世界石巡礼ブログ ベトナム
🔴2009/04/27 ベトナムを守った聖なる岩
4月25日早朝、寝台列車はベトナムの首都ハノイ駅に到着した。 ホームに出ると小雨が降っていて意外と寒い。人々の表情が、中国と違って穏やかな印象を持った。 その日、一泊二日のハロン湾ボートクルーズに参加する。 ハロン湾はハノイから東へ約60km行った海岸にあり、ベトナムで最も知られる景勝地のひとつだ。 1994年、ユネスコの世界遺産に登録され、観光地としての人気を集めているという。 その日は日曜日ということもあってか港には、大勢の国際色豊かな観光客達で賑わっていた。 ボートクルーズは、ことのほか快適にハロン湾の奇岩を巡ってくれた。
ハロン湾は、海の桂林の異名もある。5日前に桂林の岩を見ていたのが、嘘のように遠く感じる。確かに奇岩群形は似ているが、海はより雄大で静けさを持っている。 ここには、こんな伝承が残る。 昔々、外的(中国)の侵略に悩まされたこの地に龍の親子が降り立った。龍は敵を打ち破り宝玉を吹き出したという。それが奇岩となって、海からの外的の侵入を防いだという。 つまり、この奇岩群はベトナムを守った聖なる岩としての役割もある。
ハロン湾には大小2000あまりの奇岩が点在し、その姿は何とも神秘的な景観を造っている。 地質学的には、数億年の時を経て石灰岩台地が沈降し、風化作用によって削られ現在の姿となった。石灰岩の島々には多くの鍾乳洞も存在する。
ハロン湾の奇岩は、今では外的のみならず、ベトナムの観光産業をも守りつづけるだろう。 なぜなら、奇岩は世界中の人々に親しまれ、愛されつづけると思うからだ。
ハノイにて 郡司 拝
🔴2009/04/28
巨大な洞窟寺院・香寺(パヒューム・パゴダ)
お寺の山門を抜けると、直径50m以上もの巨大な穴が現われ石段が遥か下まで伸びていた。 ひんやりとした風が穴から吹いてくる。何とも心地よい。 我々は、吸い込まれるようにして石段を下った。しばらくすると、巨大な穴の下方奥に巨石が鎮座しているのが見えてきた。 すごい聖所空間にやってきた。私はそう思いながらしばし茫然と立ち尽くしていた・・・・・。
4月27日、ベトナムの仏教の聖地で知られる香寺(フォーン寺:パヒューム・パゴダ)へと向かった。 香寺は、ハノイからで南へ約65kmの処にある。バスは、稲穂をつけた田園地帯を二時間あまり走り、その後、手漕ぎのボートに乗り換える。ボートは鉄製の四人乗りで、漕ぎ手は中年女性が一人だ。
ゆっくりと舟は進み、しだいに水墨画のような美しい山並みが姿を見せる。
ここも、ハロン湾と同じ石灰岩の山が多い。川はほとんど流れもなく、水面は穏やかで鳥や蛙の声を聴きながらまったりとした気分を味わう。 一時間ほどで船着場に到着する。ここが、香寺の入り口だ。参道を上がって行くと、道沿にいくつもの露天商が立ち並び、参拝用品からお土産品などを売っていた。 参拝者用の大きなレストランがあり、そこで腹ごしらえをして香山へ向かった。 香寺(チュア・フォーン)とは、香山(フォーン・ソン)に散在する大小100 以上の寺院の総称だ。 香山の山麓の天厨寺は 、15世紀に開基され、17世紀には山頂の大洞窟の中に観音菩薩修行の地として信仰されている香蹟寺がある。香遺洞は観音菩薩修行の厚い信仰の地で仏教の聖域として知られている。 参道を少し登るとロープウエイの駅が現われたが、我々は歩いて登る事にする。所々に露天商が建ち並び、仏教音楽が鳴り響いていた。
アップダウンを繰り返し、約一時間で山上へ辿り着いた。 巨大洞窟の正体は鍾乳洞で、穴の奥にあった巨石は長い年月でできた鍾乳石だった。
さらに奥に入るといくつもの鍾乳石があり、所々に仏像を安置していた。洞窟の一番奥は、奥の院のようになっていて仏像の前に10数人ものベトナム人参拝者が座っていた。彼らは、僧侶の指導のもと熱心に読経を続けていた。
香寺は、ベトナム人において最も重要な仏教の聖地として信仰されている。しかし、仏教以前からの聖地性を感じさせるものがある。
この神秘なる巨大鍾乳洞を見ていると、ここは聖地になるべくして自然(カミ)が造ったとしかいいようのない空間に思えるのだ。
大いなる地球の意思の力が、このベトナムの岩山に働いたのかも知れない。そんな、非現実的なことを思ってしまう。 ご神体のような巨大鍾乳石の前に立ち、ムビラを奉納し聖所空間を後にした。
ハノイにて 郡司 拝
追伸:本日、ハノイより国際バスでラオス:ビエンチャンに向います。5月6日までにはタイ:バンコクに入国予定。