[導入事例] - 「こちらから情報を届ける“攻め”の総務に」北海道のIT企業、北都システムが編み出した「声で支える健康経営」
自動車、医療、モバイルなど、幅広い業種のITソリューションを手掛ける北都システムは、創立30周年を迎える北海道のIT企業。2020年7月から、Voicyのチャンネルを社内向けに活用する「声の社内報」としてサービスを利用し、総務部のメンバーが日替わりでパーソナリティを務める社内ラジオ「キケルバ」を配信しています。発案者で、パーソナリティも務める総務部長の城内克典さんに、始めたきっかけや、ユニークな健康経営への“声”の活用法などについて聞きました。
[サマリ]「日替わりパーソナリティ」で多様な番組を提供、Voicyコンテンツとの相乗効果も狙う
[事業紹介]北都システム
従業員数 220名(2023年4月1日時点)
https://www.hscnet.co.jp/
1994年創立。北海道札幌市に本社を持ち、新横浜、大阪にもオフィスがある。自動車、医療、公共など幅広い事業領域でソフトウェア開発やシステムインテグレーション、システムエンジニアリングサービスを行う。最近では、これまで培ったノウハウを活かし、多店舗企業向けの業務支援システム「店舗Linkle」などの自社プロダクトも展開している。健康経営にも力を入れており、2023年3月には4年連続で経済産業省の「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定された。
お話を伺った担当者
[導入背景]紙の社内報で苦労、コロナ禍で社員をつなぐ方法を探し「声」に出会った
—— 北都システムでは、2020年7月から「声の社内報」としてVoicyを活用した社内ラジオ「キケルバ」を配信しています。どのようなきっかけで始めたのでしょうか。
城内:北都システムは、もともと創業者が「ITは人ありき。いいサービスを提供するためには、人材を大事にしなくてはならない」という思想を持っていたので、社員コミュニケーションにも非常に力を入れていました。それで創業当初は、総務部が中心となって、かなりの手間をかけて2カ月に1度のペースで8ページの冊子型社内報を制作していました。私も2000年の入社時から関わっていましたが、業績の低迷やスタッフの減少にともなって、2003年に休刊となりました。
しばらくして業績が少しずつ回復し、「そろそろ再開してもいいのでは」と思い立ち、2008年にデジタル社内報としてPDF版を始めたのですが、印刷費用はかからないものの、制作の手間は紙とほとんど変わりません。実質、私1人で作っていたので息切れがしてしまい、2011年4月に再び休刊してしまいました。
もっと気軽に、楽に続けられるものはないかと探していたのですが、なかなか条件に合うものがなく、どうしようかと思っているところでコロナ禍に突入。システムの会社なので、もともとお客さま先に常駐して働くエンジニアがいたのですが、全社的に在宅勤務が広がり、社員同士が顔を合わせる機会が激減しました。「何とかして、情報発信の方法を探さなくては」と思っていたところに、たまたま検索で見つけたのがVoicyの「声の社内報」でした。
「Voicyって何だ?」と思って聞き始めたら、おもしろくてハマりました。文章を書くほど手間がかかりませんし、パソコンが自宅になくても家でスマホを使って手軽に聞くことができるのも便利です。ほぼ即決でした。
「何かあったら申請してきてください」「届け出てください」という、従来型の“受け身型”の総務を変えたいと思っていたところにも、社内ラジオはぴったりはまりました。「みんな在宅勤務をしていて、オフィスに誰もいないから仕方がない」と諦めるのではなく、「それなら自分たちから攻めて行こう。みんなが聞けるVoicyという媒体に乗って、こちらから声で情報を届けよう」と考えたのです。
[活用方法]パーソナリティ8人で楽しみながら配信
—— 複数のパーソナリティが番組を担当しているそうですね。どんな方々が、どのような内容で配信しているのでしょうか。
城内: 最初の3カ月間は毎日私1人で担当していたのですが、さすがに大変でギブアップ。でも、だからといって月1回や週1回の配信では、なかなか存在を知ってもらえないですし、「聞く習慣」もできません。それで、総務、人事、情報システム、横浜の総務など、総務部の中のそれぞれの担当から年齢、性別もバラバラな人たちに声をかけて、「日替わりパーソナリティ」で回すようにしました。
今は毎朝7時に、10分程度の番組を配信してもらっています。内容は、月に1度は担当領域の業務連絡を入れることだけは決めていますが、あとは自由です。飼っているネコ、ガンダムのプラモデル、男性スキンケアの話など、それぞれの個性が出ていておもしろいです。
―― みなさん、楽しんで続けられていますか。
