊も彼を捕縛できずにいた。
GM:◆描写◆
二週間前にこの街へとやって来たフリーハッカー、ジャックは今日の寝床を探していた。
一昨日まで寝泊まりしていたキューブ・ホテルはギャングに追われて引っ越すことになったし、昨日寝床を提供してくれた男は途中で話の通じないカルティストであることが判明したので痛い目に遭ってもらった。
GM:背負ったバッグに全財産を詰め込んでサント・ドミンゴの街区をぶらつくジャックの目に、丁度良い廃倉庫が映る。
余計な"先客"が居ない――居たとしても押し込む気だが――ことを期待しながら倉庫に近づいた彼女の嗅覚が嗅ぎ慣れた匂いを察知する。
独特の芳香を放つそれは、ある種の遺伝子組み換え穀物から作られるバイオエタノール燃料、通称"CHOOH2"の匂いだ。
GM:次の瞬間、倉庫の窓が幾つも割れ、内部から爆炎が噴出した。
黒い炎とオレンジ色の光が、寂れた街に真昼のような光をもたらす。
ジャック:「!!」*慌てて防御姿勢を取り
GM:倉庫から上がった火柱は、否応なく周辺の人間の目を惹く
まして、今のナイトシティにとって火災の発生は「10,000eb獲得のチャンス」を告げる打ち上げ花火に等しい
GM:他のPC達もこれに気付いて倉庫前へと姿を現します。
各々、何か理由があってこの近くにいたということにします。
ハリシャ:「おいおいおいおい、遂にこの辺でもボヤ騒ぎかい? 勘弁してくれよ!」
クラーラ:「……は、毎度派手にやってるね。クラブの近くでやってくれれば、言う事ないんだけどさ」
カグラザカ:「火事! 新しく作った合成皮膚の使用感を試すチャンスじゃないか! 怪我人はいないかな?」*楽しそうに
ヌエ:「──散歩のつもりが、思わぬ当たりを引いたかな」
ハリシャ:「─ん? あんたぁ……それ、もしかしなくても火炎放射器じゃあないかい?」*ジャックの担ぐスロワーを指さし
ジャック:「なんだお前……技術屋か?」
ハリシャ:「おうともさ、街一番の発明家、"Leg Gode"とはあたしのこと……」
ハリシャ:「って、そんなことはどうでもいいんだよ! あんた、噂の"ファイアスターター"ってやつかい!?」
クラーラ:「この火事の近くに火炎放射器担いでる人間がいたら、ねぇ?」
ジャック:「ふん。この街も腐ってやがる」
ジャック:「箱詰めのモブには、通行人と放火魔の見分けもつかないのか?」*流し目でクラーラを睨む
クラーラ:「質問に文句で返されても困るけど……そもそも、そこにいる警官に捕まってから聞かれるよりマシでしょ?」
クラーラ:*ヌエの方を軽く指さす
ヌエ:*周囲の様子を観察している
GM:では……PC達がジャックに近づきお互いに警戒し合っていると
GM:◆描写◆
軋みと共に倉庫の扉が開き、中から煤けた防護服を纏った人物が姿を現す。
その人物の右腕はクロームメタルの機械義肢に置換されており、その掌は赤熱していた。
火炎放射器を内蔵した、特殊なクロームをインストールしているようだ。
その姿は、メディアが連日報じている連続放火犯"ファイアスターター"そのものである。
ハリシャ:「おいおい……ありゃどっからどう見ても、あちらさんが本物って感じだねぇ!」*武器のセーフティを外す
ヌエ:「当たりも当たり、大当たりだな」*目を見開く
GM:放火犯は覚束ない足取りでジャックの傍を通り過ぎていく。
彼(?)はジャックの姿も見えていないのか、避ける素振りすら見せずに半ば衝突しながら彼女のそばをすり抜ける。
まるでその放火犯は酷い二日酔いか寝不足の人間のようで、理性や思考は感じられない。
放火犯:*ジャックの肩にぶつかって少しよろけるが、そのまま歩いて去ろうとする
ジャック:「■■■、気味が悪い野郎だな……おい!」*ぶつかられて男に吠える
放火犯:「……」
放火犯:*ジャックの方を一瞬振り返るが、すぐに前を向いて歩き始める
クラーラ:「イカした見た目にイカれた容貌、私の好みには合わないな」
ヌエ:GM! フレーバー的に制止を呼び掛けても良いですか?
GM:いいよ!
ヌエ:やったー!
ヌエ:では銃口を向け……
ヌエ:「その場で停止したまえ!」
ヌエ:「己は逮捕ライセンスを保持している!」
放火犯:「……」*ゆっくりとヌエに振り向き、両手を上げる
ヌエ:「いい判断だね。サイコの線は消えたみたいだ」*銃は向けたまま
クラーラ:「随分素直だけど。これが10,000eb……?」*訝しげ
ヌエ:「よーし、それじゃあそのまま──」
GM:ジャックとハリシャは気が付くかもしれない。
放火犯の右腕がキチキチと動作音を立てていることに。
その内部機構に仕込まれたピストンシリンダーに、1回分のCHOOH2が送り込まれたことに。
GM:放火犯は上げた両手――ここで重要なのは右手の掌の向きだが――をヌエに向け、少しだけ両脚に力を込めた。
ハリシャ:「(この動作音……!)」
ジャック:「"アーム"を避けろ!」*跳び下がりながら
ヌエ:「……!」
GM:その瞬間、右腕から轟音と共に炎の奔流が放たれる。軍用火炎放射器と見紛う火柱が、再び倉庫をオレンジ色に照らす。
ハリシャ:「いきなりぶっ放す奴があるか!」*頭を抱えて逃げながら
クラーラ:「なんであんな腕入れてんの!?」*防御姿勢
GM:普通の人間なら、その場で燃え滓になっていてもおかしくなかった。
しかし、ヌエの身体は”普通”ではない。サイバーウェアに溢れたこの街においても、尚。
ヌエ:声に応じることで、腕は防御姿勢を取ることができた
ヌエ:多少付着した炎を振り払う
GM:ヌエが炎を防御しながら跳び退がった瞬間、放火犯は身を屈めると同時に高く跳躍した。
明らかに生身の身体ではありえない跳躍性能。両脚を強力なクロームに置換しているとしか思えない動きだ。
そのまま放火犯は燃え盛る廃倉庫の屋根を足場に、サント・ドミンゴの廃墟群を跳び渡っていった。
ヌエ:「けほっげほっ!」*揮発した燃料にむせる
クラーラ:「ハ……ッハハ、最高にキまってるね、これ」
カグラザカ:「いや~君達、災難でしたね」*歩み寄ってくる
カグラザカ:「今にも誰かが怪我するんじゃないかと冷や冷やしましたよ」
ヌエ:「ドクター……今は、それどころじゃないってやつ……げほっ!」
ヌエ:「思い切り喉を焼かれた、ガラガラだよ」
ジャック:*不機嫌が最高潮に達し放火魔の逃げた方角に罵倒を二、三飛ばす
GM:ジャックはここで、自分の衣服に小さな金属製タグが引っかかっていることに気が付きます
ジャック:では自分のイカした一張羅にムカつくやつの落とし物が引っかかっているのを見るや否や、引っ掴んで取ります
ジャック:「クソが!!」
ジャック:*そのまま掴んだタグを地面に叩きつけようとする
ハリシャ:「そいつは識別タグかい?」
ハリシャ:*ずずいっと寄って振り上げた腕を掴む
