タクティカル祓魔師TRPGリプレイ 行動予備班シリーズ 第一話「落ちこぼれ達の部隊」前編
はじめに
この記事は、2024/4/29に行われたタクティカル祓魔師TRPGのセッションログを再編集したリプレイです。
読みやすくするため、実際のセッションログを少しだけ脚色したり、発言順序を整理したりしています。
本作は「@御伽月」氏が権利を有する創作企画『タクティカル祓魔師』の二次創作です。
また、本TRPGのルールは、フィリップ・N・モーゼズ氏がメインルールデザイナーを務め、ニンジャスレイヤー公式/ダイハードテイルズによって提供された「ソウルワイヤードTRPGフレームワーク」を採用しています。
「ソウルワイヤードTRPGフレームワーク」の著作権は、メインルールデザイナーであるフィリップ・N・モーゼズ氏と、ダイハードテイルズ・ゲームズが有しています。
0. あらすじ
西暦2045年、永慈3年。
現実世界である「現世」に対する隣接領域「幽世」が発見され、かつて幽霊や妖怪の仕業とされていた怪奇現象が「境界異常」と名付けられた時代。
内閣府直轄の外局「環境庁」は数十年に渡る研究の末、境界異常に抗する境界対策組織である「神祇部」を設立した。
神祇部に属する武装神職達は、穢れを防ぐ「狩衣」を身に纏い、穢れを祓う「祭具」を手にして境界異常との戦いを繰り広げる。
最先端の科学技術と祓魔の理論を武器に魔を祓う彼らを、人は「タクティカル祓魔師」と呼ぶ――。
◆ ◆
対境界異常組織である環境庁神祇部の実働部隊には、大きく分けて三つのセクションが存在する。
祭具の開発を主とし、界異の分析なども担う技術部隊「祭具開発課」。
全国の封印結界や幽世との境界監視、また境界異常発生時の結界造成を担う保守部隊の「結界管理課」。
そして境界異常の前線で界異との戦闘を行う、祓滅部隊の「境界対策課」。
そんな中、どの組織にも行き場の無い"訳アリ"な人員の集められた小隊が存在した。
様々な事情を抱えた人員の集まった、所謂人材の墓場。
境界対策課が預かるその部隊は、「行動予備班」と名付けられていた。
1. 落ちこぼれ部隊、予備班
GM:◆描写◆
東京都千代田区、霞が関。
日本の首都機能が集約された官庁街の一角、「第三西会館」と称される建物にその組織は居を構えていた。
環境庁 神祇部。
日本国内において「境界異常」への対処を一任された、第三の公安組織。
対瘴気装備を身に纏い、祭具を武器に魔を祓う武装神職。
彼らは現代の日本において、最も危険な職業に就く者に数えられる。
時刻は17時過ぎ。境界対策課のシフトは夜勤が多い。
四月に環境庁へと就職し、人事面談を終えた新米祓魔師の三刀屋 宵子は配属先の会議室へと向かっていた。
配属先は境界対策課の要する下部組織の一つ、「行動予備班」である。
――詳細は配属先で聞いてね。
人事担当者の、どこか投げやりな言動が三刀屋の脳裏に留まっていた。
訓練時代から使っている祭具や装備を鞄に詰め、彼女は指定された会議室を目指して古い廊下を歩いていく。
PC名:三刀屋 宵子/ミトヤ ヨイコ
PL名:シロクニ
・能力値
【体】1 【霊】3 【巧】5 【術】1
・副能力値
【体力】1 【霊力】3 【機動力】3
・祓魔術
【加護防壁】
・支給装備
【形代】*7 【祓串】*7 【注連鋼縄】*21
【呪瘤檀】*3
・攻性祭具
【中型近接祭具】:薙刀型黒不浄
【大型遠隔祭具】:祓串発射装置「カラビナLW2000」
・防性祭具
【軽装狩衣】:回避ダイス+2
・特技
【戦術機動】
【汎用祭具適性】
・パーソナルデータ
2029年生まれの16歳。
某県の山間部にある小規模集落で祖母と暮らしていた。
術を含めた祓魔師への適性が見出だされてからは、紆余曲折を経て上京。
環境庁の「若年向け祓魔師育成プログラムⅡ種」を適用された結果、
通信制の神学校に通いながら祓魔師としての業務を兼任している。
技巧に長けており、大型遠隔祭具と中型近接祭具を使って距離を選ばない戦闘を展開できる。
行動予備班の会議室は、西会館三階の端に位置する小さな一室である。
使われなくなった資料室をそのまま流用したその部屋は、設備が充実しているとは言い難い。
古臭いステンレス製のドアノブが付いた扉をノックすると、室内からは張りのある女性の声で「どうぞ」と返ってきた。
三刀屋が扉を開けると――。
三刀屋 宵子:「お邪魔しまー……」*扉ガチャッ
――胡散臭い眼鏡の男が床に倒れ、小さく呻き声を上げている。
――身目麗しい令嬢が、眼鏡の男を足蹴に冷たい視線を投げかけている。
――桜色の髪をした青年が、部屋の隅で小動物にエサをやろうとしている。
柊崎 リツヤ:「なぜだっ!」
柊崎 リツヤ:「なぜこの天才的供物を受け入れないッ!」
PC名:柊崎 リツヤ/フキザキ -
PL名:御伽月
・能力値
【体】3 【霊】3 【巧】5 【術】0
・副能力値
【体力】3 【霊力】3 【機動力】3+2
・祓魔術
なし
・支給装備
【形代】*7 【祓串】*7 【注連鋼縄】*21
【名伏】*3
・攻性祭具
【小型近接祭具】:旧規格祓串 *2
・防性祭具
【軽装狩衣】:回避ダイス+2
・特技
【戦術機動】
【白兵戦適性】
【機動戦適性】
・パーソナルデータ
2021年生まれの24歳。
代々優れた神祇官を輩出する名門一族の分家「柊崎」の家に生まれるも、先天的な素養に恵まれず
苦しい幼少期を過ごしていた。紆余曲折あって勘当されている。
一族への反抗精神を理由に十代後半から神祇部の未成年者登用プログラムに参加しており、
常に祓魔の一線に身を置き続けている。
高い機動力と手数を持ち、小型近接祭具による急襲・離脱戦法を得意とするインファイター。
柊崎 リツヤ:「畜生の分際で選り好みとは良い度胸だな!」
柊崎 リツヤ:「碌な成獣にならんぞ! お前!」
猪の子供:「ぷぎぃ……」*そっぽを向く
ローラ・S・カサンドラ:「あら……新入りかしら?」*宵子の顔を見て
PC名:ローラ・ザリア・カサンドラ・ド=ベルナウアー
PL名:パッ太郎
・能力値
【体】5 【霊】1 【巧】1 【術】2
・副能力値
【体力】5 【霊力】1 【機動力】3
・祓魔術
【反閇歩法】
・支給装備
【形代】*7 【祓串】*7 【注連鋼縄】*21
【疑似穢Ⅱ型】*3
・攻性祭具
【大型近接祭具】:ディスクオルゴール型大戦斧「虎の涙/ティガートレーネ」
【霊的遠隔祭具】:同上
・防性祭具
【重装狩衣】:【装甲】+3 【戦術機動】難易度+1
・特技
【戦術機動】
【白兵戦適性】
・パーソナルデータ
2021年生まれの24歳。
フランスの騎士領主階級をルーツとする欧州祓魔の名門「ベルナウアー家」の出身だが、
一族の重んじる「高度な術」と生まれ持った祓魔術の方針が合わず、劣等の烙印を押されていた。
現在は「技術交流」の名目で日本の環境庁・神祇部に在籍しているが、事実上の島流しである。
可憐な見た目に似合わぬ膂力を持ち、大型祭具の質量で界異を叩き切るパワーファイター。
身に宿す祓魔術を発動することで、更なる怪力を発揮する。
牟田田 白金:「本日配属の三刀屋さんですよ」*絞り出すように
PC名:牟田田 白金/ムタダ シロカネ
PL名:ヴォーパルのっち
・能力値
【体】1 【霊】2 【巧】4 【術】2
・副能力値
【体力】1 【霊力】2+2 【機動力】2
・祓魔術
【式神使役】
・支給装備
【形代】*7 【祓串】*7 【注連鋼縄】*21
【医霊器具】*3
・攻性祭具
【中型遠隔祭具】:祓串発射装置「カラビナORZ90」
【汎用使役祭具・Ⅰ型】:汎用式神「カルシウム弐号」
・防性祭具
【軽装狩衣】:回避ダイス+2
・特技
【戦術機動】
【被呪耐性】
・パーソナルデータ
年齢不詳(推定・二十代後半)。
界異や境界異常に絡む600件超の詐欺罪で逮捕された、元呪詛犯罪者。
経歴が余りにも不可解であったため、監視と司法取引の一環で祓魔師として神祇部に服務している。
主に外部との交渉や事務会計を担当しているが、そこそこの頻度で改竄や横流しを試みる。
戦闘時は複数の式神を使役し、数の優位を得る戦法を好む。
牟田田 白金:「あとお嬢様……そろそろ足をどけてください……」
ローラ・S・カサンドラ:「誰が口を開いていいといったかしら」*足の力を強める
