見出し画像

声優の"正しい目指し方"とは? Part②

皆さんこんにちは、Voice willの西森千豊です。
Part①では、"何故進路を選ぶことが大切なのか"について触れていきました。
Part②では、具体的にどういった進路を選ぶべきか、こちらについて触れていきたいと思います。
(重ねてにはなりますが、あくまで西森の主観の考察になりますので、ご参考までに…!)

"正しい目指し方"その①「とりあえず全国オーディションを受けよう!」

まず声優を目指す上で最初に行ってほしいのは、養成所選びや専門学校選びではなく、「全国オーディションを受ける!」ことだと断言します。
主に81プロデュースシグマ・セブンプロダクション・エースなど、事務所が行っている新人発掘オーディションや、声優アワード新人発掘オーディションを指しています。

これは全国の声優志望者の方の参加者を募り、合格者を決めるというもので、合格者は特待生になったり、いきなり事務所所属になれる可能性があります。
これはスカウトが存在しない声優業界で、唯一事務所からアプローチを受けられる方法とも言えます。

当然ながら狭き門ではあるのですが、重要なポイントは"参加条件を満たせば、誰でも受けられる"ということです。
事務所側も、将来的に戦力になる素材を取るつもりで開催していますので、現時点での実力よりも将来性を重視して合否を出すと思います。
またこういったオーディションで選ばれた人は、ピンからキリまでいる声優業界の中でもピンになれる可能性が高いのです。

まだこれから声優を目指すという人は、真っ先にこういったオーディションを受けましょう!

"正しい目指し方"その②「大手事務所の養成所を受けるべきはこんな人」

さて、残念ながら全国オーディションに落ちてしまったあなた、落ち込む必要は全くありません!
プロだってオーディションは山のように落ちるのが当たり前なので、気にせず次にどうするかを考えていきましょう!

プロの声優になるためには、まず事務所に所属しなければいけません。
そこで次に出てくる選択肢は、"事務所に入るために養成所に通うこと"だと思いますが、事務所も大手から中小とかなり数があります。

まず大手事務所のメリットとデメリットについてですが…

-メリット-
・事務所として抱えている仕事数が多い。
・所属しているだけでステータスとして見られやすい。
・新人でも売れっ子の先輩とセットの仕事(バーター)がある。
-デメリット-
・養成所生の数が多く、事務所に所属するまでの競争率が半端ない。
・所属声優の数も多いので、マネージャーや先輩達とのコミュニケーションが容易ではない。
・仕事やオーディションは、外部の前に自社の売れっ子声優との競争。
・オーディションや専門学校から毎年有望株がどんどん入ってくる為、とにかく競争また競争。

と行った感じです。

売れっ子声優を多く抱えている大手事務所は、事務所自体が抱えている仕事数も当然多くなります。
マネージャーから戦力として認めてもらえれば仕事は得やすいですが、やはりそこに行くまでが相当に大変、と言うところです。

そんな中で、大手事務所の養成所を選ぶべき人は…

・10代~20代前半の声優志望者
・何が何でも大手事務所に所属したい方

こういった方々になると思います。

アニメ声優を目指すなら、25歳というのが一つのラインになってきます。
プロとしての実力をつけるためには、センスのある方でも3~5年はかかると言われていますので、今の年齢+3~5歳の時点でどうなるかも考えなければいけません。
(3~5年もかなり順調に行けば、と言う感じですが…)

また大手事務所には売れっ子含め数多くの声優の方々が既に所属していますし、その方達に憧れて集まってくる声優志望者も相当な数です。
そんな中で勝ち残っていかなければ行けないので、レッスンで実力をつけるのは当然のこと、とにかくアピールし続けなければいけません。
声優業界は競争社会ですが、その前に同じ養成所内・事務所内でも激しい競争が繰り広げられることになります。

確率で言えば何千~何万分の1の存在にならなければいけませんが、そのくらいの覚悟を持って目指しましょう。

"正しい目指し方"その③「中小事務所の養成所を受けるべきはこんな人」

さて、次に中小規模の事務所のメリット・デメリットについてですが…

-メリット-
・養成所や事務所内の競争率が、大手に比べて低い。
・主力の声優になれば、事務所やマネージャーに重宝してもらえる。
・マネージャーや先輩とのコミュニケーションが取りやすい。
-デメリット-
・大手に比べると仕事量は多いとは言えない。
・事務所によっては業界内でも認知度が低い。

このような感じになります。
競争率の低さがメリットという点についてですが、例えばアニメのオーディションが例に上がります。

アニメのオーディションは、まず制作会社から各事務所に通達が出され、「各事務所・1役に付き1~2人まで」が基本のテープオーディションに選抜された後、そこから更に選抜された人がスタジオオーディションに進みます。
オーディションには、当然各事務所の売れっ子や有望株が揃うわけですが、その前に自社から選抜されなければ、その人達と戦うことすら出来ません。
しかしこの「各事務所・1役に付き1~2人まで」と言う条件は、300人声優を抱える大手事務所も、30人程度の小規模事務所も、全て同じ条件になります。

