DIKTATOR -interview -
DENIED・BULLDOZE・IRATEをはじめとした色褪せないBEATDOWN HC STYLEへの限りない愛情。
"NORTHEYES BEATDOWN SQUAD”を掲げ、アートワーク・マーチでアウトプットする彼らのメッセージも全てメディアとなり、DIKTATORを形成する核の部分でもある。
彼ら主催の企画には純粋な次世代のHCディガー達が自然と集まり、地元仙台におけるユースカルチャーの新しい形を体現している点も、彼らの大きな魅力ではないでしょうか。クラブでもなく、ライブハウスでもない。時代に逆行するかの様な彼らの"BEATDOWN SQUAD"は地下室のスタジオで繰り広げられていた。
(Interviewer:KEN MAKABE)
- バンド結成の経緯について
KOYA (BROWN Jr.)
元々VOのTAKAと自分は中学の同級生で、同じバスケ部の友達とバンドをやろうという話があったことが最初のきっかけでした。その時は結局、話だけで流れてしまったのですが・・・その後高校に入り、改めてTAKAから連絡が入り結成へ。自分は最初ハードコアのジャンルの存在は知らなく、邦ロックなんかを聞いていたんですね。その後mixiを通じて現BaのBAZOOKAと知り合い、DIKTATORの前身となるASPHYXIAの形態ができた感じです。
当初バンドをやるといっても、何か明確に目指しているサウンドやバンドがあった訳ではなかったのですが、BAZOOKAが同年代の中でも早い段階で、ラウドな音楽を掘り下げて知っていたので初ライブの時はメタルコア、デスメタル的なアプローチのサウンドでした。
結成後に3回程、長町リプルでライブを行った後の話となるのですが、内村さん(ZIRASHI/BIRDLAND)が俺らのことを知ってもらったことをきっかけにして、2013年にバードランドで初めてライブ出演しました。Suburban Scumのジャパンツアーです。BREAKOFCHAINとBIRDLANDの共同企画。出演者はBREAKOFCHAIN、ZIRASHI、MANDRAKEでした。
自分はまだ高校生でして、ハードコアの音楽に関しては 事前知識と言いますか、バードランドでのライブ前に色々音源やyoutubeで予習して何となく知っている・・・という程度でありましたが、ライブの音・雰囲気・出演バンドの熱さなどに喰らい、その日のライブ出演をきっかけにしてハードコアバンドに傾向していきました。
その後2014年以降、その当時のメンバーが一部抜けたり、今のDrのU.M.A.が加入したり、バンドとしても波があったという感じでしたが、2016年バンド名をDIKTATORに改名した後、現GtのTENKIが加入したことによりバンドしての軸が整い今に至ります。TENKIが加入したことにより、バンドして勢いが出た感じがあって良かったと思います。
ちなみにですが、DIKTATORのバンドの由来は当時好きだったデスコアバンド「COLD BLOODED MURDER」の曲名、"Dictator"から取りました。3文字目の「C」「K」と取っ替えて。Dictator=独裁者との和訳となりますが、響きが気に入って付けたネーミングですので、政治的な事などの特に深い意味はないです。シーンの先頭に立ちたい、独占したいぐらいの意味で付けました。
-影響を受けたバンドやシーンについて
KOYA (BROWN Jr.)
先ほどの項目で触れた通り、HARDCOREという音楽に出会うきっかけにもなったBREAKOFCHAINの存在は大きいです。
Suburban Scumのライブしかり、前身バンドASPHYXIAが収録されているTHC2014のコンピなど、ノマさんには自分たちがHARDCOREのハの字を知らない状態の時から、引っ張ってもらって今に至るので。
また個人的には盛岡のシーンの存在も大きいですね。
2016年にPRESSONAHEADのイベントに出演した時。
その日は自分たちが満足いく演奏ができなくて正直ヘコんでいたのですが、自分達の直後に演奏したKILL DEM ALREADYの演奏を見て、悩みなんか全部ふっとびました。大変な刺激を受けたのを覚えています。
その日をきっかけにして、トモミさん(KILL DEM ALREADY)から私物のコレクションのマーチを頂いたり、レアなデモテープ送ってもらったりという交流があったりして・・・NYHC・東海岸周辺のタフガイなハードコア関連が更に好きになり、更に聴き漁る様になりましたね。
BEHIND THE 8BALL、H8CALLがいる郡山も自分たちは影響を受けています。H8CALLは自分達と同世代なのですが、彼ら経由でZAP THE ALL TOWNと繋がり、3WAY SPLITをリリースするきかっけにもなりましたし。同世代で、好きな共通のカルチャーを共有できる存在が東北にいる事は大変大きいですね。H8CALLの周りの友達がHIPHOPをやっているから、自分の地元で友達がわいわい集まってライブをする感じとか。リアルな遊び方であり、ユースカルチャーそのものではないかと。
-サウンド面や曲作りで大事にしているところ
-KOYA (BROWN Jr.)