牟田田 白金:「ぐふぅ……」
三刀屋 宵子:「……」
三刀屋 宵子:*無言で扉を閉じる
ローラ・S・カサンドラ:「まあ、いいわ」
ローラ・S・カサンドラ:「自己紹介をしなくてはなりませんしね」
ローラ・S・カサンドラ:*足を退ける
牟田田 白金:「待って! 閉めないで!」*急いで扉を開ける
牟田田 白金:「と、とりあえず話だけでも聞いてください……!」
三刀屋 宵子:*訝し気な目
◆ ◆
牟田田 白金:*とりあえず全員をパイプ椅子に座らせた
ローラ・S・カサンドラ:*ローラの椅子だけ座面に赤い布が敷いてある
柊崎 リツヤ:*足を余らせ気味に組んでいる
牟田田 白金:「改めて、本日配属の三刀屋宵子さんですね? ようこそ、我らが"行動予備班"へ」*にこにこ
三刀屋 宵子:「はい、新人の三刀屋宵子です! よろしくお願いします!」*綺麗にお辞儀し
牟田田 白金:「私、この部隊の事務会計を担当している牟田田 白金と申します。どうぞよろしくお願いします」
牟田田 白金:*口の両端を吊り上げる
ローラ・S・カサンドラ:「お初にお目にかかりますわ。私はローラ・ザリア・カサンドラ・ド・ベルナウアーと申しますわ」
ローラ・S・カサンドラ:*いつの間にか紅茶のカップを揺らしている
柊崎 リツヤ:「……若いな」
柊崎 リツヤ:「柊崎 リツヤだ。女と馴れ合うつもりはない」
柊崎 リツヤ:「くれぐれも、この天才の足を引っ張るなよ」
牟田田 白金:「ちょっとちょっとリツヤさん、後輩の子にそんな態度取ることないじゃないですか」*あせあせ
ローラ・S・カサンドラ:「にしても、どの国も人手不足は変わらないんですのね。こんな子供が前線行きだなんてド哀れすぎて見ていられませんわ」
牟田田 白金:「お嬢様そんな直球言わなくても……」*冷や汗
三刀屋 宵子:「まだ16歳なので、子供なのは否定できないと思います」
牟田田 白金:「16歳!?」
柊崎 リツヤ:「フン、どうせすぐ居なくなるさ」
ローラ・S・カサンドラ:「あら、相変わらず自分より立場が下と見た人間にだけは偉そうなのね」
ローラ・S・カサンドラ:「立場を脅かされなくていいから、安心して虐められるものねえ」*リツヤさんを憐れむ
牟田田 白金:「お嬢様! 煽らないでください!」*あせあせ
柊崎 リツヤ:「安い挑発だ。案ずるな、牟田田」
三刀屋 宵子:「とりあえず、認めてもらえるようにがんばります!」
ローラ・S・カサンドラ:「セバス、貴方もよく先ほどのアレがありながら私に物申せたものね」
牟田田 白金:「ギクッ……」*先ほどのアレ
三刀屋 宵子:「……セバス?」
柊崎 リツヤ:「この女は牟田田のことをセバスチャンだと認識している」
柊崎 リツヤ:「まぁ、実際牟田田は偉そうなことを言える立場ではないな」
牟田田 白金:「ヒィ! リツヤさんまで……」
三刀屋 宵子:「セバスさん……じゃなくて牟田田さんは、何故ローラ先輩に踏まれていたんですか?」
ローラ・S・カサンドラ:「この男は部隊の予算を使って、無断でうり坊を買ってきたんですのよ!」
三刀屋 宵子:「?」
猪の子供:「ぷぎぃ!」*宵子の足元で寝っ転がる
三刀屋 宵子:「わ~! ちっちゃい子だ!」*うりぼうに手を伸ばす
柊崎 リツヤ:「このボロ倉庫の修繕や祭具のメンテナンス、その他部隊に必要な予算は常に逼迫している。その上予備班は碌な仕事も予算も回ってこない人材の墓場と来ている」
柊崎 リツヤ:「一体どういう事情があって猪の幼獣を買ってきた? 大体、どこで買えるんだ?」
三刀屋 宵子:「ちょっと気になるところではありますね」
牟田田 白金:「私はこの部隊のことを思えばこそ、そこのプラチナム壱号の調達導入をですね……」*あせあせ
柊崎 リツヤ:「せめてそのネーミングセンスはなんとかならないのか」
ローラ・S・カサンドラ:「全く、新人一人と聞いてましたのに豚畜生まで増えるなんて。どこまで育ててから捌くのが一番利益になるかしら」
牟田田 白金:「壱号は豚じゃありません! 猪です!」
ローラ・S・カサンドラ:「分類学上では同一ですわ」*牟田田を足蹴に
牟田田 白金:「ぐふぅ……」
ローラ・S・カサンドラ:「早く説明なさい、セバス」
牟田田 白金:「おほん……」*咳払い
牟田田 白金:「トリュフってあるじゃないですか」
柊崎 リツヤ:「……」
三刀屋 宵子:「……」
ローラ・S・カサンドラ:「……」
牟田田 白金:「アレって工業的な栽培が難しいというか……まぁ土中に生えるキノコなんですよね」
牟田田 白金:「嗅覚の鋭敏な豚はトリュフの匂いを嗅ぎ分け、屈強な背筋と硬い鼻先でそれを掘り出すのだそうです」
柊崎 リツヤ:「先程は猪と言っていたがな」
牟田田 白金:「分類学上は同じですからね」*眼鏡クイッ
三刀屋 宵子:「ふむ?」*話の流れが分からないのでうりぼうとじゃれつつ
牟田田 白金:「新人の方にこんなことを言うのも憚られるのですが、我々の部隊は結構暇……失礼、時間に余裕がありまして」
牟田田 白金:「神祇部の擁する訓練場や近隣の山野でトリュフを探し、それを売り捌いて部隊の資金にしようと考えたわけです」
牟田田 白金:「そうすれば閑職たるこの部隊の設備や装備も充実……我々の業績も上がり評価もウナギライジング……というわけです」*ニコ
牟田田 白金:「どうです……!? 三刀屋さんも乗りませんか、この話。手伝っていただければ分け前は……」*帳簿を取り出す
三刀屋 宵子:「へええ!そうなんですね!そのキノコが取れれば資金が……って、閑職?」
柊崎 リツヤ:「忠告しておくが、分類学上この男は詐欺師と同じ生物だぞ」
三刀屋 宵子:「なるほど! 初めて詐欺師の人をみました!」
柊崎 リツヤ:「(この娘……意外と動じないな)」
ローラ・S・カサンドラ:「トリュフの採集は不可能ではないでしょうね」
ローラ・S・カサンドラ:「しかしそれを販売するルートは? 安定供給の手立ては? 何よりその畜生の維持コストは!?」
牟田田 白金:「ヒッ!」
ローラ・S・カサンドラ:「そもそもこの国の公務員は!!!!」
ローラ・S・カサンドラ:「副業禁止でしてよ!!!!!!!!!!!」
牟田田 白金:「ヒッ!」
牟田田 白金:「フランス人のお嬢様に本邦の公務員服務規程のことで怒られてしまった……」*しおしお
ローラ・S・カサンドラ:「今からこの詐欺師にはこの豚畜生の購入費の分だけ折檻を受けていただきますわ」*鞭を構える
ローラ・S・カサンドラ:「もちろんレートは1円=1回ですわ~!」
牟田田 白金:「や、やめてください! ひき肉になってしまいます!!」
牟田田 白金:*慌てて逃げ出そうとする
柊崎 リツヤ:「……形代紙が何枚あっても足らんな」
GM:その時である
GM:会議室の天井に取り付けられたスピーカーから、音割れしたアラーム音が鳴り響く
柊崎 リツヤ:「むっ」
三刀屋 宵子:「!」
ローラ・S・カサンドラ:「あら」
牟田田 白金:「うわ」
システム音声:『緊急警報 緊急警報 全職員に通達』
システム音声:『東京都内に置換型境界異常が発生 中央神祇室よりクラス4境界災害認定が指定されました』
システム音声:『職員は中央神祇室の指揮に従い行動してください 繰り返します……』
牟田田 白金:「うわっ、緊急警報だ。久しぶりですね」
牟田田 白金:「これ行かなきゃ怒られるやつですよね……」*お嬢様をチラ見する
柊崎 リツヤ:「楽しい歓"送"迎会の時間は終わりのようだな」
柊崎 リツヤ:*言いつつ狩衣の着装を終えている
牟田田 白金:「私を送るつもりだったんですか!?」
柊崎 リツヤ:「ひき肉になってしまっては送らざるを得ないからな」
ローラ・S・カサンドラ:「何をぼさっと突っ立ってるんですの? 私たちこそが、先陣を切るべきですわ」*既に準備を終えている
三刀屋 宵子:「わ、私はどうしましょう先輩! 配属先で説明を受けるとしか聞いてないのですが」
ローラ・S・カサンドラ:「説明? そんなもの界異をドブチ殺す、以上ですわ!」
柊崎 リツヤ:「界異を祓い人を救う。祓滅の場に他なる存念は無用!」
ローラ・S・カサンドラ:「祭具と装備は持ってきているのでしょう?」*鞄を指さし
柊崎 リツヤ:「遅れるな! 行くぞ!」
