Ex-2:拡張ルール:奥義

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この記事は、「タクティカル祓魔師TRPG」の拡張ルールについて記載したものです。

このTRPGのルールは、フィリップ・N・モーゼズ氏がメインルールデザイナーを務め、ニンジャスレイヤー公式/ダイハードテイルズによって提供された「ソウルワイヤードTRPGフレームワーク」を採用しています。
「ソウルワイヤードTRPGフレームワーク」の著作権は、メインルールデザイナーであるフィリップ・N・モーゼズ氏と、ダイハードテイルズ・ゲームズが有しています。

はじめに
本項では、近接祭具を用いた攻撃による特殊な効果「奥義」についてのルール・データを掲載する。
「奥義」とは一種のクリティカルヒットであり、近接攻撃に際して一気に戦況が動く可能性が高まる。ゲームマスターは本記事に掲載のルール・データの使用を制限しても良い。


Ex-2-1:奥義とは

奥義とは、近接攻撃時に使用可能な能力として設定されたデータである。
それは近接戦闘の鍛錬を積んだキャラクターにとっての特殊な技術であり、時に戦況を覆す一手となる可能性を秘めている。

その効果は様々であり、大ダメージを叩き出す必殺技めいたものや攻撃に乗じた自己強化、相手の弱体化を招く攻撃などが存在する。

Ex-2-2:奥義の使用条件

各種の奥義には、【体】【霊】【巧】いずれかの能力値が指定されている。
キャラクターが奥義を修得して効果を発揮するためには、前提として奥義で指定された能力値が7以上である必要があり、且つ指定された能力値を参照する近接攻撃判定を行っている必要がある。

攻撃判定時
、その出目に【6,6,6】が含まれていた場合、攻撃キャラクターは奥義の発動を宣言することができる。
攻撃キャラクターが1手番中に複数回の攻撃判定を行ったとしても、奥義を使用することができるのは1ターン中に1回までとなる。

奥義の効果が適用されるタイミングは、奥義のデータによって異なる。
多くの奥義は「奥義発動時」または「攻撃成功時」に処理が発生する。
前者は攻撃の成功/失敗に関わらず(即ち、攻撃対象がその攻撃を回避したか否かに関わらず)効果が適用されるが、後者は奥義の発動を宣言した攻撃が実際に命中しなければ効果を発揮しない。

Ex-2-3:奥義の修得について

奥義はスキルや祓魔術とは別の能力として扱われる。
即ち、スキルの数制限とは無関係に修得可能となる。

【体】【霊】【巧】いずれかの能力が7以上に達したPCは、【予算】20と余暇スロット1を消費して後述のリストから奥義1つを修得できる。

Ex-2-4:奥義の修得制限について

1人のPCがセッション中に使用できる奥義は原則1種類のみである。
既に奥義を修得しているPCが新たに奥義を修得した場合、古い奥義と新しく修得した奥義のどちらかを選んで「記憶している奥義」とし、そうでない方の奥義は「有効な奥義」とする。
「記憶している奥義」はゲーム的な効果を持たない。
仮に3種類以上の奥義を修得しているPCであったとしても、「有効な奥義」は常に1種類となるよう選ばなければならない。

キャラクターは「余暇」を迎えた好きなタイミングで(スロットは消費せずに)有効な奥義と記憶している奥義を入れ替えても良い。

Ex-2-5:汎用奥義

以下の奥義データは、神祇部に所属する祓魔師達が基礎的な鍛錬の過程で修得可能な、広く知られた技である。

【吹き飛ばし】
参照能力値:【体】

膂力や怪力、重心移動による発勁等を駆使し、敵を吹き飛ばす奥義。
結界に界異を叩きこんだり、味方の攻撃をアシストすることが可能。


効果:
攻撃成功時、攻撃対象を好きな方向に移動させる。移動させるマス数は最大で自身の【体】以下である必要がある。この時、移動経路は直線でなくてはならない。移動後の対象が壁に隣接する場合、対象は新たに1d6点の物理ダメージを受ける。対象はこのダメージに対して『難易度:NORMAL』の回避判定を行うことができる。

【鎧砕き】
参照能力値:【体】

痛烈な一撃を加え、対象の身を護る鎧に亀裂を入れる奥義。
手数の多い味方との連携で真価を発揮する。


効果:
攻撃成功時、対象の【穢装】または【装甲】を2点減少させてからダメージを与える。【穢装】または【装甲】の減少効果はセッション終了時まで継続し、同一対象に対して最大4点まで累積する。

【霊輝】
参照能力値:【霊】

攻撃に乗った霊力が、完璧なタイミングで炸裂することで起きる現象。
霊力は個々人の色に輝き、放った者は潜在能力が引き出されゾーンに入る。


効果:
攻撃成功時、追加で2点の霊的ダメージを与え、更に戦闘終了まで自身の【霊】の能力値と【機動力】と手番開始時に得られる回避ダイス数に+1の修正を得る。能力値への修正効果はそれぞれ最大で+2まで累積する。

