アナタは貢献できていますか?元Jリーガー増嶋竜也氏
フレッシュな季節新しいことを始めようと思う人。どうしてもこの時期に自信の成長やスキルアップ等を考える方も多いのではないでしょうか?
新しく習い事を始めたりとかですね。それはもちろん素晴らしいことですが、我々ともすればどうしても自分自身について目が向きがち。
世のビジネス・あなたの仕事はこの世の中の誰かに貢献することで成り立っているという基本的なことを思い出すタイミングにしてもよいのでは無いでしょうか。
今日は、私が興味深いと感じた元プロスポーツ選手による、とある取り組みについてご紹介させて頂きます。
元サッカーJリーグ増嶋竜也選手がクラウドファンディングで始めた「リバック・プロジェクト」を取り上げたいと思います。
これはプロシーズンの変更の時期に無所属決まってない選手を集めて練習を行い、Jリーグのチームに戻れるように支援するという活動です。
選手引退のタイミングで早速他の選手への支援活動をはじめ、プロジェクト通じてサッカー界全体への貢献へとつながりつつある増嶋さんのこの取り組み、一緒に見てきましょう。
このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
元Jリーガー増嶋竜也氏が始めたリバックプロジェクトとは⁉︎
まずは今日の主役「リバック・プロジェクト」を主宰する増嶋竜也選手の紹介から。増嶋選手は1985年生まれのサッカー選手です。
名門市立船橋高校出身、FC東京ではワールドユース代表キャプテンを務め、その後ヴァンフォーレ甲府、京都サンガなどを経て最後は地元千葉でプレーし昨年2020年12月選手生活にピリオドを打ちます。
ちなみに奥様はバドミントンの潮田玲子さんで最近は共に「増嶋家ちゃんねる」というYouTubeのチャンネルも運営されています。チェックしてみてください。
そして増嶋選手のリバック・プロジェクトについては、ラジオの番組にゲストで出演されていた時のインタビューでこの知ることになりまして、興味深いなと思ったので調べてみました。
この番組内では、クラウドファンディング・キャンプファイヤーのプロジェクト紹介ページや、私がラジオで聞いたその時のインタビューの内容などをもとにまとめています。
まずは増嶋選手がこのプロジェクトを立ち上げるに至った経緯からです。
昨年末まで現役選手だった増嶋さんですが、現役時代はなかなか引退後のセカンドキャリアについては考えられなかったそうです。
選手としてプレーしているときはどうしても目の前の試合や練習への集中力が求められ、そこに意識を取られ長期的な視点が持てなかったといいます。結局引退を決意した後も、ラストのシーズンをやり切って、それからそのあとのことを考えると決めたそうです。
そして2020年12月20日引退、そのまま21年を迎えることになりました。
年が明け、いよいよ何をしようかと少し気持ちが焦り始めたころ、奥様で元アスリートの潮田玲子さんがおっしゃったそうです
「今まで一生懸命に打ち込んだことがあり、引退後も同じ熱量で行動できることはなかなかすぐには見つからない。じゃぁ1年は次にやることを探す年にしたら?」
これは元アスリートであり、ご自身も引退というステージを経験された潮田さんならではのお言葉だったかもしれませんね。
そして、奥様は決してサッカーに関すること・これからも関わっていくことだけを薦めていたわけではないようです。増嶋選手ほどのプレーヤーですと引退直後であれば下部組織でのプレーやコーチなどすぐにでも声がかかるポジションはあったそうなのですが、そこに時間をとられてしまっていたらサッカー以外にやりたいことはみつからないと考えたそうです。
まさに奥様のアドバイスを受けて、あえてそうしたオファーには乗らなかったといいます。
そうしているうちに、Jリーグのシーズン開幕が迫っているにもかかわらず、”なかなか所属チームが決まらないでいるかつてのチームメイトたちの悩み”を聞き、支援したいと思うようになります。
これが「リバックプロジェクト」です。
シーズンの合間の時期、所属先が決まっていない選手たちはなかなか練習すらもままならない状況です。
練習場所もない、身体を鍛える機会もなかなかない。ようやくみつけてもそうした練習場所は環境が整備されていないかもしれない、そもそもそうした活動にもお金もかかります。
所属先を失ったとはいえ国内トップチームでのプレー経験のある選手たちです。コンディションさえ整えておけば開幕直前にどこかのチームに故障者でたりして何かの隙間ができたときにねじ込めるかもしれない、そう考えた増嶋氏は、その機会とタイミングを見据えて頑張る選手たちを支援するための活動をはじめました。
