[導入事例]新聞社が音声ニュースでも10万人をファン化。その成功の秘訣とは?
※2021年4月取材の記事です
2019年7月に放送をスタートした日本経済新聞社の音声ニュースチャンネル「ながら日経」が、フォロワー10万人を突破しました。メディアが放送するチャンネルでは初の快挙ということで、「ながら日経」のプロデューサーとパーソナリティの皆さんにお話を伺いました。
[チャンネル紹介]ながら日経
毎朝6:40放送。8人の個性豊かなパーソナリティが、日経電子版のニュースとフリートークを毎朝お届けしています。
お話を伺った人
フォロワー0からのスタート。10万人突破で、ホッとしている
——— フォロワー10万人突破おめでとうございます!今のお気持ちはいかがですか?
村野:
ありがとうございます。一緒に頑張ってくれているスタッフもそうですし、何よりパーソナリティの皆さんのおかげです。
この事業がスタートするとき、社内の情報共有サイトに「こんなチャンネルを始めます」ということを書いたんですよ。さっき読み返したのですが、そこには「うまくいったらVoicyさんのプラットフォームと日経の看板のおかげ。うまくいかなかったら私の企画力不足のせいです」とありました。その後に「でも、私失敗しないので」とも書いてありました。とりあえず今のところコケていないので、安心しているというのが正直なところですね。今、ホッとしています。
SNSで口コミが口コミを呼ぶ状態が広がってきた
——— 放送スタートから約1年9ヶ月でフォロワー10万人という数字は予想されていましたか?
村野:
いや、最初はあまりピンとくる数字じゃなかったですね。それこそ0からのスタートだったので。ただ、ここにきてフォロワーが増えるスピードが早まったのはびっくりしています。
年末までは大体3ヶ月で1万人増えるペースだったのですが、年明け後は1万人増えるのにかかる期間が1ヶ月になり、それが2週間になり、という感じだったのでその加速度に驚いています。
——— その要因は何だと思いますか?
村野:
ひとつは(音声業界の盛り上がりによって)Voicyにくるリスナーさんが増えたことだと思っています。そのうちの一定数は「ながら日経」をフォローしてくれたんだと思いますね。
もう一つは、今年に入って「ながら日経を聴いてこんな役立つ話があった」「こんなおもしろい話を聴いた」などのツイートを見かける機会がかなり増えました。そうすると、そのツイートを見た人が、「ながら日経」をフォローしてくれ、口コミが口コミを呼ぶ状態が広がってきたのかなと思います。
日々改善。音声ニュースならではの新しい発見も
——— 「ながら日経」の立ち上げにあたり苦労した点はありますか?
村野:
2019年にVoicyさんと業務提携をして音声ニュースをやることが決まったわけですが、私はずっと記者をやっていたのでこういった事業やサービスの立ち上げに関わったことはありませんでした。いろいろ教えてくれる仲間がいたのはありがたかったのですが、やはり人数が少なかったので、立ち上げ当初はとにかくなんでもやらなきゃいけなくて大変だったのを覚えています。「ながら日経」は実質4人ぐらいのメンバーでまわしていました。
——— 文字でニュースを届ける新聞と、音声との違いはありましたか?
村野:
やってみてわかったことですが、意外とわからない「読み方」がありました。目で見てわかったつもりでも「これであってるのかな?」とか、読もうとするとわからないとか、そういうことが意外とあって勉強になりました。
それと、新聞独特の書き方ですね。例えば同じ会社が出てくる場合、「同社」と書きますが、あれを音声でそのまま言うとなかなか聴きにくいんです。だから繰り返しになりますが、例えばトヨタが出てきたらもう一度「トヨタ」と言うのが親切なんだろうなと。「同社長」「同市」「同県」なども同じですが、そういう新しい発見もありました。
——— 音声をやってみたからこその発見があり、改善を重ねてきて今の「ながら日経」があるんですね。
村野:
そうですね、本当に日々改善してきました。最初の頃は、1日ごとに変わるという感じでしたよ。
個性の違うパーソナリティと「チーム」で運営
——— 現在「ながら日経」には8人のパーソナリティさんがいますが、パーソナリティはどういう基準で選んでいますか?
