[導入事例]「音声でセキュリティをもっと身近に」セキュリティ診断企業が音声発信で実現したいこと
※2021年4月取材の記事です
音声プラットフォーム「Voicy」には、ブランドが音声で発信する「音声のオウンドメディア」とも言えるチャンネル(VoicyBiz)が存在します。
今回はそんなチャンネルの中から、セキュリティニュースを初心者にもわかりやすく解説する『今日の10分セキュリティラジオ』をご紹介します。チャンネルを運営する株式会社SHIFT SECURITYの代表で、自らもパーソナリティとして発信する松野さん、日替わりパーソナリティの大井さん、西本さんにお話を伺いました。
[事業紹介]株式会社SHIFT SECURITY
株式会社SHIFT SECURITYは、2016年に設立されたインターネットの脆弱性診断企業です。企業のインターネットセキュリティが十分かどうか、攻撃を仕掛けられていないかなどを診断・監視し、セキュリティの対策を講じる、「セキュリティの健康診断」をする医師のような役割です。
SHIFT SECURITYさんの特徴は、これまで熟練者の経験や勘に依存していたセキュリティ診断業務を、誰でもできる再現性のある業務に「標準化」したことです。これにより、セキュリティ対策を社会により浸透させることを目指しています。
Voicyチャンネル「今日の10分セキュリティラジオ」とは
話題のセキュリティニュースやセキュリティに関する疑問を、代表の松野さんと曜日代わりのパーソナリティが解説します。
「セキュリティ」という一見難しそうなテーマながら、内容のわかりやすさとチャンネルのカジュアルな雰囲気がリスナーの心を掴んでいます。放送日時は月曜・水曜・金曜の朝7時15分です。
お話を伺った方々
[導入きっかけ]セキュリティを身近に感じてもらうことで、世の中に貢献したい
—— 2020年7月にチャンネルがスタートしましたが、Voicyを始めようと思ったきっかけを教えてください。
西本:
セキュリティに関して、もっと世の中に貢献できることはないかと以前から考えていたことがきっかけです。セキュリティは重要なことですが、一般の人にはとっつきにくいじゃないですか。なので、どこかの会社が情報漏洩をしたというニュースを見ても、じゃあ何を気をつければいいのか、自分から情報を探しに行かないとよく分からないのが現状です。だから自分たちが、明るく楽しくとっつきやすくセキュリティについて発信することで、セキュリティを身近に感じてもらえたらいいのではないかと考えたんです。
松野:
僕らが発信を検討していた昨春、ちょうど一回目の緊急事態宣言に入っていたことも、発信の動機になりました。
というのは、コロナ禍になってインターネットを使う時間・機会が増えましたよね。その分、ちょっとした怖さを感じる場面も増えたんじゃないかと思うんです。また、在宅勤務になって、分からないことを社内で気軽に聞けずに困っている人もきっといるはず。そんな時に、自分たちが「これ大丈夫かな?」の聞き先になれたらと思い、発信に向けて動き始めました。
[Voicyを選んだ理由]幅広いリスナー層と接しやすさ
—— テキストメディアや動画といった選択肢もある中で、なぜ音声を(Voicy)を選ばれたのですか?
西本:
テキストか動画かネットラジオか…色々な発信媒体を調べていたのですが、元々「(目を占有するコンテンツはたくさんあるけれど、)耳は空いている」という話はずっと前から松野としていました。また動画は、Youtubeという海が広すぎて、今から参入して多くの方に見てもらうのはやはり難しいのではないかということで、音声に照準を絞りました。
—— 音声の中ではどんなサービスを検討されましたか?