ジャック:「(この剛性と握力……サイバーアームか)」
ジャック:「あぁそうだね、そうみたいだ!今のクソ野郎のね!!」
ジャック:*腕を掴まれつつも威勢よく
ハリシャ:「金属製……素材は別段変わったもんじゃなさそうに見えるね。だが、何やら変なもんが刻んであるね。企業用の独自規格か? どちらにしてもなんかしら訳アリに見えるが……」*掴んだままブツブツと独り言
クラーラ:「ドッグタグなら、然るべきところに行けばいい金になるかもね。同時に首も取られそうだけど」
ヌエ:「目の前で取り逃がすとは何とも悔しい気持ちだよ」
カグラザカ:「まぁまぁ。そんなことより怪我の様子を見せてよ」
カグラザカ:*ヌエさんとは旧知の仲なので気安い
GM:ではここらで……
GM:◆描写◆
タグを手にしたPC達が詳細を確認していると、周囲に人の気配を感じる。
同じように火災に気付いた周囲のゴロツキ達が集まってきたようだ。
その視線は今、ジャックの得物である火炎放射器に注がれている。
ゴロツキ達が、それぞれの武器を構えた。
ブースターギャンガーA:「おい、あれ見ろよ」
ブースターギャンガーA:「火炎放射器もったガキだ。間違いねぇって」
ブースターギャンガーB:「ま、違っててもイイよな」
ブースターギャンガーB:「”私はファイアスターターです”って言うまで殴り続けてから《ペトロケム》に突き出せばよぉ!」
ハリシャ:「……あん? ったく、長居しすぎたね」*周りを見渡し
ジャック:*状況を見て深呼吸を数度
ヌエ:「ドクター、どうもこの件はイイ怪我人が出そうだよ。勘だけど」
カグラザカ:「フフ、ヌエ君の勘はよく当たるからなぁ」
クラーラ:「怪我で済めばイイけどね」
ヌエ:「お嬢さんもこっちに付くでいいんだね?」*クラーラに
クラーラ:「ここで見捨てるような奴なら、今頃企業に就職してる」
ヌエ:「そこの娘が拾ったタグは放火犯を捕まえる手がかりだ。ここは切り抜けさせてもらおうか」*カタナを抜く
1-2. VS! ブースターギャンガー
GM:それでは、チュートリアル戦闘を開始します。
この戦闘では、「重傷」になった敵は戦闘から離脱します。
GM:敵は「ブースターギャンガー」が5人!
GM:では……戦闘中の手番順を決める「イニシアティブ判定」いきましょう
GM:まずはギャンガーA! そのまま前進するぞ!
GM:このマップは1マス2mなので、キャラクターは【移動】の値だけマスを進める 斜め移動もアリだ。
GM:ブースターギャンガーの【移動】は4だが……とりあえず前進するしかない。ハンドガンは6m以内に相手が居ないと当てにくいからな。
ジャック:攻撃してくる?
GM:いや、PC達が遮蔽の陰に隠れているから射線が通らないね。射程的には近づきたいが、ここからでは撃てず手番終了だ。
ヌエ:調子に乗って遮蔽じゃないところで始めちゃったから、私が居ない側のギャングで助かったよ
ハリシャ:次は私ですね。斜め移動して、ギャンガーEから8mの距離に。
ハリシャ:せっかくだからフルオート射撃で攻撃します
ハリシャ:距離8m、アサルトライフルのフルオート難易度は20!
GM:ハリシャのアサルトライフルがフルオートで射撃! しかし、狙いが逸れて当たらなかった!
ハリシャ:「チッ! こっちはしがない発明家だよ!」
ハリシャ:「荒事に巻き込むんじゃぁない!」*ドガガガ
ハリシャ:残る移動距離で再びガラクタの陰まで移動します
クラーラ:次は私ですね。ここは移動して……ジャックの隣に飛び出す!
GM:ギャンガーBがアサルトライフルの最適射程だ!
クラーラ:真っ直ぐ遠い、一番いい位置だぜ! フルオート射撃します!
クラーラ:ギターケースの下段を開けばアサルトライフルが現れる。銃座代わりにライフルをケースの上に立て、そのまま容赦のないフルオート射撃を浴びせかける!
ブースターギャンガーB:「あっががががががッ!?!?」
ブースターギャンガーB:「ちょ、ちょーっと待ってくれよォ! 俺そんなつもりじゃ……!」
クラーラ:「私はそんなつもりだってこと」
クラーラ:「アンタの気持ちは関係ない、お分かり?」
ブースターギャンガーB:「わ、悪かったって! 辞めだ!」*その場に倒れ込み、柱の陰に向かって這っていく
ヌエ:「ヒュウ……」
クラーラ:残る移動距離で再び遮蔽の中へ!
GM:OK~!
クラーラ:「ハロー、濡れ衣ガール。ソイツが飾りじゃないとこ見せてもらうよ」
ジャック:「そのくらいならタダでやってやる」*不機嫌そうに
GM:それじゃあギャンガーB~Dの手番! Bはさっき脱落したからCDだね
ブースターギャンガーC:ギャンガーC、斜めに動いてヌエさんを狙える立ち位置に移動! そのまま超大型拳銃を抜いて射撃!
ブースターギャンガーC:距離約12mにつき、難易度は15
ブースターギャンガーC:「遮蔽も取らずに棒立ちとか舐めてんのかァ!?」*ヌエに向かって超大型拳銃を発射!
ヌエ:「仰る通り、ナメているとも!」*身体だけ逸らし回避!
ハリシャ:「流石だね、浪人! 身体のキレは相変わらずってこった」
ブースターギャンガーD:では次、D! 同じく前進して、ヌエに射撃!
ブースターギャンガーD:「もらった! 隙ありゃああああああ!!」*カチッ
ブースターギャンガーD:「ジャムったァァァ!?」
ヌエ:「よく見たまえ、安全装置が掛かったままだぞ」
ブースターギャンガーD:「あっ!!」
ハリシャ:「まったく危ない橋を渡るもんだよ。安銃のセーフティなんて信用するんじゃない」
ヌエ:「ハリシャも下手やって死なないでくれよ」
ヌエ:「アンタには死ぬまで得物の面倒を見てもらわなきゃいけない」
ハリシャ:「なら精々あんたがあたしを守るんだね。嫌ならあのチンピラ共を片付けな!」
クラーラ:「人に言うのは結構だけど、大事な時に転んだりしないでよ?」
ヌエ:「そのときは笑えるカクテルにしてもらうとも」
カグラザカ:では次、手番もらいます。
カグラザカ:ちょうどギャンガーのC,D,Eが3*3マス以内にいる……ショットガンで散弾を撃ちます
カグラザカ:まずは移動で遮蔽から飛び出して……散弾の難易度は13か
カグラザカ:「いつの間にか僕まで戦うことになっているな。やれやれ」
GM:カグラザカは白衣を翻し、内に仕込んだ護身用ショットガンをゴロツキ共に向けた。
装填してあるのは範囲攻撃用の散弾。轟音と共に小粒のベアリング弾がゴロツキ共に襲い掛かる!
カグラザカ:そのまま元いた遮蔽に戻ります!
カグラザカ:「いや、すまないね君達。特に怨みは無いんだが」
カグラザカ:「安心してほしい。僕は医者だからね!」*ひらりと手を振る
ブースターギャンガーD:「何をどう安心しろってんだよ!!」
ジャック:次は私!
ジャック:GM、フレイムスロワーって散弾が撃てるんでしたっけ?