ローラ・S・カサンドラ:「わかったらとっとと往きますわよ。精々私の邪魔をしないよう努力することね」
三刀屋 宵子:「分かりました! このまま追従します」*初出動なので楽しそうに
2. 初任務
GM:◆描写◆
緊急出動警報から三十分後、行動予備班の面々は境界対策課の所有する四輪輸送車で都内の幹線道路を走っていた。運転手は牟田田である。
彼らは今、品川-目黒間に発生した大規模境界異常に対処するべく現地へと向かっている。
三十分前の警報は、この大規模境界異常の発生を伝えるものであった。
品川区のオフィス街の一角と目黒区の住宅街を含む、半径約2kmの範囲が突如として「幽世」と繋がり、複数の界異が出現したのである。
牟田田 白金:「(一つ、わからないことがある)」
牟田田 白金:「(我らが行動予備班は、落ちこぼれ部隊……というより、"厄介者"を押し込む人材の墓場)」
牟田田 白金:「(三刀屋 宵子。何故この部隊に送り込まれた……?)」
GM:◆描写◆
初動対応として、結界管理課の職員達が「広域結界」で境界異常発生区域を囲み、被害の拡大を押し留めている。
境界対策課に課せられたミッションは、避難中の住民たちの安全を確保するべく結界内部の幽世由来存在――界異を殲滅することである。
ローラ・S・カサンドラ:「セバス! もっとスピードを上げなさい!」
ローラ・S・カサンドラ:「舞踏会に遅れるわ!」
牟田田 白金:「これ以上飛ばしたら"不幸"と"踊"ってしまいます!」
GM:◆描写◆
予備班に下った命令は、結界辺縁部の指定された区画に急行して区画内の界異を殲滅することである。
境界異常が発生した区域には、界異が大量に湧き出す。
発生した境界異常が広大であれば、湧き出す数も一層多い。
しかし、その多くは存在等級一号以下の矮小なもので、祓魔師にとっては然程の脅威ではない。
牟田田 白金:「到着しました。目黒-品川結界 "ポイント38"……我々の持ち場です」
牟田田 白金:「それにしても着任早々出撃とは大変ですね、三刀屋さん」
三刀屋 宵子:「研修はいっぱいしてきたけど、出動は初めてなのでわくわくしてきました……!」*そわそわ
牟田田 白金:「忘れ物とか無いですよね? 遠隔祭具は持ってきたけど、撃ち出す祓串を忘れてきた。なんて新人じゃたまにある話ですから」
三刀屋 宵子:「ええと……大丈夫です、全部持ってきてます!」
GM:◆描写◆
「大人数を動員しての殲滅戦」
それが、本件における境界対策課の取った方針であった。
結果として、普段はぞんざいに扱われがちな行動予備班も一端の戦力として動員され、結界内部に投入される瞬間を迎えたのであった。
ローラ・S・カサンドラ:「水増し要員といったところかしら。戦力としてまるで期待されていなくってよ」*不機嫌そうに小石を蹴る
柊崎 リツヤ:「フン、低級界異相手の掃討とはな」
牟田田 白金:「結界の外に行こうとする界異を討つ訳ですから、防衛戦という見方もできますね」
3. 品川-目黒結界 界異殲滅作戦Ⅰ
GM:◆描写◆
PC達が指示されたポイント『品川-目黒結界 ポイント38』に到着すると、数名の職員が市街地に注連鋼縄を張り巡らせていた。
彼らは作戦区域を広域結界で囲むことを主任務とする職員であり、結界管理課に所属している。
祓魔師達が扱う装備や術には、環境への影響や周辺被害への懸念から使用が広域結界の中に限定されているものがある。
作戦区域に敷設される広域結界は界異や境界異常の侵攻を食い止めると共に、祓魔師達が全力で戦うための舞台でもある。
GM:牟田田は職員証を提示し、手早く進入申請を済ませる。
対界異戦闘の最前線を担う境界対策課の職員にとって、結界内部は文字通り戦場である。
ローラ、牟田田、柊崎、三刀屋ら4人で挑む初任務が幕を開けた。
GM:それでは……ミッションパートに突入です!
牟田田 白金:「改めて、作戦要綱を共有します」
牟田田 白金:「我々に下された任務は、このエリア……目黒結界ポイント38の防衛です」
牟田田 白金:「具体的には、結界辺縁部に界異を逃がさないよう指示を受けています」
牟田田 白金:「作戦領域内に設定された箇所に界異が到達しないよう、各個撃破してください」
柊崎 リツヤ:「要は文字通りに殲滅すればいいという話だな」
三刀屋 宵子:「了解しました!」
ローラ・S・カサンドラ:「本隊の手が空くまでの時間稼ぎ要員……気にくわないですわ。すべて殲滅してしまいましてよ!」
GM:◆描写◆
ぬるく澱んだ空気が、ゆっくりと三刀屋の頬を撫でる。
境界異常が発生した空間には、幽世由来の「穢れ」が高濃度で漂っている。
穢れは生物の霊体にとって極めて有害な諸々の性質を持つため、境界異常空間内での長時間行動は死に直結する。
祓魔師達が身に纏う「狩衣」は、穢れから身を守るための霊的防護服の側面も有しているのだ。
GM:死の瘴気に満ちた市街地は不気味に静まり返っており、夜よりも数段濃い闇が空を覆っている。
道路の奥から、数体の黒い影が迫ってきているのが見えた。
柊崎 リツヤ:「新入り、怖いなら隠れていても誰も責めはしない」
柊崎 リツヤ:「初陣で恐れのあまり一発も撃てないなど、よくある話だ」
柊崎 リツヤ:「お前はただこの天才の足を引っ張らなければそれでいい」
ローラ・S・カサンドラ:「全員隠れていたって構いませんことよ!」
三刀屋 宵子:「……いえ」*肌を粟立たせつつ
三刀屋 宵子:「いっぱい、訓練してきましたから。いっぱい撃ちます!」
柊崎 リツヤ:「……好きにしろ(いっぱい……?)」
牟田田 白金:「ま、まぁまぁ。実際のこの手の任務なんて、ただ援護射撃しているだけでも大丈夫ですから!」
牟田田 白金:「最悪撃ってるフリだけでも……あ、第一陣来ます!」
GM:では最初にマップに現れるのは……"鬱黒揚羽"だ!
エネミーデータ:鬱黒揚羽(うっこくあげは)
【体】2 【霊】2 【巧】2
【強度】2【穢装】0【機動力】6
【回避種別】なし
・攻撃能力
【近接攻撃】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d4点の物理ダメージを与える。
【浸蝕鱗粉】:自身から5マス先までの範囲にいるキャラクター2体を対象に
【巧】の値を参照して射撃攻撃を行い、攻撃成功時に対象に1d4点の物理ダメージを与える。
・特殊能力
【結界破り】:「結界」を解除する【霊】判定を行う時、ダイス数が+2される。
解説
一号級に分類される、低級界異の一種。
体長20~30cm程の黒い蝶のような姿をしており、境界異常が発生した場所に、どこからともなく沸く。
鋭い口吻を突き刺して攻撃する他、穢れによる汚染を伴う鱗粉を飛ばして攻撃を行う。
穢れが形を持ったものに過ぎないため、攻撃に対しては脆弱。
これを祓えるのが祓魔師の最低ライン。
牟田田 白金:「第一陣、"鬱黒揚羽"が3体……低位の界異ですが飛行による機動力は高いですよ」
3-1. 第1ターン
GM:それではターン1、開始! まずは三刀屋さんの手番から!
三刀屋 宵子:はーい! 距離も離れていますし……ここは遠隔祭具で撃つのが良さそうですね
ローラ・S・カサンドラ:雑魚とはいえ「まとめて攻撃」の処理が適用されると侮れない火力になりますしね 数を減らすのは良いかも
柊崎 リツヤ:たしかに! この距離なら大型遠隔の間合いだ
三刀屋 宵子:まずは南に3マス移動して……6-4に到達!
三刀屋 宵子:15-5にいる界異に【大型遠隔祭具】で攻撃します!
GM:OK!
柊崎 リツヤ:「……迷いなく前に出るのかっ!?」
柊崎 リツヤ:「おい! さっき言ったように、無謀な真似は──」
三刀屋 宵子:
【大型遠隔祭具】:【巧】の値を参照して「遠隔攻撃」を行い、攻撃成功時、「5」点の物理ダメージを与える。
三刀屋 宵子:大型遠隔祭具を構えて小走りで前に出て……狙い撃ちます!
GM:攻撃判定をどうぞ!
GM:宵子は背負っていたケースから両手持ちの大型遠隔祭具……カラビナLW2000を取り出し、素早く構える
GM:銃床を肩と頬に付け、照星で狙いをつけるは1ブロック先を飛ぶ蝶の界異だ。引き金と同時に大型コイルに高圧電流が流れ、射出された祓串が鬱黒揚羽の胴体を粉々に砕く!