城内:最初は、再生回数や「いいね」の数を競ってもらって1位の人に賞をあげたりして盛り上げました。製品広報チームに頼んで、(ニッポン放送のラジオ番組)「オールナイトニッポン」のようなチャンネルロゴバナーを作ってもらったりもしています。結構、それぞれのパーソナリティにファンが生まれたりもしているようです。2023年9月には、配信800回を突破しました。
飽きて「辞めたい」と言う人が出てくるんじゃないかと心配していたのですが、まったくそんなことはありませんでした。現在は、不定期配信の人も含め、パーソナリティ8人で回しているのですが、みんな意外と楽しんでいるみたいです。時々配信し忘れる人がいて、冗談で「今度忘れたらパーソナリティはクビだぞ」なんて言ったりするのですが、「えー、イヤです。やめたくありません!」と言われます。若手社員から「パーソナリティをやってみたい」という声もちらほら上がっているようです。
[導入後の変化]「健康経営」×「社内ラジオ」で地元TVにも登場
―― 城内さんが感じている、声の社内報の効果はどのようなものでしょうか。
城内:在宅勤務の社員や、お客さま先で勤務している社員なども聞いてくれているので、とてもうれしいです。
やはり、働き方も嗜好も多様化しているので、情報を届ける方法も多様化させる必要があります。かっこよく言えば、社内ポータル、社内報ブログ、社内報ラジオと3つの「マルチメディア」戦略なんです。「社内ネットワークにログインするのは面倒だけど、すき間時間にラジオを聞くくらいならできるな」という社員に届けられれば、大きな価値があると思っています。
Voicyに“間借り”させてもらっているのも、大きなメリットです。Voicyにはたくさんのチャンネルがあるので、そこで音声のおもしろさにハマって「聞くクセ」「Voicyにログインするクセ」がついてくれれば、社内ラジオにちょっと飽きていったん離れてしまったとしても、また戻ってきてくれるのではないかと思うんです。
Voicyのほかのコンテンツを聞く「ついで」に、社内ラジオも聞いてくれるようになると、長く聞き続けてくれるのではないかという作戦です。
―― 2021年からは、産業保健師さんもパーソナリティに加わったそうですね。
城内:はい。前年に、給与計算や健康診断などを担当していた労務スタッフが退職し、通常であれば、また労務スタッフを補充すると思うのですが、その欠員枠を保健師採用に充てました。この規模の会社で、正社員の産業保健師がいるのは珍しいと思います。
健康診断やストレスチェック、過重労働対応、不調者のフォローなど、社員の健康に関わる業務を担当してもらうことにしたのですが、最初の課題は「保健師の存在を社員に知ってもらうこと」でした。
どうしても保健師というと、「健診を受けろと催促される」「健診で引っかかると叱られる」「痩せろ、運動しろ、禁煙しろとうるさい」など、うっとうしくて煙たいイメージもあります。ですから、まずは保健師の人となりや、どんなことをしてくれる人かを知ってもらい、「気になることがあったら気軽に相談してもらえる存在だ」とわかってもらうことが必要でした。社内ラジオはうってつけだったのです。
今では月1回、ストレスや健康診断、ハラスメント、眼底検査などの健康情報のほか、雑談で親しみを持ってもらうようにしています。
―― 健康経営にも力を入れているとのことですし、ぴったりの取り組みですね。
城内:そうなんです。「健康経営」と「社内ラジオ」という組み合わせが珍しいということで、テレビ北海道の情報番組でも取り上げられました。
声の社内報を検討中の企業の方へ:多店舗展開や在宅勤務など社員と離れている会社にぴったり
—— Voicyを声の社内報として検討している、ほかの会社の方に向けたメッセージはありますか。
城内:「声の社内報」というのは、本当にいろんな可能性を秘めた、おもしろいサービスだと思います。テキスト媒体だとどうしても誤字脱字は許されない感じがあって、完成度が求められますが、声だと言い間違えたり噛んだりしても、それが「らしさ」に変わります。本人の雰囲気や醸し出す空気感も、一緒に聞き手に届けられる。活字では伝わらない“行間”を埋められます。
ですから、例えば多店舗展開している企業や、我々のようにお客さま先で勤務している社員や在宅勤務をしている人がいるような会社にはぴったりだと思います。
北海道は広いですし、雪が降ると簡単に行ったりきたりできなくなるところも多いので、本当は道内で営業所を展開しているような企業にもマッチしているはず。北海道でもVoicyの声の社内報をもっと広めたいですね。
2023年11月取材
お問い合わせはこちら
最後までご覧いただきありがとうございました。
「オフィスに人がいないからこそ、社員にはこちらから情報を届けにいく」という攻めの姿勢が印象的でしたね。とくに産業保健師さんまで巻き込み、健康情報を積極的に届けていくという放送は、社員の方々に対する 北都システムさんの考えを象徴しているようにも感じました。
この北都システムさんの健康情報を届ける放送は、良い放送の事例として実はほかの「声の社内報」利用企業にも広がってきています。健康経営に音声を活用する企業はこれからより一層増えていきそうです。