GM:むしろ「散弾しか撃てない」仕様になってますネ! ダメージを与えた相手に着火させる「焼夷弾」を、散弾のダメージ範囲で撃つ武器とお考え下さい。
ジャック:さっきカグラ先生が散弾を撃ったポイントまで移動すれば、同じようにC~Eを一度に攻撃できる、けど……。
ヌエ:移動可能な距離を使い切ってしまうから、万が一仕留めそこなうと遮蔽が得られずハイリスク、だな。
クラーラ:でも、あと2点通せばあいつら重傷を負って戦線離脱するわよ
ジャック:ヨシ! ドクがお手本を見せてくれたし、そっちをやりますか
ジャック:【移動】を目一杯使い、ドクのさっき立ってた位置まで移動して……フレイムスロワーでいい感じに焼きます!
GM:ジャックは相棒を構え、ギャンガー達に向かって躊躇なく引き金を絞る。オレンジ色の焔が迸り、熱風が周囲を舐め回す!
GM:ギャング達は火達磨になり、地面をゴロゴロと転がってなんとか火を消そうとする。マトモに戦闘が行える状態ではないので脱落とします!
ハリシャ:「派手にやるねぇ火付け屋! 欠点はガス臭いことだ!」
ヌエ:「……あれは敵に回さなくて正解みたいだね」
ブースターギャンガーC:「うわぁぁぁぁっ!?」
ブースターギャンガーD:「本当に人間に向ける奴があるか! 熱い!」
ジャック:「クソモブども! これ以上ケツを焦がしたくなきゃとっとと帰んな!」*豪快に炎を吹かせながら
ヌエ:「当人の威勢も火の手の如し、か!」
クラーラ:「なら、このまま勢いに乗らないとね」
ヌエ:「勿論!」
GM:脱落したギャンガーEの手番を飛ばして、ヌエのターン!
ヌエ:移動8あるのでAの背後に回りましょう
GM:移動が長い白兵戦やれるPCって怖いんだよな!!
ヌエ:ギャンガーAに《武術》攻撃! 攻撃回数は2回、更に武器による攻撃と同じく、防具によるダメージ低下効果を半減する……!
ヌエ:得物を放り投げ、ハリシャ付近の地面に突き立てる
ハリシャ:「おい!雑に扱うんじゃ……」
ヌエ:「ハリシャ、これ預かってくれ。まだちょっと歪んでるみたいだ」
ハリシャ:「あぁん!?あたしの調整が悪かったって言いたいのかい!?」
ヌエ:「使えてないんだから同じだろう!」
ハリシャ:「注文だけは一丁前だね!」
ヌエ:一気に駆け出し、ギャンガーAの背後に移動!
ヌエ:「ハロー、調子はどうかな?」背後から声を
ブースターギャンガーA:「アイエッ!? いつの間に!?」
ヌエ:「夜道では背後に気を付けないと……ね!」
ヌエ:*振り向き際の顔面に一発!
ブースターギャンガーA:「アバーッ!」
ブースターギャンガーA:*強烈な一撃を受け、バック宙状に吹っ飛ぶ!
ヌエ:*もう一発を繰り出そうとするが、思ったより吹っ飛んだので止め
ヌエ:「ありゃ、もうお帰りだったみたいだね」
ブースターギャンガーA:「あ、アバッ……」*がくり
GM:それでは全員が重傷を負ったことで戦闘不能と判断します。
GM:戦闘終了~!
カグラザカ:「ふむ、流石ヌエ君だ」
カグラザカ:「手持ちだけで治療器具は足りるだろうか……?」
クラーラ:「足りなかったらある程度でイイでしょ、カグラ」
ヌエ:「ドクは治療の腕だけは確かなんだから、頑張ってくれたまえよ」
GM:そこら中に転がったギャンガー達は命惜しさに銃を捨て、PC達に赦しを請います
ブースターギャンガーB:「か、絡んでスンマセンッした……」
ブースターギャンガーB:「マジで勘弁してください……」
ハリシャ:「ケッ、これに懲りたら盾突く相手はよく選ぶこったね」*唾を吐きかけ
クラーラ:「別にいいけどさ……アンタらに構ってる間に本物はどっか行っちゃったわけだ」
ブースターギャンガーB:「ほ、本物……!?」
クラーラ:「そ。クールな容姿にドープな容貌、フールな足取りだったよ」
ブースターギャンガーB:「お、俺達はてっきりそこのガキ……いや、お嬢さんが"ファイアスターター"なのかと」
ジャック:「あぁん?私の寝床(予定地)を派手に焼いてった男が]
ジャック:「な、ん、だ、っ、て?」*相棒をちらつかせつつ
ブースターギャンガーC:「スンマセンっした!!」
カグラザカ:「じゃあ、怪我人はここに並んでくれ。弾丸の摘出と止血処置をしてあげよう」
ブースターギャンガーD:「え、良いんスか……!」
カグラザカ:「薬品が足りないから、ノー麻酔オプションを適用するね」
ブースターギャンガーE:「エッ」*青ざめる
2. フィクサー、"Domino-Taker"
GM:では、ろくなものを持っていないギャング共からPC達が何か金になりそうなものを取り立てていると……
ヌエ:「ふむ……もう少し踏み込みを強くした方が良かったか」
ヌエ:*吹っ飛ばしたギャンガーの状態を観察
ハリシャ:「ったく、武器の使い方が荒過ぎるんだよアンタは」
ハリシャ:*ヌエの武装の歪みを点検
カグラザカ:「この角度の銃創はこちらから切開した方が良さそうですね……ふむふむ」
カグラザカ:*自分で撃ったギャングの弾丸を摘出中
クラーラ:「……はぁ、やめやめ。何も持ってないし」
クラーラ:*ギャンガーをげし、と足蹴にしてジャックの方へ
クラーラ:「濡れ衣……にしちゃ乾かしまくってるけど」
クラーラ:「名前、教えてもらえる?」
ジャック:「クソッタレに教える名前はないが……」*焦げた犬共を一瞥
ジャック:「あんたはどうやら違うらしい」*クラーラに向き直る
ジャック:「……ジャックだ」
クラーラ:「そう、ジャック。寝床は欲しい?」
クラーラ:「あとは金。それとまともな情報源」
ジャック:「ぜんぶ欲しいね。正直、今の件だって何が何だかさっぱりだ」
クラーラ:「賢いね。ジャックがその気ならそれらを紹介してあげる」
ジャック:「ほざけ。喧嘩を売る相手くらい私だって選ぶさ。……ツテがなくて困ってたんだ、助かる」
クラーラ:「OK、仲介成立だね。アンタ達はどうする?」*3人に振り返り
クラーラ:「仕事で付き合いのある、一応は信頼できるフィクサーのところにこの子を連れていく。アンタ達はノる?」
ハリシャ:「まぁ、手がかりを辿るならそれが手っ取り早いかね」
カグラザカ:「面白い患者に会えるなら構わないけど」
ヌエ:「それが"誰"かに依るな」
ヌエ:「商売柄、立ち回りは慎重にしたくてね」
クラーラ:「慎重も身長も、あればあるだけいい。ちょっと待ってて」
クラーラ:*エージェントを操作して、件のフィクサーのデータを出す
GM:そうだな。データにはまるで旧時代の"名刺"みたいにハンドル"Domino-Taker"の名称と彼の事務所の所在、アクセス方法が記載されている。
クラーラ:「顔だけは広いフィクサーだ。知り合いかもしれないけど……」
クラーラ:「"ドミノテイカー"だよ、面識は?」
ハリシャ:*文句はないけど、なんだかなぁという顔
ハリシャ:「奴には部品の調達と仕事の仲介をたまに頼んでる。まぁ、話は早いだろうね」