西本:
Podcastはもちろん、他の音声サービスも複数検討しました。他の音声サービスがエンタメ色が強かった一方で、Voicyはビジネス系のコンテンツがしっかりあって、幅広いリスナーがいるんだろうと思いました。かつ、「セキュリティ」というジャンルのチャンネルもまだなかったんですよね。
それならVoicyがいいなと思って実際にアプリを触ってみたら、UIが良かったんです。オレンジのカラーも明るくて接しやすい印象でした。Voicyにチャンネルがあるだけで、セキュリティが接しやすいものとして受け取ってもらえるんじゃないか、という理由で、Voicyで発信することを決めました。
[運用体制]チームでのチャンネル運営は「泥臭く」
—— チームでVoicyをどのように運営されているのですか?
西本:
まず放送公開の3日前くらいに、曜日担当者がどのニュースを取り上げるかを決めます。そのニュースの中で気になるところを質問として台本に書いて、それに対して松野が解説を書きます。その翌日に、1時間くらいかけて事前打ち合わせと収録を行い、翌日に編集し、公開するという流れです。
—— 台本から収録まで、かなりしっかり準備されるんですね。
松野:
放送当初から、これは泥臭くやるしかないだろうとある程度覚悟していました。オープニングなどの雑談はその場でパッと録っていますが、専門的な内容については質を下げたくない。正直しんどい時もありますが、その時は「困っている人の役に立ちたい」という目的と、聴いてくれるリスナーさんのことを思い浮かべてパソコンに向かっています。
—— 他に、チャンネル運営・発信において意識されていることはありますか?
大井:
初心者にもわかりやすくというところで、素人が聴いていると思って話すようにしています。できるだけ噛み砕いた言葉を使ったりとか。セキュリティという難しそうなテーマだからこそ、そこには気をつけていますね。
[発信の思わぬ効果]リスナーからの反応
—— 実際放送をはじめて予想外だったことはありますか?
松野:
こんなに聴いてもらえていることが一番予想外ですよ!(笑)絶対、リスナーは30人くらいで止まるだろうと思っていたので。もちろん最終目標は数ではないと考えていましたが、聴いてもらえるのは嬉しいですね。
—— 発信して、実際に出てきた効果などはありますか?
松野:
弊社のセミナーにVoicyから参加してくれる方は一定数いらっしゃいます。この前は、Voicyからセキュリティセミナーに申し込んでくれた主婦の方がいたんです。普通の企業セミナーで、主婦の方と繋がる事なんてないじゃないですか。そういう方に興味を持っていただけたのはとても嬉しかったですね。
[音声の良さ]聴き流すことで安定して聴き続けてくれる
—— Voicyを始めてみて、音声の特性についてはどうお考えですか?
松野:
音声っていいなと思うのは、「聴き流せる」ことです。セキュリティに関する事件は、同じようなことが何回も起こるんです。なので、ひとつのニュースを一度聴いて終わりではなく、聴き流しながら、「前にもこういう事件があったな」と、少しずつ知識を定着していってもらえます。
動画だと、目的のコンテンツを検索して視聴したら、それきりで終わってしまうことが多いと思うんです。また、コンテンツによって観る観ないを選択しているから、再生数の差がすごく出ますよね。
一方でVoicyでは、決してバズりはしませんが、放送ごとの再生数にあまり波がなく、安定して聴き続けてくれるんです。それは、やはり可処分時間を占有されない状態で情報を入手できるからなのかなと思います。
大井:
僕は元々ラジオが好きで、東日本大震災で塞ぎ込みがちだった時期も、ラジオばかり聴いていました。それで気持ちがすごく落ち着いた経験があるんです。そういう、声だからこそ伝わる感情や空気感みたいなものは、Voicyをやっていても感じますし、今後も大切にしていきたいと思っています。
※2021年4月取材
さいごに
音声での発信は、瞬間的な「リーチ」や「効率性」という面を求めるには不向きです。一方、ブランドや企業が大切にしている世界観や、想いや本音といった価値をリスナー一人ひとりに届けるために役立てていただけると思います。
「ブランドが大切にしている価値観を届けたい」「ファンと長期的な関係を築きたい」といったことへ関心のある方はお気軽にご相談ください。
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