牟田田 白金:「い、一体倒した!?」
ローラ・S・カサンドラ:「あらあら」
柊崎 リツヤ:「……この天才を差し置いて先陣を切るなどと」
三刀屋 宵子:「ふふっ」*嬉しそうに笑いをこぼし
三刀屋 宵子:「先輩、一匹仕留めました!」
柊崎 リツヤ:「……面白い!」
ローラ・S・カサンドラ:「この娘、貴方よりもよっぽど優秀なのではなくって?」*リツヤを煽る
柊崎 リツヤ:「好きに吼えていろサディスト女、遅れを取るつもりはない!」*駆け出す
GM:お次はリツヤさんの手番だ!
柊崎 リツヤ:はい! とにかく接近しないと始まりませんからね
柊崎 リツヤ:第一移動、【戦術機動】を宣言します!
柊崎 リツヤ:この天才は【機動戦適性】を修得している……!
三刀屋 宵子:素の【機動力】に+2の修正が加わる上に、【戦術機動】の難易度が1段階下がるんですよね
ローラ・S・カサンドラ:めちゃくちゃ動きますわね……
GM:判定をどうぞ!
柊崎 リツヤ:14-7まで10マス移動し、16-6の揚羽までの距離は2マス!
牟田田 白金:近接祭具しか持ってないのでは!?
柊崎 リツヤ:「祓串」を消費して遠隔攻撃を行う! 成功すれば3点の物理ダメージだ
三刀屋 宵子:祓魔師なら誰でもできる遠近攻撃!
GM:宵子の射撃とほぼ同タイミングで、リツヤは駆け出していた。
接近戦を得意とする祓魔師達の多くは、瞬間的な移動能力に長けている。
神祇部では、これを【戦術機動】と呼ぶ。
柊崎 リツヤ:「低等級の界異共に大した知性はない、が……!」
GM:住宅街を駆け抜けながら、リツヤは祓串を一本ベルトから引き抜く。
鉄製の杭に強化FRP樹脂製の紙垂を取り付けた、祓魔師達の汎用武器。
一瞬で祓串投擲の間合いに入り、鬱黒揚羽に向かって投げ放つ!
柊崎 リツヤ:「撹乱するに越したことはない!」
GM:杭に砕かれた界異は、穢れの粒子となって霧散していく!
牟田田 白金:「な、なんだ……。 結構楽な仕事じゃないですか」
三刀屋 宵子:「先輩、さすがのお手並みです!」>柊崎先輩に
柊崎 リツヤ:「なに、天才には他愛もない!」
GM:続いて牟田田の手番!
牟田田 白金:とりあえず移動して……鬱黒揚羽を攻撃します! 出目が良ければ当たらなくもない、位ですね
牟田田 白金:まずは戦術機動!
牟田田 白金:1-6から5-6に4マス移動
牟田田 白金:それでも14-4の鬱黒揚羽までの距離は9マスあるので……
牟田田 白金:マニューバと距離合わせて難易度は6!
柊崎 リツヤ:中型遠隔祭具、近すぎても難易度が上がるし遠すぎても難易度が上がる。ちょっと射程管理がシビアですよね
ローラ・S・カサンドラ:中距離を維持する必要がある
牟田田 白金:
【中型遠隔祭具】:【巧】の値を参照して「遠隔攻撃」を行い、攻撃成功時、「4」点の物理ダメージを与える。
牟田田 白金:中型遠隔祭具で攻撃!
牟田田 白金:「と、遠い……!」*カラビナORZ90で祓串をばら撒く!
GM:放たれた祓串の数本が運よく命中!
柊崎 リツヤ:「ひとまず一掃は叶ったな」
ローラ・S・カサンドラ:「悪くない手際ですわ」
三刀屋 宵子:「この調子で進めていきたいですね!」
GM:次はローラさんの手番!
ローラ・S・カサンドラ:はーい!
ローラ・S・カサンドラ:敵の追加は次ターン開始時だから……攻撃が不要なこの手番、戦術機動の振り得ですわね
GM:界異の出現はマップの右半分に限定されることは明言しておきます
柊崎 リツヤ:防衛ラインを敷くつもりで動いても良いかもしれませんね
ローラ・S・カサンドラ:よし、進むだけ進もう
三刀屋 宵子:南側も気にしていきたいですね
ローラ・S・カサンドラ:【戦術機動】を宣言!
ローラ・S・カサンドラ:止むを得ませんわ。1-6から4-6まで3マスを移動!
ローラ・S・カサンドラ:手番を終了しますわ!
GM:OK! それでは第2ターンに移ります!
3-2. 第2ターン
GM:15-3 17-13に「邪眼瞼羽」
GM:17-5 15-13に「黒百足」を配置します!
エネミーデータ:邪眼瞼羽(じゃがんけんう)
【体】2 【霊】2 【巧】2
【強度】2【穢装】0【機動力】6
・攻撃能力
【近接攻撃】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d2点の物理ダメージを与える。
・特殊能力
【邪視】:【霊】の値を参照して射線の通っている対象に遠隔攻撃を行う。
攻撃成功時、対象は『難易度:NORMAL』の【霊】判定を行い、
失敗した場合対象は「2」点の霊的ダメージを受ける。
解説
一号級に分類される、低級界異の一種。
直径150mm程の眼球が埋め込まれた、穢れで象られた蝙蝠の姿をしている。
視線による呪術的攻撃手段を持ち、眼球にしばらく補足されると霊体にダメージを負う。
高位の界異はこの界異を監視役の使い魔として使役することがあるらしい。
エネミーデータ:黒百足(くろむかで)
【体】3 【霊】2 【巧】2
【強度】4【穢装】1【機動力】4
【回避種別】なし
・攻撃能力
【近接攻撃】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d6点の物理ダメージを与える。
【絡みつき】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d3点の物理ダメージを与え、
更に相手の回避ダイス残数を-2個する。
・特殊能力
なし
解説
一号級に分類される、低級界異の一種。
体長2m程の大きな百足のような姿をしており、稀に巨大な体長になるものがいる。
長大な身体を活かして相手に絡みつき、回避を封じる攻撃を行う。
GM:再び三刀屋さんから!
三刀屋 宵子:では……6-4から移動せずに攻撃集中!
三刀屋 宵子:黒百足のパワーが危なそうなので、17-5の黒百足を狙います!
GM:OK!
三刀屋 宵子:攻撃集中によって攻撃判定の難易度が1段階下がる……!
牟田田 白金:「お、おぉ……凄いですよ三刀屋さん!」
柊崎 リツヤ:「よもや、新入りというのは手の込んだ冗句か何かなのか?」
牟田田 白金:「どうでしょうね……!?」
三刀屋 宵子:「祭具の調子も上がってきました! まだまだいけます!」*得意げに
GM:では次の手番! リツヤさんお願いします!
柊崎 リツヤ:はーい
柊崎 リツヤ:まずは戦術機動!
柊崎 リツヤ:14-7→14-10へ3マス移動!
柊崎 リツヤ:17-13の邪眼へ祓串による遠隔攻撃!
柊崎 リツヤ:第二移動で14-10→13-6へ!
ローラ・S・カサンドラ:なんて機動力
三刀屋 宵子:縦横無尽ですねぇ
GM:では続いて牟田田の手番!
牟田田 白金:ここは……南側の守りを固めなければ!
牟田田 白金:戦術機動を使います
牟田田 白金:5-6から5-10に移動!
牟田田 白金:射線が通っていないので手番終了!
牟田田 白金:「こ、こっちの方もなんとかしないと……!」
GM:次に黒百足の手番だ!
黒百足の【機動力】は4……ここはマップ西側に4マス進む!
15-13から11-13に4マス移動し、手番を終了!
柊崎 リツヤ:防衛ラインに近づいてきたな……!
GM:続いて15-3の邪眼瞼羽!
こちらの【機動力】は6! 9-5まで6マス移動!
柊崎 リツヤ:「いかん、一匹通った!」
三刀屋 宵子:飛んでる低級界異、強度も穢装も無いけど機動力は高いのがこういう任務で厄介ですね……
牟田田 白金:早い内に撃ち落としたい所ですね
GM:そして邪眼賢生は三刀屋さんに【邪視】で攻撃!
邪眼瞼羽:
【邪視】:【霊】の値を参照して射線の通っている対象に遠隔攻撃を行う。攻撃成功時、対象は『難易度:NORMAL』の【霊】判定を行い、失敗した場合対象は「2」点の霊的ダメージを受ける。
三刀屋 宵子「……ッ!」
GM:宙を舞う蝙蝠が抱えた眼球から、呪いの視線が放たれる!
GM:宵子は反射的に飛び下がり、呪いの成立を防いだ!
GM:続いてお嬢様の手番!
ローラ・S・カサンドラ:ここは戦術機動で距離を詰めますわ!
ローラ・S・カサンドラ:10-6まで移動! そして9-5の邪眼瞼羽を【大型近接祭具】で攻撃しますわ!
ローラ・S・カサンドラ:
【大型近接祭具】:【体】の値を参照して「近接攻撃」を行い、攻撃成功時に「3」点の物理ダメージを与える。『攻撃スタイル:強攻撃』『攻撃スタイル:全力攻撃』を使用できる。
ローラ・S・カサンドラ:「貴方程度じゃ肩慣らしにもならなくってよ!」
ローラ・S・カサンドラ:祭具の質量のみで界異を両断!