カグラザカ:「僕も彼とは取引したことがある。異論はないよ」
ヌエ:「ドミーか、そりゃいい。彼の古めかしい流儀は嫌いじゃない」
ジャック:「……話はちゃんと付けてくれよな」*勘違いされる格好であることは自覚したので
GM:◆描写◆
廃倉庫での火災から1時間後。
PC達はナイトシティ中心部、リトル・チャイナの外れに建つ古びた倉庫を訪れていた。
そこはジャックを除くPC達が使っている仲介業者が"事務所"と主張している建物である。事前にヌエがエージェントで連絡した通りに扉をノックすると、電子錠が外れる音がした。
倉庫内に入ると、そこはコンクリート造りの外観からは想像し難い内装が施されていた。壁には廃材から回収したコルクボードが張られ、床の隅では妙な匂いの香が炊かれている。
部屋の最奥にデスクと机があり、その前には合成革の張られた二人掛けのソファが二脚設置されていた。
それらはさながら、旧時代の映像作品で見られるような探偵事務所か犯罪結社のアジトといった趣である。
GM:デスクにはこれまた旧時代の犯罪者じみた服装の男が踏ん反り返っていた。男はPC達を一瞥すると灰皿に煙草を押し付ける。
サンドロ:「手前ら、今何時だと思ってやがる。常識あんのか」
サンドロ:「俺の仕事の手を止めることがどれだけの損失になると……」
クラーラ:「どうせ物資の横流しとか、安物の品質詐称とかで小銭稼ぎしてたんでしょ? 大した損失じゃないよ」
サンドロ:「口の減らねぇガキだぜ……まぁいい。何か金になりそうな話があるんだろ? この時間にわざわざ来るなんてよ」
クラーラ:「うん。それも10,000ebのね。興味は?」
サンドロ:「あるッ!」*即答
ヌエ:「相変わらずだなあ、ドミー」
サンドロ:「その呼び方やめろ。ハクがつかねぇ」
ヌエ:「考えておくよ」
ジャック:*口を挟むと話が拗れるのでだんまりで会話を眺めている
カグラザカ:「相変わらず健康に悪そうなところですね」*主にお香が
サンドロ:「なんだ、10,000ebってアレか? あの連続放火犯か?」
サンドロ:「そこの火炎放射器持った薄汚ねぇガキがそうなのか? 捕まえたのか?」*矢継ぎ早に
クラーラ:「こっちは偶然……まあ、奇跡レベルの偶然で出くわした奴」
ハリシャ:「そんなに単純な話なら、わざわざこんなところにゃ来ないよフィクサー」
サンドロ:「今うちの事務所の悪口言ったか?」
ヌエ:「まあ、こういう男だから気楽にして大丈夫だよ」*ジャックに
ジャック:「失礼な奴だが……趣味は悪くないな。こんなビンテージ初めて見た」*興味深そうに内装を見回す
ハリシャ:「本物のビンテージなのは奴の頭の中だけさね」
サンドロ:「本題に移ろう。一体何があった?」
クラーラ:「……あぁ本題ね、本題。忘れてた。ジャック、アレある?」*タグのこと
ジャック:「あぁ。ほら、コレだろ」*タグを机に置こう
サンドロ:「これは……企業の所属タグだな」
サンドロ:「金属板表面に施したレーザ刻印を専用のリーダで読むことで所属情報を読み取ることができる。基本的には、企業に雇われた警備部隊や傭兵が所持するものだが……」
クラーラ:「へぇ……随分便利だ、機械はさっぱりでさ」
サンドロ:「これ、どこで拾ってきた? 高給取りのエグゼクの物なら、強請りのネタに使えんことも無い」
ハリシャ:「鈍いねぇ、アンタ。それがさっきの10,000ebの話に繋がってくるんじゃないか」
サンドロ:「……何?」
ジャック:「私たちが偶然出くわした、本物の"ファイアスターター"が持っていたものだ」
サンドロ:「それ、フカシじゃねぇだろうな……?」
サンドロ:「っていうか、"ファイアスターター"を見たのか!?」
サンドロ:「企業の警備部門だって奴の姿を捉え切れてねぇって話だぜ」
ヌエ:「見たから全員で押しかけたのさ。こんな時間にね」
サンドロ:「ふむ……」
サンドロ:*椅子に座り直し、PC達にもこのタイミングでソファを勧める
GM:◆描写◆
サンドロは唸り、かけているサングラスのテンプルを指で弾く。
彼が身に着けているのは"スマート・グラス"であり、そのレンズ内面は内蔵型エージェントと同期したディスプレイとなっている。
サンドロはブツブツ呟きながらエージェントを音声操作し、PC達との情報共有用ローカルデータプールを立ち上げた。
サンドロ:「マリア、俺だ。"部屋"を立ち上げろ。外からはチャイニーズ・レストランの立ち上げ作業用に見えるよう偽装しておけ」
ジャック:「誰と通信しているんだ?」
ハリシャ:「通信というか、エージェントに搭載したAIの音声操作だね。奴はエージェントを自分の聴覚システムに内蔵してるのさ」
ジャック:「(オペレーションAIに名前と人格を設定しているのか……)」
サンドロ:「俺とお前たちだけのデータプールを立ち上げた」
サンドロ:「俺が持ってる手札を場に出す。お前たちもゲームに参加しろ」
サンドロ:「そのタグは言わば入場チケットだ。とびっきりのな」
サンドロ:「ゲームの名前は"ファイアスターター捕獲作戦"」
サンドロ:「……当然乗るだろ?」
クラーラ:「こっちで持ち掛けた話だよ。当然でしょ?」
クラーラ:「むしろ、とびっきりのジョーカーが手札に来たことに感謝してもらわないとね」
サンドロ:「換金したら嫌ってほど感謝するさ。それじゃ各自エージェントの情報を確認してくれ」
ヌエ:「ドミーの取り分はそれでいいのかい?」
サンドロ:「あぁ。俺は別にそれで構わないさ」
サンドロ:「実際色々と動いてもらうのはお前達だからな。手柄や報酬を掠めとるようなことはしない」
ヌエ:「愛してるよ、フィクサー」
サンドロ:「もっとも、展開や必要に応じて俺も交渉させてもらうことになるかもしれんが……」
サンドロ:「まぁ、その時はフェアに行こう」
カグラザカ:「へえ......?」
ハリシャ:「気前がいいね。助かるよ」
クラーラ:「それがTPOってヤツ?」
サンドロ:「俺の流儀だ」*TPOみたいなもんだけど
ジャック:「見定めさせてもらおう」*どういうやり口か
クラーラ:「あと、ジャックは今晩寝るところがないんだけど」
ジャック:「……ある程度安全で、風の当たらない場所を希望する」
サンドロ:「事務所のソファなら貸してやる」
ハリシャ:「おやおや」
サンドロ:「俺はもう自宅に帰る。そしたら安全だろうが」
ジャック:ソファたすかります!
ジャック:サンドロさんいい人だな……カルティストじゃないし
GM:>>カルティストじゃない<<
GM:では、ミッションも明らかになったところで次のチャプターに移行しましょう
3. 情報収集
GM:◆描写◆
ジャック達が"ファイアスターター"と遭遇した翌日。
各々の根城に帰ったPC達は、サンドロから共有された情報を元に"ファイアスターター"の調査を開始した。
ハリシャ:これは、特定の技能判定に成功するとかで調べる感じかな?