こうした活動には当然資金が必要となります。グランドのレンタル代・備品の費用・宿泊代などこれらに必要な資金をクラウドファンディングで募ったのです。
資金の提供者・協力者へのリターンについては、山口蛍選手をはじめ増嶋氏に近しい多くの選手たちが名乗りを上げ、自身のジャージやスパイクなどの記念品の提供に応じてくれました。そしてそんな資金提供者や支援に回る現役選手たちにより支えられた所属先のなかった選手たちにスポットライトが当たることになるのです。
故障者が出たりしてシーズンの開幕を控えて急な人員補充が必要となったチームにとっては、無所属ながらコンディションをしっかり整えている選手たちが集まっているこの場所を探せばいいということになり、まさに困っている選手とチームのマッチングの場の提供につながったといいます。
こうしてこの「リバック・プロジェクト」はサッカー関係者のみならず注目を集めることになりました。
次のチャプターでは増嶋氏がこの「リバック・プロジェクト」を思いついた背景についてみてみましょう。
リバックプロジェクトを始めるきっかけになったのは
所属先チームを失ってしまったプロサッカー選手たちをサポートするための「リバック・プロジェクト」を立ち上げた増島氏ですが、立ち上げた当初よく言われたのが「増嶋氏自身が現役復帰したいので受け入れ先のチームを探す目的があるのでは」だったそうです。
確かに引退して間もなく、現役復帰の可能性もあったのではと推察されますが、当の本人である増島氏はこれをきっぱりと否定しています。
このプロジェクトは支援対象の選手のサポートが目的であり、自分自身は現役選手に戻るつもりはないと。
そしてプロジェクトの発案者として、資金集めのためのプロモーションやクラブとの交渉、協力者への声掛けなどかなり忙しい日々を送られていたようです。
このプロジェクトを発案し実行に至った背景について、ゆうに10人以上の選手から相談を受けたことがあったようです。
ご自身の引退の時、多くの人からねぎらいの言葉がありましたが、その際、現役選手の中には「行き先がなくて困っている」という悲痛な相談を受けたのです。
折しもコロナの時期であり、各チームも襲撃が厳しい中、予算を絞り選手獲得の意思決定への締め切りも早かったのです。結果契約を得られない状態の選手も増えていたのではないでしょうか。
増嶋さんはご自身が引退して次の道を模索する中で、多くの選手からの将来への不安の思いの混じった悲痛な相談を受ける中で、支援したいという思いが強まったといいます。そんな想いから、この「リバック・プロジェクト」の立ち上げに至ったのです。
結果としてこのプロジェクトは支援対象の選手たちから喜ばれただけでなく、賛同する多くのファンや支援したいという現役選手たちを巻き込み、結果的に数々のチームにとっても有意義な場となりました。
もともとは現役引退後次のキャリアを模索していた増嶋さんでしたが、その思いがサッカー界全体への貢献へとつながったのです。増島さんは「なんで今までこのような支援の動きがなかったんだろう」と語っていました。
この「リバック・プロジェクト」がサッカー界に投じた影響は今後ますます大きくなるのではと思います。そして増嶋さんの行動。
困っていた仲間たちの声をしっかり聞き、その解決のために行動を起こす。これは簡単ではないですよね。
増島さんの行動をみていて、注目すべきポイントをいくつか挙げてみたいと思います。
まずは仲間である他選手たちから相談がくるということ。
彼らとは、不安や悩みを打ち明けれれるような関係を築けていたことがあるでしょう。真剣に悩みを打ち明けてきた選手は10人を超えていたといいます。
なかなかそんなに多くの人とそこまでに関係が築けているというのは容易ではないのではないでしょうか。増嶋さんの人柄もあるのでしょうか。
周囲の人に対してオープンであったのだろうと思います。
思い出されたのが、台湾のIT担当大事で、コロナ対策に成果を上げた立役者だといわれるオードリータン大臣です。タン氏はオープンオフィスというのをやられてまして、毎週水曜日はネットで予約さえとればどんな人でも会いに行くことができ、相談を聞いているんですね。
そしてその相談の様子はすべてライブ配信されアーカイブもされています。タン氏いわく私は自分が出したアイデアを実現させようとしているわけではない。多くの人の悩みや意見を聞きそれらの解決を実現させるため関係各部署との調整を行っているにすぎないといいます。
タン氏のオープンな姿勢、多くの国民にとって頼られ相談できる存在となり、行動することで成果を出しさらに信頼をあげるという好循環となっているようです。きっと増島氏も周囲の他の選手たちには常にオープンな姿勢だったのだろうと思います。