そう考えると、仮に中小規模の事務所であっても主力になっている声優は、オーディションで他事務所の売れっ子の人達とも競うことが出来るわけです。
大手の場合には、このステージに立つだけでも相当の数がふるいにかけられてしまいます。
これは考え方によっては、メリットの一つと言えるでしょう。

さて、中小事務所を選ぶべき人についてですが…

・20代半ば以上の声優志望者
・なるべく早く現場に出たい人
・環境を変えてチャレンジしたい人

こういった方々になると思います。

アニメのヒーロー・ヒロインを目指すとなると少々厳しい年齢になってきますが、本来声優は年齢関係なく出来る仕事なので、そこにこだわらなければ年齢は気にする必要はありません。
また今いる売れっ子声優の方々の中には、大手の中で埋もれてしまったが、環境を変えたことで花開いた、と言う方も実際にいらっしゃいます。

また養成所に関しても、比較的年数が短く設定されているところや、事務所の戦力になるまで面倒見てくれるところが多くなってきます。
中小規模は主力声優の数が大手より少ないので、戦力になる人材がほしいのです。

「鶏口牛後(けいこうぎゅうご)」と言う諺もありますが、考えておきたいのは、自分にとって優先すべきは"大手事務所に入ること"なのか"プロの声優のスタートラインにいち早く立つこと"なのか?
人によって考え方は色々あると思いますが、この考え方もプロになるための戦略の一つと言えるのではないかと思います。

"正しい目指し方"その④「専門学校を受けるべきはこんな人」

さて、進路を選ぶ上で専門学校という選択肢もあります。
こちらのメリットデメリットについても触れていきましょう。

-メリット-
・専門学校卒の資格が取れる。
・施設の設備や授業内容が充実している。
・学校によっては在籍中から仕事を得られる可能性がある。
・数多くの声優事務所のオーディションが受けられる。
-デメリット-
・学費が高く、基本的には週5日/2年間のみ。※例外もあり
・学校感覚で通う生徒が多い為、モチベーションが保ちづらい。
・専門学校卒業後、ほとんどの生徒は養成所に通い直すことになる。

と、このような形です。
声優の養成所は学校ではない為、学歴としては高校や大学までとなります。
専門学校卒と言う資格が得られるのが、ある種一つのメリットになるでしょうか。

さて、では専門学校を受けるべき人はどんな人かと言うと…

・専門学校卒の資格が欲しい人
・とにかく多くの事務所のオーディションを受けたい人
・施設や人脈など、環境を最大限活用することが出来る人

といった感じになります。

専門学校は設備も充実していますし、また講師の方も現役声優やディレクターの方が来るケースも多いので、人脈を作るにはもってこいだと思います。
また学校によっては、比較的安価に通える夜間コース仕事に繋がるディレクターズクラスなどが設置されているところもあります。

学ぶ上では充実した環境と言えますが、活用できるかはその人次第。
ただ専門学校は高校卒業からそのまま通う生徒が大多数なので、残念ながら活用できずに終わってしまう方が多いように感じます。

"正しい目指し方"その⑤「劇団系事務所を受けるべきはこんな人」

劇団ひまわり・劇団青年座・演劇集団円・劇団昴など、劇団に所属しながら声優活動をされている方も、業界には数多くいらっしゃいます。
こちらのメリット・デメリットにも触れていきましょう。

-メリット-
・舞台を通して常に演技と向き合うことになるので、実力をつけやすい。
・幅広いジャンルでマネジメントを受けられる可能性がある。
-デメリット-
・基本的には劇団員なので、声優の仕事がメインではない。
・劇団活動を中心としたスケジュールになり、生活がハードになりやすい。
・研修生から劇団員になるまでがかなり大変。

と、このような形です。

劇団出身から売れっ子声優になった方も多くいらっしゃいますが、基本的には劇団員なので、劇団や舞台中心の生活になります。
当然裏方仕事にも駆り出されるでしょうし、スキルとしても歌やダンス・日舞など、俳優として求められるものが多くなります。
また舞台は時間拘束が長い為、アルバイトを兼ねながらの生活はかなりハードになります。
声優だけに憧れて劇団系事務所に入ってしまうと、そのギャップについていけなくなる人も、実際に多いと聞きます。

演技が純粋に好きな方、または俳優活動をしながら声優もやりたい、という方にはオススメだと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
進路も考え出すと色々と悩むことが多いでしょうし、この情報化社会、ネット上には良くも悪くも色々な情報が飛び交っています。

忘れてはいけないのは、"進路選びは、プロになる可能性を少しでも上げる為の手段"でしかありません。
養成所に通えばプロになれるというわけでは決してなく、プロになれるかどうかはあなたの取り組み次第なのです。

やりたいことが見つからないと嘆く人も多い中、せっかく"声優になりたい"という夢を持ったのであれば、多くの方にその夢を叶えてほしいと、心から願うばかりです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?