GM:その通り! まず、現時点で調査可能な情報を出しますね
ヌエ:ありゃあ……決定的成功でもしないと私は届かないな
ハリシャ:電子保安技術なら自信ありますよ。現場テックですからね
カグラザカ:少し《推理》に振ってるので、犯行現場を調べようかな
クラーラ:二人に任せるのがいいかな……? ほかに自信あるよ~って人いればくらい
ヌエ:RP上で顔出すくらいの気持ちです
ジャック:同じく。今は様子見でお願いシマス
GM:じゃあまずタグの解析いってみますか
GM:じゃあハリシャさん、タグの解析を行う場合は判定をどうぞ!
ハリシャ:はーい
ハリシャ:《電子/保安技術》だから、ロール特技の「現場エンジニア」を使用する!
ハリシャ:「さてと、タグの表面の刻印データを読み取って照合すれば良いんだったかね。物理形状スキャナの流用でいけるだろ」*サイバーアームを鳴らす
GM:タグを預かったハリシャは根城にしている作業場で解析作業に移る。
発掘してきた旧式スキャナを調整し、スキャンデータの解析をエージェントに任せて待つこと2時間。
ハリシャ:「《バイオテクニカ》ァ? まぁ、識別タグなんて付けてるんだから、傭兵か何かだろうとは思っていたが……」
ハリシャ:「ま、わかるのはこんなところかねぇ」
ハリシャ:*わかった情報はエージェントで共有!
GM:カグラザカはサンドロから齎された情報を元に、それぞれの犯行現場について調べていく。
カグラザカ:「ふむ……一見見境なく犯行に及んでいるように見えるが、《ペトロケム》社または"キャバリアー"への攻撃、という補助線を引くと共通項が見えてくるね」
GM:今調査可能なのは、下記2点です!
ハリシャ:裏社会はお手上げだね
クラーラ:フッ……裏社会技能と【魅力】には自信があります
GM:OK! 裏社会判定をどうぞ!
クラーラ:では、伝手のある裏社会の住人……自分が出入りするクラブの支配人や、自分のファンから情報を集めてみます。
クラーラ:「……ふぅん、また随分露骨にやってるね」
クラーラ:「お陰で手がかりさえ掴めば辿りやすくて助かるけど、さ」
GM:残る情報項目は以下の通り
ジャック:動いてないしラザロの隠しオフィスを探ろう
ジャック:裏社会は3しかないので無理だ
ジャック:ライブラリ検索でいきます!
クラーラ:がんばれ~!
ヌエ:グッドラック!
ジャック:実はエージェントを持っていないので、調査後にサンドロさんに借りた使い捨て携帯電話でクラーラさんと合流して情報共有します
ジャック:「コーポの連中が秘密裏に何かするってんなら……」
ジャック:「こういうところだろうな」*目につかない廃区画を指し
クラーラ:「良い嗅覚してるじゃん」
クラーラ:「それにしても、今時エージェント持ってないなんて珍しいね」
ジャック:「"生身"のあんたに言われるのは釈然としないが……」
ジャック:「故郷を出る時、要らないものは全部ゴミ箱にぶち込んできた」
クラーラ:「なるほど。名前とか過去と一緒に置いてきた訳だ」
クラーラ:「まぁ、仕事に差し支えが出るからどこかで調達しときなよ」
ジャック:「わかってる。あのフィクサーにでも頼むさ」
GM:ではラスト、"キャバリアー"についての情報収集は誰がやるかな?
ヌエ:残っているし、やらせていただきたく!
GM:OK! 《裏社会》での判定だね
ヌエ:自分の仕事の伝手を使い、色々と探りを入れます
GM:ヌエさんはローマン……小規模ながら警備保障会社に勤めているからね。色々その手の情報は入ってくるんでしょうな~。
ヌエ:「ドクターが言ってた取引先を使ってる奴について洗ったよ」
カグラザカ:『お役に立てたようで何よりです』*通話
ヌエ:「ファイルを添付するから見てくれ。所感を聞きたいな」*送信
ヌエ:「企業が絡んでる。厄介事ここに極まるって感じさ」
カグラザカ:『企業幹部。正直関わりたくはないですね……今更ですが』
ヌエ:「とりあえず、己は今からドミーの事務所まで戻るよ。ドクターはどうする?」
カグラザカ:『僕も午後は患者が居ませんから、事務所で合流しましょう。皆の集めた情報を整理する必要がありそうです』
GM:では、PC達がサンドロの事務所に集合すると次チャプターに移行です
4. ラザロ・ルカーニアの隠しオフィス
サンドロ:「つまり、纏めてみるとこういう訳だ」
サンドロ:*備え付けのモニタ上にテキストファイルを表示して
ハリシャ:「いやー、あれだけの情報から、この短期間でこれだけわかるとはね。大したもんだ」
カグラザカ:「タグによって《バイオテクニカ》が視野に入った点が大きいですね」
サンドロ:「《バイオテクニカ》はCHOOH2利権の関係で《ペトロケム》と仲が悪い」
サンドロ:「"ファイアスターター"の正体は《バイオテクニカ》に雇われた傭兵ってのは……かなり有り得る話だな」
クラーラ:「あぁ……たしかに口をそろえて言ってたよ。夕飯をピザかヌードルにするかで一晩中の殺し合いができるだろうって」
クラーラ:「珍しい手掛かりだったけど、それだけに辿りやすかったね」
カグラザカ:「何らかの手がかりを得ようとすれば……直接オフィスに赴くしかない、と?」
ハリシャ:「個人オフィスにしたって警備員を雇ってるだろうから、簡単には行かないと思うが」
ヌエ:「強行突入するか?」
カグラザカ:「怪我人が増えて僕としては大変結構です」
クラーラ:「まぁ、やり方はともかくとして……その隠しオフィスって所に行かなきゃ始まらないでしょ。オフィスに行くのには賛成」
ジャック:「NET構造体の中にデータを隠してるんだとしたら、私が潜る必要もあるしな」*サイバーデッキに軽く触れる
サンドロ:「しかしだな」
サンドロ:「《バイオテクニカ》の隠しオフィスに踏み込むとなれば……いよいよ足抜けはできねぇ」
サンドロ:「今からでも降りたい奴は居るか?」
カグラザカ:*肩をすくめる
クラーラ:「こんな面白そうなことで?まさか」
ハリシャ:「おいおい、ここまで来てそりゃあないだろう。当然行くさ」
ジャック:「不義理は人間の最もひどい裏切りの一つだ」
ヌエ:「無論、最後まで付き合うさ」
サンドロ:「OK、だと思ったぜ」
ジャック:「具体的なプランはあるのか?」
サンドロ:「ラザロについての情報が共有された時点で、奴の動向は俺もマークしてるさ」
サンドロ:「今夜、奴はバイオテクニカの支部オフィスにいる」
サンドロ:「CHOOH2用小麦の次遺伝子バージョンの完成記念パーティーだとよ。どうせお互いの腹の探り合いしかしてねぇんだろうがな」
ヌエ:「なるほど。要するに奴が直接居合わせることはないわけだ」
サンドロ:「その通り。今夜隠しオフィスに潜入し、デッキからデータを盗み出してくるのが手っ取り早い」
ヌエ:「つまり……潜入か」
ハリシャ:「そう上手く運ぶかねぇ?」
ジャック:「Que Sera,Sera、さ。頭さえ使えばな」
カグラザカ:「怪我人は出そうにないですか……」*残念そう