曲作りに関しては誰かが・・主に自分かな?リフを持ってきてスタジオで作る一般的なスタイルです。
自分は仕事の関係で東京に住んでいて、2-3ヶ月に1回仙台に帰ってきたタイミングでスタジオに入り編曲・展開する流れがベースとなるので、1曲出来るまで遅いし、アナログな手法ですよね。ただマイペースなやり方が、自分たちには一番しっくりきていると思います。
やっぱりスタジオに入りながら、その時に感じた感覚とか、たまたま発生したハプニングなんかを発展させていくと、面白いと思う方向に向かうことがあるので、なんだかんだでこの手法が一番良いと私は思ってます。
普段聞いてきる音楽が90年代のNYHC~クイーンズ系のバンドが多いので、思い浮かぶサウンドやリフもそのような方向になりますが、明確な目指しているサウンドがあるわけではない。単純に自分たちが良いと思っている音をアウトプットしているという感覚です。
DENIEDをはじめとした、クラシックな極悪サウンドが基盤としてありますが、元々好きだったデスメタルやNASTYをはじめとしたユーロビートダウンの要素、はたまたストーナー系のリフを取り入れるチャレンジをしてみたり。スタジオでボツになることも多いですが、、、
出来るだけ、コピバンにならない様にとは意識しています。〇〇っぽい〇〇直系サウンド!とかにならない様にと思いながら、曲作りに励むのですが・・・完成すると最終的には寄ることもありますね。笑
その中でも、どうオリジナリティを表現するか。どれだけやばいと思うフレーズを作れるかというのが、核となる部分ですので大事にしています。
-BAZOOKA(Ba) / TENKI(Gt)
自分らのやっている音楽はヘビーでダウンチューニングが基本となる訳ですが、チューニングキーにあまり囚われない様に心がけています。
弦楽器隊の基本はDrop B(2音半下げ)のチューニングですが、あえて開放を使わず、いろんなキーでできる様な曲作りを意識していますね。
キーがD主体で曲を進行させたり。
あとはミュートへのこだわり。
ミュートとミュートしていない所のメリハリ意識や、ブリッジミュートの使い分けなど。スプリットの2曲目のイントロなんかは、まさにそうですね。音源持っている人はぜひ違う角度から、改めて聞いてもらえると嬉しいです。
2017年に出したEPの最後の曲はミュートしきった音と言えば良いでしょうか。多分、聞いている人たちはあまり上がらないポイントと思うのですが、、、自分たちの美学です。
-U.M.A.(Dr)
ドラムに関してはスネアのチューニング。
タフガイハードコア周りのバンド特有と言えば良いのでしょうか、あのハイピッチなカーンという、乾いたスネア音。
以前ライブの遠征時に、限界まで強く張りすぎてスネアのヘッド割れたこともありました笑
ここら辺のディティール的な側面に関しても、トモミさん(KILL DEM ALREADY)に、色々教えてもらいましたね〜このスネアがいいよなんてアドバイスをもらって、すぐ中古屋に買いに行ったり。
展開などを含むテクニカルな面に関しては、とにかく人と被らない様にしたいと常々思っています。
自分は元々グランジの音楽が好きで、デイヴ・グロールのドラムプレイが好きで影響を受けていますので1個のフレーズに沢山の音数が入っているビートが好きなんですね。展開は遊び心を。手数を多めに入れるのを意識しています。
あとは全体のモタり感かと。色々と90年代のクイーンズ関連の音源を深堀りしていくと、自分はドラマー目線で聞く訳ですが、Drがあえて少し遅れてくる感じ?がかっこ良いなと思うポイントでありまして。
こんな所もプレイ中の随所であえて意識しています。ライブ中はただ単に疲れて、遅れてしまうだけなのですが笑
-KOYA (BROWN Jr.)