そして次に、多くの選手が打ち明けてきた悩みや相談をしっかり聞いて応えたということが結果につながったのではないでしょうか。
どれだけたくさんの人たちの悩みや意見を聞いても流してしまったりしていては、彼らに共通しているその悩みの本質的なところまでは気づかなかったかもしれません。
それが気づけているというのがすごいと思います。Jリーグも歴史があり、ここまで多くの数のチームが存在してます。毎年かなりの数の選手がチームを去り行き場を無くしています。ひょっとすると同じ悩みを持った選手は多かったのでは。毎年シーズンが切り替わる時期には多くの選手が同じように誰かに相談していたのではと想像できます。
増嶋さんはそんな声にしっかり向き合いました。
最近私が読んだ本なのですが、2017年にアメリカでベストセラーとなったビジネス書「They ask you answer」という本があります。マーケティングの本として話題になり、日本では神田昌典さんが監修し「世界一シンプルな増客マシーンの作り方」というタイトルの翻訳版として出版されています。
コンテンツ・マーケティングの仕組化やDXを推奨する内容ではありますが、個人的に印象強かったポイントとなるのが英語の原文タイトルにある通りです。They ask you answer。お客様からの質問にしっかりと答えること。これこそがシンプルかつ本質だとしています。多くの人が多くの人にしたであろう質問・悩み相談。これに気づき、しっかりと答えたのが増島さんだったのです。
そして最後。この多くの人の質問や悩み相談、これを受け止めて、解決するため実際に行動したのも増嶋さんなんです。
動いてる・行動してるんですよね。
この時の増嶋さんの強みとは、現役を引退して時間があったことも大きいのではないでしょうか。実際引退後、下部組織でのプレーやコーチなどの仕事を受けず、時間に、あと精神的にも余裕があったのではと思います。
新しく行動を起こすためにはこの「余裕」というものがないと難しいかもしれません。
やりたいことがあっても時間が取れず気持ちに余裕がなければ行動に移せずついつい後回しにしてしまいがちではないでしょうか。
あの「2ちゃんねる」のファウンダーであり最近はコメンテーターとしても活躍されているひろゆき氏ですが、著書などで「常に片手を空けておく」ことの大事さを強調されています。
せっかく自分にとってやりたいことが見つかった時、チャンスが転がり込んできたとき、両手がふさがっている状態ではつかみにいけません。目いっぱいの状態に自分を追い込んでいてはいけないのです。
常に片手を空けて余裕を持つ状態にしておくようにすべきということです。
以上みてきましたように、増嶋さんが「なんで今まで誰もやってこなかったんだろう」といアイデアを実現できたのは、これらの要因があるのでは無いでしょうか。
ではこの増島氏の行動のなかから我々の仕事や生活に活かせる点はあるのでしょうか。
次のチャプター本日のTipsに続きます。
アナタは周囲の人たちや組織に貢献できていますか?
前のチャプターでご紹介した増島さんの3つの行動、これは自分が何を以て組織や社会に貢献できるかということ考えるのに非常に重要なのでは無いでしょうか。
まずは、常にオープンでいること。周りの人に対しての姿勢です。
それで気軽にちょっとした相談が来るようになれば、アナタの周りに意見が集まってくる
2つ目は、複数の人たちから繰り返し聞く悩みを集める。
愚痴でもなんでもあなたの周りの多くの人がいつも話している問題や課題はありませんでしょうか?普段なんとなく相槌打って流しがちなものの中から、よく考えてみたら多くの人に共通する課題に気づくかもしれません。
そして最後、常に余裕を持っておく。
忙しい年度末の時期は難しかったかもしれませんが、周りの人の課題の本質に気づくことができるようになるにはあなた自身が余裕をもっておかなければいけません。そうなるように心がけておきましょう。
今日は短いですが、以上3つのポイント、増嶋竜也さんが起こした、所属先を失ったサッカー選手支援プロジェクト成功のカギからみていきました。
このnoteはVoicyの過去の放送の一部を文字に起こしたものです。
是非音声でもお聴きいただき、フォローボタン、Twitterへのシェアもよろしくおねがいします。
フォローをしていただけると、このチャンネルの最新の放送を受け取れたり、あなたに合ったチャンネルがおすすめされます。
また、「Voicyとはなにか?」「フォローの仕方」などはこちらにまとめておりますので、合わせてご確認ください。