ヌエ:「芸術的な怪我人を山ほど作って差し上げるから、我慢しなよ」
ハリシャ:「そもそも、潜入なんだから怪我人作っちゃあ駄目だろうよ」
ヌエ:「万が一ってこともあるからね」*目そらし
カグラザカ:「思ったより楽しくなりそうですね。期待していますよ」
クラーラ:「……で。アンタ達を何て呼べばいい?」
クラーラ:「この間の喧嘩はともかくとして、今からお互い命を預けるんだ。"何ができるか"の自己紹介くらい、しておいても良いんじゃない?」
サンドロ:「お前ら、それだけじゃれてて他人だったのかよ」*呆れ顔
クラーラ:「初対面でセッションをすることだってあるさ」
サンドロ:「持ってる"楽器"がわかってるに越したことはないだろ?」
サンドロ:「名前とハンドル、まぁなんて呼ばれたいかは好きにしていいと思うが」
サンドロ:「自分の”できること”は明確にしとけ。チームってのは互いの強みを活かすためにあるんだからな」
サンドロ:「ちなみに俺は見ての通り、物資調達やコネを使うのが仕事だ。それ以外はあんまり期待するなよ」
ヌエ:「ドミーは後方が似合うからねぇ」
サンドロ:「じゃあオールドフィクション、お前からだ」
ヌエ:「ハンドルはドミーが言った通り"Old Fict"、名前はヌエだけど……発音しづらいから好きに呼ぶといい」
ヌエ:「己は彼の対岸さ。前に出てゴロツキを相手取ることだけ期待してくれたまえ」
ヌエ:「以上、あとは見て覚えるのが一番だよ」
ヌエ:*腕を組みなおす
ハリシャ:「そして死ぬほど体が頑丈ってわけだね。いざとなったらこいつを盾にでもして生き残りな、前線組」
クラーラ:「……あぁ。たしかに、異常に頑丈だったね」
ヌエ:「随分な言われようで涙が止まらないよ、ハリシャ」
ハリシャ:「"できること"を紹介するって話だったからねぇ」
クラーラ:「前衛にするなら一番頼れるってとこかな、ヌエ……よろしく」
ハリシャ:「じゃ、次はあたしが名乗らせて貰おうかね」
ハリシャ:「あたしはハリシャ。巷じゃあ"Leg Godt"で通してる」
ハリシャ:「見ての通りしがない技術屋さ。機械いじりは任せてもらって構わないが、ドンパチやるのは性に合わないんでね、任せるよ」
ハリシャ:「そんで、この街一番の"発明家"さ! なんか作ってほしいもんがあったら、あたしん処に来るんだね」
クラーラ:「改造るのは行ける?」
ハリシャ:「む……まぁ、手慰み程度には心得があるよ。現にそこの筋肉達磨の得物はあたしのお手製さ」
カグラザカ:「興味深い。今度是非医療機器のメンテをお願いします」
ヌエ:「大抵の課題はなんとかするのが良いところだね」
ハリシャ:「あぁ、そういうのも請け負ってるから、用があったら来な。歓迎するよ」
サンドロ:「"発明"の方はともかく、現場技術と改造の技術に関してはマジで信頼できるな」*よく仕事を回している
ハリシャ:「ま、サンドロにはよく世話になってるね」
ジャック:「腕のいいテクは得難いから助かる。後で相棒のメンテも頼む」
サンドロ:「しかし、メンテが要るとはカグラザカ先生の診療所も随分繁盛してるようだな?」*水を向けよう
カグラザカ:「カグラザカと呼んでください。見ての通り、医者です」
カグラザカ:*サイバー白衣をつまみながら
カグラザカ:「専門は外科手術でしてね。ここにいる何人かは実際に処置もさせてもらったので信頼は得られているでしょう」
ヌエ:「価格が出血級なのがいいところだね」
クラーラ:「すぐ動けて、安い。腕もいい」
ジャック:「すぐ動けるのか?」
カグラザカ:「はい。安く済むのは麻酔を打たない術式ですから」
サンドロ:「こいつの提唱する”ノー麻酔オプション”をメリットとして受け取るこいつらがおかしいだけだと思いたい」
クラーラ:「見ての通り饒舌だから、話してればすぐに終わるよ」
クラーラ:「サロンで髪を切る時だってそうでしょ」
ジャック:「そいつマジか……?」*頭を抱える
カグラザカ:「今回の件、沢山怪我人が出ると考えると今から胸が高鳴ります。怪我をしたら直ぐに言ってくださいね」
カグラザカ:「ああ、そうそう。あまり楽しくないのでやりたくはありませんが、一応薬学の方も修めてはいます。」
サンドロ:「っていうか、なんで当然のようにお前がノー麻酔なんだよ」
サンドロ:「お前たしかギタリストだろ?」*クラーラに
クラーラ:「ステージとは限らないけど、演ってる場所に弾丸が飛び交うのなんてコンバット・ゾーンじゃよくあること……でしょ?」
クラーラ:「見ての通り、ギタリスト……違うな。ダンスもしてるし、パフォーマー……はちょっとエンタメ過ぎる」
クラーラ:「ロッカーボーイ……違うね、女だし。ロッカーガール……うん、これが一番しっくりくるかな?」
ヌエ:「驚いた、本当にロッカーだったとはね」
サンドロ:「まぁ、"ロッカー"なのは間違いないな」*色んな意味で
サンドロ:「何せこいつ、サイバーウェアの類を一切入れてないんだから」
ハリシャ:「そんな話は聞いてたが、本当にそうだとしたら変わってるなんてもんじゃないね?」
ジャック:「何か……特別な理由があるのか?」*理解しがたい
クラーラ:「自分の身体を弄るのは"1回"だけって決めてるんだ」
カグラザカ:「彼女の"スタイル"ということですね」
クラーラ:「クラーラ・クローディア・コールドウェル。アーティスト名で言うなら"Dust Tails"」
ヌエ:「ん゙ん゙っ! 今何て? 聞こえなかった」
ハリシャ:「なんだい、潰れたカラスみたいな変な声出して」
クラーラ:「CCC、クラーラ、ダストテイル。呼び名に関しては何でもいい……そんなに珍しい名前じゃないと思うけど?」
ヌエ:「……聴いたことある。なんで気付かなかったんだ」
ジャック:「……?」
ヌエ:「"ガーデン"で見たことがある。めちゃくちゃコメント書いてた」
※ジグラットが提供する創作物向けデータプールのこと
サンドロ:「あぁ、データプール経由のファンだったのか」
クラーラ:「活動記録ついでに残してるんだ。クラブでは見たことない顔だったけど、そうだったとはね」
ハリシャ:*本当にロッカーなんだな、という顔
ヌエ:「……サイン、貰ってもいいかな」顔を覆ったまま
クラーラ:「たしかに、時々滅茶苦茶熱心なコメントしてくる人はいたけど……報酬を貰ったらどうせ打ち上げかその類はするんだろうし、その時でいいでしょ?」
クラーラ:「それとも……」*ヌエの隣に腰を下ろす
クラーラ:「其処彼処で簡単にサインするようなファン想いのアーティストがお好み?」*ヌエの手を取って
ヌエ:「い、いやダメだ。それは保たない、心拍が!」
サンドロ:「クラーラ、お前そっちの趣味だったか?」
クラーラ:「私はどっちでもイケるけどインプット専」
サンドロ:「お前生身だろ!」
クラーラ:「生身でも使える製品はたくさんあるよ」
サンドロ:「聞きたくねぇ」
ハリシャ:「相変わらずこの男は男女観が70年遅れなんだから」