三刀屋 宵子:「あんな大きい祭具を振り回せるなんて……! すごーい!」
柊崎 リツヤ:「何度見ても大袈裟な祭具だな」
ローラ・S・カサンドラ:「貴方こそ、随分可愛らしい得物ですこと」
柊崎 リツヤ:「減らず口を。その細腕が折れないよう、気を配ることだな」
GM:マップに黒百足1体が残った状態で……続く第3ターン!
GM:更なる界異が出現するぞ!
3-3. 第3ターン
GM:17-6 17-14に「偽砦鎧蟲」
GM:15-2 14-15に「黒百足」が出現します
エネミーデータ:偽砦鎧蟲(ぎさいがいむ)
【体】6 【霊】1 【巧】1
【強度】6【穢装】5【機動力】6
【回避種別】なし
・攻撃能力
【近接攻撃】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d6点の物理ダメージを与える。
・特殊能力
【巨躯】:このキャラクターは、マップ上で2*2マスの大きさを持つ(移動時は左下を基準とする)
【突進】:3マス以上の距離を移動した後に攻撃を行った場合、攻撃成功時のダメージが+4される
【単純機動】:移動を行う際、途中で曲がることができない
解説
体長3.0m程度の、多節蟲の姿をした一号級界異。
硬質化した穢れの甲殻で全身が覆われており、仮想質量を乗せた攻撃を繰り出す。
体節の可動域が小さく細かい挙動は苦手だが、最高速度の突進は危険度が高い。
GM:鎧蟲は癖が強いエネミーなので簡単に解説を
GM:"偽砦鎧蟲"は大型の多節蟲型界異です
GM:その穢装は堂々の5点 強度は6点あります
GM:一撃で祓うには11点以上の物理ダメージか、6点以上の霊的ダメージが必要
柊崎 リツヤ:5点以下の物理ダメージはそもそも弾かれちゃうんだ
三刀屋 宵子:めちゃくちゃ硬い……!
ローラ・S・カサンドラ:これは最低でも強攻撃が要りますわね……
GM:更にこの巨体で【機動力】が6あり、3マス以上を移動すると自身の発生させるダメージを+4点する能力を持っています
GM:その代わり、移動を行う際に曲がることができないというデメリットを抱えています。
これは第一・第二移動通して適用されるので、この界異は1度の手番で1方向にしか動けません。
柊崎 リツヤ:重装甲・高耐久だが直線移動しかできない訳だ
三刀屋 宵子:行動順は一番最後なんですね 鈍重だ
牟田田 白金:「第三陣、新たに"黒百足"が2体に……"偽砦鎧蟲"が2体!」
牟田田 白金:「偽砦鎧蟲は非常に硬い甲殻を持つ界異です。突進には注意してください!」
牟田田 白金:「私の手持ちの祭具だと、アレにダメージを与えるのはほぼ無理なんですが……!」
ローラ・S・カサンドラ:「重装甲と質量に任せた突進……まるで装甲車両ですわね」
柊崎 リツヤ:「ちっ、次から次へとご来客だ!」
ローラ・S・カサンドラ:「折角来ていただいたからにはもてなして差し上げなくてはなりませんわね!」
柊崎 リツヤ:「(この様子では、本隊の方は相応の有り様だろうな)」
三刀屋 宵子:「思ってたよりいっぱい出るんですね! もっとシミュレーションしておくべきでした」*次弾装填!
ローラ・S・カサンドラ:「今日のパーティーが特別なだけでしてよ! うっかり二階級特進しないよう気を付けることね!」
三刀屋 宵子:「はーい!」*きりっとした表情を作り
三刀屋 宵子:では手番もらいます! 移動せず攻撃集中!
三刀屋 宵子:そのまま17-6の偽砦鎧蟲を攻撃します
三刀屋 宵子:【大型遠隔祭具】を使い、『攻撃スタイル:狙撃』を宣言!
GM:宵子は静かに息を吐き、訓練を思い出しながら姿勢を安定させる。
銃床を肩に押し当て、大型界異の甲殻の隙間を狙い引き金を絞った!
三刀屋 宵子:「この距離なら……当てますッ!」*ガシュン!
GM:放たれた大型遠隔祭具用祓串は装甲の隙間に突き刺さり、巨大な蟲型界異の内部を貫く! 巨体が横転し、穢れの粒子となって散っていく!
牟田田 白金:「ぎ、偽砦鎧蟲を一撃で……!」
柊崎 リツヤ:「今、何が起きた……?」
ローラ・S・カサンドラ:「なんですの、あの娘」
三刀屋 宵子:「先輩~! やりましたぁ!」
三刀屋 宵子:*興奮してかトリガーを指でトントンしつつ
牟田田 白金:「危ないから指は離して!」*あわわわ
三刀屋 宵子:「はい! 失礼しましたっ!」
三刀屋 宵子:もっと撃ちたい気持ちがつい……
柊崎 リツヤ:いっぱい撃ちますってそういう……
GM:それでは続いてリツヤさんの手番!
柊崎 リツヤ:はーい! さっきの狙撃でマップ北側は敵が減ったから……ここは南側に回ろうかな。戦術機動します!
柊崎 リツヤ:【小型近接祭具】で攻撃!
柊崎 リツヤ:更に『攻撃スタイル:連撃』『追加スタイル:両手利き』を宣言!
柊崎 リツヤ:戦術機動と二つのスタイルの宣言により……結果的に攻撃判定難易度は6、そして攻撃回数は3!
GM:目にも止まらぬリツヤの連続攻撃が黒百足に襲い掛かる!
黒百足は上体を擡げ、無数の脚で応戦するが、一瞬の内に数度の斬撃が黒百足の身体を抉る!
柊崎 リツヤ:「(ちっ……仕留め損ねたか!)」*一旦距離を取る
柊崎 リツヤ:「向こうは女連中に任せることにする! 牟田田!」
牟田田 白金:「ヒィ! 何とかします!」
GM:そのまま牟田田のターン!
牟田田 白金:ここは……2マス前進!
牟田田 白金:5-10から5-12へ
牟田田 白金:11-13の位置にいる黒百足に攻撃!
牟田田 白金:黒百足の強度は4、穢装は1……即ち一撃で倒すには5点以上の物理ダメージが必要。一方私の【中型遠隔祭具】の通常攻撃は4点のダメージしか与えられないので……ここは『攻撃スタイル:連射』を宣言します!
牟田田 白金:攻撃スタイルと対象との距離によって……攻撃判定難易度は6!
三刀屋 宵子:上振れを狙っていく!
牟田田 白金:「うわわわわわわわ!!」*ガガガガッ!
GM:リツヤに警戒していたもう一体の黒百足を、背後から牟田田の連射が削り取る!
柊崎 リツヤ:「大義である!」
牟田田 白金:「ははーっ」
GM:続いて黒百足の手番! まずはマップ北側、15-2の個体から
GM:ここは11-6まで移動!
黒百足:ローラを対象に【近接攻撃】します!
黒百足:【近接攻撃】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d6点の物理ダメージを与える。
ローラ・S・カサンドラ:「貴方のステップでは……私のダンスパートナー足りえないようですわね。止まって見えましてよ!」
GM:刃物のような黒百足の歩脚を、ローラの祭具が弾き返す!
GM:では続いてリツヤさんと接敵してる個体!
柊崎 リツヤ:来る……!
GM:ここは……リツヤさんに攻撃!
黒百足:【絡みつき】の能力を使います!
黒百足:
【絡みつき】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d3点の物理ダメージを与え、更に相手の回避ダイス残数を-2個する。
柊崎 リツヤ:連射と違って「当たったら回避ダイスを更に減らす」か……! しっかり避けないとまずいが、回避ダイスを使いすぎると後に控えてる偽砦鎧蟲の攻撃が危険!
ローラ・S・カサンドラ:複数回攻撃が飛んでくるシチュエーションだと、この辺の判断が奥深くなってきますわね
柊崎 リツヤ:とはいえ、こちらの回避ダイスは全部で9つある! リソースは潤沢だ
GM:黒百足が絡みつこうとしてくるが、相手の胴体を蹴り剥がして間合いを取り直す!
柊崎 リツヤ:「死に体の攻撃など届くものか!」
GM:続いてお嬢様の手番!
ローラ:さっき攻撃してきた黒百足にお返しですわ!
ローラ:第一移動を放棄して攻撃集中! 更に【大型近接祭具】の『攻撃スタイル:強攻撃】を宣言!
ローラ・S・カサンドラ:攻撃難易度は差し引き4! ドでかい一撃をキメて差し上げましてよ!
ローラ・S・カサンドラ:「こんなに熱烈にアピールなさるんでしたら、少しくらい付き合って差し上げましょうか」
ローラ・S・カサンドラ:*得物のスターターロープを引く
GM:ローラの祭具は小型原動機を搭載したディスクオルゴール型大戦斧である。それは回転する刃を持つ機械斧であると同時に、加護を齎す聖律を奏でる音楽祭具!
牟田田 白金:「この音色は……」
柊崎 リツヤ:「……始まったな」
ローラ・S・カサンドラ:「歌いなさい、"虎の涙"」
ローラ・S・カサンドラ:響く音色は、穢れを祓う聖歌!
三刀屋 宵子:「わあ……」
ローラ・S・カサンドラ:地面に轍を刻みながら逆袈裟に跳ね上がった斧が、眼前の敵を両断する!