御霊みたま縛り】
参照能力値:【霊】

攻撃と同時に相手の霊体に干渉し、術の行使を阻害する奥義。
術に偏重した界異や呪詛犯罪者への対策として編み出された技。


効果:
攻撃成功時、対象の【霊】と【術】の能力値に-1の修正を与え、更に【術】の発動難易度を1段階上昇させる。この効果は戦闘終了時まで継続し、同一対象に対して最大2まで累積する。【霊】の値は最低でも1までしか低下せず、【術】の値は最低0まで低下する。【術】の値が0となった場合、対象は祓魔術およびそれに類する能力を発動することができなくなる。

【燕返し】
参照能力値:【巧】

一瞬の内に二度の攻撃を放つ、極めてシンプルな奥義。
瞬間的に攻撃を振り抜く技量と、敵の急所を正確に狙う技巧を必要とする。


効果:
奥義を発動した攻撃の直後、同一の対象にもう一度追加で攻撃を行うことができる。追加で行う攻撃のダイス数・判定難易度・攻撃スタイル等は元の攻撃と同一となる。追加の攻撃では、出目に関わらず奥義を発動できない。

笹貫ささぬき
参照能力値:【巧】

極めて精密な狙いで急所を狙う奥義。
達人の一撃は、穢れによる防御力場の間隙を縫うことすら可能とする。


効果:
攻撃成功時、追加で自身の【巧】点に等しい物理ダメージを与える。このダメージを与える際、対象の【穢装】または【装甲】を無視する。

Ex-2-6:流派について

流派とは、「所属条件」と「流派奥義」から構成されるデータである。
このゲームにおける近接戦闘術の使い手は、古来から受け継がれてきた武術流派の一門や最先端の戦術を研究する機関の一員となることができる。

それぞれの流派には、「所属条件」としてその一員として最低限必要な資質が定められており、特定の能力値が一定以上の値であることや、特定の祓魔術を修得していることなどの制限がある。
また、それぞれの流派には「発動条件」が課せられており、奥義の発動に際しての制限が設定されている。
これら二つの条件により、流派奥義は汎用奥義と比べて"使い手を選ぶ"奥義としてデザインされている。

所属条件を満たす場合に限り、キャラクターは一つの流派に所属し、流派に定められた「流派奥義」を修得することができる。
流派奥義には汎用奥義と同様に「参照能力値」が設定されている他、奥義によっては追加で修得条件が定められている。

流派奥義も「奥義」に該当するため、既に汎用奥義を1つ以上修得しているキャラクターが流派に所属し、流派奥義を修得した場合は「記憶している奥義」から1つ「有効な奥義」を選択する必要がある。

Ex-2-7:各流派と流派奥義

Ex-2-7-1:祓魔一刀流ふつまいっとうりゅう

流派:祓魔一刀流

・所属条件
【体】または【巧】が7以上であること

・発動条件
『追加スタイル:両手利き』宣言時、この流派の奥義は発動できない

・流派奥義
牡丹ぼたん
燕子花かきつばた
彼岸桜ひがんざくら

・概要
刀剣で魔を祓うことを生業とした一族が成立させた、歴史ある剣術流派。
神祇部においては、第六班の部隊長が免許皆伝の資格を持つ。
伝統剣術をベースとし、高い身体的・技術的水準を使い手に要求する一方で、実直な剣術から発展した技は安定した攻撃を可能にする。

牡丹ぼたん
参照能力値:【体】

強烈な踏み込みにより、鍔迫り合いから敵を一気に押し込む奥義。
荒々しい衝撃で相手を束の間その場に留め、続く一撃を打ち込む。


効果:
攻撃成功時、攻撃対象を好きな方向に移動させる。移動させるマス数は最大で自身の【体】の値に等しい。この時、移動経路は直線でなくてはならない。対象を移動させた後、自身を対象に隣接するいずれかのマスに配置し、攻撃を終了する。対象は次の手番終了時まで【機動力】が0となる。

燕子花かきつばた
参照能力値:【巧】

精密な狙いにより、相手の防御を掻い潜る一撃を放つ奥義。
攻防一体の攻撃でもあり、攻撃後の残心が防御姿勢も兼ねる。


効果:
奥義発動時、この攻撃に対する回避判定の難易度を一段階上昇させる。攻撃成功時、追加で自身の【巧】の値の半分(端数切り上げ)に等しい物理ダメージを与える。更に攻撃後、回避ダイスを2個獲得する。

