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慣れないポジションで奮闘したヌネスと前途多難な再建への道

1-2で敗れたマンチェスター・ダービーは、マンチェスター・シティにとって苦しい状況を象徴する試合となった。前半30分、ヨシュコ・グヴァルディオルのヘディング で先制しながらも、終盤の失点で逆転負け。ペップ・グアルディオラ監督率いるチームは、ここ11試合でわずか1勝と、苦戦が続いている。
特に慣れない左サイドバックのポジションで起用されたマテウス・ヌネスが終盤に犯したバックパスミスが敗戦の要因となったが、彼個人を責めるべきではない。むしろ、これはチーム全体が抱える問題を象徴する一幕だったといえる。


野戦病院化の犠牲となったヌネス

本来は中盤の選手であるヌネスが左サイドバックとしてプレーした背景には、ナタン・アケやマヌエル・アカンジの負傷、リコ・ルイスの出場停止といったチーム事情があった。
試合序盤、彼はジェレミー・ドクと連携し、左サイドで攻守にわたる貢献を見せた。特に攻撃面では、ドクの突破をサポートしながらチャンスを演出し、守備でも相手の攻撃を食い止める場面があった。しかし、終盤におけるバックパスのミスとその後の対応の遅れが、ユナイテッドの逆転劇を許す結果となった。

このミスは結果的に痛手をもたらしたが、グアルディオラ監督は試合後、「彼は慣れないポジションで素晴らしい努力を見せた」と評価し、個人の責任ではなくチーム全体の課題として捉えている。

集中力と意思決定の欠如

グアルディオラ監督も認めるように、現在のシティには以前のような冷静さや落ち着きが欠けている場面が散見される。試合後、監督は「ボックス内での焦りが目立つ。これでは失点を防げない」と語り、選手たちが自信を失い、決定的な場面での判断が鈍っていると指摘した。
フィル・フォーデンも試合後のコメントで「1-0で試合をコントロールしていたが、スイッチを切り替えたかのように2失点してしまった」と語り、試合終盤の脆さを嘆いた。これまでの高い基準がプレッシャーとなり、メンタル面の負担を増幅させている可能性があるだろう。

さらに、シティの守備の不安定さがここ数試合で顕著に現れている。この試合でも、終了間際のコーナーキックから逆にカウンターを受け、PKを献上するなど、チーム全体の集中力や戦術的な統一感が欠けていた。ベルナルド・シウバは「87分でリードしている試合で、相手にPKを与えるような判断をしてはならない」と厳しく語ったが、これは彼個人だけでなくチーム全体の課題でもある。

個人ではなくチームで乗り越え再建へ

現在、シティはプレミアリーグで5位に沈み、首位リヴァプールとの差は9ポイント。次節はアストン・ヴィラとのアウェイ戦が控えているが、この試合はチームの再起に向けた重要な一戦となるだろう。
グアルディオラ監督は「私が解決策を見つけなければならない。これは私の責任だ」と語り、チームの再建に強い決意を示した。また、「失敗を恐れず、前に進むことが必要だ」と強調し、選手たちが自信を取り戻すことの重要性を訴えた。

シティが再び勝利の軌道に乗るためには、個々のミスに囚われるのではなく、チーム全体で問題を共有し、困難を乗り越える姿勢が求められる。慣れないポジションで奮闘したヌネスを称えつつ、チーム全体の連携を再構築することで、今後の試合に臨むことが重要だ。
果たして、アストン・ヴィラ戦でどのような変化を見せるのか。シティにとって、この苦境を脱する第一歩となることが望まれる。

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