牟田田 白金:「(響く音色で加護の効果を持たせつつ、その刃の質量と回転力で界異を断ち切る)」
牟田田 白金:「(設計思想は理解できるんですが……普通やらないでしょう)」
牟田田 白金:「(あれは……只人にはひたすらに重すぎる!)」
ローラ・S・カサンドラ:「あら、もう終わってしまいましたの? せめて一曲分くらいは保ってほしいものですわね」
ローラ・S・カサンドラ:ブン、と斧を回し汚れを払う!
ローラ・S・カサンドラ:13-6まで第二移動しておきますわ!
三刀屋 宵子:「(あんなに重そうなものを軽々扱えるなんて……!)」
三刀屋 宵子:*尊敬のまなざしでローラ先輩を見つめ
GM:それじゃあ偽砦鎧蟲の手番だ!
柊崎 リツヤ:来るか……!
GM:行くね、俄然!
偽砦鎧蟲:17-14から15-14に2マス移動! リツヤに近接攻撃!
偽砦鎧蟲:
【近接攻撃】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d6点の物理ダメージを与える。
偽砦鎧蟲:距離が短いので突進は乗らないが……4点以上出せれば十分致命!
GM:黒百足に対して距離を取ったリツヤに、すかさず偽砦鎧蟲が突進!
柊崎 リツヤ:「ちっ!」
GM:回避を試みるが、運悪く突進に巻き込まれリツヤの身体が宙を舞う!
GM:常人であれば即死する質量の衝突だが、リツヤの身体が光に包まれ、一瞬で元の位置に移動する!
柊崎 リツヤ:「~~ッ! 一枚損失!」*できるだけ冷静に
牟田田 白金:「っ!」
GM:破滅代理汎用護符「形代」
それは祓魔師達の生命線にして防性祭具の最高傑作のひとつ。
予め霊的な繋がりを持たせた護符に自身の破滅を肩代わりさせることで、即死や過度のダメージを防ぐ仕組みになっている。
GM:霊体への同時接続数から、作戦時に装備できるのは最大七枚。
祓魔師達は、七回までの死を許されている。
GM:偽砦鎧蟲は第二移動で11-14まで移動します
ローラ・S・カサンドラ:「(あの突進……やはりまともに喰らえば一残機は確実に持っていかれますわね)」
三刀屋 宵子:「先輩! こっちに後退してもらえれば援護射撃します!」
柊崎 リツヤ:「そうだな……新入りが正しい」*小声で
柊崎 リツヤ:「ラインを下げる!」
ローラ・S・カサンドラ:「異論なくってよ!」
三刀屋 宵子:「了解です!」
牟田田 白金:「戦線後退、了解しました!」
3-4. 第4ターン
GM:では第4ターン開始! 界異の増援は無しでございます
柊崎 リツヤ:今ので打ち止めか
ローラ・S・カサンドラ:すぐに殲滅して差し上げますわ!
GM:ではターン巡って再び宵子ちゃんの手番!
三刀屋 宵子:はあい! ここは……6-6に移動して手番終了します!
柊崎 リツヤ:2マス移動だけど良いんです?
三刀屋 宵子:東と南、両方に射線を通せるここがベストだと思いまして!
ローラ・S・カサンドラ:タクティカル判断ですわね!
GM:ではリツヤさん!
柊崎 リツヤ:リツヤは戦術機動なし、10-12へ移動!
柊崎 リツヤ:偽砦へ両手利き+『攻撃スタイル:精密攻撃』!
柊崎 リツヤ:攻撃判定のダイス分割は3,4! 行くぞ!
GM:偽砦鎧蟲に追いついたリツヤは、その勢いで連続攻撃を仕掛ける!
GM:界異の穢装とリツヤの祭具が火花を散らす……が、強固な装甲に覆われた界異にダメージは通らない!
牟田田 白金:「全然効いてないじゃないですかーッ!!」
柊崎 リツヤ:「布石だ、今後への!」
柊崎 リツヤ:「これが後々ボディーブローのように効いてくるのだ!」
ローラ・S・カサンドラ:「(やはり柊崎とこの界異は相性が悪いですわね……なおのこと、この重装甲を一撃で貫いた新入りは一体なんなんですの……?)」
柊崎 リツヤ:9-12に第二移動して手番終了!
GM:続いて牟田田の手番!
牟田田 白金:その場から動かず攻撃集中! 連射で偽砦鎧蟲を狙います!
牟田田 白金:最大値引いても1点しか通らないけど……!
牟田田 白金:
【中型遠隔祭具】:【巧】の値を参照して「遠隔攻撃」を行い、攻撃成功時、「4」点の物理ダメージを与える。『攻撃スタイル:連射』を使用可能。
牟田田 白金:
『攻撃スタイル:連射』:「遠隔攻撃」の難易度が1段階上昇する代わりに、攻撃成功時に「1d6」点の物理ダメージを与える。攻撃が回避された場合、相手の回避ダイス数を-2個する
牟田田 白金:「全然効いてないじゃないですかーッ!!」*二回目
柊崎 リツヤ:「うむ、傷一つ負っていないな」
牟田田 白金:「三刀屋さん、お嬢様、助けてください! 我々の手には負えません!」
柊崎 リツヤ:「弱音を吐くな~ッ!」
ローラ・S・カサンドラ:「位置がド悪いですわね!私が行くまで少々持ち堪えてくださいまし!」
三刀屋 宵子:「はーい!射線が通ったらもう一回撃ちます!」
牟田田 白金:「ヒィ! 了解です!」
柊崎 リツヤ:「猪を囲い込んできたときの豪胆さはどこへ行ったのだ!」
牟田田 白金:「だってあれは皆さん誤魔化せそうでしたし……!」
ローラ・S・カサンドラ:「そしてセバス!私にならともかく、新入りにまで助けを乞うとはプライドが無いんですの!?」
牟田田 白金:「逆にあると思ってたんですか!?」
ローラ・S・カサンドラ:「この……! とにかく南側に界異を通さないようになさい!」
GM:それでは黒百足の手番!
GM:14-15から10-12へ! 再びリツヤに接敵!
柊崎 リツヤ:追い縋ってくるか……!
黒百足:【絡みつき】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d3点の物理ダメージを与え、更に相手の回避ダイス残数を-2個する。
GM:では続いて偽砦鎧蟲の手番!
偽砦鎧蟲:11-14から15-14に6マス移動!
偽砦鎧蟲:隣接する牟田田に攻撃!
偽砦鎧蟲:
【突進】:3マス以上の距離を移動した後に攻撃を行った場合、攻撃成功時のダメージが+4される
偽砦鎧蟲:
【近接攻撃】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d6点の物理ダメージを与える。
柊崎 リツヤ:牟田田ァ~!
ローラ・S・カサンドラ:死にますわよ!!
牟田田 白金:「いやあああああ!!」*咄嗟に後ろに飛ぶ!
牟田田 白金:「し、死ぬッ! この勢いでぶつかられたら死にますよ!!」
柊崎 リツヤ:「なに、今回は避けられた! 次も造作はなかろう!」
牟田田 白金:「次は攻撃の対象にならないことを祈ります!」
3-5. 第5ターン
GM:それでは巡って第5ターン!
柊崎 リツヤ:奇しくも南側の偽砦鎧蟲に射線が通った格好だな
ローラ・S・カサンドラ:ここから更に南側に逃げられると厄介ですわね
牟田田 白金:なんとか離脱したいとこですが……
GM:手番は再び三刀屋さん!
三刀屋 宵子:ここは……先と同じく偽砦鎧蟲に狙撃を行います!
三刀屋 宵子:第一移動はせずに攻撃集中!
柊崎 リツヤ:いっけえ!
三刀屋 宵子:「狙撃します!」*発射!
牟田田 白金:「あ”あ”ぁ”!!」*後ろから祓串が飛んできてビビり散らかす
柊崎 リツヤ:「喧しい!」
牟田田 白金:「す”み”ま”せ”ん”!”」
柊崎 リツヤ:「わかったからそのトーンを維持するな!」
牟田田 白金:「ハヒ……」
三刀屋 宵子:第二移動で5-5に移動し、その場に「祓串」を配置! 手番終了します!
GM:では続いてリツヤさんの手番!
柊崎 リツヤ:はい! まず7-14まで通常移動!
柊崎 リツヤ:偽砦鎧蟲に再び『両手利き』『精密攻撃』だ!
GM:さぁ攻撃を通せるかな……!?
GM:装甲の隙間を狙い、リツヤは再び攻撃を繰り出す!
しかし、装甲の隙間は小さく容易に貫くことはできない!
柊崎 リツヤ:「ちっ、本格的に趨勢が悪い……!」
柊崎 リツヤ:「(このままでは……南側から突破される!)」
ローラ・S・カサンドラ:「セバス! 足止めなさい!」
GM:では牟田田の手番!
牟田田 白金:「失敗しても怒らないでくださいよ!」
牟田田 白金:まずは戦術機動!
牟田田 白金:5-16のマスに移動!
牟田田 白金:続いて5-15のマスに祓串を設置!
牟田田 白金:更に攻撃の代わりに「注連鋼縄の設置」を宣言!