彼岸桜ひがんざくら
参照能力値:【体】または【巧】

被弾覚悟で更に一歩踏み込み、強烈な攻撃を叩き込む奥義。
技というより、死地に踏み出す為の体術や覚悟の側面が強い。


効果:
奥義発動時、自身の回避ダイスを半分(端数切り上げ)減らしても良い。そうした場合、攻撃対象が行うこの攻撃に対する回避判定では、対象が消費したダイスの半分(端数切り上げ)の個数しか振ることができなくなる。

Ex-2-7-2:聖律楽団オルケストラ・サクラ

流派:聖律楽団オルケストラ・サクラ

・所属条件
【体】が7以上であること
祓魔術【反閇歩法】を修得していること

・発動条件
この流派の奥義は、祓魔術【反閇歩法】の効果時間中に行った攻撃でなければ発動できない

・流派奥義
優雅にエレガンテ
重々しくグラーベ
卵のように軽やかにリジ・クム・ア・ヌフ

・概要
【反閇歩法】に分類される術を扱う祓魔師が興した流派。
その起源は欧州ヨーロッパ祓魔師エクソシストの戦闘術に遡るとされる。
術の構成要件に歌唱や舞踏、楽器の演奏を含むことから、それらを阻害せず効率的な攻撃を行う独特の奥義を継承している。

優雅にエレガンテ
参照能力値:【体】

攻撃と同時に、曲の序盤に戻る奥義。
旋律を奏で続けることで、術の効果時間を延ばす演奏技術。


効果:
奥義発動時、術者が発動している祓魔術【反閇歩法】の効果を1ターン延長する(祓魔術の効果が切れる予定のターンが、1ターン先になる)。

重々しくグラーベ
参照能力値:【体】

攻撃の命中と同時に旋律を止め、残響を祭具に乗せる奥義。
強烈な霊力出力の緩急により、攻撃対象の回避判断を鈍らせる演奏技術。

効果:
奥義発動時、術者が祓魔術【反閇歩法】の効果を得ているなら、その効果を終了させる。そうした場合、相手の回避ダイスを即座に-1個し、その攻撃に対する回避判定の難易度を一段階上昇させる。

卵のように軽やかにリジ・クム・ア・ヌフ
参照能力値:【体】

攻撃と同時に霊力の循環を整え、祓魔術の出力を上昇させる演奏技術。
戦闘のリズムを旋律に反映させることで術に干渉する、珍しい技。


効果:
奥義発動時、直ちに術者が祓魔術【反閇歩法】によって得ている【体】と【機動力】への能力値補正を更に+1する。この効果は最大+2まで累積し、術者の【反閇歩法】の効果が終了すると消失する。

Ex-2-7-3:祓魔格闘術エクソマーシャルアーツ

流派:祓魔格闘術エクソマーシャルアーツ

・所属条件
【巧】が7以上であること

・発動条件
この流派の奥義は、【小型近接祭具】【攻撃用注連鋼縄】【神防盾・軽】のいずれかを用いた攻撃でしか発動できない

・流派奥義

白蛇スノウヴァイパー
黒蛇ブラックマンバ
鏃波布ジャララカ

・概要
小型、軽量級の祭具を扱う祓魔師達が発展させた流派。
その戦い方は剣術というより軍隊格闘と喧嘩殺法の混成であり、投げ技や蹴りを組み込んだ体術の中に祭具による攻撃を組み込んでいる。
型に囚われない、実践的且つ変幻自在の攻撃を特徴とする。

白蛇スノウヴァイパー
参照能力値:【巧】

敵の視覚外から放つ不意討ちアンブッシュ奥義。
気配を悟らせず距離を詰め、一瞬で攻撃を叩き込む隠密戦闘術を指す。

効果:
攻撃成功時、追加で自身の【巧】点に等しい物理ダメージを与える。攻撃前、攻撃キャラクターが攻撃対象から射線(視線)の通らない位置に居た場合、回避判定を行う前に対象の回避ダイス総数を直ちに2個減少させる。

黒蛇ブラックマンバ
参照能力値:【巧】

壁や結界を足場として跳躍し、予測困難な軌跡で攻撃を放つ奥義。
高度な戦術機動を前提とする、アクロバティックな戦闘技術体系。

効果:
攻撃成功時、追加で【機動力】の2倍に等しい値の物理ダメージを与える。この奥義を発動するためには、第一移動で【戦術移動】を使用し、且つ移動経路の中で「壁」「オブジェクト」「注連鋼縄(結界の外郭)」のいずれかに触れている必要がある。

鏃波布ジャララカ
参照能力値:【巧】

敵の脚や身体に祓串を打ち込み、運動機能を破壊する奥義。
祓串によって与えられた損傷は、対象を蝕み続ける。


効果:
攻撃成功時、通常通りダメージを与えた後、戦闘終了時まで「対象の【機動力」と手番開始時に得る回避ダイス」をそれぞれ1減らす効果を与える。この効果を使用するために、コストとして【祓串】を1個消費する。

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