サンドロ:「ま、サインの話は後にしな。報酬を貰ったら"アフターライフ"のフロアを貸し切って豪勢に祝賀会と行こうぜ」*皮算用
ハリシャ:「そりゃまた、高くつきそうだね。楽しみにしておくよ」
サンドロ:「あとは……お前だ」*ジャックの名前聞いてなかった
ジャック:「……ジャックだ。ごらんの通り、一昨日ノーマッドに運ばれてきたばっかりの新鮮な余所者さ」
ジャック:「ハンドルは"ignitER"。個人的な理想をかなえるためにナイトシティへやってきた」
ジャック:「リクレイマー崩れだから、まあ……電気をちょろまかしたりはできる。それとハッカーだ。趣味の範囲でならデータくらい抜いてやる」
サンドロ:「物騒な趣味だな……」
サンドロ:「俺のサイバーグラスには絶対触らないでほしい。怖い」
ジャック:「失礼な奴は早死にするぞ」*サンドロを睨み
ハリシャ:「へぇ、ハッカーか。それならこの後の仕事は大活躍ってことだね。期待してるよ!」
ヌエ:「……待ってくれ、最近のハッカーはスロワーを持ち歩くのがトレンドなのかな?」
クラーラ:「また随分アツいトレンドだね」
ジャック:「コイツは相棒だ」
ジャック:*自慢げに継ぎはぎの型落ちフレイムスロワーを掲げ
ヌエ:「なるほど、アンタの"スタイル"というわけだね」
クラーラ:「……この街なら常識外が1人いる方が有利に立ち回れることもあるし、いいかもね」
サンドロ:「珍しい得物だ。ハリシャが改造すれば化けるかもしれんな」
ハリシャ:「あぁ、見たところ中々年季が入ってるみたいだからねぇ。調整するなら早めにおいで」
ヌエ:「趣味を持ってる人間は信用できる。そういうことなら納得だとも」
カグラザカ:「先日手に入れた合成皮膚を試したいところだったんです。是非熱傷の患者を作ってくれると助かります」
ジャック:「勝手にしろ、腐れドク……」*最悪の医者に顔をしかめ
ヌエ:「おっと、話し込んでしまった。そろそろ良い時間かな?」
クラーラ:「出発しましょうか。フィクサー、運転よろしくね」
4-1. 隠しオフィスのNET構造体
◆描写◆
PC達はヘイウッド南部ヘイウッド工業区画に《バイオテクニカ》社の主任研究者、ラザロ・ルカ―ニアの隠しオフィスがあることを突き止める。
隠しオフィスは、工場街外れにある寂れた屋内モールの内部を改装して造られているようだった。
夜の工場街は薄暗く、芯の切れかけたタングステン灯が周囲を乱暴に照らしている。PC達は周辺を警戒する警備員達の目を掻い潜り、素早くオフィスへと滑り込んだ。
騒ぎを起こさないのに越したことはない。
GM:PC達が通信インカム――骨伝導式小型スピーカーと咽喉マイクの複合デバイス――を身に着けると、耳元でフィクサーの声が聴こえた。
サンドロ:『よう、通信の調子はどうだ?』
サンドロ:『俺の"暗号器"を噛ませてるから、この通信が盗聴される心配はない。多分な』
ヌエ:「ドミーが隣にいるみたいに鮮明だよ」
ジャック:「問題ない」
クラーラ:「クラブの音響より数段上かな」
カグラザカ:「流石の手際ですね」
ハリシャ:「こんな玩具隠してたなんて聞いてないよ? 終わったら借りていくからね」*有無を言わせず
サンドロ:『好きにしろ。……そんなことより、だ』
サンドロ:『そこに見える屋内型モールの一角を改装する形で、ラザロ・ルカーニアの隠しオフィスがある。できるだけ騒ぎを起こさず、中から手がかりを捜してくるんだ』
ジャック:「《バイオテクニカ》が《ペトロケム》攻撃のために雇った傭兵に関する情報……か」
サンドロ:『ついでに、足が付きにくそうでカネになりそうなものがあれば拾ってきてくれ。小銭稼ぎにはなる』
GM:◆描写◆
PC達は警備部隊の目を掻い潜り、企業モール内部へと侵入する。
扉は物理錠で固く閉ざされていたが、ハリシャのテックツール内蔵義肢の前には西部劇のスイングドアと大した違いは無い。
モール内部は薄暗い電灯に照らされている。
非常用の電源設備を繋ぎ、最低限の照明を稼働させているようだ。
PC達は注意深く内部を進み、集めた情報を元に割り出した区画へと足を踏み入れた。
GM:それでは進んでいきましょう
GM:屋内型モールの一角に造られた隠しオフィスは、一見すると廃墟にしか見えないが……たしかに電気が通っている
ハリシャ:「ふうん……電気系統はまともみたいだね。こりゃローカルサーバも動かせそうだ」
ジャック:「構造体がある、ってことか?」
ハリシャ:「そういうことだね。得物を確認しておいてくれよ」
ヌエ:「内部からサーバー類の駆動音がする区画があるな……おそらく、隠しオフィスはこのテナントの中だな」
GM:◆描写◆
施設の外こそ警備部隊が巡回していたが、内部は無人のようだ。
ドアの施錠と機械式警報装置を解除したPC達は、内部を物色しながら隠しオフィスの最奥へとたどり着いた。
GM:PC達は下記のアイテムを手に入れることができます。
GM:PC達は最奥部、4つ目の部屋へと辿り着いた
GM:そこには青白いLED光を放つサイバーデッキ・ターミナルが設置されている。NET構造体へのアクセスポートも併設されていた。
カグラザカ:「……」*薬品材料を手元で弄んでいる
ハリシャ:「屋内に監視カメラやセキュリティ制御があれば、見えないところまであたしが見張っておくんだけどねぇ」
ジャック:「なるべく手早く済ませるさ」
GM:ジャックは手入れの行き届いていない黒髪をかき分け、首元のインターフェイス・プラグからケーブルを伸ばす。
隠しオフィスのアクセスポイントは、見かけ上は古びたポートの並ぶ旧型デバイスだ。
もしかすると、その内部はネットランナーを甚振り殺すために作られた電子の拷問処刑場かもしれないのだが。
GM:ジャックが常にかけているバーチャリティー・ゴーグルが起動し、視界とNET構造体情報がラップする。
ジャックの視界は、暗黒の中に浮かんだグリーンゴーストカラーのワイヤーフレームで構築された仮想空間を捉えていた。
彼女もまた、ネットラン用の仮想身体へと姿を変えている。
Jack IN "@ignitER"
ジャック:「ネットランの護衛はしたことあるか?」
ジャック:「こっからジャックアウトするまで、肉体の挙動がおろそかになる。遠くにも行けなくなる」
ジャック:「せいぜい、私の命をチップしてることを忘れてくれるなよ」*くどくど
ヌエ:「心配することはない。少なくともこの仕事の間はきっちり守るさ」
カグラザカ:「ええ、それに多少の負傷は私がいるので問題ありません」
ハリシャ:「ま、今のところは敵さんも室内に入ってくる気配はないし、そう面倒なことにはならないと思うがねぇ」
ヌエ:「……こう見ると、彼女の猫みたいな警戒心も納得だね」*周りに
ジャック:「とりあえず、構造体への侵入は成功だ」
ハリシャ:「今のところ、外の動きは無いね。続けておくれ」
GM:それでは"ネットラン"のルールに基づき、ジャックさんにはこの「隠しオフィスのNET構造体」内部を探検していただきましょう!