牟田田 白金:戦術機動後なので難易度+1ですが……設置判定!
柊崎 リツヤ:「──結界か!」*意図に気付く
牟田田 白金:「結界術は専門ではないので……こんな程度ですが!」
牟田田 白金:更に注連鋼縄の内側にいるので「結界の設置」を宣言!
牟田田 白金:選択する効果は【障壁結界】!
GM:加護を籠めた鉄杭である「祓串」を起点に「注連鋼縄」で内と囲った領域を、祓魔師達は「結界」として活用する。
GM:本来結界術とは極めて煩雑な儀式技術であるが、神祇部はこれを極限まで簡略化することで"戦闘中に設置できる武器"へと昇華させた。
GM:牟田田 白金が設置したのは【障壁結界】と呼ばれる種別のもので、注連鋼縄の外郭は界異を通さぬ壁となる。内側にいる界異は、まともな移動もままならない。
牟田田 白金:「結界、起動ッ! ここは通しませんよォ~ッ!!」
ローラ・S・カサンドラ:「ド上出来ですわ! プラチナム壱号については多めに見て差し上げましてよ!」
牟田田 白金:「ありがとうございます!!」
柊崎 リツヤ:「奴の足が止まった!」
柊崎 リツヤ:「──そして、仮想質量を得ている以上は物理的な障壁を突破することも叶わない」
柊崎 リツヤ:「時間は十分稼げる!」
GM:それでは……黒百足の手番!
黒百足:10-12から6-12に移動して手番を終了!
柊崎 リツヤ:北方向に抜けるつもりか!
GM:ではお嬢様の手番!
ローラ・S・カサンドラ:今の配置……マップ東側に足を進めたのが裏目でしたわね。遠い……!
ローラ・S・カサンドラ:少々贅沢ですが、ここは祓魔術を起動しますわ!
三刀屋 宵子:お嬢様の術だー!
柊崎 リツヤ:なるほど!
ローラ・S・カサンドラ:【霊力】を1点消費して祓魔術【反閇歩法】を起動! その際、【霊力】が0になるので死亡しますが「形代」1枚を消費して死亡を回避します!
柊崎 リツヤ:実質的に形代が術のコストになってる……!
牟田田 白金:形代は霊力3点分の回復ができるので、かなり燃費の悪い運用ですが……振り切ったパラメータ故致し方なし!
ローラ・S・カサンドラ:
【反閇歩法】:【霊力】を1点支払い、発動判定を行う。発動に成功した場合、術者の【体】の能力値は+3、【機動力】は+2される。この術は「発動してから「【術】値」ターン後の術者の手番を迎えるまで」の間持続する。
ローラ・S・カサンドラ:祓魔術発動判定!
ローラ・S・カサンドラ:5-7まで移動!
三刀屋 宵子:目の前に突然お嬢様が!
GM:ローラの修得する祓魔術。それは身体に宿る加護を活性化させ、身体能力を引き上げる術である。
ローラ・S・カサンドラ:「新入りにばかり活躍されては、先輩の面目が立ちませんものね」
ローラ・S・カサンドラ:*姿勢を正し、大きく息を吸い込む
GM:"虎の涙"の音色に合わせ、彼女は旋律を口ずさむ。独特の足運びと共に。
ローラ・S・カサンドラ:「【Ich weiß nicht was soll es bedeuten】~」
柊崎 リツヤ:「……」*少し苦い顔
牟田田 白金:「(お嬢様が祓魔術を使った……ここで仕留めるつもりだ!)」
ローラ・S・カサンドラ:「【Daß ich so traurig bin;】~」
ローラ・S・カサンドラ:鈴の音のような声が周囲に響くと同時に、黄色い影が疾走る
ローラ・S・カサンドラ:次の瞬間、宵子を護るように正面に立っている
三刀屋 宵子:「先輩!?」*瞬きの間に現れたローラ先輩に驚き
ローラ・S・カサンドラ:「私が来たからには、もう大丈夫ですわ」
ローラ・S・カサンドラ:*軽枝のように虎の涙を回転させる
柊崎 リツヤ:「(術抜きでもトップクラスの膂力を、更に引き上げる祓魔術……! 術を起動してる間のアイツは、境界対策課全体でみても高水準のパワーファイターだ)」
牟田田 白金:「(リツヤさんが手数と精密性で押し切るのに対し、お嬢様は圧倒的な破壊力が持ち味! 生半可な防御の上から叩き潰すつもりか!)」
ローラ・S・カサンドラ:「この術の本質はスピードじゃなくってよ!」
ローラ・S・カサンドラ:「先輩の戦い方、よく見ておいでなさい!」
三刀屋 宵子:「ふう……じゃあお言葉に甘えて!」
三刀屋 宵子:「後ろは任せてください!」*緊張で止めていた息を吐き
3-6. 第6ターン
GM:それでは第6ターン! そろそろ長引いて来たな!
GM:再び三刀屋さんの手番になります
三刀屋 宵子:相手の機動力を鑑みると、仕留め損なうと防衛ラインに一気に近づかれちゃうので……
三刀屋 宵子:さっき5-5に刺した祓串に対して注連鋼縄の設置をします!
柊崎 リツヤ:路地を完全封鎖してミッション達成を重視する判断か!
ローラ・S・カサンドラ:ナイス判断ですわ!
牟田田 白金:なんて冷静な新人なんだ……!
三刀屋 宵子:注連鋼縄設置判定いきます!
三刀屋 宵子:「(訓練通りなら、これで南側の怪異の動きはかなり制限できるはず……!)」
ローラ・S・カサンドラ:「(私が到着するや否や即座に結界を設置して通路を封鎖……判断力まで優れていましてよ)」
GM:続いてリツヤさんの手番!
柊崎 リツヤ:はい! 4-13まで移動し、5-13に祓串を設置!
柊崎 リツヤ:更にそこへ注連鋼縄設置!
GM:怒涛の結界作成だ!
柊崎 リツヤ:「(偽砦鎧蟲の厄介な点はつまるところ……強固な装甲! 対象の穢装を中和する結界を張り、弱体化させる!)」
柊崎 リツヤ:「結界起動……【穢装融解】!」
牟田田 白金:「(対象の穢装を中和する結界を一瞬で設置した……!)」
柊崎 リツヤ:「舞台は用意してやる」
牟田田 白金:では手番をもらいます!
牟田田 白金:5-16から7-14に通常移動!
牟田田 白金:この距離だと近すぎるので難易度Hだが……黒百足を攻撃!
牟田田 白金:「リツヤさんの結界のおかげで、黒百足の穢装も弱体化している……!)」
牟田田 白金:
【中型遠隔祭具】:【巧】の値を参照して「遠隔攻撃」を行い、攻撃成功時、「4」点の物理ダメージを与える。
牟田田 白金:通常攻撃!
柊崎 リツヤ:仕掛けるか!
牟田田 白金:「こ、こ、だぁぁぁぁ!」
牟田田 白金:*祓串をばら撒くが、全弾黒百足をすり抜けていく!」
黒百足:「……」
牟田田 白金:「……」
牟田田 白金:「助けてください!!」
柊崎 リツヤ:「さっきは良い調子だったろうに!」
GM:そのまま黒百足の手番!
黒百足:6-12から7-13に移動! 牟田田に攻撃!
黒百足:【絡みつき】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d3点の物理ダメージを与え、更に相手の回避ダイス残数を-2個する。
GM:続いてお嬢様の手番!
ローラ・S・カサンドラ:ぶった斬りますわ!
ローラ・S・カサンドラ:今の【機動力】は5! そのまま5-12まで前進!
ローラ・S・カサンドラ:『攻撃スタイル:全力攻撃』の使いどころでしてよ! 全力で叩き斬って差し上げますわ!
ローラ・S・カサンドラ:
『攻撃スタイル:全力攻撃』:「近接攻撃」の難易度が1段階上昇し、更に振ることのできるダイスの数が半分になる(端数切り上げ)代わりに、攻撃成功時に3d6点の物理ダメージを与える。更に、攻撃判定時の出目に【6,6】が含まれていた場合、与えるダメージに【体】*2点を加える。
GM:大技だァ!
GM:振り降ろされた刃がアスファルトを砕き、地面を揺らす!
牟田田 白金:「や、やったか……!?」
ローラ・S・カサンドラ:「(……不覚!)」
ローラ・S・カサンドラ:力を制御しきれておらず大振りになっている!
GM:偽砦鎧蟲は辛くも斬撃の範囲外に身を縮めた!
柊崎 リツヤ:「何をしている、"張り切りすぎ"だ!」
牟田田 白金:「三刀屋さん!!!!!」*懇願
三刀屋 宵子:「っ……! 今そっちに向かいます!」
GM:では偽砦鎧蟲の手番!
GM:1マス移動で結界から抜け出したいが、1マス移動すると他キャラと被るのでルール上動けない!
GM:ここは隣接する対象に攻撃だ!
偽砦鎧蟲:【近接攻撃】:【体】の値を参照して攻撃を行い、攻撃成功時に1d6点の物理ダメージを与える。
GM:偽砦鎧蟲は攻撃を繰り出そうとするが、多重に張られた結界の効果で身動きを阻害される!
