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日本の巨石〜イワクラの世界

 初めての写真集「日本の巨石〜イワクラの世界」は、日本石巡礼(2003〜2006)という3年間の旅で出会った巨石(磐座・石神・聖石・伝承がある石)の写真をまとめたものだ。有限会社インテグラーレによる企画編集で、2008年1月15日にPARADE BOOKSより出版させて頂く。大型本: 80ページ、A4判変形版 。


日本の巨石〜イワクラの世界

 それまで東京に15年半、カメラマンのアシスタントから写真週刊誌のスタッフカメラマン、その後フリーとなったものの、なかなか写真だけでは生活は厳しかった。体力に自信があったので、肉体労働をしながらお金を貯めては、撮影旅行をするといったスタイルが10年以上つづいた。海外の石の聖地を訪ねれば訪ねるほど、日本の石の世界が氣になった。足下の日本をきちんと見なければとの思いから、日本石巡礼構想が湧いてきた。生活に余裕もなければ、金銭的な蓄えも無い。しかし、石巡礼への想いは強くなるばかりであった。

 2003年10月、東京の安アパートを引き払い、荷物は友人や実家に預かってもらった。友人の紹介で中古の軽バンを購入し、カメラ機材、自炊道具などを積み込み、日本石巡礼〈VOICE OF STONE CARAVAN IN JAPAN〉への旅への出立を決意する。「石の上にも三年」の言葉のごとく、3年間の石巡礼の旅がスタートした。

日本石巡礼の決意文

 私、須田は2003年秋から約三年間をめどに日本全国の石を巡る旅を計画しております。この十数年間、私は「聖なる場所」や「聖なる石」をテーマに日本と海外で撮影を続けてきました。その中で、石という存在が日本、世界中に共通した基層文化を持ち、地域的特性があると思えるようになりました。特に、一昨年南部アフリカのジンバブエの遺跡群やイワクラの存在を目前にした時、その思いは確信となりました。 その確信を実証するために、自らが稀人(まれびと)として日本各地を訪れ、改めて足元である日本における石の存在をきちんと知り、それをベースに世界とつながって行くために、日本列島を北から南まで巡る「キャラバン」を実行しようという思いに至りました。 名付けて「〈Voice of Stone〉ヴォイス オブ ストーン キャラバン イン ジャパン」(日本石巡礼)、この旅の目的は大きく分けて三つあります。 一、日本各地に点在する多くの石や岩や洞窟、そしてイワクラなどを撮影し記録する事。 二、それら石にまつわる様々な伝承や伝説などを収集し、石と人との関係性を探る事。 三、地元の方々と石をきっかけにした交流の場(写真展)を作る事。 日本各地の石を訪ね、石の発する沈黙の聲に耳を傾けつづけます。 風天のフォトタマ(玉、魂、靈) 須田郡司 拝(2003年記)

 3年間の日本石巡礼の旅では、約1000カ所の聖なる石を訪ねた。この写真集は、その旅で出会った巨石を74カ所に厳選して写真集に収めた。


 写真集の前書きとキャプションの翻訳は、長年の友人で京都在住のスティーヴン・ヘンリー・ギルにお願いした。彼は、イギリス、北ヨークシャー生れ。大学講師、BBCラジオ原文作家、翻訳家。俳人。「生け石」アーティスト。彼は、写真集「日本の巨石〜イワクラの世界」に素敵な「あとがき」を寄せてくれた。

あとがき

「石の宇宙」展。須田郡司と初めて出会ったのは、1995年に東京の北沢ギャラリーで催され、彼と私が共に出展したこの先進的な展覧会の会場においてであった。それ以来、私たちはそれぞれの分野ー彼は石の写真と石の語りべで、私は「生け石」と呼ぶ、見つけた石をアレンジすることを中心とした美術表現でーお互いを励みにしながら、「石」に関わる仕事を続けてきた。そして、互いに共通する石への想いによって、友情が生まれた。

 「石」は、もっと愛されるべきではないか。それは、栄光の天地創造からの贈り物であるのに、いまだ見過ごされているとは!今日では多くの人々は精神性などには無関心で、石はただの材料として考えている。だがこの本の中には、私たちと岩石の古代からの繋がりの証拠がある。ー神の座る磐座、人に霊感を与える柱、隠者の慰めの場所、己よりも大きな存在に謹んで畏敬や信仰の念を表す場所ー。

 このような場所の多くは、神社によって守られ、または神社として祀られている。神道は、精霊崇拝の信仰で、私たちを古代へと連れて行ってくれる。神社のご神体の木や石は、強いエネルギーを発して、私たちは本来自然界の一員であるということを気づかせてくれる。このような場所で人間は、宇宙との一体感を強く感じたに違いない。今、この時代においても、こういうことを感じることが大切であると思う。

 石の聖地は世界中に存在し、郡司はそれらの写真もたくさん撮影している。グレート・ジンバブエ遺跡、マチュピチュ、カイラス山、スケリグ・マイケルなど。日本の巨石は、これらの有名な場所の壮大さには及ばないかもしれないが、二つの重要な点でひけをとらないだろう。それは日本の巨石は人が足を踏み入れる事の少ない場所にひっそりと存在し、ひとたび近づけば私たちを瞬時に神話の世界に誘うような親密さを待っていてくれることだ。

さあ、郡司の真摯な目を借りて、石の世界の旅をつづけましょう!

       スティーヴン・ヘンリー・ギル 2007年8月 京都嵯峨にて


 写真集『日本の巨石〜イワクラの世界』(パレード出版、2008)は、Amazonからも購入できますが、サイン本をご希望の方は、下記フォームメラーよりご注文下さい。

https://ssl-panel.form-mailer.jp/panel/forms/778298/fieldsets

価格3,080円(税込)+送料200円の合計3,280円にて、販売致します。


問合せ先:voiceofstone@gmail.com 

〒699-0701 出雲市大社町杵築東真名井7
VOICE OF STONE プロジェクト事務局
須田郡司公式サイト:http://www.sudagunji.com/