ジャンルは違いますけれども、例えばJ Dillaとかが醸し出す様な、聴く側が予測しているものより、少し遅れてくる感じの・・・「よれ」のニュアンスが近いでしょうか。
思ってもいない拍のリズムが新鮮だったりしますよね。それがMIXされることで、最終的にDIKTATORのグルーヴ感へ反映されているのではないかと思います。
-TAKA(Vo)
(Vo.TAKAは所用による欠席のため、メールにて文章を頂きました。)
歌詞に関しては、日々の生活で感じた理不尽さや怒り、衝動をフレーズとして書き留めてます。その中から何か一つのテーマを決めて組み合わせて一つの歌詞へ。感情的というか思ったことをそのまま書き溜めることが多いのでKOYAからは具体性が足りないと良く言われるのですが笑
最近ではやっぱり東北仙台のバンドとして俺らは少なからず誇りを持っているので、地元をrepした内容になってますね。
(仙台でやってる以上、他のローカル勢には負けたくないって気持ちが強いので食ってやるぞという気持ちは常に持って制作してます。)
自分の軸としては、等身大でいるってことですかね。かっこつけなくてもかっこいい人っているじゃないですか。それを目指したいというか。自分が歌っている内容と自分の行動は合っているのかとか。その辺も考えてたりもします。思ってないこと歌えないですからね。
-地元のシーンに対する想い
KOYA (BROWN Jr.)
仙台は自分が育った土地でありますし、HARDCOREを教えてもらったのも、もちろん仙台。自分は仕事の関係で東京に在住しながら、DIKTATORの活動を行なっていますので、地元でのライブ本数しかり、スタジオ練習の機会そのものが少なかったりする訳ですが、仙台のBandとしてあくまで地元を起点として活動、継続していくことに何らかの意味があると思っています。
物理的に住まいが離れる=バンドをやめる理由にはあたらないので、マイペースに好きに楽しくやっていくことが、まずは一番かと。
自分たちの活動が何か地元シーンへの恩返しになる事があるかもしれないし、後輩たちも出てきてたらどんどんフックアップしていきたい。
今後は地元の友達や、HIPHOPの友人を巻き込んでイベントをやりたいと思ってます。自分たちのやっている音楽は大衆的なサウンドではないし、とっつきにくい音楽であることは理解しているからこそ窓口を広げ、色んな人達に触れて貰える様な機会を作りたい。
5月はSUMMER BASH FEST、BLOODAXE FESTIVALの2大イベントの出演もありますし、とにかく自分たちの活動を通して、仙台シーンをより多くの人に知ってもらいたいなという気持ちがあります。また自分達の姿を見て、地元に沢山の後輩のバンドが出てきてくれたら嬉しいですよね。
- 今後の展望に関して
KOYA (BROWN Jr.)
去年リリースした3WAY SPLITのレコ発がコロナなどの影響でまだ実現できていなかったので、それを絡めて単なるCD発売で終わらせない、一つのプロジェクトとして活動していきたいと思っています。
あとは先ほどの項目でも触れましたが、HIPHOPをはじめとした他カルチャーとのMIXしたイベントや後輩のサポートなど。
日本全国のみならず、国外に向けてもDIKTATORを発信していきたい。
また自分たちのBANDの強みは自分とTENKI、2人のデザイナーがいるので
ZINE・フライヤー・マーチなど、アートワーク面でもアウトプットしていく様な音楽だけで終わらせない活動もしていきたい。
個人的主観ではありますが、ハードコアバンドのアートワークは他のジャンルよりかっこいい、秀でたるデザインが多いと思うので、またそれがバンドを知るきかっけになることもあるのではないかと。自分たちの、パーソナル部分をDIKTATORでもっと出していきたいですね。
-ZINEに関して
5/21より自分達が作ったFANZINEをリリースします。3年くらい前から構想があったのですが、やっと完成したところです。
今回のISSUE#1 は仙台・東北HCの先輩たちへのインタビューが核となる部分となり、当初はWEBにも掲載しようかと思っていたのですが、ネットで見る場合と、現物のZINEで見るとでは受け手の感覚は異なりますし、個人的にZINEの方が内容がグッと入ってくるので、あえてZINEのリリースだけにとどめておこうと思っています。
また、フィジカルとして物を作りたいという欲求も大きいということも、ZINEとしてリリースした経緯の一つでもあります。
自分たちはDIGする行為が好きですし、そうなると必然的に希少性を求めるわけですよね。自分たちしか知らない情報ってのは男心くすぐられますし。
矛盾してしまう点であるのですが、情報を広めたいという根本はありつつも、本当に欲しい人だけが読める様にした方が希少性・面白さを発信できると思うので、そこのバランスに注視して限定50部のリリースにしました。
とにかくあとは自分たちのペースで続けることを目標としていきたい。
今のメンバーでこれからもDIKTATORを続けて、更に発展させていきたいです。
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