wavy & glossy
はじめに
北米版 Yu-Gi-Oh! の個体差として人気のある『wavy』『glossy』について、歴史や特徴の紹介パート及び実際のカード紹介という2つのパートに分けて記事をまとめていきます。
バックナンバーとなりますが、北米版の個体差において『faded』についても記事を書いております。
こちらの記事はおかげさまで大変ご高評いただきました。
今回の『wavy』『glossy』も詳しく説明していくので是非とも最後までお楽しみに下さい!
wavy glossy の特徴
今回のテーマである『wavy』『glossy』とは、北米版初期の Yu-Gi-Oh! TCG における特徴的な紙質や表面の状態をもつカードを示す用語となります。
この英単語を和訳すると…
wavy = 波状の・うねりのある
glossy = 光沢のある・艷やか
となるため、この2つの用語を定義すると以下のように表現することができます。
『wavy』とは
カード表面に波状の模様があるカード
『glossy』とは
カード表面に光沢があり艷やかなカード
歴史について
『wavy』『glossy』のカードは歴史が古く、
初めて確認されたのは北米版のTCG初弾となる
《LEGEND OF BLUE-EYES WHITE DRAGON》
(※以下よりLOBと略)
1st EDITION (2002年3月8日発売)となります。
ここで重要なのは『北米版』のみでしか存在が確認されていないという、極めて限定的なカードであるということです。
私の個人的な調査によると、それぞれのカードが確認されているTCGのシリーズは以下の通りです。
『wavy cards』
・LEGEND OF BLUE-EYES WHITE DRAGON(LOB)
・STARTER DECK KAIBA(SDK)
・STARTER DECK YUGI(SDY)
・METAL RAIDERS(MRD)
・MAGIC RULER(MRL)or SPELL RULER(SRL)
・PHARAOH'S SERVANT(PSV)※
※PSVにも極稀に wavy 個体は確認されていますが、この時期から wavy と non-wavy の区別がほとんど無くなってきたと言われています。
『glossy cards』
・LEGEND OF BLUE-EYES WHITE DRAGON(LOB)
・STARTER DECK KAIBA(SDK)
・STARTER DECK YUGI(SDY)
・METAL RAIDERS(MRD)
・MAGIC RULER(MRL)or SPELL RULER(SRL)
・PHARAOH'S SERVANT(PSV)
・LABYRINTH OF NIGHTMARE(LON)
上記のことから PSV や LON の時期(2002年後半〜2003年前半)から製造技術の統一化が行われ、個体差が無くなってきたと考えられます。
印刷に差が出た理由
LOB 1st EDITIONから『wavy』『glossy』という個体差があり、製造技術にバラつきがありました。色々と情報収集を行ったところ、LOBの発売において興味深いことが分かりました。
以下の情報は、あくまで個人の見解に基づくため事実と異なる場合があります。ご了承下さい。
●LOB発売までの背景
北米版 Yu-Gi-Oh! TCG 発売前に、日本では既に遊戯王OCGが大成功していました。時系列でいうと北米版が発売された2002年3月は、日版で PHARAONIC GUARDIAN が発売された時期と重なります。
KONAMIは北米でのTCG製造販売を委託したUpper Deckと共に、多くのプロモーションを行い、LOBは想定より多くの需要を受けていたと考えられます。
その需要分を全て供給するには予定していた印刷分だけでは不十分であり、追加印刷せざるを得ない状況だったのではないでしょうか。
そうなると、追加印刷分は元々の印刷所とは異なる印刷所で製造され商品が流通することになります。
恐らくこの段階で『元々の印刷分』『追加印刷分』という違いから『wavy』『glossy』という品質の異なるカードが生まれた可能性があります。
※LOBの 1st EDITION は基本的に『wavy』『glossy』の2種類のカードしか存在しないと言われています。
(通常個体はない)
unlimited にも『wavy』『glossy』は存在しますが、特定の初期ロットのみに限定されます。
●紙質の違い
『wavy』『glossy』はそれぞれの紙質において、表面の波状模様や光沢以外にも相違点があります。
『wavy』の方が低品質のようなイメージ
(ネガディブな表現しかできずすみません…)
『glossy』の方が高品質のようなイメージ
このことから、個人的には印刷工程において以下のような仮説が成り立っています。
『wavy』︰追加印刷分
『glossy』:元々の印刷予定分
追加印刷分は、需要に対して不足分を迅速に製造しなければならない状況下であったことから、元々の印刷分とカードの質を同等にすることが困難だったのではないでしょうか。
そのため、元々の印刷物として予定していたカードより素材の質を落とさざるを得なくなったと考えられます。その結果、追加印刷分は紙質が低下して『wavy』カードになった…とか。
1st EDITION 発売後、LOBにおいては2002年後半〜2003年前半の unlimited パックにおいて現在のような標準的な仕様のカードが広く普及されるようになったようです。
wavy と glossy の封入
LOBにおいて、この2種類のカードは封入されているパックが異なるという見解があります。
これを説明するために、まずは北米版TCGを販売する『小売店』と『ホビー店』について、販売方法の違いを示します。
『小売店』
主に大手チェーンのスーパーマーケットや玩具店のことを小売店と表します。
〈 LOBの販売方法 〉
主にボックス単位(24p/box)での販売
ロングパック(※1)と呼ばれるパックを扱う
『ホビー店』
主にカード専門店やホビーショップのことをホビー店と表します。
〈 LOBの販売方法 〉
主にブリスタータイプ(1p/blister)での販売
ショートパック(※2)と呼ばれるパックを扱う
※1 ロングパックとはディスプレイ効果を高めるために棚に掛けやすいよう設計されたパック
※2 ショートパックとは棚に掛ける必要がない
すもしくはコンパクトなディスプレイを前提に設計されたパック
結論から先に言うと……
『wavy』個体はホビー店で販売されているLOBのみに限定された封入カードではないかと言われています。
つまりこれが事実だとすれば、小売店に並んでいたLOBからは『wavy』個体は排出されなかったことになります。
ここから推察できることがあります。
LOBの追加印刷分はホビー店の流通ラインとして製造されたものなのではないかということです。
そのため、『wavy』は小売店の販売分からは排出が認められなかったのではないでしょうか。
また特定のカードの排出率について、大変興味深い情報があります。
それは……
LOB 1st EDITION においては、
《竜騎士ガイア》の『wavy』個体は存在しない
ということです。
これが事実だとすれば、《竜騎士ガイア》は小売店とホビー店で排出率が極端に異なっていたと考えられます。
複数の『wavy』に関するサイトや動画をみて、このような情報が載っていることを確認しました。なぜそのような事が起こったのか……謎です。
同じシークレットレアのレアリティでも《トライホーン・ドラゴン》は『wavy』『glossy』両者の個体が確認されています。
※重ねての注意書きとなりますが、こちらの情報においても事実と異なる可能性があるため、その点はご了承下さい。
上記の記事に関して参考にしたサイトや動画について以下を参考にしました。
カード紹介
『wavy』『glossy』の歴史的な背景に関する記事は以上として、ここからは実際のカード紹介及び加工の特徴についての紹介をしていきます。
案の定、私自身は『wavy』『glossy』のカードを所有していないため、今回もコレクターの方に協力していただいて貴重な画像を用意することができました!