村野:
実は、必ずしもニュース読みが上手い人を選んでいるわけではないんです。一番重要なのは個性で、それぞれ違ったバックグランドをもつ人を選ぶようにしています。そうすることによって終わりの挨拶のフリートークがおもしろくなります。今のパーソナリティは見事に個性が分かれていて、フリートークのトーンがかぶらないんです。非常に自慢のパーソナリティたちです。
——— 「ながら日経」は側から見ていても本当にいいチームですよね。「ながら日経」の今後の展望を教えてください。
村野:
拡大一辺倒でやってきたのであまり今後の作戦は考えていませんが、やはり聴いてもらう人をもっと増やしたいです。それによって安定したスポンサーがつくかもしれませんし、「ながら日経」を聴いたことで日本経済新聞に触れてもらい「電子版を購読しようかな」という層も増えてくると思うので、そこを目指していきたいですね。
——— 「ながら日経」をどんな方におすすめしたいですか?
村野:
今一番聴いていただいているのは通勤・通学の時間帯なので、そういった方はもちろんですが、家にいる主婦の方々にも聴いていただきたいです。どんな人にもわかりやすい伝え方をしているので、いろんな人に聴いてほしいです。
パーソナリティからみた「ながら日経」
——— 「ながら日経」のパーソナリティとして発信する上で気をつけていることはありますか?
萩原:
毎回正確にニュースを伝えることを意識しています。原稿や新聞の内容をしっかり把握して、文脈なども意識しながら話すことを心がけています。
あとは、皆さんがいつ何をしながら聴いてくださっているのかを考えて、皆さんがリラックスして聴きやすいように話しています。正確にニュースを読む積み重ねで自分の知識を増やす場にもなり、「伝える」ということについて考える貴重な時間になっています。
——— 「ながら日経」のパーソナリティになってみた感想は?
DJ Nobby:
プロデューサーの村野さんが全体のチームをまとめる役を常にかって出てくださっています。各パーソナリティが好きなようにやっているというよりは、日経チームとして一つ番組を作り上げていこうという意識がすごく高いと感じています。
今回フォロワー10万人ということで、番組が始まった当初は想像もつかなかった人数となりました。途中で僕がやっている個人チャンネルのフォロワーを抜かしていった頃から焦りを感じたんですが、やはり一人でやるのとチームでやるのではこれだけ差が出るんだなということをまざまざと見せつけられた気がしています。
——— 発信する上で気をつけていること、大切にしていることは何ですか?
渡辺:
今の立場としては「ながら日経」のパーソナリティなので、日経の品格を汚さないようにというか(笑)、個人としてではなく日経の人として、話して恥ずかしくないような内容を心がけています。
基本的にはニュースチャンネルというのもあり、日々の生活や雑談に役立つようなお話をしたいと思っています。例えば、飲み会や打ち合わせの場のアイスブレイクとして「ながら日経」で聴いたことを使っていただくとか、フリートークでも、今日会社にいく人がどこかで話せる小ネタを意識しています。
——— 「ながら日経」をどんな風に聴いてほしいですか?
外村:
私がキャリア支援をしている学生には、「ニュースから拾えることが社会人との共通項目、共通言語になったりすることが多くあるので、毎日の習慣として聴く癖をつけるといいよ」と話しています。
毎日聴くということが、知識を高めたり、新しい発想を生み出すアイディアにつながったり、皆さんの「知的体力」に繋がるんじゃないかと考えています。ぜひ、通勤、通学、家事、勉強、何かをしながらの「ながら時間」に、子どもからお年寄りまで聴いていただきたいですね。
リスナーの皆さんへ動画メッセージ
今回フォロワー10万人突破を記念して、パーソナリティとプロデューサーの村野さんからリスナーの皆さんへメッセージです。いつも聴いている「あの声」をぜひ動画でもお楽しみください。
※2021年4月取材
さいごに
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