ジャック:とりあえず第一階層に到着!
GM:この階層には何もありませんね。下階層に続くパスがあるだけだ。
GM:ジャックは1ラウンドに3回のNETアクションが行えますね
ジャック:むむむ……
GM:この構造体が全部で何階層あるのか、途中で分岐はあるのか、途中に何か障害となりえるものはあるのか……などを知るには「パスファインダ判定」が有効です
ジャック:なるほど。まずは構造体の構造を暴くところから始めましょうか
ジャック:「まずは構造を把握する。枝があると面倒だ」
ignitER:Pathfinder_
ignitER:1d10+4 //インターフェイス能力
CyberpunkRed : ジャック:(1D10+4) > 2[2]+4 > 6
GM:ふむふむ……
ジャック:渋い出目ですな……
GM:パスファインダ判定の達成値よりも難易度の高い障害物があると、パスファインダの効果はそこで止まってしまうんですねぇ……
ジャック:最低でも難易度が7以上のパスワードか何かがある訳ですね
GM:その通り! 階下にパスワードがあります。
GM:バーチャル空間上のジャックは右手を前方に突き出し、「パスファインダ」コマンドを実行する。
ニューラルウェアでコマンドが実行されると同時に、彼女の右手から青白い波紋のようなパルスが空間内に伝播していく。
GM:しかし、直下の階層には彼女のパスファインダを上回る強度のパスワードが仕掛けられていたようだ。
波紋は防壁に阻まれ、構造体の全容を見通すことができない。
サンドロ:『構造体に侵入したようだな。手早くデータを盗み出してくれ』
サンドロ:『あんまり悠長にしてると入口で撒いた連中が戻ってこないとも限らん』
ジャック:「(舌打ち)……まだ取り掛かった所だ。構造も掴めてない」
ジャック:「鬱陶しい防壁が仕掛けられている」
カグラザカ:「突破できるのですか?」
ジャック:「黙って見てろ」
GM:下階層に移ってパスワードを破るかな?
ジャック:そうですね。ただ、先に【ワーム】を起動しておきます。
GM:ジャックは腰に装備した、長年使い込んだ低品質サイバーデッキのソフトウェアスロットに手を伸ばす。5つしかないスロットの1つに挿しているのは、対パスワード用プログラム”ワーム”だ。
ignitER:Start Worm.exe_
GM:バーチャル空間のジャックの傍らに、金色の長蟲が姿を現す。
彼女の意識はそのまま、直下の階層へと滑り込んだ。
降り立った先には、パスワード防壁が仕掛けられている。
バーチャル視覚化されたそれは、視界一杯にそそり立つ強固な石積の壁だ。
傍らのワームがギチギチと唸る。
ジャック:バックドア判定いきます!
GM:OK! 難易度は8だ!
ignitER:Backdoor_
ignitER:1d10+4+2 //インターフェイス能力
CyberpunkRed : ジャック:(1D10+4) > 2[2]+4+2 > 8 →accepted!
GM:仮想空間上のジャックの指から、金色のレーザ光線めいたハッキングイメージが出力される。
これだけで穴を開けるにはやや心許なかったが、ワームはその隙間に潜り込むと石壁のテクスチャを食い荒らしながら小さな穴を形成した。
ジャック:「防壁を突破した」
サンドロ:『早いな。10秒も経っていないが』
ジャック:「面倒なのはここからだ。構造体内部をもう一度洗う」
GM:では、第二ラウンド! 再度、1回目のNETアクションですね
ジャック:邪魔なパスワードも破ったところで……
ジャック:もう一回パスファインダしたいところデス
GM:OK!
ignitER:Pathfinder_
ignitER:1d10+4 //インターフェイス能力
CyberpunkRed : ジャック:(1D10+4) > 9[9]+4 > 13
ジャック:ヨシ!
ハリシャ:いいぞ!
カグラザカ:ナイス~!
クラーラ:いいねぇ!
ヌエ:よしよし!
GM:おぉ! では構造体内部にあるものを全て開示します。
GM:構造体の構造と中にあるものが明らかになります。
直下の階層に待ち受けていたのは対人ブラックICEの「ヘルハウンド」
GM:更に第三階層には「枝」があり、その先に何らかのデータファイルが配置されています。そして構造体の最奥部にもファイルがあります
ジャック:それは用心深いことで……。
ジャック:「……ヘルハウンドか」*眉間に皺を寄せる
GM:ジャックの真下には獰猛な対人ブラックICEが待ち構えています。
「対人」ブラックICE――つまり、文字通り「人間」に対処するために組み上げられた殺人防衛プログラム。獰猛極まる電子の番犬だ。
GM:ジャックの残りNETアクション、2回
ジャック:【アーマー】を起動しておきましょう。攻撃されると脳が痛いですからね
ignitER:Start Armor.exe_
GM:残る1回は?
ジャック:ヘルハウンドと遭遇した時に3回動けるよう、残りの1回は様子見して次のラウンドを待ちます。
GM:賢明な判断だ。では、現実世界の描写を……。
サンドロ:『ちょっとマズいことになったぞ』
サンドロ:『警備員が何人かそっちに向かってる』
カグラザカ:「バレたのでしょうか?」
サンドロ:『いや、たぶん休憩か交代だ。タイミングが悪かったな』
ヌエ:「わからないよ。相手は企業だ」
クラーラ:「警備員達の人数と武装はわかる?」*武器を取り出しながら
サンドロ:『サブマシンガン持ちが3人、ショットガン持ちが2人だ』
ハリシャ:「チッ! 仕事熱心なことだ。歓迎したくはないが……出迎えない訳にもいかないか」*同じくアサルトライフルを準備
ヌエ:「場所は悪くない。ジャックのネットランを妨害されないよう対処しよう」*背部ラックを解除して得物を手に取る
ヌエ:「ジャック、そっちの調子は?」
ジャック:「防衛プログラムがファイルの番をしてる」
ジャック:「お互いクソ犬と殺し合いってわけだ。やられるなよ!」
GM:では、建物に踏み込んできた警備隊達と迎え撃つPC達。
GM:ジャックが下の階層に踏み込むと同時に、戦闘を開始します……!
4-2. 前編のまとめ
ナイトシティにやって来た新参者のネットランナー、ジャック。
火炎放射器を相棒とする彼女の前に姿を現したのは、強靭な身体能力を持ち右腕に火炎放射器を仕込んだ放火犯、”ファイアスターター”であった。
偶然にもファイアスターターの身に着けていたタグを手に入れたジャックは、技術屋のハリシャ、外科医のカグラザカ、警官のヌエ、そしてロッカーガールのクラーラと手を結び、賞金10,000ebがかけられた放火犯の捕獲に向けて動き出す。
仲介屋・サンドロの事務所に集まったPC達は、情報収集の末《バイオテクニカ》社の動向に注目する。
"CHOOH2"の製造ライセンス料を巡り険悪な関係である《ペトロケム》と《バイオテクニカ》の企業間抗争を仮定したPC達は、ファイアスターターの手がかりを求めて隠しオフィスへと潜入するのであった。
ジャックがNET構造体へと侵入する中、現実世界のPC達の元にも武装した警備員達が迫る。
ジャックは防衛プログラムと、残るPC達は警備員達と。
戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。