● wavy cards
名称:TRI-HORNED DRAGON
型番:LOB-000 unlimited
収録:LEGEND OF BLUE-EYES WHITE DRAGON
紙質:wavy & faded
『wavy』で紹介するカードは《トライホーン・ドラゴン》となります。上記は日版との比較画像のため、よりカード表面の相違点が明確に分かります。
〈 wavy の特徴〉
・カード表面が波打ったような質感
・ザラザラした触感
・角度の変化で違った見え方をするため、
視覚的に動きを感じられる
『wavy』加工によって唯一無二の独特な vintage 感という印象を受けます。faded とは全く異なる印象の vintage 感です。wavy と faded が合わされば、もはや最強です。(上記画像は wavy & faded)
wavy は通常の一般的なカードと比較してテキスト欄のインクが濃く、暗い印象を与えることが vintage 感となる要因の1つなのかもしれません。
個人的にホイルの美しさを堪能することに特化した LOB お気に入りのカードがあります。それは《ホーリー・エルフ》です。
本来であれば《青眼の白龍》の wavy をバシッと載せて欲しいと読者の方は考えていると思います。
ですが、あえて私の独断と偏見により提供していただいた wavy 画像の中から《ホーリー・エルフ》を載せさせて下さい。美しい……美し過ぎる!
名称:MYSTICAL ELF
型番:LOB-062 unlimited
収録:LEGEND OF BLUE-EYES WHITE
紙質:wavy
● glossy cards
名称:BLUE-EYES WHITE DRAGON
型番:SDK-001 unlimited
収録:STARTER DECK KAIBA
紙質:glossy
名称:DARK MAGICIAN
型番:SDY-006 unlimited
収録:STARTER DECK YUGI
紙質:glossy
『glossy』で紹介するカードは、遊戯王を代表する2枚のカード《青眼の白龍》《ブラック・マジシャン》となります。
〈 glossy の特徴〉
・カード表面に粒立った光沢がある
・ツルツルとした滑らかな触感
・光の反射が強く、色やデザインが鮮明に
輝いてみえる
『glossy』加工によって鮮やかな明る印象を受けます。光沢はイラスト部分だけでなくカード全体に広がっているのが特徴です。『wavy』とは感じる印象が真逆のようになります。
『glossy』は画像だと十分に加工の表現が伝わらないように感じます。そのため、ここで紹介する画像は1枚だけにさせていただきます。個人的には動画で見て美しさを感じてもらいたいです。
上記で貼った動画のリンクなども参照してみてはいかがでしょうか。SNSでショート動画を載せている方もいるのでチェックしてみて下さい。
そして今回も faded 編に引き続き、とても貴重な画像を『リョイト@遊戯王』さんに提供していただきました。本当にありがとうございます!
おわりに
3回目の注意書きとなりますが、この記事の内容において、特に LOB の歴史部分や排出率は真実とは異なる場合があります。
独自調査において複数の情報から取捨選択した結果をまとめた記事となります。「こんな見解もあるんだ」程度に楽しんでもらえると嬉しいです。
そしてこのような記事を書いているにも関わらず、私自身は『wavy』『glossy』を所有しておりません。実物を見たこともありません。
欲しいです!何なら『faded』も欲しいです!!
この記事を書いていたら、より欲しくなりました。
『wavy』『glossy』『faded』はいずれもコレクター人気が高く非常に希少性が高いことから、高額で取引されるケースが多いです。
もしこれらのカードと出会うことができたら、それだけでとても幸運だと思います。
是非ともこの記事をキッカケにして『wavy』や『glossy』に興味を持ち、更には北米版の魅力に気付いてもらえると嬉しいです!
今回は『 faded 編』の記事を発信した後に、読者の方から『wavy』『glossy』を書いて欲しいと複数のご要望をいただいたことで実現した記事となります。
もし他にも記事にして欲しいテーマのご要望がありましたら、遠慮せずコメント下さい。そのテーマに《私自身も興味があれば》その後の記事になるかもしれません!
長文の記事となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!!