牟田田 白金:「ヒィ!」
柊崎 リツヤ:「このままでは牟田田が保たん!」
3-7. 第7ターン
GM:それでは第7ターン! そろそろ終わらせたいところだ!
三刀屋 宵子:ふーむ……。黒百足の方は、柊崎先輩があと1点まで追い込んでくれているんですよね。
ローラ・S・カサンドラ:穢装1点を考慮しても、押せば倒れる相手ね
三刀屋 宵子:であれば……近づいて【呪瘤檀】を投げます
牟田田 白金:我々ごと巻き込むつもりですか!?
三刀屋 宵子:7-12の位置に投げ込めば、界異だけを巻き込む形になります!
三刀屋 宵子:移動距離的に、戦術機動が必須になりますが……!
三刀屋 宵子:というわけで本日初めての戦術機動をします
三刀屋 宵子:5-5から5-10まで移動して……7-12の位置に【呪瘤檀】を投げ込みます!
三刀屋 宵子:回数制限はあるけど……判定なしで範囲2点霊ダメージ!
GM:手負いの黒百足を撃破! 更に偽砦鎧蟲の残り強度は4に!
柊崎 リツヤ:ナイスタクティカル!
三刀屋 宵子:「先輩、衝撃に備えてください!」*支給品を慣れた手つきで放り投げる!
GM:宵子はベルトに吊るしていた支給祭具、"呪瘤檀"の安全ピンを抜く。
投げ放たれたそれは地面で炸裂し、霊力による衝撃波を放った。
黒百足が躯体を維持できなくなり霧散! 偽砦鎧蟲の甲殻越しにも確かなダメージが伝わる!
三刀屋 宵子:第二移動で5-10から4-11に1マス移動してFA!
牟田田 白金:「ア"ァ"ーーーーッ!!」*ビビり散らかす
柊崎 リツヤ:「的確だが……肝が座りすぎだ!」
ローラ・S・カサンドラ:「言ってから投げるまで、ちょっと短すぎやしませんこと!?」
三刀屋 宵子:「先輩たちなら大丈夫だと思いまして!」*ドヤ
ローラ・S・カサンドラ:「あまり舐めないでくださいまし。なんなら次からはノーサインで投げたってかまいませんことよ」*構う
柊崎 リツヤ:「(ミスの許されない状況だぞ……ここまで躊躇なく投げられるものか?)」
柊崎 リツヤ:「……だが、でかした!」
GM:ではリツヤさん!
柊崎 リツヤ:4-13から6-12へ移動! 6-13に祓串を設置し、そのまま注連鋼縄を張る!
柊崎 リツヤ:「おい、そこの舞姫!」
柊崎 リツヤ:「次は極めてくれるんだろうな!」
ローラ・S・カサンドラ:「そんなキーキー騒がなくても聞こえていましてよ! 全く、一体誰にものを言っていらして?」
柊崎 リツヤ:「そっちこそ誰のせいだと思ってる!」
柊崎 リツヤ:「結界起動……【攻撃機会】!」
ローラ・S・カサンドラ:「ここまでお膳立てされて決め損ねるなんて、私の誇りに傷がつきましてよ」
ローラ・S・カサンドラ:「そのようなこと……そのようなこと、絶対にあってはなりませんわ!」
柊崎 リツヤ:「上等だ。もう後はないぞ!」
GM:それでは……牟田田のターン!
牟田田 白金:とりあえず通常攻撃! 距離補正と結界効果で難易度4……!
牟田田 白金:
【中型遠隔祭具】:【巧】の値を参照して「遠隔攻撃」を行い、攻撃成功時、「4」点の物理ダメージを与える。
牟田田 白金:「わ、私も微力ながら攻撃支援を……!」
牟田田 白金:*カチャカチャリ!
牟田田 白金:「祭具の中で祓串が詰まってます! もうダメだァ~ッ!」
柊崎 リツヤ:「こんなときに……!」
GM:お嬢様の手番!
ローラ・S・カサンドラ:出し惜しみ無しでしてよ! もう一枚形代を消費して再び【反閇歩法】を起動!
ローラ・S・カサンドラ:移動せず攻撃集中! 『攻撃スタイル:強攻撃』を宣言!
GM:攻撃集中・結界効果を補正して……攻撃難易度は3!
ローラ・S・カサンドラ:「【Ein Märchen aus alten Zeiten】~」
ローラ・S・カサンドラ:彼女が再び歌うと、懐の形代が焼け落ちていく
ローラ・S・カサンドラ:それに反比例するように彼女の骨が、腱が、筋肉が軋み、うねる
ローラ・S・カサンドラ:「一撃。この一撃で……そのドタマかち割って差し上げましてよ」
ローラ・S・カサンドラ:彼女は祓魔術の影響を受けやすい特異体質の持ち主だ。
ローラ・S・カサンドラ:敵からの術を受けると致命的な結果を引き起こす一方、こうした単純な術の効力は常人の数倍に跳ね上がる
ローラ・S・カサンドラ:「【Das kommt mir nicht aus dem Sinn】──!」
ローラ・S・カサンドラ:*高速回転する金色の刃が、黒い装甲を正中線で真っ二つに分割する!
ローラ・S・カサンドラ:「ダンスの相手には丁度良かったかしら?」
牟田田 白金:「決まったァ~ッ! 流石ですお嬢様!」
ローラ・S・カサンドラ:「フン、当然でしてよ」
柊崎 リツヤ:「これで一帯は掃討できたか」
柊崎 リツヤ:「手間を掛けさせてくれる」
三刀屋 宵子:「ふへえ……」*無意識に緊張していたので深呼吸し
牟田田 白金:「三刀屋さんの狙撃もお見事でした。まるで新人とは思えない手際でしたよ」*にこにこ
牟田田 白金:「(本当に……普通ならエース級の部隊がスカウトしに来るレベルだと思うんですが)」
牟田田 白金:「(リツヤさんやお嬢様みたいな、政治的に面倒なお家柄にも見えませんしね)」
柊崎 リツヤ:「ははは、今更になって新入りらしい仕草とはな」
三刀屋 宵子:「いや、まだまだ!実際の怪異相手だと緊張しちゃって」
柊崎 リツヤ:「(緊張?)」
ローラ・S・カサンドラ:「あの戦いぶりでよくそんなことが言えたものですわね」*呆れた様子で
柊崎 リツヤ:「妙な娘が転がり込んできたものだ」
4. 双頭の狗
GM:◆描写◆
3度に渡る低級界異の侵攻を食い止めたPC達は、通信端末越しに作戦状況を確認する。
境界対策課の大半を動員しての初動対応が功を奏したのか、結界内に出現した低級界異はその殆どが祓滅されたようだ。
一方、複数の部隊に重傷者が発生しているのが見えた。
被害状況に詳しく目を通すと、重傷者は形代を全損するほどのダメージを受けている。
低級界異との戦闘においては、まず起きないことだ。
牟田田 白金:「いや~、蓋を開けてみれば損害軽微でしたね。三刀屋さんの初陣としては大成功なのでは?」
三刀屋 宵子:「お役に立てていれば何よりです!」
柊崎 リツヤ:「待て、牟田田。これを見ろ」*端末を突き出す
牟田田 白金:「これは……形代全損のち重傷!?」
ローラ・S・カサンドラ:「全損ですって? 下手人はどなたでして?」
三刀屋 宵子:「えっ、形代全損……!?」
ローラ・S・カサンドラ:「討伐されているなら何かしら情報があるはずですわ。情報不足であるならば、逆説的にそれは──」
GM:◆描写◆
予備班の共有端末が、全部隊向けの緊急連絡アラームを鳴らす。
スピーカーから聞こえてきたのは、オペレーターの焦燥した声であった。
三刀屋 宵子:「!」
通信:『品川-目黒結界内に三号級界異"双頭狗肉"が出現! 現場に居合わせた第一班・第二班の祓魔師7人が重傷!』
通信:『当該個体は目黒方面に向けて移動中。遭遇した人間を無差別に攻撃している模様!』
ローラ・S・カサンドラ:「三号級ですって!?」
通信:『当該個体はポイント39に進入!』
通信:『次の予測移動先は……ポイント38!』
三刀屋 宵子:「!」
牟田田 白金:「……!?」
柊崎 リツヤ:「……!」
ローラ・S・カサンドラ:「……!」
GM:一仕事終えた予備班の担当エリアに、まさかの三号級界異迫る!
GM:というわけで、セッション前編はここまででございます!
5. 今回のまとめ
神祇部 境界対策課に存在する落ちこぼれ部隊「行動予備班」。
その実態は色々な難を抱えた人員を押し込めた「人材の墓場」であった。
大量の詐欺事件を起こして逮捕された元呪詛犯罪者であり、発作的に嘘を吐く男、牟田田 白金。
フランス祓魔の名家の出身ながら身体強化の術が一族に認められず、日本に送られた祓魔師、ローラ・ザリア・カサンドラ・ド=ベルナウアー。
名家の傍流に生まれながら一切の祓魔術適性を持たず、技巧を磨き続ける祓魔師、柊崎 リツヤ。
そして新人祓魔師として予備班に配属された少女、三刀屋 宵子。
宵子の抱える"難"が見えない中、PC達の持ち場に三号級界異が迫る。
彼らの初任務の行方は如何に――!?
→To Be Continued……
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